二次試験問題解答および注釈【診断・核医学】1.〜28.

1.誤りはb
実行線量限度
100mSv/5年 かつ 50mSv/年
女子  5mSv/3月(ただし,妊娠不能と診断されたもの,妊娠の意志のないことを使用者に届け出たもの及び妊娠中のものを除く)
妊娠中の女子(妊娠の事実を知ったときから出産までの内部被曝)1mSv
等価線量限度
水晶体 150mSv/年
皮膚  500mSv/年
妊娠中の女子腹部表面 2mSv

2.誤りはa
放射線安全管理責任者は,安全管理担当者に指示し,管理区域に立ち入る者及び放射性同位元素等又は放射線発生装置の取り扱い等業務に従事する者に対し,本規定の周知徹底を図るほか,放射線障害の発生を防止するために必要な教育及び訓練を実地しなければならない。
前項の規定による教育及び訓練は,次の各号の定めるところによる。
(1)管理区域に立ち入る者については,初めて管理区域に立ち入る前
(2)管理区域に立ち入らない者については,取り扱い業務に従事する前
(3)管理区域に立ち入った後及び取り扱い等業務の開始後にあたっては1年を越えない期間ごと
 教育及び訓練の項目は以下のとおり。
 放射線の人体に与える影響     
 放射性同位元素等又は放射線発生装置の安全取り扱い
 放射性同位元素等及び放射線発生装置による放射線障害の防止に関する法律
 放射性障害予防規定        

3.誤りはb,c,d (の3つになってしまいました。)
a. 正
医療法施行規則第30条の14(使用の場所等の制限)において定めるエックス線装置がX線診療室以外で使用できる場所のうち「特別の理由により移動して使用する」場所に,患者の居宅を含めることとした。その際は「在宅医療に於けるエックス線撮影装置の安全な使用に関する指針」を参考に,安全性に配慮して実施する。

b. 誤
使用の場所等の制限
エックス線装置を特別の理由によりエックス線診療室を除く放射線診療室において使用することについて
今回の改正により特別の理由により診療用高エネルギー放射線発生装置使用室,診療用放射線照射装置使用室,診療用放射線照射器具使用室もしくは診療用放射性同位元素使用室においてエックス線装置を使用することが認められたところであるが,特別な理由とはエックス線装置と組み合わせて,次に掲げる診療に用いる必要がある場合に限定される。
診療用高エネルギー放射線発生装置又は診療用放射線照射装置により放射線を対外照射すべき部位を決定するためにエックス線装置を使用する場合。
診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射装置を患者の体内に挿入すべき部位を決定するためにエックス線装置を使用する場合。
→従って患者さんの動きを監視するためには使用することはできません。(TVモニターで充分でしょう。)

c. 誤
今回の改正により核医学撮像装置とCT装置の同一室内での使用が可能となりました。しかし,設問b.の解説の中の特別な理由の(ウ)として診療用放射性同位元素を投与した患者の画像診断の精度を高めるため,CT装置によるエックス線撮影を核医学装置の吸収補正用として使用する場合。
とあります。
ということは画像の重ね合わせを目的としてCT装置をRI室に設置することはできないとの判断になります。(確かに画像の重ね合わせは別々の部屋でRI検査とCT検査を行っても可能であり,無理に同じ部屋に設置する必要はありません。)

d. 誤
移動型CTは手術室で使用可能となった。但し,その使用の際は一時的な管理区域を設け,医療法施行規則第30条の16に定める管理区域の基準を満たす必要がある。届け出は不要であるが管理区域の設定に係る記録を行う必要がある。
となっています。届け出の必要はありませんが,管理区域は一時的にでも設けないといけません。

e. 正
エックス線診療室の室内には,エックス線装置を操作する場所を設けないこと。ただし,医療法施行規則30条4項第3号に規定する箱状のしゃへい物を設けた特,または近接透視撮影を行うとき,もしくは乳房撮影を行うなどの場合であって,必要な防護物を設けたときはこの限りでない。

【参考資料】
医療法施行規則(最終改正平成13年3月13日)
医薬安発第69号 平成10年6月30日  在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について 厚生省医薬安全局安全対策課長 
医薬安第26号平成12年2月10日。移動型CT装置の取り扱いについて 厚生省医薬安全局安全対策課
医薬発第188号 平成13年3月12日 医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について  厚生労働省医薬局長

