二次試験問題解答および注釈【診断・核医学】26.〜54.

26.解答 d
解説:
 胸部写真では、右下肺野全体に広がる浸潤影が認められ、右横隔膜のlineは
消失している。
 胸部High-Resolution CTでは、比較的中枢側優位に陰影が分布しており、中枢側ではair-bronchogramをともなった均等影、末梢では小葉中心性に分布する小粒状影や分岐状構造が見られる。また、胸膜直下には小葉間隔壁の肥厚と考えられる線状影が複数認められている。さらに、胸水は提示された画像上では認められない。
 以上を踏まえて選択枝を見ていくわけであるが、どうも画像のみから診断に至るのは非常に難しい設問である。ここでは、HR-CTにて認められる陰影は、広義間質に沿って広がる陰影と解釈したい。
a. 肺梗塞:血栓、脂肪、空気、異物などが肺血管床を閉塞することにより、肺血流障害をきたし、肺組織への出血性壊死をおこす場合をいう。下肢深部静脈血栓症に起因することが多い。胸痛を伴うことがあるが、それ自体は症状を呈さないことが多い。血流障害を来した肺野に陰影が生じるときは、末梢の胸膜直下に楔状の浸潤影を示したり、胸水を伴うことが典型的な像である。
b. 肺癌:肺炎のような像を呈する肺癌の代表として、肺胞上皮癌があげられる。感冒様症状で発症し、感染の治療を施行するも無効である症例の中に、まれにお目にかかることがある。しかしこの場合、腫瘍細胞は経気道的に散布され、肺胞領域を埋め尽くすように広がることが多く、CTにて認められる小葉間隔壁の肥厚像は、認められないことが多い。
c. 細菌性肺炎:画像に示されたほどの肺炎像が認められたならば、通常の細菌性肺炎では胸水が認められることが多いと考えられる。また、43歳の女性であり、特に易感染性を疑わせる情報もないので、通常の細菌性肺炎を第一に考えるのはやや無理があるように思われる。
d. 悪性リンパ腫:リンパ路に沿って進展する病体である悪性リンパ腫には様々な分類がなされている。1)胸膜直下型(subpleural) 2)気管支血管周囲型(peribronchovascular) 3)縦隔腫瘍からの直接浸潤型(direct extension from mediastinal mass) 4)小葉間隔壁肥厚型(interlobular septal) 5)粟粒型(miliary nodular)6)すりガラス様陰影型(diffuse ground-glass) 7)肺炎型(large parenchymal consolidation) 8)腫瘤および結節型(mass and nodular)などである。
 基本的にはリンパ路に沿って進展する疾患であるので、HR-CT上は所見にその特徴が随所にみとめられる。
e. 肺出血:典型的なCT所見としては、血管気管支周囲の肺胞領域を中心として汎小葉性分布を示すすりガラス状陰影や浸潤影であり、すりガラス影の内部には網状影が認められることが多い。また、肺野の外套部はspareされていることが多い。

