二次試験問題解答および注釈【治療】1.〜29.

1. b 5mSv/3ヶ月 である。
2. a
3. d
4.a 放射線業務に従事する前に1回,その後は1年を越えない期間ごと。
  c 問診は省略できない。
5.d 甲状腺は0.05

(以上1〜5は北海道大学医学部・西岡 健会員)

6.
照射線量 X = dQ/dm。ここでdQは質量dmを有する空気のある体積要素中に光子によって発生したすべての電子(陰,陽)が空気中で完全に止められた場合に空気中で発生した一方の符号(+かー)のイオンの全電荷の絶対値である。従って,単位は,C・kg-1である。
吸収線量 D = d_/dm。ここでd_は,電離放射線により質量dmの物質に付与された平均エネルギーである。従って,単位は,J・kg-1であり,その特別な名称がGyである。
線量当量 H = DQN。ここで,Dは吸収線量,Qは線量係数quality factor,Nはその他の修正係数である。Qは電離放射線の生物効果を考慮して,吸収線量に重み付けをするもので,生物学的効果比(RBE; relative biological effectiveness)をほぼ包括した値であるが,RBEと異なる名称で定義され,その値が与えられている。なお,X線のQ値は1である。また,その他の修正係数Nとして,現在では1が割り当てられている。なお,Hは,日常の放射線防護にのみに使われるべきであり,高いレベルの事故被曝には使うべきではない。単位は,J・kg-1であり,その特別な名称がSvである。
線エネルギー付与とは,荷電粒子が単位距離を通過する間に付与したエネルギーで,単位,,J・m-1であるが,KeV/_mがよく使用される。ちなみに,eVもJも,ともにエネルギーの単位である。1 J = 6.241460×1015 KeV。
放射能は,単位時間内に起こった放射線核種の自然核変換の数dNと定義され,放射能の単位は放射性物質の発見者の名前をとりベクレルBqで定義される。1 Bq = 1 s-1従って,誤りは,b。

7.
GTVは,画像や触診で確認できる肉眼的腫瘍体積で,通常100万個以上の腫瘍細胞の集塊であり,CTVとは,GTVと顕微鏡的な進展範囲を含む臨床標的体積,ITV (internal target volume)とは,CTVと呼吸移動や消化管ガスによる影響などの体内臓器移動マージン (internal margin)を含めた容積,PTVとはITVと毎日の治療における設定誤差 (set up margin)をさらに含めた計画標的体積のことである。よって,GTV<CTV<ITV<PTVは,常に成立する。
治療計画の結果として放射線腫瘍医によって,治療目的を達成するために最も適当である
と選ばれ決定された等線量曲線に囲まれた体積が,treated volumeである。
正常組織の耐容線量から見て,有意であると考えられる線量が照射される組織の体積が,irradiated volumeで,正常組織の障害発生に関連する。
よって,eが解答。

8.
各核種から放出されるγ線エネルギー(MeV)は,60Co (T1/2 = 5.271 y); 1.173と1.332 が1対1で,平均で,1.25,125I (T1/2 = 60.2 d);0.0355,137Cs (T1/2 = 30.17 y);0.512 (95%)と1.17 (5%)で,平均で0.662,192Ir (T1/2 = 74.2 d);様々なエネルギーのγ線が放出され平均0.37,198Au (T1/2 = 2.696 d);0.412 (96%),0.676 (1.1%),1.088 (0.23%)で,平均0.42である。125Iのみ診断用で,他は,小線源治療用の線源である。
ついでながら,131I(T1/2 = 8.040 d)は,0.364 (81%),0.637 (7.3%),0.284 (6.1%)等である。
解答は,b。

9.
Bragg peak (+): 陽子線,負π中間子線,重イオン線
Bragg peak (-): 中性子線,X線,γ線,電子線
低LET放射線:陽子線,X線,γ線,電子線
高LET放射線:中性子線,負π中間子線,重イオン線
解答は,aとb。

10.
LQモデルでは,皮膚(皮膚炎(急性障害)と皮膚潰瘍(晩期障害))の様に,同じ組織でも注目する障害の種類によって,線量-効果(=障害の程度)関係が変化するので,当然,α/β値も,障害の種類によって異なる。もちろん照射される放射線の種類によっても異なる。
LQモデルは,高線量域でも,いつまでもカーブし続けるので,高線量域で直線に近くなる細胞生存率曲線とは合致せず,むしろ低線量域の肩の部分でよく一致する。従って,低線量域についての議論ではLQモデルを用いるとうまく説明できる。
LQモデルでは,回復に関する因子は考慮されず,従って,低LET放射線の低線量率照射時には,β成分がほとんど回復し,限界勾配がほとんどα成分にのみ影響されることになる。
高LET放射線では回復が小さいので,β値が小さくなり,従って,α/β値は大きくなる。
一般に晩期障害のα/β値は小さく(すなわちβ値が大きい),急性障害ならびに腫瘍制御のα/β値は大きい。よって,低LET放射線を用いた分割照射では晩期障害が回復しやすく,急性障害ならびに腫瘍制御は回復しにくい(Hyperfractionationの原理)。
解答は,aとc。