4.誤りはa及びc
健康診断は放射線業務従事者(一時的に立ち入る者を除く)について,初めて管理区域に立ち入る前,及び管理区域に立ち入った後は1年を越えない期間ごとに行う。
項目
a.問診
b. 検査または検診
(1)末血のHbまたはHt,RBC,WBC及び分類
(2)皮膚
(3)眼
(4)その他文部科学大臣が定める部位及び項目
(1)〜(3)は医師が必要と認める場合のみ。
初めて管理区域に立ち入る前の健康診断では(1),(2)は必ず行う。

設問eに関しては
医療領域の放射線管理マニュアル
日本保健物理学会医療放射線防護研究専門委員会 編集
医療放射線防護連絡協議会 発行
P58に
放射線診療施設では,医療法規則と共に電離則,あるいは放射線障害防止法,人事院規則等により放射線業務に関連する健康診断を義務づけられているので,これらの規則に則り健康診断を実地しなければならない。また,それぞれの法令によって,多少異なる事項がある場合は,そのうち厳しい法令に対応した方法で実地する必要がある。
と記載されています。

5.誤りはd
組織荷重係数
実効線量を計算するときに各組織・臓器の等価線量に掛ける係数。組織荷重係数(WT)は,放射線被ばくによる各組織・臓器の確率的影響の損害(デトリメント)の総合的な評価に基づき,身体の全損害に対するその組織・臓器の損害割合として算定された値である。
ICRPの1990年勧告で示された組織荷重係数
生殖腺  0.20
赤色髄  0.12
結腸   0.12
肺    0.12
胃    0.12
膀胱  0.12
乳房  0.05
肝臓  0.05
食道  0.05
甲状腺  0.05
皮膚   0.01
骨表面  0.01
他    0.01

ちなみに1977年勧告の組織荷重計数は
生殖腺 0.25
赤色髄 0.12
肺   0.12
乳房  0.15
甲状腺 0.03
骨表面 0.03
他   0.3
でした。

(以上1〜5は松江赤十字病院・森岡伸夫会員)

6.解答 e
発症当日の頭部単純CT(図B)では左前頭葉深部白質に小さな高吸収域が認められ,出血が疑われる。翌日の造影CT(図D)ではその高吸収域は増大し,周囲の浮腫も増強している。また,その後方にも点状の高吸収域が認められる。高吸収域の周囲,または内部にenhanceされる部分があるかどうかは不明だが,図Cでは上矢状洞後半部には血栓による造影欠損(empty delta sign)が認められ,静脈洞血栓症に伴った出血と考えられる。

7.解答 e
大脳半球前部では半球間裂,脳梁は認められず,両側視床は癒合している。前頭葉灰白質の左右の連続性が明瞭に描出されており,脳室は単脳室を示している。大脳半球後部では部分的に半球間裂は形成され,脳梁後部も形成されている。全前脳胞症(holoprosencephaly)には左右大脳半球の分離が全く見られない alobar type, 設問の症例のように大脳半球後部では分離が認められるsemilobar type,前頭葉で一部分離不全があるlobar typeの3型がある。

8.解答 d
T2強調像(図A)では基底核の高信号が認められ,拡散強調像(図B)ではT2強調像の異常所見に加えて,視床や島皮質の高信号も認められる。病歴からは医原性Creutzfeldet-Jacob病(CJD)の原因となったヒト乾燥硬膜移植が行われたかどうかはわからない。両側基底核に対称性に異常が見られる疾患の鑑別であるが,急速に進行する痴呆からはCJDが最も疑われる。CJDの病初期に病変部が拡散強調像で高信号を呈するのはよく知られてきた所見であり,組織学的には海綿状変性に見られる空胞が水分子の拡散低下に関与していると考えられている。病期が進行するとともに神経細胞脱落やgliosis が生じ,拡散強調像における高信号は消失してくる(JCAT 25:274-277, 2001)。

9.解答 a, e
CTでは側脳室壁から脳室内に突出する石灰化がいくつか認められ,結節性硬化症(tuberous sclerosis)における上衣下結節(subependymal nodule)の石灰化と考えられる。本症は,多臓器に多発する過誤腫性病変であり,脳では他に皮質下病変(cortical tuber),上衣下巨細胞星細胞腫(subependymal giant cell astrocytoma)および白質病変(radial bands sign)がある。全身的には皮膚の血管線維腫,爪下線維腫,骨の多発性硬化像,肺リンパ管筋腫(lymphangiomyomatosis),心臓の横紋筋腫,腎血管筋脂肪腫などを伴う。

(以上6〜9は長崎大学医学部・森川 実会員)

