二次試験問題解答および注釈【診断・核医学】1.〜25.

1. 解答 b,e
 診療録等の電子保存に関する厚生省通知文章の基準(平成11年4月22日)参照
a.誤:「故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。」となっている。
b.正
c.誤:「情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること」あるいは「情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること」とありが、ピクセル数値の記載はない。
d.誤:「法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。」と記載されている。
e.正

2. 解答 a
 アイソトープ法令集2001年版p241〜告示(放射能を放出する同位元素の数量等を定める件)参照
a. 誤:1.3 mSv/3月
b. 正
c. 正
d. 正
e. 正
b,cはいわゆる「放射線管理区域内」に相当する。他の場所に関しては個別に規定されている。

3. 解答 c,e
 アイソトープ法令集2001年版規則20条(p110〜)参照
a. 誤:女子に関しては妊娠不能と診断された者及び妊娠の意志のない旨を使用者、販売業者、賃貸業者又は廃棄業者に書面で申し出た者を除き、腹部における外部被ばく測定が定められている。
b. 誤:頭部およびけい部から成る部分が最大被ばく部位になるおそれがある場合は、胸部(女子は腹部)以外に、当該部被ばくが最大になるおそれのある部位について計測すると定められてある(つまり胸プラス最大部位ということ)。
c. 正
d. 誤:管理区域内に立ち入っている間、計測する。
e. 正

4. 解答 a,d
 アイソトープ法令集2001年版規則22条(健康診断)参照
a. 誤:1年を越えない期間ごと
b. 正
c. 正
d. 誤:目の検診に関する記載はない
e. 正

5. 解答 c,e
a. 誤:管電流と被ばく線量は比例する。
b. (スライス)ピッチを増やすと被ばくは減少する。
c. 正
d. 誤:この方式では、体格が小さい(透過性が良い:吸収が小さい)場合、管電流を下げるはずなので、よけいな被ばくは減少するはずである。
e. 正

(以上1〜5は国立循環器病センター・福地一樹会員)

6. 解答
a. 診断所見:トルコ鞍内に境界明瞭で辺縁スムーズなcystic massを認める。
T1及び T2強調像で、Mass内にニボー形成が認められる。T1強調像で高信号を呈する下垂体後葉が、このmassにより圧排を受け、トルコ鞍外方背側へ突出している。また下垂体柄結節部は上方に強く圧排され、漏斗は腹側から強い圧排を受けている。
b. 診断プロセス:Mass内にニボー形成が認められることより、mass内には出血性変化があったことが分かる。下垂体後葉や下垂体柄結節部のシフトの仕方や、漏斗圧排状態よりmassの主座が下垂体前葉にあると考えられる。
c. 診断:c(下垂体卒中)
d. 鑑別診断:Rathke嚢胞は、胎生期Rathke嚢の遺残上皮から発生する嚢胞で、下垂体中間部を中心に、トルコ鞍内を主座とするものが多い。組織学的に内皮が1層の円柱上皮から成り、内容液にムチンが含まれる。造影剤による壁の増強効果が見られることがある。頭蓋咽頭腫は、胎生期Rathke嚢の遺残上皮から発生する良性腫瘍で、下垂体柄の隆起部に好発し、その多くは鞍内成分を有する。隆起部に好発する為、Rathke嚢胞同様、下垂体柄を背側から圧排するケースが多く、画像所見とあわない。またRathke嚢胞同様、ニボー形成も内部出血を伴わない限り、通常の画像所見とは一致しない。鞍上部髄膜腫も発生部位を考慮すれば、下垂体後葉や下垂体柄結節部のシフト方向は説明し難く、また内部の所見も合致しない。鞍上部動脈瘤の場合、通常はT2強調像のflow voidで無信号域の嚢状のmassとして認められるが、例え内部に血栓が形成されたとしても、ニボーを認めることは無い。
e. コメント:下垂体卒中とは、いわゆる線種内の出血であり、臨床的には急激な前頭部痛に引き続く視力障害が特徴的であり、内分泌発症を伴うことがある。CT上高吸収域として認められるので、CTで容易に診断できる。