(以上6〜10は京都大学原子炉実験所・増永慎一郎会員)

11. 
以下11-15まで主にEJ Hallの放射線生物学を参考にしています.
a. 誤:照射後,細胞環境を生理食塩水などで培養するとPLD repairにより生存率は増加する.
b. 誤:ある種のHeLa細胞では線量率を下げると細胞死に対する効果が増すことがある.
低線量率照射時は細胞周期がすすみ放射線感受性の高いG2期にブロックされるからである.(逆線量率効果)
c. 正:SLD repairは通常2−6時間で完全に回復する.
d. 正:生存曲線には肩がないかあってもわずかであり,分割照射してもSLD repairはほとんどおこらない.
e. 誤:肩が大きい細胞は放射線抵抗性である.

12.
a. 誤:放射線感受性の高い時期はG1後期,G2期,M期.逆に抵抗性なのはS期後半
b. 誤:休止期細胞の放射線感受性は低い.
c. 正:Ki-67 抗原は細胞周期の G1/S/G2/M 期に発現しており,G0 期における発現は認められない.
d. 正:DNA損傷を受けた場合野生型P53によってG1期でブロックされ修復,またはアポトーシスへ導かれる.
e. 誤:タキソールはG2M期で細胞周期を阻害する.そのため放射線増感剤としての効果が期待されている.

13. 
a. 正:一般的には低線量率照射ではOERが小さくなる。低線量率照射中には正常酸素濃度細胞のSLD回復が十分に起こるためと考えられる。
b. 正:酸素分圧3mmHg(約0.5%の濃度のとき)は感受性が無酸素と酸素が十分存在する状態のちょうど中間を示す.このときのOERは2.
c. 誤:Tpot;腫瘍から全く細胞喪失がおこらないと仮定した時に腫瘍容積が2倍になると予期される時間.細胞周期時間と増殖細胞比によって求められる.よって小さいほうが増殖能は大きい.Tpotは分割照射期間を決めるのに有用で,たとえば4日より短い場合 accelerated fractionation では通常分割に比べて有意な生存率の改善が報告されている.
d. 誤:低pH,低酸素,late S期の細胞は温熱感受性が高い.
e. 誤:一般的にBcl-2遺伝子はアポトーシスに対し抑制的に働く.逆に同じファミリーの Baxは促進的に働くと考えられている.

14.
a. 誤:一回線量―等効果総線量解析にて晩期反応はその曲線の勾配が急で分割照射の一回線量に強く依存している.早期反応組織に対してはα/βは約10Gyで,晩期反応組織に対するα/βは約2Gyである.
b. 誤:晩期障害が軽減されるとすればhyperfractionationで一回線量を少なくすることやaccelerated hyperfractionationで照射期間を短縮することである.通常の放射線治療の範囲内で治療期間を延長することでは晩期反応はあまり軽減しない.
c. 正:複数の文献から頭頸部腫瘍では治療開始後約28日でacceleltared repopulation が始まっているという.したがって治療期間の長さよっては期間中にacceleltared repopulation が起こりうる.
d. 誤:頭頸部や子宮頸部扁平上皮癌で治療期間が局所制御率に影響するという報告があ
る,
e. 正:晩期障害組織のSLDRは培養細胞で少なくとも6時間以上の間隔をあけないと修復不完全で障害が増強するといわれている.

15.
重粒子線は高LET放射線でRBEが高く,放射線障害からの回復が極めて少なくOERが小さく細胞周期依存性が少ない.
a. 正
b. 誤:OERは小さい.
c. 正
d. 誤:重粒子線治療の特徴としてrepairがないかあっても極めて少ないことがあげられるため分割照射による利点は通常のphoton照射に比べ少ないとされる.しかし臨床的には等線量を照射する場合一回大線量少分割よりも小線量多分割の方が正常組織の障害は少ない.
e. 誤:分割照射中において一部の細胞では再増殖がγ線照射に比べ加速するという報告もある.