10.
診断所見:
頭蓋内に腫瘤が多発している。両側内耳道内から小脳橋角部にかけての腫瘤と,それ以外(両側小脳半球外側部,側頭葉,左円蓋部,大脳半球間裂,頚髄レベルの脊柱管内-両側椎間孔)の硬膜に広く接する腫瘤がみられる。いずれも境界明瞭,辺縁平滑な extra-axial tumor である。右小脳橋角部病変は内部信号強度がやや不均一であるが,その他の腫瘤は内部信号強度がほぼ均一で,著明な濃染を示している。硬膜に接する病変には dural tail sign も認められる。
診断プロセス:腫瘤の局在,進展形態より,聴神経鞘腫と髄膜腫と考えられる。
Neurofibromatosis type 2 である。視神経,三叉神経に腫瘤は認められない。脳室内腫瘍はみられず,頚髄レベルの腫瘍も上衣腫の特徴は示していない。
解答:a, b
鑑別診断の必要性等: とくに他の鑑別診断は必要なし。
その他,意見:

11.
診断所見:
左小脳橋角部に境界明瞭,辺縁平滑な腫瘤あり。T2強調画像では側頭葉灰白質とほぼ等信号を示している。造影後T1強調冠状断像では腫瘤が均一に濃染し,側頭葉側の硬膜に広く接しており,dural tail sign を示している。直下に見える聴神経とは離れている。
診断プロセス:均一に濃染する extra-axial tumor で硬膜に広く接しており,dural tail sign を有していることより,髄膜腫と診断できる。
解答:d
鑑別診断の必要性等: とくに他の鑑別診断は必要なし。
その他,意見:

12.
診断所見:
右前頭葉に嚢胞性病変あり。単純 CT では背側部に石灰化を認める。造影T1強調像では嚢胞性病変の背側部に不均一な濃染領域を認める。
診断プロセス:小児の前頭葉に存在する嚢胞性腫瘤で,石灰化を伴う可能性のあるものを考えると,毛様細胞性星細胞腫と神経節膠腫が考えられる。神経節膠腫の CT, MRI 所見は非特異的で,比較的嚢胞成分の小さなものから嚢胞病変の中に壁在結節を伴うものまでバラエティーがあるとされている。このため,第1選択とはしがたい。一方,毛様細胞性星細胞腫の画像所見は内部不均一な壁在結節を伴う嚢胞病変が典型例であり,この症例では毛様細胞性星細胞腫がまず疑われる。
解答:c
鑑別診断の必要性等: 悪性リンパ腫もまれに,嚢胞成分や石灰化を有することがあるが,頻度は低いと思われる。結節性硬化症でみられる過誤腫や巨細胞星細胞腫,トキソプラズマ感染症では嚢胞性病変は稀と思われる。
その他,意見:毛様細胞性星細胞腫の好発部位は小脳で,前頭葉に発生する頻度は低く,その点で迷った人がいるかも。ちなみに神経節膠腫の好発部位はテント上領域とくに側頭葉とされている。

13.
診断所見:
上腕筋層内に境界明瞭,辺縁平滑な腫瘤あり。周囲組織への浸潤傾向はみられない。T1強調画像では筋とほぼ等信号,T2強調画像では内部がやや不均一な高信号を示し,造影後T1強調画像では中心部が濃染し,辺縁部が濃染していない。脂肪成分は腫瘤内に指摘しがたい。T1強調画像で腫瘤の周囲にみられる高信号領域はその連続性より筋間脂肪織と思われる。
診断プロセス:ターゲット状に並ぶ2つの成分からなる良性軟部組織腫瘍が考えられる。
腫瘤内部は実質性の Antoni A, 腫瘤辺縁部は粘液変性を伴う Antoni B からなるシュワン細胞腫(神経鞘腫)が考えられる。
解答:c
鑑別診断の必要性等:とくに他の鑑別診断は必要なし。
その他,意見:

(以上10〜13は佐賀医科大学・澤田章宏会員)

14.
1)所見:
骨盤正面単純X線写真で,右上前腸骨棘の外側に円弧状の硬化像がある。
2)診断プロセス
@15歳男,A短距離走後の右股関節上側方の疼痛,この病歴より,臨床的に考えられるのは骨盤の裂離(剥離)骨折である。本症例のX線所見は剥離した骨片をみているものと解釈するのが妥当で,臨床経過と合わせ,上前腸骨棘の裂離骨折と診断することができる。
骨盤には筋肉の付着部位となる二次骨化中心がいくつかあり,骨癒合が完成する前にスポーツ等による外力で裂離(剥離)骨折がおきやすい。
主な部位と関連する筋肉をまとめると次のようになる。
部位 上前腸骨棘 下前腸骨棘 坐骨結節 腸骨稜
付着筋 縫工筋 大腿直筋 hamstring
大内転筋
大・中殿筋
腹壁の筋群
二次骨化の出現 13-15歳 13-15歳 14-16歳 13-15歳
骨癒合の完成 25歳 16-18歳 18-25歳 25歳
代表的なスポーツ ランニング
フットボール
ランニング
サッカー
ホッケー
ハードル走
ジャンプ
チアガール
ランニング
フットボール

