二次試験問題解答および注釈【放射線治療】28.〜50.

28. 解答 c,d
a. 治療成績の低下が予想されるので何らかの対策をおこないたい。
b. 1回線量2Gyよりもやや多めのほうが成績良好のようだが、2.5Gyとなると安全性に疑問あり。
c. 延長期間の補正として6Gy/3Frの追加は妥当であろう。
d. 1日多分割照射の利点が認められるのはT2以上の腫瘍の大きな症例だが、耐容内で治療をなし得る照射法である。延長期間の補正のためにT1症例に応用することは妥当であろう。
e. 5-FUの使用量不明。
今のところ使用薬剤、使用量と合わせる放射線治療のスケジュールで定まった評価は得られてはいないだろう。

29. 解答 b
b.ルビエールにも転移することがあるので照射野に含める。
c.照射野接合部分の線量分布改善の方法。
e.もちろん、個々の症例で適応の有無を判断することが必要だが。

30. 解答 c
a.5.6%
b.39.0%
d.リンパ節転移の頻度は上記の通りで無視できず。外照射+腔内照射。
e.規約での定義では、表在癌は壁深達度が粘膜下層にとどまるもの。
 これはUICC TNM(1997)のT1となる。
 UICC TNM(1997)のT1N1M0は IIB期であり、UICC TNM(1997)の II期であっても表在癌に含まれるものがある。なお規約上、表在癌のうちリンパ節転移を認めないものが早期食道癌。

31. 解答 a,e
a. できるだけ太いバルーンを用い粘膜面から深部への線量勾配を少なくすることで潰瘍や穿孔などの晩期障害のリスクが軽減できる。
b. 一回線量、総線量いずれも多いほどリスクは高くなる。
c. T1,T2までの比較的早期の食道癌において腔内照射の有用性あり。
d. 「食道粘膜下5mmを線量評価点とする」ことが多いが、正常食道壁は2-3mm程度であり、表在癌に対して粘膜下5mmで評価が妥当かなど議論のあるところ。
e. 線量分布も不均等となり過線量、低線量のリスクが大きくなる。

32. 解答 c
 UICC TNM(1997)参照。

(以上28〜32は旭川医科大学・宮野卓会員)

33. 解答 a
 "Practice guideline on prophylactic cranial irradiation in small-cell lung cancer" IJROBP 50(20)309-316,2001 に示されたガイドラインによればLD、EDに関わらずCRとなった患者には予防全脳照射を推奨している。また、無病生存率、粗生存率ともに改善させることがメタアナリシスによって確認された。
 線量に関しては十分な確証は得られなかったが、1回線量2-3Gyで30-36Gyが良さそうである。
 タイミングに関しても十分な確証は得られなかったが、化学療法終了後早期が良さそうである。
 観察期間2年では有意な神経毒性はないとしているが長期の影響に関しては不明で、重篤な神経毒性はないものの精神測定上は影響があるようだ。

34. 解答 d,e
 臨床的基準として2つ
1. 胸部X線写真(断層およびCTを含む)が正常像であること。
2. 通常の病期診断に用いられる方法(CTを含む胸部X線写真、腹部CTおよびエコ−、脳CT、骨シンチグラムなど)によりリンパ節転移および遠隔転移がないこと。
 内視鏡的基準として4つ示されている。
1. 気管から亜区域支までに限局する。
2. 病巣の末梢辺縁が内視鏡的に可視できること。
3. 病巣の直径が2cm以下であること。
4. 組織学的に扁平上皮癌であること。

35. 解答 c
UICC TNM classification 5th edition 1997 より一部抜粋すると、
T1 2cm以下
  T1mic 微小浸潤0.1cm以下
  T1a  0.1〜0.5cm
  T1b  0.5〜1cm
  T1c  1〜2cm
T2 2〜5cm
T3 5cmを超える
T4 サイズを問わず胸壁、皮膚へ直接浸潤
  T4a 胸壁浸潤
  T4b peau d'orangeを含む皮膚浮腫、潰瘍、衛星皮膚結節
  T4c T4aとT4bの両方
  T4d 炎症性乳癌
Tisは上皮内癌
Paget病は腫瘍サイズによる