(以上11〜15は放医研・今井礼子会員,溝江純悦先生)

16.解答 c, d
【解説】Anaplastic astrocytoma はastroctic tumorのうちで,細胞に退形成のみられるもので, glioblastomaではこの所見がより著しくなり,多用な構成細胞と多用な構築から成り立ち,かつ凝固壊死巣を含むのが特徴である。悪性神経膠腫の放射線治療の原則は手術後に拡大局所照射を行なった後,病巣部に限局したブースト照射を行なう。放射線抵抗性であることから照射容積・総線量が大きくなるため,正常脳組織の耐容性を考え,多分割照射や加速多分割照射が行なわれる。治療成績は非常に悪いが,治療成績に及ぼす予後因子として年齢があり,特に高齢者で70歳を超えると予後が有意に悪くなる。π中間子線治療は前立腺癌である程度の成績を残したが,他は期待したような成績を残していない。

17. 解答 a,e
【解説】脳壊死と脳腫瘍の再発の鑑別に決定的な方法は未だ無いと考えるが,提示された選択肢から選ぶと,FDG-PETとTl scintigraphyを行なうのが一般的であり,次いでMR spectroscopyに検査を進めるのが一般的。 Dynamic CTやGa scintigraphyでは鑑別は困難

18. 解答 d
【解説】原発腫瘍が口腔底に浸潤していることからT4。原発巣と同側に多発性リンパ節転移を認め6cm以下であることからN2b。遠隔転移を認めていないことからM0.

19.解答 d
【解説】舌癌 III・IV 期では術後照射が中心となる。腫瘍が中咽頭や口腔底まで達している症例では根治照射を試みても障害の頻度が高く,また局所制御率も低い。頚部リンパ節転移については,原発巣に対して放射線感受性が低く,唯一の根治的治療法は根治的頚部リンパ節郭清術と術後照射となるであろう。

20. 解答 b
【解説】原発巣治癒から3年。重複癌と考える。腫瘍最大長径25mmからT2,リンパ節転移無しからN0,遠隔転移無しからM0.

21. 解答 b
【解説】Stage II 頬粘膜癌に対する治療としては,腔内照射・小線源放射線治療が適応と考える。放射線治療後の経過観察は慎重に行なうべきであることは言うまでも無い。

22. 解答 e
【解説】T1-T2の頬粘膜癌の局所制御率はほぼ90%と考える。

(以上16〜22は兵庫医科大学・上紺屋憲彦会員)

23. 解答 (b) d
a) ×:肺野の不均質による,re-build upの影響で腫瘍内の線量は低下する。
b) (○): CHART( Saunders Lancet 350:161 1997)通常照射との比較で有効。2年生存率20%と29%。しかし手術不能のstage I, IIの sccで有効。腺癌での効果もあり?
c) (×) :West Japan Lung Cancer Group ( Furuse et. Al) Concurrent vsSequential RT with MVP,奏功率 84% 66.4% 5年生存率 15.8% 8.9 % 同時併用化学放射線療法が勝っていた。しかし,CALGB( CDDP/Vinblastine), meta-analysisによる報告にて導入化学療法の利点の報告もあり,薬剤ごとに検討されている。
d) ○:末梢型肺癌T1N0の標準治療は外科治療であるが,LN転移陰性,断端陰性例では経過観察が標準となる。臨床的T1N0における肺門,縦隔LNへのmicroscopic転移の存在を完全には否定できないが,標準的には,肺門縦隔への予防的照射は行わない。
e) (×):I,II期のNSCLCの標準治療は定型的手術(肺葉切除と肺門および縦隔リンパ節郭清(R2a))である。しかし,手術不能例には胸腔鏡下肺葉切除術,局所の放射線治療が用いられる。化学療法の追加については,stage III(N2以上)を想定した場合に併用。

24. 解答 a , b
a) ○:induction chem. < concurrent chem-RT
b) ○:標準線量は60Gy/30f
c) (×) :CHART: 1.5Gy/f 1日3回 連日 12日 計 54Gy
  HART: 1.5-1.8Gy/f 1日3回 16日以上 計57.6Gy
     1.5Gy/fなら,上記が望ましいか。
d) ×:剖検例での検討では,腺癌と大細胞癌で脳転移の率が高く,予防照射の検討(20Gy/10f) がなされたが,生存率に変化なかった(Moss 7th ed p338)。転移出現時に全脳照射(30Gy/10f)もしくは,SRS(辺縁線量18-20Gy)/SRT +/- 全脳照射が行われている。
e) ×: 主に用いられる薬剤は cisplatin, mitomycin, vindesine,
ifosphamide,etoposideなどであるが,CDDP(CBDCA)+VP-16が標準治療として各種検討のref. armとして用いられている。

25. 解答 d
T3N3M0

26. 解答 d, e
PS良好の若年齢者であり,化学療法併用が望ましいと思われる。

27. 解答 e
両側鎖骨上LNへのLN drainageありうる ( R < L )。

28. 解答 d
照射単独での5年生存率は 0〜5%。
新規抗癌剤との組み合わせでは,Taxane(Docetaxel,Paclitaxel)+CBDCAと放射線との併用療法のスケジュールが多々検討され生存率の向上が示唆されている。Irinotecan, Vinorelbine, Gemcitabineなどの新規抗癌剤との組み合わせの検討もあり。

29. 解答 a
予後因子としては,PS,体重減少,転移臓器の数,性(男<女),Hb , Alb, LDHなどがあげられている。初期治療のCR率による差を因子とした報告あり(Dong1996)

(以上23〜29は藤元早鈴病院・荻田幹夫会員)