これらのうち,臨床的に最も頻度が高いのは上前腸骨棘の裂離骨折である。
3)解答 b
4)鑑別診断

裂離骨折に化骨形成が加わった場合には,化骨性筋炎との鑑別が問題になるが,この症例の場合には,円弧状の骨片がみられるだけなので,これは否定的である。性状の二次骨化点にしては,部位が外側に変位しているので,これも考えにくい。
5)コメント
教科書的な典型例の出題で,妥当な問題と思われる。ただし,bかcか迷った受験者が多いのではないだろうか。

15.
1)所見:
骨盤正面単純X線写真が示されている。印刷された画像なので不鮮明であるが,左半側に境界不明瞭な骨硬化像がみられ,坐骨には逆に浸透状の透亮像がみられる。左腸骨および恥骨は対側に比べてやや大きい印象を受ける。骨膜反応はない。右半側は正常と思われる。
2)診断プロセス
一見してまず想起されるものは転移性骨腫瘍である。硬化性変化が主体で一部に溶骨性変化を伴っているように見える。41歳の女性なので,原発巣としてまず疑われるのは乳癌であり,次いで肺癌,胃癌ということになろう。鑑別診断としては,悪性リンパ腫が挙げられよう。しかし,悪性リンパ腫においては,浸透状または虫喰い状の骨破壊像が主体であり,これに種々の程度の硬化像を伴うのが一般的であり,本症例とは逆である。
そこで,本症例は,骨盤の左半側に広範に病変がみられるのに右側は正常であること,罹患骨の腫大があることにも着目してみると,Paget病で骨形成の強い時期と考えるのが妥当である。
3)解答 b
4)鑑別診断

選択肢にある疾患のうち,骨サルコイドーシスは,主に手・足の指に境界明瞭な溶骨性病変を形成する。稀に,脊椎に硬化性病変がみられることがある。骨盤病変は通常みられな
い。多発性骨髄腫では,境界明瞭な溶骨性病変とびまん性骨粗鬆症がみられるのが典型的であり,本例のような骨硬化を主体とする病変は,POEMS症候群に合併して例外的に見られるのみである。
従って,この2者は明らかに除外してよい。
選択肢eの記載がもし単に“転移性骨腫瘍”であれば,まずそれを考えてよいだろう。
しかし,“消化管悪性腫瘍からの”という修飾語があるのが問題で,既に述べたように,乳癌や肺癌をさしおいて消化管のみに的を絞るわけにはいかない。
悪性リンパ腫も当然鑑別に挙がるが,既述のように,通常は溶骨性変化が主体であり,これに骨膜反応を伴わない骨外性の病変を伴うのが典型的である。この症例では,骨外へ大きな病変を作っているかどうかはCTまたはMRIがないと判断できない。Hodgkin's diseaseの場合には,硬化像が主体になることが多いが,その好発部位は脊椎であり,いわゆるivory vertebraを呈する。
Paget病の進行期は,lytic, mixed, scleroticの3期に大別されるが,所見がオーバーラップすることも多い。骨盤は,頭蓋骨や脊椎と並んで好発部位のひとつであり,特に,iliopubic lineにそって病変がみられるのが特徴的である。広範ではあるものの片側性にみられることも特徴のひとつであり,これが転移性骨腫瘍との鑑別点とされている。さらに,進行するに従い罹患骨が腫大してくるのも大きな特徴である。
5)コメント
この問題は難問である。印刷された写真がいまひとつ見にくいこともあって,bかdか e か,とても迷った人が多いのではないだろうか。私も迷った。おそらくオリジナルのフィルムをみればそれほど迷わないのであろうが。
Paget病は,最近漸増しているとはいえ,日本では稀な疾患である。私もカンファレンスでしかお目にかかったことがない。日常臨床でこのような所見をみたら,まず転移性骨腫瘍を考えるのが普通であろう。そこで,臨床所見や検査所見を加味して,例えばアルカリフォスファターゼが高値を示しているけれどもCEAは正常で,痛みもほとんどない,ということになれば,“Metaにしてはちょっと変だな”ということになって,Paget病が鑑別に挙がると思うのだが………。
少なくとも,aとcだけは選ばないで欲しい。