7. 解答
a. 診断所見:左小脳扁桃に境界明瞭な嚢胞性腫瘍を認め、その腫瘍内には、強く増強される壁在結節を認める。血管造影撮影では、拡張して蛇行した左PICAと、晩期相まで続く強い腫瘍濃染像、静脈相における拡張した流出静脈の描出が認められる。
b. 診断プロセス:小脳半球内に発生し、壁在結節を伴う境界明瞭な嚢胞性病変である。その壁在結節は強い造影効果を有している。また腫瘍は晩期相まで続く腫瘍濃染を呈している。以上より血管芽腫を考えたい。血管芽腫の約30%はvon Hippel-Lindau症候群に合併する。von Hippel-Lindau症候群と言えば、腎腫瘍の有無の精査は重要である。
c. 診断:b(腎)
d. 鑑別診断:腎癌の小脳転移。画像上も病理上も血管芽腫と鑑別困難な場合がある。しかし、いずれの場合も腎の精査は必要である。
e. コメント:血管芽腫の多くは小脳半球に発生し、嚢胞を形成し、腫瘍は壁在結節として認められる。嚢胞壁には腫瘍細胞は存在しない。小脳半球以外では、脊髄や網膜にも発生する。脳では軟膜下に存在することが多いとされている。本腫瘍を認めたときは、von Hippel-Lindau症候群の有無を確認する必要がある。すなわち、脊髄や網膜の血管芽腫の有無、諸臓器の嚢胞、褐色細胞腫、腎癌の有無である。嚢胞内容はT1, T2強調像ともに脳脊髄液よりは若干高信号を呈し、充実性の腫瘍は等信号で、造影剤により強く造影される。出血がこれに加わると、その時期により信号は変化する。流入動脈と流出静脈とが無信号(flow void)として認められることが多い。

8. 解答
a. 診断所見:左シルビウス裂をまたいで、前頭葉と側頭葉を圧排する嚢胞性腫瘍を認める。腫瘍壁の一部は硬膜と密着し、左大脳半球との間にはCSF/vascular cleftを思わす、(造影T1強調像上)リング状の低信号域を認める。腫瘍の嚢胞壁はほぼ均一な厚さで、辺縁はスムーズ、壁の一部には強く均一に造影される壁在結節を認める。左大脳半球は強いmass effect を受け、強い浮腫やmidline shiftも認められる。骨条件下のCT像では、左側頭骨が対側に比べて骨肥厚、骨硬化の状態を呈している。
b. 診断プロセス:緩徐進行性の右片麻痺から、slow growing あるいはbenign な腫瘍であることが推察される。さらにCSF/vascular cleftの存在よりextra-axial tumorであること、hyperostosisが存在していることより、選択肢の中からは、cystic meningiomaが最も考えられる。硬膜との間にはdural tail も疑われる。
c. 診断:c(髄膜腫)
d. 鑑別診断:神経節膠腫や星細胞腫の一部(特に多形黄色星細胞腫や毛様細胞性星細胞腫)、髄膜腫の一部、転移性脳腫瘍の一部には、壁在結節成分を有する嚢胞性腫瘍として描出される場合がある。臨床的経過により悪性腫瘍は否定でき、転移性脳腫瘍は消去される。Extra-axial tumorであることから髄膜腫しか残らなくなるが、その他若干発症年齢や好発部位等に違いがあるので、補助的鑑別点として以下に挙げておく。
 神経節膠腫(ganglioglioma):神経節細胞と膠細胞の両方の成分を有する良性の混合性腫瘍で、痙攣を示す小児や若年成人に認められる。発育の遅い境界明瞭な腫瘍で、好発部位は側頭葉、小脳、脳幹、鞍上部、脊髄である。
 星細胞腫(astrocytoma):多形黄色星細胞腫は、長い痙攣の病歴を有する、若年成人の側頭葉に好発する表在性の腫瘍である。毛様細胞性星細胞腫は、小児に最も頻度の高い星細胞腫であり、小脳半球、視神経や間脳に好発する。神経線維腫症I型と合併して、視路の前半部に発生することがよく知られている。若年成人では大脳半球にも発生することがある。
 胚芽異形成性神経上皮腫瘍(NDET):稀な発育の遅い病変であり、ほぼ全例で長い経過の痙攣が認められ、多くの症例が成人までに発見される。側頭葉や前頭葉の脳表に好発し、T1,T2強調像とも境界明瞭な脳脊髄液とほぼ等しい信号強度を示すが、腫瘍内には脳回様構造を認めることがある。接する骨に局所的なひ薄化を認めることもある。浮腫はほとんど認めない。
e. コメント:脳表付近に存在し、壁在結節を有する嚢胞性腫瘍ということで、一見鑑別に迷う問題である。low grade またはbenign なtumorであること、extra-axial tumorであること、hyperostosisが存在することに気付くことが大切だったと思われる。