27.解答 d
 写真の所見で考えられるのは、aまたはbまたはdとなる。縦隔気腫および膿胸いずれも満たすものはdのみ。
解説:
a. 急性膿胸
 胸腔内に膿性滲出液が貯留した状態をいい、通常、化膿菌による胸膜表面の可能性炎症の所産である。臨床的には急性・慢性に二大別される。急性期のものでは発熱、咳嗽や胸痛などが出現することもあるが、本症に特有の症状はない。本症の確定診断は、胸腔穿刺によってのみ可能である。
b. 特発性縦隔気腫
 縦隔気腫とは縦隔洞に気体が存在することをいう。原因は自然に生じるもの、外傷、気道または食道の破裂により生じるものがある。自然に生じるものは、肺胞の破壊により空気は肺間質より肺門および縦隔に運ばれ臓側胸膜に進展する。ときに、胸腔内に破裂することもある。
c. 大動脈瘤破裂
 大動脈壁の変性による脆弱化のために壁の一部が異常に進展し、限局的に本来の太さより拡張して瘤状に見えるものを大動脈瘤という。
d. Boerhaave症候群(特発性食道破裂(腐食)、spontaneous rupture of esophagus)
 本症は1724年Boerhaaveが最初に記載した疾患である。食道壁の全層にわたる破裂であり、頻度はまれであるが、予後の不良な疾患とされている。本症は嘔吐、排便、分娩などによる急激な食道内圧の上昇が原因となって発生する。
 催吐因子として大酒、幽門狭窄、胃切除後症候群などがある。まれに怒責、咳嗽、重量挙げなどで発症する。80%以上が下部食道に発生する。破裂により食道胃内容が縦隔、胸腔内に流出し、縦隔炎、膿胸を合併する。心窩部から胸骨後部痛、呼吸困難、頸部皮下気腫が認められる。胸部X線にて縦隔気腫が認められれば本症が疑われるが、食道造影により造影剤の漏出が認められれば診断は確実である。保存的治療は無効なことが多く、できるだけ早く外科的治療を行うことが必要である。
e. Dressler症候群(心筋梗塞後症候群)
 心筋梗塞後8週以内に心膜炎または胸膜・心膜炎を生ずることがある。胸痛、発熱、心膜腔や胸膜腔への液貯留が見られる。心膜摩擦音が聴取されることも多く、心電図ではST上昇その他の急性心膜炎像、X線では心陰影の拡大、さらに胸膜炎の像が出現する。多くは予後良好である。原因は不明。

28.解答 c,d
解説:
 緊急時にいずれの検査を選択するべきかを問うた問題。
a. CTのMPR(multi-planner reconstruction)再構成:おそらく左下肺野に見られているガス像が、胸郭のものか腹腔内のものかの鑑別に用いる目的と考えられるが、すでにCTを撮像しているのでそのデータからMPR画像は得ることができるはずである。患者の負担なく画像を得ることができるので、否定する理由はない。
b. 腹部超音波検査:腹腔内の情報を得るために、簡便で負担の少ない検査法であるので、単純写真と並んでまず行われるべき検査と考えられる。
c. 腹部MRI:脳虚血性疾患の早期診断にMRIが使われることはある。しかし、緊急時に腹部の情報として知りたいことは、臓器の損傷の有無や、消化管の穿孔、破裂などに伴うfree airの有無などであるので、CTをすでに撮像しているこの場合、MRIは必要性がないと考えられる。
d. 消化管造影:消化管の破裂、穿孔などを知る目的とすれば、単純写真、CTを撮像しているので必要性はないと考えられる。
e. 血管造影:左側肋骨の一部に、骨折を疑わせる骨皮質の連続性の消失を認めており、これを骨折と考え、左胸水が血性のものであると仮定すると、末梢(肋間)動脈からの出血の有無の検索、同時に治療を目的とした血管造影が選択される状況は、十分に考えられる。ただ、患者のvitalなど詳しいデータが記載されていないので、ここまで考えるのはやり過ぎか?

29.解答 d
解説:
 胸部単純写真では、両側肺野に比較的大きな腫瘤状陰影が認められ、右中肺野には楔状の浸潤影が見られている。また、左のCP angleには鈍化が見られ、左横隔膜のlineは不明瞭になっている。
 胸部CT肺野条件では、右肺野の末梢に浸潤影、均等影が認められ、内部にはair-bronchogramを伴っている。辺縁部では軽度のスリガラス状陰影と小さな結節影が見られている。また、縦隔条件では比較的densityの低い浸潤影の中に、造影された血管影が認められている(Angiogram sign)。さらに背側にはごく少量の胸水が疑われる。
 以上を踏まえて選択枝を眺めると、肺野に均等影を示しにくい疾患を選ぶと良いようである。
 ウィルス性肺炎では気管支血管周囲間質の不整増強像や気管支壁の肥厚像が主で、末梢肺野の網状陰影やKerleyのB lineが認められるものもある。肺胞性病変を伴う場合は、斑状の陰影がこれらに加わる。よって、均等影はatypicalであり、この選択枝を選ぶのが適当と考える。