16.
1)所見

左大腿骨の単純X線写真が示されている。骨幹に沿って,骨の周囲に線状ないし層状の石灰化ないし骨化巣がある。骨自体には異常所見はない。
2)診断プロセス
骨外の病変であり,病巣は筋に沿って長軸方向に進展した形態をとっている。この病変と骨皮質の間には一層の透亮像があり,これは,病変が骨と連続していないことを示唆する。
X線写真でみられる石灰化ないし骨化巣は,病巣の中心部よりも辺縁に強い。これはzone phenomenonと称され,化骨性筋炎Myositis ossificansに特徴的な所見である。
3)解答 c
4)鑑別診断

選択肢にある疾患のうち,骨軟骨腫とEwing肉腫のX線像は明らかに本症例とは異なり
(詳細は成書を参照されたい),この2つはまず除外される。
傍骨性骨肉腫parosteal osteosarcomaや骨膜性骨肉腫periosteal osteosarcomaとの鑑別が問題になる。
傍骨性骨肉腫は,骨肉腫の稀な亜型で,好発部位は大腿骨遠位骨幹端である。骨化腫瘤が骨の外に存在するが,化骨性筋炎との相違は,1)病巣の中心に骨化が強いこと,2)病変が茎を持って骨皮質と連続すること,である。
骨膜性骨肉腫は,極めて稀な骨肉腫の亜型で,骨皮質に沿って骨化した病変を形成し,骨膜反応を伴う。従って,化骨性筋炎とは異なる像を呈する。
Tumoral calcinosisは,股・肘・肩等の大関節周囲に広範な石灰化をきたす本体不明の疾患で,若年男子に好発する。その石灰化巣は,円形ないし楕円形のものが融合した形態を呈することが多く,本症例のものとはパターンが異なる。
5)コメント
この問題は比較的容易に正解できると思われる。
ただし,典型的には,もう少し限局した丸い形を呈することが多いと思う。
Tumoral calcinosisがどんなX線像を呈するのか知らない受験者の中には,aかcかで迷った人もいるかもしれない。ちなみに私自身もこの疾患はResnickの教科書に載っているもの以外見たことがない。
なお,万一bあるいはeと答えた人は,一次試験から再受験!といわれてもしょうがない。

17.
1)所見

上腕骨の単純X線写真が示されている。遠位骨幹に境界不鮮明な虫食い状ないし浸透状の透亮像がある。骨皮質は破壊され,層状の骨膜反応を伴っている。
2)診断プロセス
@若年者,A疼痛と腫脹,B骨幹を浸透状ないし虫食い状に侵す病変,C骨膜反応,これらの所見より考えるべきものは,1)small round cell tumorすなわちEwing tumor, malignant lymphomaなど,2)骨髄炎,および3)好酸球性肉芽腫eosinophilic granulomaである。
3)解答 a
4)鑑別診断

選択肢にある疾患のうち,線維性骨異形成は,四肢では大腿あるいは脛骨に好発し,変形を伴うスリガラス状の異常陰影を呈する。骨膜反応は通常みられない。また,腫脹や疼痛も伴わない。骨巨細胞腫は骨幹端から骨端に向かって膨隆する地図状の溶骨性病変(いわゆるsoup bubble appearance)を呈する。骨髄腫の所見は問題15で述べたような溶骨性病変が主体であるし,好発年齢も高齢者であり,10代の若者に発生することはまずない。骨肉腫の好発部位は骨幹端であり,骨破壊,骨膜反応(spicula, sunburstあるいはCodman三角とよばれるパターンが特徴的),および骨外性腫瘤形成をきたす。したがって,これら4つの選択肢は,本症例で認められるものとは全く異なるX線所見を呈するので,容易に除外することができる。
5)コメント
この問題も易しい。必ず正解して欲しい問題である。
ただし,実際の臨床では,既述のようにEwing tumorや骨髄炎との鑑別に最後の最後まで悩むことになるだろう。カンファレンスによく出てくる類の典型例である。
なお,好酸球性肉芽腫という名称ではなくランゲルハンス型組織球症Langerhans cell histiocytosisという名称を用いて記載したほうがよい。

(以上14〜17は沼津市立病院・藤本 肇会員)