9. 解答
a. 診断所見:側脳室三角部周囲の白質を中心に、T2強調像で高信号を呈する病変を認める。病変は脳梁を介して左右連続している。
b. 診断プロセス:異所性灰白質、Sturge-Weber症候群は画像上合わないので、残った変性症の中からの選択となる。変性症(白質ジストロフィー)の中では、11歳という比較的長期生存できる病変であること、男児(伴性劣性遺伝を示唆)であること、緩徐な発症経過であること、側脳室三角部周囲の白質を中心とした病変であることから、副腎白質変性症が最も考えられる。
c. 診断:e(副腎白質変性症)
d. 鑑別診断:以下に各々の変性症の鑑別点を挙げておく。
副腎白質変性症:伴性劣性遺伝。アルシCoAシンテターゼ欠損による極長鎖脂肪酸の蓄積が脱髄(副腎ではアジソン病)を引き起こす。側脳室三角部周囲の白質に脱髄が生じるのが特徴的。経過とともに脱髄病変は前進、または脳梁を介して左右と連続する。造影剤にて先進部に増強効果が見られることがある。
 異染性白質変性症:白質ジストロフィーでは最も多い。アルサルファターゼA欠損。2歳頃から発症し数年で死亡に至る乳児型、4−7歳頃に歩行障害、行動異常で発症する若年型、思春期以後に性格変化で発症する成人型に分けられる。
 T2強調像で脳室周囲白質に対称的な高信号域が出現するが、特に前頭葉に始まることが多く、次第に後頭部白質域に進展する。進行とともに萎縮も明らかとなる。
 Alexander病:生後半年までに巨脳症と発育遅延で発症する。脱髄病変は両側前頭葉にみられ後方へ進展する。
e. コメント:選択肢の中からは、異染性白質変性症、Alexander病、副腎白質変性症の変性症の鑑別が中心となる問題。年齢、臨床症状、病変(脱髄、髄鞘形成障害)の主座を知っておく事が大切。
 特定の髄鞘形成障害性疾患(白質ジストロフィー)を示唆する所見として以下のものを挙げておく。
 後頭葉(三角部周囲):副腎白質ジストロフィー
 前頭葉:Alexander病
 巨脳症:Alexander病, Canavan病, MPS types I, II,
 基底核の低信号(T2強調像):Krabbe病
 発症早期からの皮質下を含む白質の広汎な障害:
 Pelizaeus-Merzbacher病, Alexander病, Canavan 病

