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29.
診断所見:
単純写真において,斑状の不均等陰影が両側肺末梢の辺縁部にみられる。これらの陰影は,上中野に優位な分布がみられる。
CTでは,肺血管束の走行や胸膜面に直交する帯状の濃厚陰影がみられる。これらの陰影の周囲には,スリガラス様の濃度上昇もみられ,辺縁の胸膜に接して,非区域性に分布している。
診断:慢性好酸球性肺炎 chronc eosiophilic pneumonia (CEP)
解答:d
解説:
慢性好酸球性肺炎は亜急性の経過で発熱,咳嗽,呼吸困難などの症状がみられるが,症状は比較的軽度で無症状の場合もある。気管支喘息の既往のある症例がよく見られる。
末梢血の好酸球の増加や血清IgEの上昇を伴う場合が多いが,陰性の場合もある。
気管支肺胞洗浄液中にも好酸球の増加が見られる。
ステロイドに対する反応は良好であるが,減量中や投与中止後に再燃することもある。
単純写真では,肺野外側辺縁部に優位に分布する独特の浸潤影をみとめる。CEPの病変の主座は肺胞内であり,病変の強弱によって含気の程度が変化し,肺野に均等影,すりガラス状影などの濃度上昇域を生じる。
典型像として,肺水腫のバタフライパターンとは逆の濃度上昇,すなわち外側辺縁部に浸潤影が分布し,逆に肺門部がスペアされるphotographic
negative of pulmonary edema が知られている。
鑑別上問題となるBOOPが下肺野に優位な分布を呈するのに対し,上中野に優位な分布をとることも特徴の一つ。また,BOOPと同様に陰影が遊走する場合が約半数に見られる。
CTにおいても,両側肺に非区域性に広がる濃厚陰影やスリガラス状陰影が,上中野胸膜下の外側部に優位に分布する。胸膜や肺血管束と直行または平行するように分布する帯状影や索状影がみられることも特徴的。
30.
診断所見:
単純写真では,一見正常にみえるが,よく見るとびまん性にごく淡いスリガラス様の濃度上昇があるようである。CTでは,びまん性に肺濃度上昇がみられる。濃度上昇の程度は不均等で,多小葉単位で濃淡に差がみられる。
診断:(夏型)過敏性肺臓炎 hypersensitivity pnemonitis
解答:d
解説:
過敏性肺臓炎は真菌胞子などの有機粉塵の吸入により,経気道的に感作されて生じるびまん性賑芽腫性間質性肺炎である。我が国では夏型過敏性肺臓炎が多く,6〜8月によくみられる。臨床的には,急性,亜急性,慢性の3つの型をとる。
急性の場合は,抗原曝露から数時間後に胸痛,発熱,咳嗽,呼吸困難で発症する。亜急性や慢性の症例では,急性のような強い症状は見られず,乾性咳,息切れ,易疲労感などを呈する。
病理学的には,細気管支炎,細気管支周囲炎と胞隔炎が主病変で,小葉中心部に主たる病変が見られる。
病初期の胸部単純写真は,一見,正常と見える場合も多く,ごく軽度のスリガラス状陰影がおもに下肺野優位に認められる。
CTでは,びまん性に肺濃度上昇がみられるものの,肺野の血管・気管支陰影は明瞭に保たれる。主なCT所見は,小葉中心性粒状影(小葉中心性の病変分布),スリガラス様陰影(胞隔炎を反映),斑状の高度の肺野濃度上昇域(細胞浸潤による肺胞腔充填や閉塞性細気管支炎)で,これらの組み合わせで構成される。
今回出題された症例ような肺野の濃度上昇パターンは,汎小葉性胞隔炎に対応する変化と考えられる。このようなびまん性の肺野濃度上昇域の内部に,病変の強弱程度の差から,多小葉単位で境される比較的正常に近い肺濃度の領域が認められるのも特徴的所見である。
31.
