二次試験問題解答および注釈【放射線治療】1.〜27.

1. 解答 b,e
診療録等の電子保存に関する厚生省通知文章の基準(平成11年4月22日)参照
a. 誤:「故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。」となっている。
b. 正
c. 誤:「情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること」あるいは「情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること」とあるが、ピクセル数値の記載はない。
d. 誤:「法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。」と記載されている。
e. 正

2. 解答 a
アイソトープ法令集2001年版p241〜告示(放射能を放出する同位元素の数量等を定める件)参照
a. 誤:1.3 mSv/3月
b. 正
c. 正
d. 正
e. 正
b,cはいわゆる「放射線管理区域内」に相当する。他の場所に関しては個別に規定されている。

3. 解答 c,e
アイソトープ法令集2001年版規則20条(p110〜)参照
a. 誤:女子に関しては妊娠不能と診断された者及び妊娠の意志のない旨を使用者、販売業者、賃貸業者又は廃棄業者に書面で申し出た者を除き、腹部における外部被ばく測定が定められている。
b. 誤:頭部およびけい部から成る部分が最大被ばく部位になるおそれがある場合は、胸部(女子は腹部)以外に、当該部被ばくが最大になるおそれのある部位について計測すると定められてある(つまり胸プラス最大部位ということ)。
c. 正
d. 誤:管理区域内に立ち入っている間、計測する。
e. 正

4. 解答 a,d
アイソトープ法令集2001年版規則22条(健康診断)参照
a. 誤:1年を越えない期間ごと
b. 正
c. 正
d. 誤:目の検診に関する記載はない
e. 正

5. 解答 c,e
a. 誤:管電流と被ばく線量は比例する。
b. 誤:(スライス)ピッチを増やすと被ばくは減少する。
c. 正
d. 誤:この方式では、体格が小さい(透過性が良い:吸収が小さい)場合、管電流を下げるはずなので、よけいな被ばくは減少するはずである。
e. 正

(以上1〜5は国立循環器病センター・福地一樹会員)

6. 解答 d
 解説:192Irは原子炉照射で生成。

7. 解答 c,d
 解説:a.b.e.はいずれもγ線源として利用される。

8. 解答 e
 解説:ブラッグ・ピークは重粒子線、陽子線特有の物理学的特質で、その飛程の終末で最もエネルギーを放出する現象をいう。

9. 解答 b
 解説:各用語は次のように定義されている。
 ・GTV:悪性の病巣であることが明らかに識別できる全体の範囲と位置
 ・CTV:GTVとその周辺に存在するsub-clinicalな浸潤を含む組織の体積
 ・PTV:すべての位置的変動(臓器の動き、set-up の誤差など)の影響を考慮して、CTVに予定線量を投与する範囲
 ・Treated volume:放射線腫瘍医により、治療の目的を達成するのに最も適当であると選ばれ決定された等線量曲線に囲まれた体積
 ・Irradiated volume:正常組織の耐容の点から、有意であると考えられる線量が照射される組織の体積

10. 解答 a

(以上6〜10は広島大学・木村智樹会員)

11. e(もしくはc)
 解説:電離箱型線量計で線量測定を行った際、aおよびbは温度気圧補正係数(大気補正係数)によって補正をする。また、cは漏洩電流、dはイオン再結合損失の原因となるため、影響を最小限とするために測定条件を検討する必要がある。電離箱の大きさや形状もイオン再結合損失率に影響を与えるが、照射野に対して極端に大きな電離箱である場合や極小照射野での線量測定の場合を除けば相対的には最も影響が少ない。ただし、2002年に日本医学物理学会が発行した標準測定法01では、通常の条件下(湿度10-90%)では湿度による誤差は0.18%以下であるとし、補正の対象から外している。

12. 解答 e
 解説:中性子捕捉療法は、腫瘍に集積したホウ素化合物に原子炉からの熱中性子を捕捉させることにより、10B + n → 7Li + αの反応で発生する高LETのα線の効果を利用する治療で、捕捉反応の際に0.48MeVのγ線を放出している。α線の飛程は約10μmと、細胞の大きさとほぼ同じであるため、理論的には腫瘍周囲の正常組織にはほとんど影響を与えないという利点がある。

13. 解答 d
 解説:CTVは、GTV(gross tumor volume、肉眼的腫瘍体積)とその周辺に存在するsubclinicalな浸潤・転移を含む体積をいう。PTV(planning target volume、計画標的体積)はすべての位置的変動(患者の動きや呼吸などによるCTVを含む組織の動き、膀胱の充満度の違いなどひよるCTVを含む組織の大きさや形状の変動、照射野および照射方向などのビーム幾何学的特性の変動)の影響を考慮してCTVに予定した線量を投与するための幾何学的概念である。従って、dはCTVに含まれ、a, b, c, eはPTVを設定する際にCTVマージンとして考慮するべきものである。

14. 解答 b, d
 解説:Bragg peakは陽子線、重粒子線といった重荷電粒子線で見られる。LETが約100keV/μm以下の範囲ではLETが高くなるに従ってRBEは高くなるが、それよりもLETが大きい場合には電離密度が大きくなりすぎるためにかえってRBEは低くなり、overkillと呼ばれる。SH基はラジカルと反応して不活化させることによって放射線防護効果を示すため、原子核との核反応・核分裂が作用の本態である中性子線では、このような防護剤の効果はX線と比べて小さい。