10. 解答
a. 診断所見:松果体から後交連、四丘体にかけて、T2強調矢状断像で灰白質と比べて若干高信号を呈する、境界明瞭な腫瘍を認める。腫瘍により下丘や中脳水道は圧排を受けているが、腫瘍周囲の浮腫はほとんど認められない。第三脳室は若干拡張している。造影MRIでは、腫瘍はほぼ均一に強く造影され、松果体、後交連、四丘体と両側視床に連続性に浸潤している。
b. 診断プロセス:松果体部腫瘍ということで、胚細胞系腫瘍(胚芽腫、奇形腫、胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌)、松果体腫、星細胞腫、膠芽腫、皮様嚢腫、転移性脳腫瘍などが鑑別に挙がってくるが、この中で皮様嚢腫と転移性脳腫瘍を除けば、残りの腫瘍は松果体から発生する。皮様嚢腫は四丘体付近の良性腫瘍であり、松果体、視床への浸潤が合致しない。転移性脳腫瘍はT2強調像の信号強度や、造影MRIにおける造影効果や浸潤像は矛盾しないものと思われるが、松果体や四丘体への転移は頻度的に極めて稀である。通常松果体部付近の転移では、脳幹、脳梁、視床におおい。また転移性脳腫瘍にしては腫瘍周囲浮腫が少ない。胚細胞系腫瘍の中では、胚芽腫としては、若干T2強調像の信号強度が高いように思うが、決して矛盾するものでは無い。
c. 診断:a(転移性脳腫瘍)とe(皮様嚢腫)が考えにくい。
d. 鑑別別診断:胚芽腫(germinoma)は、松果体から発生する腫瘍の約2/3を占め、思春期に好発、約90% の症例は30歳未満である。多くの症例は、T1強調像、T2強調像では、灰白質と同等の信号強度を呈し、造影MRIでは、ほぼ均一に強く造影される。周囲への浸潤や播種性病変が認められることがある。松果体部の星細胞腫(astrocytoma)は、松果体のfibrillary astrocytes から発生する腫瘍で、診断される時点にはかなりの大きさに達しており、正確な発生部位は分からないことが多い。多くは四丘体や第三脳室壁から発生するものと思われる。画像上は他の松果体部腫瘍と類似しており、灰白質と比べてT1強調像でやや低信号、T2強調像で若干高信号を呈し、造影MRIにて様々に造影される。松果体腫(pinealoma)は、松果体自体の神経外胚葉細胞から発生する腫瘍で、松果体芽腫(pineoblastoma)と松果体細胞腫(pineocytoma)が存在する。松果体芽腫と松果体細胞腫は、同一腫瘍内に存在したり、移行型を認めたりすることがある。松果体腫瘍はMRI上、充実性腫瘍であり強く造影される。松果体芽腫の信号強度はさまざまであり、より不均一な傾向が認められるが、MRI所見のみでは松果体細胞腫との鑑別は不可能であることが多い。T2強調像では、灰白質と比べて等から高信号を呈することが多い。松果体芽腫はPNETの一種で小児に多く、松果体細胞腫は若年成人に多い。
e. コメント:症例の年齢と、腫瘍の主座を理解しておくことが大切。

(以上6〜10は福井医科大学・角弘諭会員)

11.解答 a
解説:
 頭部MRI、FLAIR軸位断像にて、両側の後頭葉に高信号領域が対称性に認められる。脳腫脹は認めがたい。
 病変の部位、対称的にみられることやmass effectがないことからはa. 高血圧性脳症を最も疑う。臨床所見やfollow upのMRIにて所見が消失が認められればより考えやすい。
参考文献
Schwartz RB, et al. Hypertensive encephalopathy: findings on CT, MR imaging and SPECT imaging in 14 cases. AJR 159: 379-383, 1992

12.解答 e
解説:
  T1強調像にて両側の淡蒼球が対称性に高信号を呈している。T1強調像にて両側淡蒼球が高信号を呈するものとしてはこれらの選択肢の中ではe.肝硬変症が考えやすい。(副甲状腺機能低下症やFahr病は基底核などに対称性に石灰化をきたす。軽度の石灰化ではT1強調像で高信号をきたしうる。また神経線維腫症1型でも過誤腫によりT1強調像で高信号をきたしうる場合があると思われるが、病変部位、年齢や頻度などから最も考えやすいのはe.肝硬変症と思われる)

13.解答 d
解説:
 右小脳橋角部を主体として嚢胞性病変が認められる。病変の内部はT1強調像、T2強調像ともに比較的均一な、CSFに比しやや高信号を呈しているようである。
 造影後T1強調画像では増強される部分は認めがたい。くも膜嚢胞と類上皮腫との鑑別が問題になる。腫瘤内部がCSFよりやや高信号を呈していることや、その部位からd.類上皮腫を最も疑う。Diffusion imageが鑑別に役立つと思われる。

14.解答 a
解説:
 左上顎洞に病変がみられる。病変の外側部分は増強効果がみられず、MRIの信号からも液体貯留と考えられる。病変の内側部分は、増強効果はみられるが軽度であり、この部分には単純CTにて石灰化様の不整形の高吸収がみられる。T1強調像では外側の液体部分と同程度からやや低い信号を呈し、T2強調像では低信号を呈している。左上顎洞内側壁は破壊されているが、前壁や外側壁は対側に比し肥厚している。この壁肥厚からは慢性炎症の存在が示唆される。病変は炎症性疾患が考えやすく、内側部分は単純CTやMRIのT2強調像からは菌球(菌腫)と考えられ、a.真菌性副鼻腔炎を最も疑う。
参考文献
Hahnel Ertl-Wagner B, et al. Relative value of MR imaging as compared with CT in the diagnosis of inflammatory paranasal sinus disease. Radiology 210: 171-176, 1999