30.解答 a
解説:
 乳腺US:腫瘤は辺縁不整で、内部エコーはやや不均一な低エコーを呈している。また、後方エコーの減衰を認め、US上は典型的な硬癌の所見と考えられる。
 マンモグラフィー:高品質を要求されるマンモグラフィーであるが、今回提示された写真で診断に至るのはやや至難の業と考えられます。硬癌とすれば、やや高濃度を呈する辺縁不整な腫瘤を認め、スピキュラ、微細な石灰化の集簇像などが確認できるはずである。
a. 硬癌:不整形、辺縁粗雑、境界不規則帯状、内部エコー粗雑、不均一、微小石灰化、後方エコー減弱(不変)、縦長、sonographic spiculationを特徴とする。必ずしもこれらの特徴をすべて備えているわけではないが、いくつかの特徴を備えていればその可能性は高い。
b. 線維腺腫:整形、境界明瞭、後方エコーは一般的に増強する。外側陰影は著明にあることもないこともある。粗大な石灰化を伴うことも多い。
c. 葉状腫瘍:辺縁平滑で境界明瞭、分葉状発育し、内部に嚢胞性変化を有し後方エコーの増強を認める。
d. 粘液癌:形状整、辺縁平滑、境界エコーは線状ないし認めない。ムチンの貯留によりエコーの減衰が少なく、後方エコーは増強する。
e. 膿瘍:病期によって異なるが、膿瘍腔、貯留物(膿)、周囲の炎症性変化で構成されている。典型的には内部の膿の部分は無〜低エコー、周囲の炎症性細胞浸潤は高エコーを呈し、全体として二重構造を示す。単房性もあれば多房性もある。内部にガス像を認める場合もあり、ガスの部分は高エコーとなる。

(以上26〜30はりんくう総合医療センター・三原直樹会員)

31.解答 c
画像:腹部大動脈造影DSA
画像所見:腹部大動脈遠位部に数珠状の狭窄を認める。両側腎動脈起始部も狭窄している。左腎動脈末梢の異常は明らかでない。
診断プロセス:経過から炎症性疾患(含む膠原病)が疑われ、大型〜中型の血管狭窄を来たす疾患はaの高安動脈炎(大動脈炎症候群)である。
鑑別診断:血管炎は疾患により侵す血管の太さに特徴がある。cの結節性多発動脈炎は小型〜中型の筋性動脈炎である。dの側頭動脈炎は高安動脈炎と同様に大型〜中型血管炎であるが、腎動脈病変はまれで、名前の由来の通り側頭動脈を冒すのが特徴であって積極的に選ぶ理由はない。eのBehcet病は臨床的に鑑別可能であるが、動脈と静脈両方の血管炎を生じ、網膜と脳の血管の血栓閉塞や動脈瘤を特徴とする。
bの線維筋性異形成は血管炎ではないが、中小の動脈とくに腎動脈に狭窄と拡張
の数珠状変化を特徴とする。腎血管性高血圧の原因となるが、発熱はきたさない。

(31は篠ノ井総合病院・長谷川実会員)

32.解答 b
 川崎病の既往のある患児の胸部単純写真の所見を問う問題である。
 川崎病は4歳以下の小児に多く、主要6症状(発熱・頸部リンパ節腫大・不定形発疹・両側眼球結膜の充血・口腔口唇の変化・四肢末端の変化)の他に心合併症を起こすことで知られている。心合併症としては冠静脈瘤が最も有名であり、他に心筋炎、心嚢液貯留、心機能低下、心拡大などが知られている。晩期の変化として冠動脈瘤に石灰化を伴う事実は広く知られており、川崎病患児の経過観察時の重要なチェックポイントの一つである。
 症例の胸部単純写真では、心右縁のやや内側、脊椎のやや外側に微細な線状の石灰化が認められる。部位的に右冠動脈に一致する部位であり、急性期の右冠動脈瘤に石灰化を伴ったものと考えられる。回旋枝や前下行枝は走行部位が一致しない。心室瘤や収縮性心膜炎の石灰化とは明らかに異なっている。