15. 解答 a, b
 解説:低酸素、低pH、S期後期の細胞で一般に温熱感受性が高い。これらの細胞は放射線感受性が低いため、理論的には温熱療法と放射線治療を併用することによる相乗効果が期待できる。SLD回復には照射後2-6時間かかる。多分割照射で各照射の間隔を6時間あけるのは、正常細胞が十分にSLD回復するのを待つためである。脊髄の耐容線量は通常分割で46-50Gyとされる。

(以上11〜15は筑波大学・井垣浩会員)

16. 解答 e
 リニアックはその名称の示すごとく直線型加速管を用いている。
 ドーナツ型加速管は1940年に開発されたベータトロンに使用されていた。

17. 解答 c
 cが最も近いと思われる。

18. 解答 c,e
a. 誤:10MVX線ではbuild upにより皮膚表面付近の線量が低下するため、4〜6MVのX線または60Coを用いる。
b. 誤:最終的なエネルギーは線量分布図を見た上で決定するが、5cmの大きさであれば15MeVで十分と思われる。
c. 正:リンパ節転位の頻度が高く4〜6MVX線にて照射を開始するが、原発巣のみの追加照射においては下顎骨や唾液腺を防御するため18MV以上の高エネルギーのX線が推奨される。しかし、すべての施設でそのエネルギーを選択できるわけではなく15MVX線でも正解であると思われる。
d. 誤:4MVX線では深部の照射には不十分であり、10MV以上のX線を用いる。
e. 正:同上

19. 解答 d
a. 正:放射線感受性が低く術中照射も試みられている。
b. 正:放射線治療単独による根治照射が施行される。
c. 正:同上
d. 誤:手術を基本とし、症例によって放射線治療や化学療法を組み合わせる。
e. 正:斜台に好発し、陽子線治療の良い適応となる。

20. 解答 a,e
a. 正:拡大局所に 50Gy/25fr.。その後 10〜20Gy Boost。
b. 誤:誤:播種の頻度が高く全脳脊髄照射を要する。
c. 誤:同上
d. 誤:多発性病巣が多いことより全脳照射で開始する。
e. 正:全脳照射を行うが、テント下のものや悪性度の高いものは全脊髄照射も施行する。その際の線量は 30Gy/15fr.程度とする。

(以上16〜20は弘前大学医学部・場崎潔会員)

21. 解答 d,e
a. 誤:適応は3cm以下の腫瘍あるいは良性病巣である。
b. 誤:体積効果(volume effect)は、「生物学的に同一な現象」において、照射体積が増えるに従ってその発生確率が増える効果をいう。
c. 誤:視神経の耐用線量は低く、照射体積内に入ってしまう場合には分割照射である定位放射線治療(stereotactic radiotherapy, SRT)を用いるべきである。
d. 正:脳幹部のように重要部分には、分割加えたSRTの方が安全に施行でき副作用も少ない。
e. 正:投与線量としては1回照射で辺縁線量18〜25Gy程度を用いる。最大線量では30Gy前後と思われる。

22  解答 a
a. 正:年齢が予後因子として影響するとする報告が見られるが、局所制御率には選択枝のなかでもっとも影響が少ないと思われる。
b. 誤:化学療法併用に関する臨床比較試験ではBLMとの併用で口腔癌で、MTXとの併用で中咽頭癌で局所制御率ならびに生存率の改善が認められたとする報告を含め、併用療法が有効であるとする報告がいくつかある。
c. 誤:子宮頚癌での貧血と予後との関連はよく知られるところである。頭頚部腫瘍のうち中咽頭腫瘍、喉頭癌でも関連を示唆する報告が散見される。
d. 誤:小さな腫瘍が大きな腫瘍に比べて制御しやすいことはよく知られている。
e. 誤:頭頚部の放射線治療の急性反応として最も問題となり、対策に苦慮するのは、急性粘膜炎である。照射中の喫煙は急性粘膜炎を悪化させ、照射休止となる場合があり、治療期間の延長は制御率を低下させる。

23. 解答 a,e
a. 正:T4 頭蓋内に進展する腫瘍、および/または脳神経、側頭下窩、下咽頭、眼窩に進展する腫瘍(UICC 1997)
b. 誤:鎖骨上窩より上方の両側性リンパ節転移で、最大径が6cm以下ではN2、6cmを超えるとN3である。
c. 誤:CDDPを中心とした多剤併用療法により予後の改善が期待できるが、高い生存率が示されるわけではない。
d. 誤:上咽頭のリンパ管網がよく発達しているため原発巣のみだけでなく所属リンパ節領域にも照射する。
e. 正:晩期の有害事象に顎骨の壊死、放射線脊髄症、脳壊死がある。

24. 解答 a
 頬粘膜部として、上・下唇の粘膜面、頬の粘膜面、臼後部、上下頬歯槽溝がある。最大径が2cm以下の腫瘍はT1である。

25. 解答 e
 T1-2頬粘膜癌に対しては198Auを用いた組織内照射、部位により4-6MeVの電子線による腔内照射をおこなう。口腔癌の低線量率照射に使われる198Auは抜去の必要のない永久刺入線源であり、小さく口腔各組織の運動障害を起こさないことからリスクの高い高齢者や心肺合併症のある患者、軟部組織の薄い患者にも適している。

26. 解答 d
 198Auを用いた口腔扁平上皮癌T1-2の局所制御率は80%強とほぼ手術の成績に遜色ない。

27. 解答 dまたはa
 口腔扁平上皮癌では口腔の癌発生に前後して、同じ扁平上皮をもつ臓器である上部気道、消化管に重複癌を発生させやすい。口腔癌では重複癌の部位で一番多いのは口腔癌で、次ぎに食道癌である。

(以上21〜27は富山医科薬科大学・神前裕一会員)