15.解答 a,c
解説:
 両側の涙腺が対称性に腫脹している。眼球や外眼筋や骨への進展はないようである。両側の涙腺が対称的に腫脹する疾患としてはa.Mikulicz病とc.サルコイドーシスが考えられる。Mikulicz病は慢性リンパ性白血病,悪性リンパ腫,サルコイドーシス,結核,梅毒など種々の疾患により,唾液腺,涙腺が二次的に慢性,無痛性,対称性の腫脹をきたしたときの臨床用語とされている.
参考文献
最新医学大辞典 第2版 医歯薬出版

(以上11〜15は佐賀医科大学・徳丸直郎会員)

16.解答 b
画像所見
 正面、側面像ともに脛骨遠位骨幹端に硬化縁を有しない境界不明瞭な骨透亮像を認める。
 正面像で脛骨内側の骨皮質に単層の骨膜反応を認める。
診断へのプロセス
a. 誤:疲労骨折は正常骨に対し通常加わる外力が繰り返されることで生じる顕微鏡レベルでの骨折である。大腿骨頚部・骨幹部遠位、脛骨近位部・中部・遠位部といった加重のかかる部分に好発し、単純X線上、水平あるいは斜走する骨硬化像として認める。
b. 正:あらゆる年齢、部位で起こりうる。単純X線上はexpansileな骨透亮像として認める。硬化縁を伴うこともあれば伴わないこともある。また骨膜反応(periostitis)が見られる。
c. 誤:子供でよく見られ、30歳より上の年齢ではまれである。無症候性であり、単純X線写真上、長管骨骨幹端に偏心性に存在し薄い硬化縁を有する溶骨性病変として認める。骨膜反応は見られない。たいていの症例は自然治癒する。
d. 誤:子供でよく見られ、30歳より上ではまれである。単純X線上多彩な像を呈する。Aggressiveな浸潤性病変のように見えることがあり、層状の骨膜反応を示したり、軟部組織に腫瘤を形成したりしてEwing肉腫や骨髄炎との鑑別が問題となることがある。
e. 誤:原発性悪性骨腫瘍のなかで最も頻度の高いもの。長管骨の骨幹端に好発し、30歳以下、特に思春期が好発年齢である。様々なtypeに分類されるが、conventional osteosarcomaが最もよく見られるものである。急速に増大し、単純X線上、浸透性の骨破壊パターンを示す。骨皮質を破壊して骨外腫瘤を形成し、sunburstあるいはCodman's triangle patternと呼ばれる激しい骨膜反応を認める。
*印刷上の問題かもしれませんが呈示されている単純X線写真がもう少しclearであれば受験者にもわかりやすく解答も容易なのではと思います。

17.解答 e
画像所見
左上腕骨近位骨幹端に地図状の石灰化と溶骨性変化を認める。病変の境界は不明瞭である。骨皮質に破壊はなく、骨膜反応は見られない。周囲の軟部組織に腫脹はなく、骨外腫瘤の形成を認めない。
診断へのプロセス
a. 誤:慢性骨髄炎は単純X線上、溶骨性、硬化性変化の入り混じった様々な像を呈する。骨皮質の肥厚や骨膜反応を伴う。またBrodie膿瘍として認めることもある。病変の中心部にdenseな孤発性の骨≒腐骨(血液供給を絶たれ壊死した骨)を認めることがあるが必ずしもそうではない。
b. 誤:骨壊死は虚血に基づく骨および骨髄の細胞死である。骨梗塞は骨壊死と同等の病態を示す用語の一つである。骨幹や骨幹端の病変に用いる。単純X線上は蛇行した骨硬化縁を有する地図状病変として認める。原因として外傷、血液疾患(鎌状赤血球症など)、ステロイドなどが挙げられる。
c. 誤:線維性骨異形成は単純X線上、溶骨性、硬化性、膨隆性、多発性と様々な像を呈する。古典的にはground _ glass or smoky appearing matrixと記されてきた。悪性腫瘍との鑑別が困難な場合があるが、骨膜反応を見ることはない。単発性であることが一般的だが多発性に見られることもある(McCune-Albright syndrome)。
d. 誤:骨軟骨腫は軟骨帽(cartilaginous cap)を有する骨性隆起である。外骨腫(exostosis)ともいう。母床となる骨の骨皮質、骨髄との連続がある。長管骨骨幹端、特に膝に好発するがあらゆる部位に起こりうる。若年者に発見されることが多い。1-25%で軟骨肉腫への悪性転化があるので注意を要する(疼痛、腫脹、腫瘤の増大、軟骨帽の肥厚など)。
e. 正:軟骨肉腫は中心性と末梢性に大別される。中心性はde novoに発生する場合と骨軟骨腫から発生する場合がある。末梢性のものはほとんどが骨軟骨腫から起こる。好発年齢は30-60歳台で若年者には稀である。好発部位は長管骨、骨盤骨、肋骨、肩甲骨である。ほとんどの軟骨肉腫は低悪性度であり内軟骨腫と類似した所見を認めることが多い。単純X線上、低侵襲性で地図状の形態を示し、移行帯は狭いが硬化縁を持たない。軟骨基質を反映しsnowflakeもしくはamorphousな石灰化を認めるが、なかには石灰化に乏しいものもある。
 溶骨性変化と造骨性変化が混在する疾患の鑑別を問う問題。個々の疾患の単純X線的特徴をしっかりと把握しておくことが大切である。選択肢はどれも紛らわしいものであるが、d.は明らかに間違いであろう。