(32は獨協医科大学・河野達夫会員)

33.解答 d
画像:上腹部造影CT
画像所見:胸腰椎固定術後の変化として胸椎椎弓後方に金属シャフトと椎体にスクリューが認められる。腹部大動脈と思われる造影効果が認められ、その左背側にほぼ同じサイズで辺縁が軽度不整な大動脈内腔とほぼ同等のエンハンスメントを認める。スライス面で腹部大動脈の内腔と明らかに連続しているとはいえない。
 横隔膜の背側で椎体の周囲に軟部組織濃度が認められ、上記の大動脈左背側のエンハンスメント周囲に及ぶ。スライス面での腹部大動脈のサイズに異常はなく、壁の肥厚・異常な壁のエンハンスメントは認めない。
診断プロセス:選択肢から大動脈瘤の鑑別ということで発熱と背部痛を伴う嚢状の動脈瘤ということになるが、大動脈左背側のエンハンスメントは造影剤の血管外漏出すなわち仮性動脈瘤の可能性がある。aのマルファン症候群は大動脈壁の脆弱性から拡張、解離を来たす。bの炎症性腹部大動脈瘤は非感染性という意味と思われるが、血管炎を除いてどのような疾患あるいは病態なのか良くわからなかった。cの梅毒性の大動脈瘤の典型は上行大動脈の嚢状瘤が一般的である。dの感染性動脈瘤は真菌その他、微生物による動脈瘤であるが、血行性と隣接臓器からの炎症の波及という二つの経路がある。eの側頭動脈炎は大動脈にも炎症が及ぶことがある。
解答:ここでは消去法で解答するが、椎体周囲の軟部濃度や術後発熱という急性の経過などを考慮して椎体周囲膿瘍から感染性大動脈瘤を生じたと考えてdを選ぶ。

34.解答 b
画像:胸部X線正面像
画像所見:両側肺動脈の拡張が目立つ。肺野の血管影は増強しており、肺血流量の増加を認める。心陰影の拡大があり、心尖部は左下方向きで形態は左心系のパターンである。大動脈弓部は正常か、小さい。
診断プロセス:確実な所見は肺動脈の拡張と肺血流量の増加でbの心房中隔欠損症(成人発見例)以外に答えはない。心房中隔欠損症では左心室、大動脈弓は小さくなる。心拡大のパターンは心臓の向きによっても変化するため、当てにならない。
鑑別診断:肺血流量の増加を来たす疾患には一般に左右短絡をきたす動脈管開存症、心室中隔欠損症、心内膜床欠損症がある。肺動脈の拡大は肺動脈弁狭窄症の狭窄後拡張で見られる。

35.解答 d
画像:造影胸部CT(弓部やや尾側、左心室レベル)
画像所見:胸部下行大動脈に解離を認める。頭側のイメージで上行大動脈の解離は明らかでない。偽腔に造影効果を認め、血栓閉鎖型ではない。Stanford BまたはDeBakey III 型の大動脈解離である。
これを間違えるとそれだけで不合格になるのではないか??

