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放射線科医の現状と将来について

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 対人口比率で欧米諸国と比較した場合,我が国の放射線科医総数は診断・治療ともに不足していることが広く知られている [1, 2] 。このことは厚生労働省も把握しておりホームページ上に資料も公開されている(図1 , 2)。医療は日々高度化しており,合理的で安全な診療を維持するためには放射線科医の数を適正値へ導いていく必要がある。我々専門医会ではこれを様々な方法で少しでも前に進めていく予定である。

 放射線診断医の将来像について画像診断と放射線治療に分けて少し述べると,両者に共通するキーワードの一つは「集約化」かもしれない。我が国の医療においては病院の数が多いため人材や医療機器の分散配置が欧米で比べて著しい。それに伴う個々の放射線科医の過剰労働が従前より問題となっている。限られた人的資源を high volume center に集中して配置することで情況の大幅な改善が可能であろう。個々の施設における放射線科医の人数が増えると画像診断と放射線治療もある程度,部位別にセクション化が生じていくことは想定される。一方で,米国や韓国で生じたような過度なセクション化(例えば核医学,Interventional Radiology,画像診断への3分割)は人数の少ない我が国においてはサービス部門としての機動力を減弱させる可能性を否めず,堅実なプランをたてる必要がある。

 二つ目のキーワードとして「ゲートキーパー」を挙げたい。医療に投入できる資源には限界が存在する。卑近な例を挙げ説明するとすれば重複した検査を食い止められるのは現場の放射線科医だけである。治療の領域においても外科手術が偏重された時代から徐々に cancer board で合議のもと治療法が選択される時代へと変わっている。その中で放射線治療はガン診療における重要度を次第に増加させていくことは当然期待される近未来のシナリオである。

 上に述べたように放射線科を取り巻く環境は刻々と変化しており,今後さらにその重みを増していくことであろう。このような分野に意欲をもって取り組もうとする若手医師の参画を喝望する所である。

1. Nakajima et al. Radiat Med. 2008; 26: 455-465
2. Nishie et al. Jpn J Radiol. 2015; 33: 266-272

 

追加資料(図1-4)

図1

 

図2

図1-2
厚生労働省は我が国における各診療科における専門医数の偏在を指摘している。米国では各々の学会が自主的に専門医の必要数を算出し,これに基づいて年間に育てる研修医数を決定している(すなわち人数制限を行っている)。必要な医師数は「年間に発生する患者予測値」と「医師1人が扱える患者数」から割り出される。

一方で我が国には人数制限はなく,どの診療科を選択するかは医学生の自己判断にゆだねられている。そうすると必然的に社会的注目度の高い診療科に人材が集まることとなる。従前は外科系に人気が集中したため,図のような分布になってしまった。一方で放射線科や麻酔科のように社会的認知度の低い診療科は人が集まりにくい傾向にある。上の資料は以下のURL で取得可能だ。
http://www.mhlw.go.jp/

 

図3

図4

図3-4
我が国は高額医療機器の設置台数が極端に多いことが知られている。例えば CT に関していえば世界中に存在する機器の約1/3が日本にあるとされる(OECD 調べ; 2013)。文献1より転載した図3における「Japan」が右下端に位置していることからもわかるように機械の数と比べると,それを管理する放射線科医の数が圧倒的に不足していることがうかがえる。このように医療機器の台数が諸外国と比べて極端に多いのは設置に伴う施設基準がないからとされる。例えば韓国ではMRI を病院に購入するに際しては常勤の放射線科医が在籍することが必要最低条件となっている。このような厳密なルールが我が国には,ないため医療機器は分散配置されており,近い将来には医療費高騰の一因となることが想定される。

図4には放射線治療における統計を掲載した(大西洋先生提供)。放射線治療を専らとする医師の不足も顕著であり国際比較を行なうと,リニアック1台あたりの人員数は右端のコラムにあるように諸外国と比べて最低ランクに位置する。今後の充実が望まれるところだ。

 

 
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