18.解答 a,d
画像所見
 腓腹筋内側頭と半膜様筋の間から背側方向へ突出する嚢胞性病変を認める。この病変はあたかも関節包に連続するかに見える。T1強調およびT2強調矢状断像で内側半月板後角が明瞭に描出されていない。大腿骨内側かの関節軟骨下にはT2強調横断像および矢状断像で類円形の高信号域を2個認める。関節液の貯留があり、軽度の滑膜肥厚もあるが関節面に破壊はなく保たれている。
診断へのプロセス
 成人に発症する単関節炎(症)に関する問題である。b,eともに著明な滑膜増生やそれに伴う骨破壊をきたすのが特徴的であるが本例では滑膜肥厚が見られるものの軽度であり、関節面はよく保たれている。内側半月板が摩滅し軟骨下嚢胞を伴っており、膝関節に生じたa.変形性関節症と考えられる。膝窩部に認める嚢胞性病変が典型的であることからd.を選ぶのは難しくないと思う。なお鑑別診断として選択肢内に挙げられているもの以外では感染性関節炎、血友病患者における関節症、絨毛性骨軟骨腫症が挙げられる。
*T2WIではなくT2*WIの誤りではないでしょうか。

19.解答 d
画像所見
 骨盤部単純X線写真で第4腰椎椎体右縁、第5腰椎椎体、仙骨、左腸骨の硬化性変化を認める。左側腸骨恥骨線の肥厚がある。頭部単純X線写真では多数の骨硬化斑を認める。外板は肥厚し辺縁不整である。
診断へのプロセス
 骨硬化性病変をきたしうる疾患の鑑別を問う問題。まず病歴よりa.は除外でき、b.は下肢の長管骨に"dripping candle wax"と形容される特徴的な骨新生をきたすことから外れる。c.は遺伝性であり少なくとも4つの型からなる混合疾患である。骨形成不全、低身長や病的骨折をきたし、重篤なもの(常染色体劣性遺伝)では肝脾腫、脳神経症状(全盲、難聴)、水頭症を合併する。単純X線上、びまん性の骨硬化を認めるが、"bone within bone appearance""sandwich appearance"と呼ばれる特徴的な骨硬化をきたすことがある。出題された症例には骨形成不全や病的骨折はなく、骨硬化のパターンがc.とは異なる。e.は肥満細胞の増殖異常によりヒスタミンが放出され様々な症状をきたす稀な疾患である。d.との鑑別が問題となるが、本例にはd.に特徴的な頭蓋骨外板や腸骨恥骨線の肥厚などbone enlargementの所見があり、病歴からもe. は除外できると考える。

 Paget病の好発部位は頭蓋骨、骨盤骨、長管骨、脊椎である。活動期と非活動期の2つの病期に分けられ、活動期には溶骨性変化あるいは溶骨/造骨性変化入り混じった像を呈し、非活動期には硬化性変化を呈する。非活動期に見られる頭蓋骨の"Cotton wool appearance"や腸骨恥骨線の肥厚は特徴的である。Paget病では難聴をきたすことがあるので注意を要する。疾患をよく知っている人ほどc.d.e.の鑑別で迷われたかもしれない。しかし本例はd.に特徴的な所見が揃っていると思えることから正解はd.としたい。