診断所見:
CTでは,大小の薄壁の肺嚢胞がびまん性に無数に認められる。
診断:びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症( pulmonary lymphangiomyomatosis ; LAM )
解答:c
解説:
本症に代表的な臨床症状は,進行性の呼吸困難,繰り返す気胸,乳糜胸で,妊娠可能な年齢の女性に発症する稀な進行性の疾患である。
病理所見は胸膜,肺胞壁,細気管支壁,血管やリンパ管に,過誤腫性に増生する平滑筋で,細気管支壁で増生すると同部の狭窄をきたし,air
trappingにより末梢の気腔が嚢胞状に拡張する。また平滑筋増生により静脈が閉塞すると,血管破綻をきたして尾小な肺出血やヘモジデローシスを生じ,血痰の原因となる。このため,CTでは肺野濃度は軽度上昇することが多い。同様にのリンパの鬱滞から,乳麋の原因になる。
病初期の胸部単純写真では異常を示さないこともあるが,進行してくると肺過膨脹となり,網状影が見られる。CTにおいては肺野両側全葉にわたって多発する大小不同の気腫性嚢胞を認める。通常は数mm〜1,
2cm大程度の小嚢胞で,壁は薄く,病初期では周囲には健常肺組織がみられる。嚢胞壁に部分的に血管が接したり,平滑筋の増生は見られても,線維化は伴わない。(進行すると間質の線維化が進み蜂窩肺状になるが,肺線維症と異なり,肺全体はむしろ過膨張となる。)
鑑別で問題となる好酸球性賑芽腫症は,典型例は喫煙習慣のある20〜40歳の男女に発症し,上肺野優位の分布,粒状結節影,比較的壁の厚い嚢胞像や小葉間隔壁の不整な肥厚が目立つのに対し,LAMでは壁が薄いこと,周囲の肺野濃度の上昇がみられ,粒状影がないことや,相対的に下肺野にも病変が多く分布する点で鑑別される。また,小葉中心性肺気腫との鑑別は,LAMは病変が広範な割に肺血管影の狭小化が目立たない点で異なる。諸家の報告により,腎血管筋脂肪腫との合併や,結節性硬化症との関連性が議論されている。
32.
診断所見:
右上部尿管の拡張は,逆S字状に屈曲・蛇行し,腰椎と重なる付近で,突然途絶(狭窄)して,それより末梢の尿管の描出は不明瞭である。
診断:下大静脈後尿管
解答:d
a. 尿管結石は通常20〜30歳代の成人男性に多く見られる。
b. 後腹膜線維症は,後腹膜腔に慢性炎症性の線維組織の増殖がおこり,下腹部の大血管や尿管を巻き込んでいく疾患である。下部腰椎レベル(L4〜S1)において,尿管の内側偏位が見られ,辺縁不整な狭窄を伴う。このため同部より近位の尿管は拡張する。75%は両側性で,尿管最下端には起こらない。
c. 巨大尿管は下部尿管の蠕動運動障害による非閉塞性の尿管拡張であり,男性に多い。
尿管膀胯移行部の直上に,なめらかな対称性の狭窄がみられる。
d. 下大静脈後尿管は,下大静脈の発生異常により(右後主静脈の遺残)右尿管が下大静脈の背部を内側に通過する奇形である。このため右側のみに生じる。右尿管が下大静脈と交叉する部位が高度に狭窄するため上部は拡張し,下部尿管は内側に位置する。
静脈性尿路造影では右尿管は逆S字型の蛇行し,著しく拡張する。
e. 重複腎盂尿管は尿路系奇形の中でも最も頻度が高く,約3%にみられる。尿管口まで尿管が2本であるものを完全型,途中で1本に合流するものと不完全型に分類する。
(以上29〜32は甲南病院 加古川病院・酒井英郎会員)
33. 解答 c
診断所見:両肺野で血管影が不鮮明となっており,微細粒状影が認められる.肺門側でわずかに気管支壁肥厚像は認められる.明らかな浸潤影はない.左右肺野の容積や透過性に差違はなく,気管・気管支の偏位も認められない.気胸や気縦隔も認められない.
診断プロセス:5ヶ月の小児で,両肺野の微細粒状影主体のCXRであるので,細気管支炎を考える.右下肺野内側域では,気管支壁肥厚像も認められるので,気管支炎も混在している可能性があるが,主たる病変は細気管支レベルにあると考えられるため,c.細気管支炎を正解としたい.