(以上33〜35は篠ノ井総合病院・長谷川実会員)

36.解答 d
 新生児の仰臥位正面像での気腹の所見を問う問題である。
 腹腔内に多量のfree airが認められる。Free airの存在により、臍静脈(肝鎌状靱帯:falciform ligament)と臍動脈(臍靱帯)の周囲に空気が入り込み、これらが単純写真では白く取り残されたように見える。前者をFaciform ligament sign、後者をInverted V signと呼ぶ。また腹腔内全体に貯留した空気がアメリカンフットボールのような形態を呈し、肝鎌状靱帯がボールの縫い目のように見えるため、これをFootball signと呼ぶ。
 気腹のない時には、隣り合う腸管内腔のガス像同士は腸管壁2枚分の厚さで接するが、気腹があると腸管内腔のガスと腹腔内のガスによって腸管壁が1枚分の厚さで描出される。これをDouble wall signあるいは発表者の名をとってRigler's signと呼ぶ。
 Dog's ears signは外側傍膀胱窩に液体が貯留した時に、膀胱陰影の上外側に犬の耳のように認められる像をいう。
 よってa,b,c,eは正しく、dが誤りである。

37.解答b
 いわゆるDouble bubble signについて、その基礎疾患を問う問題である。
 症例の腹部単純写真は典型的なDouble bubble signを呈しており、complete duodenal obstructionの診断は容易である。Duodenal atresia患者のうち25%はDown症候群(21-trisomy)であり、21-trisomy患者のうち数%はduodenal atresiaを合併している。
 21-trisomyの合併奇形として、心室中隔欠損や心内膜床欠損などの心疾患、食道閉鎖・気管食道瘻・鎖肛・中腸回転異常・Meckel憩室などの消化管疾患、泌尿器奇形・脊椎奇形などが知られている。
 血液疾患としては、Transient abnormal myelopoiesis(TAM), 白血病(特にAML-M7)などの合併が多いが、血友病が多いという記載はない。
 よってa,c,d,eは正しく、bが誤りである。

38.解答 a
 乳児のair trappingを呈する疾患の問題である。
 症例の胸部単純写真は両側横隔膜が平坦化し、低位にある。心胸腺陰影はやや狭くなっているように見える。問題では正面像しか与えられていないが、側面像では横隔膜の平坦化がより明らかではないかと推測される。肺野には明らかな異常所見を指摘できない。
 乳児でair trappingを呈する疾患として、末梢気道の攣縮あるいは狭小化を呈する疾患、すなわち気管支喘息、喘息様気管支炎、急性細気管支炎、急性気管支炎などが挙げられる。扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎などの上気道疾患は通常はair trappingを呈することはない。
 気道異物は異物の存在する部分でのチャックバルブ機構によりair trappingを呈することがある。通常は気管支異物であり、患側肺のair trappingを呈する。またその変化は特に呼気撮影で著明になる。気管内異物であれば両側のair trappingを呈しうる。
 よってb,c,d,eは正しく、aが誤りである

39.解答 c
 乳児の肋骨病変の鑑別を問う問題である。
 写真ではわかりにくいが、設問に「肋骨先端部の腫張」とある。いわゆるcostochondral junctionのbulbous enlargementと思われる。乳児でこれを示す疾患は、くる病、壊血病、achondroplasiaである。
 被虐待児症候群では発症時期の異なる多発性の骨折が特徴である。ネグレクトの結果としてビタミン欠乏を起こし、くる病や壊血病を呈する可能性もあるが、考えすぎであろう。先天性骨形成不全症でも多発性の骨折が認められ、軽症型では胸部単純写真のみでは鑑別困難な場合がある。先天性梅毒は両側対称性の骨幹端の骨透亮帯と骨破壊像、骨膜炎による骨膜反応が特徴的である。脛骨近位内側骨幹端の骨破壊像はWimberger's signと呼ばれ、診断的である。正常変異でも肋骨先端部は丸みを帯びてやや太く見えるが、その程度で判断すべきと思われる。
 よってcは正しく、a,b,dは誤りである。eも誤りとする。