18.
1) 診断所見

左耳下腺下極にT2WIで,高信号と低信号が混在する嚢胞性腫瘤を認める。境界は鮮明である。内部の信号は,不均一で多彩であるが,高度高信号域はない。Gd造影後T1WI
では,腫瘤辺縁部と隔壁部が増強されている。
2) 診断プロセス
75 歳,男性,徐々に増大する耳下腺下極の無痛性腫瘤である。嚢胞性であり,T2WIでの信号が低〜高信号と多彩,Gd増強効果が乏しいなどの知見から,Warthin 腫瘍が考えられる。
3) 解答
Warthin腫瘍(嚢胞腺リンパ腫,リンパ腫様腺腫,リンパ腫様乳頭状嚢胞腺腫)
4)疾患の知識

1. 50歳以降の男性に好発し,耳下腺下極に生じる。10〜15% の頻度で,両側性や多発性のことがある。
2. リンパ組織と上皮組織の嚢胞状構造からなり,薄い被膜を持つ。腫瘍内には,隔壁や出血がみられ,高蛋白の沈澱物,リンパ濾胞,反応性リンパ球,コレステロール結晶などが内在するため,MRI では不均一で多彩な信号強度を示す。
3. 99m-Tc pertechnetateによる唾液腺シンチグラフィーで集積増強を認める。
4. 石灰化は無く,Gd増強効果に乏しい。

19.
1) 診断所見

上顎洞レベルの単純CT骨条件表示画像である。左中鼻道,自然孔,上顎洞を充満する軟部組織腫瘤を認める。篩骨蜂巣や対側上顎洞には軟部組織陰影は認めない。上顎洞下壁は薄くなっているも断裂や骨破壊像はない。上顎洞内側壁は消失し,自然孔から中鼻道に高濃度の石灰化所見が認められる。上顎洞外側壁や上壁は対側に比べて,肥厚し骨硬化像が見られる。
2) 診断プロセス
中鼻道,自然孔,上顎洞を占拠する腫瘤性病変である。自然孔近くに認められる不定形の石灰化に注目する必要がある。残存した内側壁と判定した場合,上顎洞癌や乳頭腫の可能性も残る。しかし,上壁や外側壁の骨硬化像は慢性炎症を示唆しており,異常石灰化と判断すべきであろう。このよな,不定形の石灰化を示す病態として真菌性副鼻腔炎が知られている。
3) 診断 真菌性副鼻腔炎
4) 疾患の知識

1. 上顎洞,篩骨洞が好発部位。
2. 糖尿病,担癌患者,ステロイド使用,免疫不全症候群などでおこりやすい。
3. CTでは石灰化や限局性高濃度領域がみられる。菌塊内で鉄やマンガンの凝集が起こるためである。
4. T1WIやT2WIでは,低信号域を示すのが特徴である。

20.
1) 診断所見

単純CTで,舌根部(舌盲孔) に高吸収を示す境界鮮明な,円形の腫瘤性病変を認める。
濃度は椎体の吸収値に近い。含気腔は圧排され変形している。
2) 診断プロセス
若い女性で,嚥下困難,気道閉塞,異物感などの症状でCT検査を受け,舌盲孔部に高吸収域(ヨード集積) の腫瘤が認められた場合,異所性甲状腺(舌甲状腺) を考える。
3) 診断 舌甲状腺。
123-I シンチグラフィーや99m-Tc pertechnetateシンチグラフィーで,甲状腺組織の存在部位やその機能を評価することが重要である。
4) 疾患の知識
1. 舌甲状腺の発生率は,10万人に1 人。女性が4 倍。
2. 青年期になると,TSH が上昇し,甲状腺組織が肥大して症状を呈する。
3. 異所性甲状腺組織が発生する部位として,他に心周囲,気管,内頸静脈外側がある。

(以上18〜20は淀川キリスト教病院・幸 茂男会員)

21.  
診断所見

心拡大はなく,胸水,肺水腫はみられない。肺野に異常はない。肺門の位置も問題ない。
肺血管影は正常かわずかな減弱も疑われる。左側の大動脈弓が同定できないが,右側にも大動脈弓は指摘できない。左第1弓は直接的またはわずかに突出している様である。
診断プロセス
心拡大や心形態の異常がなく,左側大動脈弓が同定できない,などが診断のプロセスとなる。
a.○:右側大動脈弓が同定不良だが可能性あり。
b.○:特徴は2つ,大動脈が肺動脈の前方の左側に位置し,心室が弁とともに左右入れかわる。合併する中隔欠損の有無で心形態は異なるが,大動脈弓が同定できず,左第一弓が直接的またはやや突出する上行大動脈で形作られる(double convexity)。
c.×:右房を中心とする著明な心拡大がみられ,"a square or box-like shape with a narrow vascular pedicle and a small aortic arch"と言われる。
d.×:左心室の拡大と大動脈弓の軽度拡大がみられる。
e.×:左房拡大が特徴的
解答 a.b