34. 解答 e
診断所見:気管分岐部直後のCT像で,左右主気管支は扁平化し,内腔は狭窄している.
気管支壁は全周性に肥厚している.縦隔条件で,左主気管支前壁に石灰化が認められるが,内腔に突出する隆起性病変はない.また肺野には明らかな異常所見は認められない.肺門・縦隔リンパ節腫大も明らかではない.
診断プロセス:気管・気管支狭窄を来す疾患の鑑別となる.再発性多発性軟骨炎は,びまん性の気管気管支壁肥厚を来す.壁の石灰化を伴うこともあり,気管気管支軟化症を伴って,偏平状に変形することも知られている.アミロイドーシスもびまん性の気管気管支壁肥厚を来し,壁の石灰化を伴うこともあるが,偏平に変形することは稀である.サルコイドーシスでは結節状に壁肥厚が見られることがあるが,肺野病変が見られないこと,肺門・縦隔リンパ節腫大が見られないことから否定できる.高Ca血症やDISHで気管支の偏平な狭窄は生じない.
35. 解答 e
診断所見:CXRでは両側肺底部および右側は上〜下肺野胸膜下の外套域にconsolidation が認められ,拡張した気管支がair
bronchogramとして透見されている.CTは右上葉気管支の分岐部の高さと右下肺静脈の右房流入部の高さにおける右肺野のtarget
reconstructionをしたHRCTであるが,左肺の一部も見えており,両側ほぼ対称性に背側胸膜下に癒合影がみられ,連続してすりガラス影が広範囲に広がっている.陰影内部には牽引性気管支拡張像が認められる.
診断プロセス:両肺野ほぼ同様に広がるすりガラス影と濃厚な融合影と,牽引性気管支拡張から,急性間質性肺炎を考える.
36. 解答 c?
診断所見:心陰影に重なって,左下肺野に類円形の腫瘤影が認められる.境界は比較的明瞭で,CXR上,明らかな石灰化は認められない.腫瘤影の上方に,肺門部と連続するよう
診断プロセス:肺野孤立性結節影の鑑別診断の問題である.
a. △:内部に明らかな石灰化はなく,周囲に散布巣を疑わせる結節影もない.完全に否定できる根拠はないが,部位も好発部位ではなく,出題者の意図から外れると思われる.
b. △:結核腫同様,内部に明らかな石灰化を疑わせる高吸収域や脂肪を疑わせる低吸収域はなく,過誤腫を積極的に示唆する所見に乏しいが,完全に否定できる根拠はない.
c. ○:腫瘤影の肺門側の索状影を連続する血管影と読めば,血管性病変ということで,肺動脈瘤が正解となる.ただ,通常肺動脈瘤の原因には先天性心血管異常や原発性肺高血症が密接に関連していると言われているが,CXR上,明らかな肺高血圧症の所見は見られない.
d. △:孤立性の肺転移もあり得るので,完全に否定できる根拠はない.
e. △:女性なら,十分疑われる疾患である.もちろん男性でも鑑別に挙がる疾患であり,否定できる根拠はない.
鑑別診断に苦慮する問題であり,難問である.
37. 解答 a,b
診断所見:両下肺野外套域優位に広がるconsolidationで,肺門側はspareされている.
胸水貯留は見られないか,あっても軽度である.肺容積の減少はない.肺門・縦隔リンパ節腫大は認められない.
診断プロセス:肺容積減少はなく,肺底部はspareされていることから,特発性間質性肺炎は否定できる.サルコイドーシスで肺野に浸潤影が見られることもあるが,多発斑状影であることが多く,肺門・縦隔リンパ節腫大も伴うことから,否定的である.アスベストーシスでは,横隔膜上の胸膜面に石灰化胼胝が見られることが多いが,本例では胸膜病変は認められない.
結節性多発性動脈炎の肺病変は血管炎および急性期あるいは器質期のDADであることが多いといわれており,CXR所見では,びまん性の網状影やすりガラス影に肺胞出血や感染症の所見が加味され,多様であることから,本例では考えられる疾患である.
SLEでは,稀ではあるが急性ループス肺炎では肺底部の辺縁不明瞭な局所的透過性低下や広範に広がる融合浸潤影が認められる.組織学的には血管炎と出血であるといわれており,本例では考えられる疾患である.