40.解答 d,e
 膀胱尿管逆流(VUR)の基礎知識を問う問題である。
 写真AのIVUでは、左腎盂・尿管の拡張、腎杯の鈍化が認められる。右側は正常と思われる。写真BのVCUGでは、左側に膀胱尿管逆流が認められ、腎杯は鈍化しており国際分類grade V、厚生省分類grade IVと考えられる。小児特に乳児期の尿路感染症の基礎疾患として、最も重要かつ高頻度に見られる疾患である。
 VCUGの具体的検査法としては、経尿道的に無菌的にカテーテルを挿入し、15〜20%程度に希釈した造影剤を静水圧によって透視下で注入する。その後間歇的に透視下で逆流の有無を確認する。逆流は排尿時にのみ見られることがあるため、膀胱充満後にカテーテルを抜去して排尿時の観察を怠らないようにする必要がある。また特に男児では同時に尿道の観察も必須である。
 設問にある「核医学検査」のみでは内容がわからず不十分で、核医学検査の内容を具体的に明示すべきであった。VUR検出のためのアイソトープによる排尿性膀胱造影を意味しているのであれば、X線透視下の膀胱造影よりは被爆量が少ないとされている。しかし近年は核医学検査による膀胱尿管逆流の検査は一般的でない。レノグラム、あるいは99mTc-DMSAシンチのことを指しているとしても、一般的にはX線透視下のVCUGよりは被爆量は少ないとされている。
 よってeは正しく、dも正しいとする。a,b,cは誤りである。

(以上36〜40獨協医科大学・河野達夫会員)

41.解答 d
 造影CTにて十二指腸球部から下降脚にかけての全周性の壁肥厚を認める。肥厚した壁の造影効果は均一である。病変に接してその頭側には正常の胆嚢を認める。
 また、図aには膵尾部が一部描出されているが膵管の拡張は伴っていない。以上の所見から胆嚢病変や腫瘤形成性膵炎は否定的であり十二指腸をび漫性に侵す疾患が鑑別にあがる。十二指腸結核は稀な疾患であり、本邦での好発部位は上行脚および水平脚である。潰瘍が主体のことが多く、狭窄は3cm以内のことが多い。以上の点から考えにくい。腹部所見で12cm大の腫瘤とあるが、癌にしては狭窄所見に乏しく、画像上も造影効果が均一で考えにくい。消化管悪性リンパ腫も稀な疾患であるが、好発部位は球部から下降脚であり、diffuse type の悪性リンパ腫であれば、比較的広範囲で均一な染まりを呈していても矛盾はない。
 以上から、悪性リンパ腫を第一に考える。

42.解答 b
 造影CTにて右下腹部に壁の肥厚した管腔構造を認め、内部に液面形成が描出されている。図bをみると比較的全周性の壁肥厚を認めており、図cには糞石様の結石陰影も認める。部位的には回盲部周辺であり、クローン病やベーチェット病、メッケル憩室の炎症なども鑑別にあがるが、全周性の変化および結節陰影の描出から壊死性虫垂炎を第一に考える。胆石イレウスは胆石が、小腸に嵌頓して起きる病態のため病変の中心に胆石が描出されるはずであり、本症例では口側の腸管の拡張も著明ではない。

43.解答 e
 T1WIでは肝門部にlow signalな帯状の陰影を認め一部出血と考えられるhigh signal spotを伴っている。T2WIではT1WIで指摘の部位が軽度high signalを呈し、それに沿って末梢側に胆管と考えられる線状のhigh signalを認める。病変の広がりの割には胆管の拡張が目立たない。CTAP像では正常の門脈が描出されておらず、肝実質は肝門側から不均一に染まっている。以上の所見から肝細胞癌に門脈塞栓を合併し、側副路により門脈血流が肝に流入している像と考えられる。