22.  
診断所見

胸部単純X線写真正面及像面像において心左縁で心尖部中心に心膜の石灰化がみられる。
心拡大,胸水,肺水腫はみられない。心腔内,胸膜,冠動脈壁の石灰化はない。
診断プロセス
心膜の石灰化を来たす疾患の鑑別となる。
a.×:胸水,膜腔の肥厚・石灰化なし
b.×:心エコー,CT,MRI等示されていないので,完全に否定はできないが,心腔内の石灰化,心不全所見なく,積極的には診断できない。
c.×:特に心室瘤の所見なし
d.○:心膜の石灰化を示す疾患としては収縮性心膜炎の頻度が高い。突発性,結核性などいずれの原因でも石灰化を伴いやすい。
e.×:冠動脈壁の石灰化は認められない。
解答 d

23.
診断所見

心臓の単純CT(1スライスのみ)では心拡大はなく,胸水もみられない。左心室壁と心室中隔,及び石心室壁の菲薄化がみられる。
診断プロセス
不整脈,心室壁の菲薄化などから,心筋症,特に拡大型心筋症(DCM)などを疑うべきであろう。
心筋症の定義としては“心機能障害を伴う心筋疾患”とされ,原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾患は特定心筋症とされる。
心筋生検による病理組織学的検討により種々の心筋疾患や肥大型心筋症(HCM)の終末像とも考えられている。
a.○:心筋生検で心筋炎の可能性が指摘されたときには有用とある。
b.×:甲状腺ホルモンの測定は必要である。
c.○:HCM同様,DCMでも遺伝性因子,特にMHC(myosin heavy chain)の関与する免疫系の関連が示されている。
d.○:ウィルスの関連,その他の原因疾患解明のためにも必須である。
e.○:DCMで良くみられる僧帽弁疾患(特に逆流)の評価に役立つこともあり得る。
解答 d.の心筋生検は必要だが,もう1つとなるとCの家族歴か?
その他
やや不適当問題に近い様です。

24.
診断所見

上腹部の造影CT,肝門部付近のレベルでは腹部大動脈壁の著明な肥厚がみられ,造影効果がある。上腸管膜動脈(SMA)も壁の一部が肥厚している。右腎は左腎に比較し造影効果がやや不良で,特に脊側部分の造影が低下している。
診断プロセス
腹部大動脈壁の全周性の肥厚と造影効果,SMAの壁の一部の肥厚がみられ,右腎の造影効果の低下が診断のプロセスとなる。
a.×:中,小,細小動脈を冒かし,微小動脈瘤を合併するが,腹部大動脈壁の全周性肥厚は示さない。
b.×:血管病変としては大動脈起始部の拡張や大動脈解離(ときに解離性大動脈瘤)がしられる。
c.○:初期の所見として大動脈壁の肥厚と造影効果が知られている。また右腎の造影効果の低下は腎性高血圧症を示唆する。若年女性,不明熱も臨床的に一致する。
d.×:動脈瘤がない。動脈周囲や後腹膜の線維症がみられない。年齢が若年すぎるが,高血圧,不明熱は臨床的には一致する。
e.×: Behcet病の血管病変は血管炎が基本で,動脈瘤,静脈血栓症,肺動脈塞栓症,肺動脈瘤(Hughes−Stovin症候群)などが知られる。
解答 c

(以上21〜24は昭和大学横浜市北部病院・櫛橋民生会員)

25.
1)診断所見

心陰影において,右弓と左。弓の突出が認められ,右弓の突出は心縁のdouble contourを伴っているようである。また,両肺門陰影の腫大も疑われる。
2)診断プロセス
当然,順序通りに読影していくわけであるが,心縁の突出があり肺野その他には大きな異常が認められないのは一目瞭然である。右弓と左。弓の突出を認めるが目立つのは左。弓の突出であり,右弓にはdouble contourを伴っていることから左房の拡大の所見であることが理解される。また,肺門陰影の腫大は,左房圧亢進の結果生じた肺動脈起始部の膨隆と考えられる。左房拡大をきたす心疾患で中年女性であるということを考慮すると,おのずと解答は僧帽弁狭窄症となる。
3)解答 e.僧帽弁狭窄症
4)鑑別診断の必要性等