(以上33〜37は小諸厚生総合病院・丸山雄一郎会員)
38. 解答 e
図(A)胸部単純正面X線像:左腋窩皮下に軟部影を認める。
図(B)胸部CT:腋窩に多胞性嚢胞性腫瘤を認める。
a)誤:皮下組織にair leakを認めない。
b)誤:嚢胞性腫瘤を形成しない。
c)誤:5歳以下では胎児型が多く,胎児型では頭頚部鼻咽腔に最も多く中耳,眼窩,泌尿生殖器に発生が多い。
充実性腫瘍で骨破壊を伴う。
d)誤:CTでは悪性黒色腫は出血を伴い高吸収域を呈することが多い。
e)正
コメント:年齢,発生部位,所見より鑑別可能
39. 解答 a
頚部側画像:喉頭蓋が腫大している。
a)正
b)誤:ウイルスによる急性声帯下部狭窄。X線正面像で確認。
c)誤:扁桃腺は炎症により腫大すると,頚部側画像で咽頭のair内に突出する像を呈する。
d)誤:示唆するような所見はみない。
e)誤:示唆するような所見はみない。
40. 解答 b,c
注腸所見:注腸所見では,回盲部が正中近くにあり,回転異常をみる。又, microcolonをみる。
a)誤:示唆するような所見はみない。
b)誤:示唆するような所見はみない。
c)正
d)正
e)誤:小腸や大腸の一部が(腸管周囲の臓器を含める)炎症や疼痛によって,限局性に麻痺し,sentinel loopという1本から数本の腸管限局性のガス拡張像を認める。
41.
診断所見
胃体上部に辺縁やや不明瞭な隆起性病変が認められる。隆起の表面は平滑ではなく,浅い陥凹がいくつか見られる。
診断プロセス
辺縁やや不明瞭であることより,立ち上がりなだらかな比較的低い隆起性病変であり,深達度の浅い病変と考える。隆起の表面の陥凹は浅く,複数であり,進行癌のいわゆるクレーターのような大きな陥凹ではないと考える。
以上より病変はbで,深達度に関してはcかdであると考えるが,背の低い隆起性病
変が主体であるとすると,出題意図など考えてcが正解か?
解答 b,c?
42.
診断所見
この2スライスの造影CTに写っている大腸の壁は,全層に渡って浮腫状に肥厚し,隣接する大腸同士が癒着し,漿膜外まで炎症が及んでいる印象である。さらに腹水が貯留し,部分的に腹膜も肥厚しており,腹膜炎の合併も示唆される。
診断プロセス
この症例には臨床情報も付されており,48歳の女性の水様性下痢ということから,まず高齢者に多く下血を主訴とするc,虚血性大腸炎は否定的かと思われる。
病変が大腸全層まで深く及び水様性下痢を呈する大腸疾患と考えるとd,Crohn病又は,e,大腸結核となる。
症例の年齢,腹膜炎の合併なども考え合わせるとe,大腸結核が正解か。
解答 e:日常,消化管造影検査や内視鏡にて消化管診断をしている者にとっては 大腸疾患をCTで診断させるこのような問題には抵抗があるが
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(以上41〜42は大宮共立病院・高橋政之会員)
43.
1)肝右葉前区域にT2強調像で周辺肝実質と等信号〜わずかに高信号を示す腫瘤あり。SPIOでも正常肝構造と同様の信号を示している。
中心部はいずれも高信号を示す。脈管の巻き込みや,被膜構造は認めない。
右後区域及び左外側区域には,それぞれ著明な高信号を示す腫瘤がある。こちらは血管腫と思われる。
2)T2強調像での等信号,SPIOでの信号強度から,腫瘤はhepatocyte,kupffer cell を持つ腫瘤と考えられる。
また,中心部はbile stasisやslow flowing bloodを反映するcentral stellate scarに
相当すると思う。
3)FNH 問題の解答はe.
4.5)特になし
44.
1)CTで肝内に多発性の低吸収域を認める。ダイナミック早期で,その範囲はより大きく描出されているが,これらの病変内を脈管が貫く所見が見られる。SPIOではこれらの病変は不明瞭になっている。
2)内部を脈管(見えているのはほとんど門脈)が走行していることから,腫瘍性病変は考えがたいと思う。
3)round fatty infiltration 問題の解答はd.