(以上16〜19は島根医科大学・福庭栄治会員)

20.解答 a,e
 頭部単純写真では、頭部は西洋梨型pear shaped(頭蓋は大、顔部は小)を呈し、矢状縫合、冠状縫合の開存、大泉門の開大を認める。胸部単純写真では、鎖骨がない!(右鎖骨は欠損、左鎖骨は低形成)。これらより診断は、cleidocranial dysostosis(鎖骨頭蓋形成異常症)。グリーンブック(Dr. Dahnert's Radiology Review Manual第4版1999年)を参照すると、常染色体優性遺伝の記載があり、aは誤り。身体の特徴として、b〜dの記載はあるが、精神発育遅滞の記載はなくeも誤り。
 本症の特徴は、各骨間、正中線部(写真をよく見ると上記以外にも下顎縫合が開存)における結合織性結合の欠陥に要約できる。Wormian bone(縫合骨)は、頭蓋の縫合内に認められる小骨を言う。これも写真をよく見ると、人字縫合から複数の線状陰影が上方に少し伸び、一部は亀の甲状となっているのがわかる。ボール&ジュール(第4版1981年では72ページ)で、もう少し良く見える。
 この問題は不得意な人の多い骨軟部領域からの出題(しかもまれな先天性疾患)で、病名がわかったとしてもその他の特徴まではなかなか覚えていないと想像されるので、正答率は低かったのではないか(私が最初にこの問題を見て全然わからなかったからそう思う訳では決してない)。しかし、テストには正解できなくとも、実際の現場では次のように振舞えば許されるのではないだろうか(こんなの知っていて当たり前と出題した先生にはごめんなさい)。
例1 頭蓋と鎖骨の特徴的な異常を手がかりにしてグリーンブックを調べて病名にたどり着く、
例2 どこかで見たことあるなと一生懸命に思い出しながら本棚に向かい、ボール&ジュールの本にその記載を見つける。

21解答 a
 単純写真では、両肺の外層(外側1/3)、下肺野優位にすりガラス様陰影(よく見ると下肺野では網状影)が広がっている。高分解能CTでは、主に右下葉背側領域に蜂窩肺を認める。その他の正常に見える領域内には、斑状すりガラス様陰影が散在している。これらの所見をまとめると、下肺野背側に優位な非区域性な分布、蜂窩肺、すりガラス陰影、同一レベル肺での不均一な所見と分布となる。
 これはUsual interstitial pneumonia(通常型間質性肺炎)の特徴そのものであり、正解はa。この問題の画像は典型的であり、画像から特異的診断が可能。問題の画像を見た瞬間に、選択肢を見ることなく、病名が頭に浮かんだだろうか。
 肺血管が透けて見える程度の肺野濃度の上昇は英語で、ground-glass attenuationというが、その日本語訳をどうするか(‘すりガラス’と‘スリガラス’)についての興味深い話を、長崎大学の林先生がされている(画像診断2000年9月号「すとらびすむす」)。そう言われるとテキストによって表記がまちまちに気が付く。執筆している人全てが自らの哲学を持って表記しているとも思えないが、名前一つがこんなに重いものとは。軽々しく言葉を使っていた自分を恥じた。