44.解答 a,e
 まず、画像の説明であるがCTAPで肝右葉S5と後区S6の境界辺縁、胆嚢底部近傍、およびS4の辺縁にLDAを認める。CTHA早期では同部がHDAとして描出され、後期ではやや不明瞭になってきている。形態はいずれも明瞭な結節影ではない。
 古典的な肝細胞癌の場合は、CTAPでlow、CTHAで造影され、後期に造影剤がwashoutされて再びlowになる結節影が典型的である。CTAPでlow、CTHAでhighとなる部位は、門脈還流が減少し、肝動脈優位となっている部位でHCCやAPシャント以外でも静脈還流の変位でも認められる。このうち、異所性右胃静脈還流領域はS4の背側、accessory portal system of Sappey(肝円索と鎌状靱帯の内部を走行し、上腹壁静脈および内胸静脈に吻合する。)は鎌状靱帯に接する部位であり本症例の分布とは異なる。胆嚢静脈の還流の変位は胆嚢静脈の一部が門脈右枝にではなく胆嚢床肝実質に直接環流または、肝門部のparabiliary venous plexusに合流後に肝実質に環流するもので、後者の方が濃染の時期がやや遅れる。また、直接類洞に環流する型(direct sinusoidal-filling type)では強い不整形の濃染、末梢門脈枝に吻合する型(venon-portal anastomosis type)では淡く境界明瞭な類円形の濃染を示す。肝実質の胆嚢静脈還流閾は門脈血が環流しにくく脂肪肝では限局性低脂肪化閾(focal sparing)が生じる。APシャントはやはり、肝辺縁に多く、CTHAにてくさび形に造影される。以上から、本症例でもっとも当てはまるのはAPシャントと胆嚢静脈の還流異常と考えられる。

45.解答 d
 低から中分化型肝細胞癌はCTHAでhigh、CTAPでlowが特徴であり、FNHも早期から濃染する。高分化型肝細胞癌は門脈血流支配のためCTHAでは染まらず、CTAPで染まり、腺腫様過形成との鑑別が必要である。このパターンを選択枝に当てはめると左葉内側区は中分化型の肝細胞癌、外側区は腺腫様過形成となる。

(以上41〜45は埼玉県立がんセンター・野津 聡会員)

46.解答 c
 肝左葉外側区域にT1WIでlow,T2WIで内部high intensityで辺縁部はlow intensityを呈する腫瘤が認められています。Gd造影では辺縁部が強く造影効果を受けています。
 肝細胞癌にしては造影が辺縁部のみで否典型例です。
 肝嚢胞にしては壁が厚すぎます。
 肝血管腫やFNHもT2WI像や造影パターンが異なります。
 この中では胆管細胞癌が最も考えられます。

47.解答c
 肝左葉概則区域に腫瘤を認めています。Dynamic CT早期相では良好な造影効果を受けており中心部には中心瘢痕様の構造物が認められています。造影後期相ではこの中心部の瘢痕様は造影効果に乏しいのですが、血管造影像ではspork wheel patternを呈しています。central scarと考えました。また、無症状の若年女性ということもFNHと合致します。

48.解答 d
 胆嚢壁内にMRCPで多数の高信号の構造物が認められています。RAS(Rokitansky-Aschoff sinus)が描出されています。胆嚢腺筋症です。

49.解答 a
 腫瘍の存在部位ですがCTやMRIから膵頭部と考えられます。ここで肝血管腫や胆管嚢胞腺癌は否定的。次に膵疾患を考えると腫瘍はMRIより内部に水成分を有しているがCT上は早期相で淡く造影効果を受けるsoft tissue成分も有しているようです。このCTのみでは不明瞭ですが膵管の拡張も無いようですし嚢胞のみでもないようです。嚢胞腺癌(腫)が最も考えられるのでは。

50.解答 c
 膵頭部に、造影CTでlow densityを呈し内部は隔壁様構造を有する腫瘍が認められます。MRIではT2WIでvery high intensityを呈しておりMPDの拡張も無いようです。血管造影像でmassのvascularityも高くありません。主要血管のencasementも認めていません。膵しょう液性嚢胞腺種が最も考えられます。

(以上46〜50は国立神戸病院・森田吉多佳会員)