4),5)特になし
45.
1)右前区域に大きな腫瘤像あり。多房性ののう胞性病変で,頭側に不規則な充実成分を伴う。のう胞の壁には粗大な石灰化を有する。腫瘤に接した肝内胆管は中等度拡張している。左下の写真で門脈の内側にリンパ節腫脹を認める。また,胆嚢は腫瘤により尾側,腹側に圧排されている。
2)肝内の多房性腫瘍病変で末梢の胆管拡張を伴い,不規則な充実成分とリンパ節腫脹を有する。
3)biliary cystoadenocarcinoma 問題の解答はa.
4)右葉の門脈を狭窄する所見や,リンパ節などからもcystoadenomaというよりはadenocarcinomaを疑う。
46.
1)S7に低信号を示す比較的境界明瞭な腫瘍性病変を認める。造影早期相から腫瘍の周辺部分より濃染されている。後期相でも全体に正常肝よりも強く染まりを呈するが,特に中心部分で濃染される。被膜構造などは認めない。
2)周辺より濃染するhypervascular tumorでcystic,necroticな成分は見られない。
3)cavernous hemangioma 問題の解答はb.
4),5)特になし)
(以上43〜46は山形県立日本海病院・小野 伴会員)
47.
1)診断所見
総胆管−肝内胆管の拡張,膵頭部頭側の不整形のsoft tissue density mass,膵管の軽度拡張を認める。
2)診断プロセス
総胆管−肝内胆管の拡張は,先天性胆道拡張症,膵頭部頭側の不整形のsoft tissue density massは膵頭部周囲リンパ節腫大と考えられる。先天性胆管胆管拡張症は,膵管・胆管合流異常を合併し,さらに,合流異常は,胆道系の悪性腫瘍を高率に合併する。提示された断面のみでは,原発巣を断定することは容易ではないが,膵頭部リンパ節腫大は転移巣で,その原発巣は,下部胆管癌,あるいは胆嚢癌にあることが強く疑われる。一方,自己免疫性膵炎は,膵全体の線維化によるびまん性腫大,それに伴う末梢胆管の拡張等の所見を呈するが,膵周囲のリンパ節腫大を伴うことは稀である。
3)解答 a.自己免疫性膵炎
4)鑑別診断の必要性
診断プロセスに記載
48.
1)診断所見
造影CTで,胆嚢壁の肥厚を認める。胆嚢の腫大は認めず,提示された断面では,胆石の所見なし。DIC-CTでは,Rokitansky-Aschpff
sinuses(:RAS)の増生を認める。さらに,提示された断面では,胆嚢が胆嚢床から離れ,総胆管の背側に位置している。
2)診断プロセス
RASの増生より,胆嚢腺筋症の存在は明らかであるが,通常,胆嚢腺筋症のみでは,腹痛などの臨床症状は呈さず,別の病態が併存することが疑われる。胆嚢壁の肥厚より,胆嚢腫大はないが,胆嚢の炎症の存在が疑われる。さらに,胆嚢の変位より,浮遊胆嚢であり,胆嚢捻転症の可能性も否定できないが,提示された断面のみでは,胆嚢管の状態が判らず,胆嚢捻転症と確診はできない。レポートであれば,胆嚢腺筋症をもった浮遊胆嚢が,急性胆嚢炎を起こしていると書きたいところであるが,試験問題の解答として,一つ選ぶのであれば,eの胆嚢捻転症を選ぶ。
3)解答 eの胆嚢捻転症
4)鑑別診断の必要性
診断プロセスに記載
5)その他,意見
提示された写真のみで,診断を一つに絞るの難しい。
49.