鑑別に挙がるのは左房拡大をきたす心疾患であるが,左房粘液腫と僧帽弁閉鎖不全とも選択肢になく,VSDやPDAは52歳という年齢から否定される。選択肢中のその他の後天性心疾患である連合弁膜症は両室拡大によるbox型心陰影を呈すること,aのASDは右房・右室の拡大があり左房拡大はみられないことより各々否定される。
5)その他,意見等
アナログ画像のため難しいとは思いますが,縦隔がもう少し読みやすいとよいのですが。

26.
1)診断所見

大動脈内の三日月状部は単純CTで高濃度を呈し,血栓閉鎖型大動脈解離と診断できる。
2)診断プロセス
CT画像は,単純,造影ともに大動脈内の三日月状部が明らかで,容易に大動脈解離と診断可能である。重要なのは,三日月状部が単純CTで高濃度を呈している(high density crescent)ことであり,偽腔内の新鮮血腫に相当する。すなわち,おのずと解答はeとなる。
3)解答 e.解離腔閉塞型(血栓閉鎖型)大動脈解離
4)鑑別診断の必要性等

cの解離腔開存型大動脈解離は真腔と偽腔の濃度が異なることから否定され,dの大動脈瘤破裂は造影剤の漏出像がみられないことより否定される。bの高安動脈炎は大動脈壁の肥厚をきたすが,問題のcrescentの像とは異なる。aの炎症性大動脈瘤とするには,造影CTでの炎症所見が乏しい。
5)その他,意見等
比較的容易でしょうか?

27.
1)診断所見

胸部X-pでは両側上中肺野に多発する浸潤影が認められ,CTではいわゆるBOOP/EPパターンを呈している。不整に拡張した気管支像や末梢域に分枝状構造が認められることから活動性肺結核症が考えられる。
2)診断プロセス
胸部X-pでは両側上中肺野に多発する浸潤影を認める。CTでは左肺上葉およびS6に多発する大小の浸潤影が認められ,いわゆるBOOP/EPパターンを呈している。注目すべき点は,@S1+2cの比較的大きいair space consolidationでも内部にair bronchogramが少ない,A不整に拡張した気管支像を伴うこと,B胸膜直下〜末梢域に分枝状構造が認められること,である。特にBの所見はtree in bud appearanceと呼ばれ,必ずしも特異的ではないが,細気管支レベルでの気管支内充填像や気管支壁肥厚を反映しており,活動性肺結核症によくみられる所見である。
3)解答 d.肺結核症
4)鑑別診断の必要性等

選択肢の中で結核症以外にBOOP/EPパターンを呈しやすい感染症は,aのマイコプラズマ肺炎とeのレジオネラ肺炎と思われる。しかし,マイコプズマ肺炎はair space
consolidationが均等あるいはすりガラス様であること,レジオネラ肺炎はair space consolidationが区域性の均等影であることなどが鑑別点となる。
5)その他,意見等
少々難しいかもわかりません。

28.
1)診断所見

境界明瞭な浸潤影で,気管支透亮像を伴い,一ヵ月後には上〜中肺野にも陰影が出現している。BOOPと考えられる。
2)診断プロセス
咳,発熱を伴い,一ヵ月後の単純写真で,上〜中肺野にも陰影が出現しており患側肺の容積減少を呈している。これは,経気道性に散布されたことを現わす。しかし,最も注目すべきは,浸潤影の内部に中枢性の気管支透亮像を伴う点であり,これは,末梢優位の肺胞性胞隔炎を主体としていることの現われである。
3)解答 c.BOOP
4)鑑別診断の必要性等

aの過敏性肺臓炎は,小葉中心性の淡い粒状陰影あるいはすりガラス陰影で,細気管支パターンの陰影を呈する。bの肺結核症は,前問で述べた如くBOOP/EPパターンを呈し,cのBOOPも同様である。dのNSIPは牽引性気管支拡張を伴う多小葉性の陰影で,間質性肺炎パターンを呈する。eのインフルエンザ肺炎は,境界不鮮明な浸潤影が両側肺野に認められる。この選択肢の中で本例に相当するものは,bもしくはcと考えられるが,air space consolidation内部にair bronchogramが明らかである点と陰影の境界が明瞭である点が鑑別点となる。その多に鑑別すべき疾患としては,前問のマイコプラズマ肺炎とレジオネラ肺炎が挙がるでしょう。
5)その他,意見等
これも少々難問でしょうか。

(以上25〜28は鳥取県立中央病院・中村一彦会員)