51.解答 c,d
・造影CT(門脈相)で膵頭部に境界明瞭で大きな腫瘤が描出されている.その内部の外側部に血管と同様の強い造影効果を示す領域を内包している.その周囲は筋肉と同程度の濃度を示している.
・「大酒家」,「腹痛繰り返し」→膵炎反復の既往?
「気分不良」→血圧低下?→出血??
・膵炎に伴って膵頭部に仮性動脈瘤を形成し出血を来したと推察される.
・従って,
a. 誤
b. 誤
c. 正:そのまま塞栓術を考慮すべきである.
d. 正
e. 誤

52.解答 c,e
・造影CTで膵全体がびまん性に腫大している.内部の造影効果はほぼ均一だが辺縁部〜膵周囲で低濃度域が目立つ.石灰化は明らかでない.
・特に暴飲暴食等とは関連のない「腹痛」→急性膵炎ではない?選択肢から考えても自己免疫性膵炎の診断を求めていると考えられる.
・ 自己免疫性膵炎とは…
 中高年の男性に多く,軽度の膵炎症状,時に閉塞性黄疸を伴う.膵腫大(US,CT,MR),下部胆管の狭窄像と上部胆管の拡張像(ERCPなど).ステロイドが著効,自然軽快含め予後は比較的良好,膵石や嚢胞の形成は少ない.合併疾患は糖尿病,自己免疫疾患(Sjogren症候群,原発性硬化性胆管炎,原発性胆汁性肝硬変など).自己免疫性膵炎のCT像はソーセージ様のびまん性腫大,病変部の線維化を反映しDynamic CT早期相では造影効果は不十分で後期相におけるdelayed enhancementが特徴とされる.膵周囲にcapsule like rimが見られることがあり膵周囲の脂肪織に波及した炎症と線維化がその原因とされる.
(土岐文武他.自己免疫性膵炎とその周辺.消化器画像2002;4:11-95)
・従って,
a. 誤
b. 誤
c. 正
d. 誤
e. 正

53.解答 d
・ MRI in-phase imageでは肝臓よりやや低い信号強度の腫瘤が「右」副腎に認められる.MRI opposed-phase imageでは同腫瘤の信号の低下が確認できる.
・右副腎腫瘤は脂肪含有量が多く,皮質腺腫であることが示唆される.
・従って,
a. 誤:低吸収値を呈する.
b. 誤
c. 誤
d. 正:非機能亢進性腺腫(silent adenoma)では腺腫はhot noduleを呈するがhot noduleのみ描出される場合と同側・対側の副腎組織が描出される場合がある.(中條政敬:副腎皮質シンチグラフィ,最新臨床核医学.p373-382,金原出版,東京,1999)
e. 誤:肝実質の脂肪に影響を受けると考えられる.

54.解答 a
・ 単純CTでは両側の副腎が腫大し過形成を示している.MRIT2強調矢状断像では子宮の同定が困難である.会陰部では陰核の肥大が疑われる.
・ 先天性副腎皮質過形成(副腎皮質症候群)が示唆される.
・ 先天性副腎皮質過形成とは…
 コルチゾールとアルドステロンの合成に関与する21水酸化酵素の欠損が原因.これらのホルモンの欠乏症状が起こる.一方,feed back機構によりACTHが過剰分泌され全身の色素沈着などの他に副腎皮質の過形成を来し,副腎性アンドロゲンが過剰産生される.女児では男性化(陰核肥大,陰唇癒合,共通泌尿生殖洞など),男児では性早熟を来す.1988年から新生児マススクリーニングが行われている.(田苗綾子他:専門医による小児内分泌疾患の治療,診断と治療社,東京,1997)
・従って,
a. 正
b. 誤:Cushing病の場合と同様で両側に取り込まれる.
c. 誤
d. 誤
e. 誤

(以上51〜54は群馬大学・小山佳成会員)