22.解答 e
 単純写真にて、右中肺野の肺門側に不均一な濃度を示す(よく見ると気管支透亮像)限局性陰影を認める。その他部位には明らかな陰影は認めない(多発病変ではない)。CTでは、右下葉の中枢側に円形陰影を認める。この陰影は、静脈瘤様に拡張した気管支の透亮像を伴う濃度の高い中心部とすりガラス様濃度の辺縁部からなる。
 選択肢を順番に吟味していくと、UIPの画像は問題21の如し。放射線肺炎も外照射ではありえない(腔内照射だったらありえるか)。肺癌(腺癌)だとすると、辺縁のすりガラス様陰影は肺胞上皮を置換するような癌細胞の発育alveolar spreadに対応するだろうが、中心部線維化に対応する領域は、実際には拡張した気管支が占拠している。細菌性肺炎は円形肺炎と解釈すると、本症例は、肺野末梢にはないことや単純写真で気管支透亮が同定できることなどが合わない(参考:三宅秀敏ほか、成人の円形肺炎の臨床および単純X線写真像、CT像の検討、日本医放会誌1999年第59巻第9号)。このように否定していくと、アスペルギウス症が残る。
 中枢性気管支拡張と言えば、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症Allergic Bronchopulmonary Aspergillosis (ABPA)が思い出される。手袋の中の指finger-in-gloveといわれる形状の粘液栓が喀出されると、拡張した気管支に含気が回復する。ABPAは、好酸球性肺炎によるすりガラス様陰影も認められることがあるらしいので、辺縁のすりガラス様陰影も一応は説明がつくか。ただ、この症例がABPAとすると、年齢や既往、免疫状態が合致しない(グリーンブック参照)。というのも本症例は、高齢者で、悪性腫瘍の術後状態、さらに放射線や抗癌剤投与を受けているかもしれないことから、免疫状態としては、軽度免疫抑制状態にあることが考えられるから。ちなみに、CTにおいて腫瘤周囲にすりガラス様陰影が取り巻いているような像は、halo signと呼ばれ、侵襲性肺アスペルギウス症invasive aspergillosisにおいて最初に記載された。侵襲性肺アスペルギウス症におけるhalo signは、出血性梗塞に対応する。
 この問題の解説を書いていて、どこで読んだかは失念したが次のような文章を思い出した。自信を持ってお勧めできない商品の説明は、奇妙な言い回しの長たらしい文章になると。解説で、あーでもないこーでもないと言っているのは、解答はズバリこれ!と言い切れない自信のなさの現われと思ってください。

23.解答a
 単純写真では、両側肺門陰影の著明な拡大を認める(肺動脈の拡張?両側肺門リンパ節腫大bilateral hilar lymphadenopathy: BHL?)。高分解能CTでは、気管支肺動脈束と小葉間隔壁の両者に粒状影、一部はすりガラス様陰影を認める。また肺野条件のみからは評価しにくいが、気管分岐部リンパ節も腫大しているようである。このようなリンパ管あるいは広義間質に沿った病変分布を示す病変には、サルコイドーシス、癌性リンパ管症、悪性リンパ腫、塵肺症などが挙がるが、BHLはサルコイドーシスを強く示唆するので正解はa。もちろんBHLは、結核、肺癌、悪性リンパ腫などにも出現しうるが、その頻度は低い。なおうっすらと見える肺動脈には明らかな拡張はなく、既存肺にも、二次性肺動脈高血圧症を来たすような蜂窩肺や肺気腫はない。

24.解答b
 単純写真にて、両側肺野に胸壁、縦隔に沿ったすりガラス様陰影を認める。高分解能CTでも、胸膜下、気管支肺血管周囲にすりガラス陰影が広がるが、この陰影は正常部とは小葉間隔壁で明瞭に境界されている。テキストの写真に通常載っているような濃厚な融合陰影こそ認めないが、上記の特徴は、BOOPに最も合致する。Nonspecific interstitial pneumonia (NSIP)やAcute interstitial pneunomia (AIP)の病変は、上下内外の分布差は示さない(実は、テキストによって少しずつ記述が異なっていたりするのだが、少なくとも本問題のような分布は示さない)。
 びまん性肺疾患の問題には必ず単純写真と高分解能CTが対になっている。出題者の意図は、単純写真で病変分布(上下内外の優位性)をおおまかに捉えてねということにあり、これが鑑別診断の第一歩となる。放射線科医の習性として、診断は絵から責めていくが、そうして下した診断が臨床所見と合致するかどうかを必ず確かめる必要がある。例えば問題24において、AIP(本態は特発性ARDS)という答えでは主訴は説明できない。

25.解答a
 上下に連続した4枚のCTにて、左上葉に、吻合部分を持つ拡張した血管を認め(拡張した流入動脈と導出静脈の短絡)、動静脈奇形とわかる。グリーンブックでpulmonary arterial malformation(PAVM, PAV aneurysmなど別名が複数個ある)を引くと、associated with Osler-Weber-Rendu syndromeと記載されて
おり、正解はa。
 胸部の出題は、日常臨床でまれならず目にする疾患である。個々については、テキストや月刊雑誌で詳しく解説されているので、必ず画像と共に確認されたい(グリーンブックには写真がないので)。

(以上20〜25は筑波メディカルセンター・塩谷清司会員)