1)診断所見
CTにて,下部胆管の壁肥厚,膵尾部の膵管拡張と萎縮性変化,大動脈を取り囲むsoft tissue density massを認める。胆嚢の腫大,胆嚢壁肥厚は認めない。また,提示された断面に,腹部リンパ節の腫脹を認めない。MRCPでは,下部胆管の狭窄像を認める。
2)診断プロセス
CTでの胆管壁の肥厚像およびMRCPでの下部胆管の狭窄像より,浸潤型胆管癌,硬化性胆管炎(Primary sclerosing
cholangititis:PSC)が鑑別診断としてあげられる。また,大動脈周囲のsoft tissue density
massは,後腹膜線維症の像である。これらの病態を同時に示す可能性がある疾患としては,稀な疾患である特発性後腹膜線維症(Ormond's
disease)において,通常は尿管の閉塞を認めることが多いが,稀に膵頭部のpseudotumor により,胆管閉塞を起こすことという報告がある。また,さらに稀であるが,Ormond's
disaeseとPSCの合併例の報告もある。
一方,自己免疫性膵炎では,約1/4に合併が認められるシェーグレン症候群についで,PSC の合併が2番目に多いと報告されている。さらに,自己免疫性膵炎は,PSC,Riedel甲状腺炎などと合わせて多発性特発性線維症(multifocal
idiopathic fibrosclerosis)の一部分症であるという提案もあるが,現時点では,一つの疾患群としてまだ確立されていないと思われる。
急性胆嚢炎では,胆嚢の腫脹,胆嚢壁肥厚を呈するが,提示された画像では,これらの所見を認めない。
また,サルコイドーシスの腹部所見としては,径が小さく融合傾向の少ないリンパ節腫脹,さらに,稀であるが,脾,肝内のSOLが挙げられるが,後腹膜線維症を起こすことはない。しかし,文献的には,肝サルコイドーシスとPSCの合併例の報告もあった。
以上より,膵のびまん性腫大を来す自己免疫膵炎として典型的でないこともあるが,PSC,自己免疫性膵炎,後腹膜線維症を選択する。
3)解答
b.急性胆嚢炎
d.サルコイドーシス
4)鑑別診断の必要性
診断プロセスに記載
5)その他,意見
画像診断というより,稀な疾患の知識に関する問題であり,非常に難しい。
50.
1)診断所見
造影CT後期相で,膵尾部に平滑な薄い壁に覆われた類円形の嚢胞性病変を認める。内部は,モヤモヤした不均一像を呈し,策状像を認める。
2)診断プロセス
膵尾部の嚢胞性腫瘤として,粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic tumor),膵管内乳頭腫瘍(intraductal
papillary-mucinous tumor),仮性嚢胞,真性嚢胞等のほか,非典型例であるが,macrocysticな漿液性嚢胞腺腫,実質成分の少ないsolid
and cystic tumor,嚢胞成分を有する膵島細胞腫等を鑑別する必要がある。
本例では,嚢胞内部の完全な隔壁として連続していない策状像を含む,不均一なモヤモヤ像より,仮性嚢胞を考えるが,粘液性嚢胞腫瘍も完全に否定はできない。但し,粘液性嚢胞腺"癌"と言い切るような悪性を示唆する所見は認めない。
3)解答
d.仮性膵嚢胞
4)鑑別診断の必要性
診断プロセスに記載
5)その他,意見
非典型例等を考えると診断を一つに絞るのは難しい。
51.
1)診断所見
造影CT早期相で,膵頭部に類円形のSOLを認める。腫瘤内部は,微小なリング上の濃染像と,微小な低吸収域が混在しており,全体としては,膵実質より低吸収を呈している。
末梢側の膵管の軽度拡張をみとめる。総肝動脈造影では,膵頭部に類円形均一な濃染像を認める。
2)診断プロセス
hypervascularな膵腫瘤性病変として,膵島細胞腫,漿液性嚢胞腺腫,腺房細胞腺腫,嚢胞成分がないsolid and
cystic tumorを鑑別する必要がある。提示された印刷写真では見づらいが,CT早期相の蜂巣状の所見より,漿液性嚢胞腺腫を第一に考える。膵島細胞腫,腺房細胞腺腫,solid
and cystic tumorでは,腫瘤全体の均一に染まるか,内部に出血,壊死による低吸収域〜嚢胞成分を有する像を呈する。
3)解答
b.漿液性嚢胞腺腫
4)鑑別診断の必要性
診断プロセスに記載
(以上47〜51は国立がんセンター・若尾文彦会員)
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