36.解答 c,d
 センチネルリンパ節は病巣からのリンパ流が最初に到達するリンパ節のことで(Sentinelとは歩哨、番人の意味である)、これを生検し転移の有無を診断することにより、腋窩リンパ節郭清の縮小、省略(腋窩温存)を目指す研究がなされている。センチネルリンパ節の同定法としては色素法とガンマプローブ法がある。
 乳房温存療法における接線照射の標的は残存乳房であり、原則として所属リンパ節へは照射しない(日本乳癌学会による乳房温存療法ガイドラインを参照)。胸骨傍リンパ節を含めようとする場合には、肺の照射体積増加および対側乳房への照射野の拡がりに注意が必要である。
 肺への照射体積を減らすためには、Half beamやHinge angle等により肺方向へのビームの流れを減らし、照射野辺縁をシャープにする手法がとられている。
 一般に照射が乳房内再発を減少させることは実証されており、海外の比較試験によると乳房内再発率は、温存手術単独で11.7〜35%、乳房照射を加えたもので2.3〜13%であり、国内の報告では再発率が低い傾向にある。一方、遠隔転移に関しては両群間で差が無い。

37.解答 c,d
 1980年代の比較試験によると手術単独群に比べ術後照射群では、局所再発は有意に減少するが生存率は改善せず、術後照射群で死因としての心筋梗塞の有意な増加が認められている(IJROBP 12 727-732,1986)。
 局所進行乳癌には必ずしも当てはまらないかもしれないが、1998年の有名なSt. Gallenn Recommendation(術後補助療法のガイドライン)によれば、リンパ節陽性の場合ほぼ全てのグループで術後補助化学療法が推奨されている。
 全身療法を併用した局所進行乳癌における術後照射に関しては、昨年出た"Postmastectomy Radiotherapy: Clinical Practice Guidelines of ASCO"を是非参考にしてほしい(J Clin Oncol 19(5) 1539-1569,2001)。ここにも引用されているDBCG 82b(1708例)やDBCG 82C(1375例)といった近年の大規模比較試験(閉経前ハイリスク患者が対象)においては、術後化学療法+照射群では粗生存、無再発生存率、局所再発率とも有意に優れていた。
 このガイドラインよると胸壁照射は必須で、鎖骨上窩照射は腋窩リンパ節転移が4個以上の時に推奨されているが、胸骨傍リンパ節への照射に関しては十分なエビデンスが得られていない。また心毒性に関しては、近年の照射技術を用いれば低いであろうが、長期には否定できないとコメントされている。
 設問のニュアンスが微妙ではあるが、近年の知見を優先すれば解答はc,dと思われる。

38.解答 b,c
 原体照射を持ってしても腔内照射をしのぐ線量集中性は得られない。また外部照射線量が50Gyを超えると副作用の頻度が増加することが報告されている。
 子宮頚癌取り扱い規約(p26)によると、A点線量に左右差がある時は少ない方の線量を用いることに取り決められている。ただし個別化が可能な現代の腔内照射においては、A点線量の意義が乏しくなり、種々線量評価の工夫が試みられている。
 高線量率に対する低線量率の線量率因子は1.7と考えられており、高線量率照射では線量率効果が大きい、よって低線量率照射であれば総線量が高く分割回数が少なく行われている。子宮頚癌標準治療(子宮頚癌取り扱い規約p27)も参照のこと。
 今までの報告によると、おおよそ線量率による治療成績の差はなく、晩期合併症も変わらない。線量率に関しては低線量率40-200cGy/時、中線量率200-1200cGy/時、高線量率1200cGy/時以上もよく問われており要チェック。
 タンデムは子宮底まで挿入する、よって子宮腔内長に合わせ通常7cm程度挿入するが穿孔しないよう最長8cmまでとし、深い場合は先端まで線源を挿入しないことがある。

(以上33〜38は東海大学医学部・秋庭健志会員)

39.解答 a
 腫瘍は頸部から膣に一部進展しており、子宮傍結合織まで浸潤していなかったことより、原発が子宮頸部である子宮頚癌であり、腫瘍は頸部を超えて膣に進展するが「一部」の表現より下1/3には達していないと読め、またparametriumまでは進展していないので、T2aとなる。CTでリンパ節腫大ないことから、N0で、遠隔転移については言及されずM0として、stageはa.のIIAとなる。FIGO分類としても、IIAとなる。

40.解答 b
 高線量率照射でIIAに対しては、多くの施設で、外照射全骨盤20〜0Gy,中央遮蔽30〜50Gy、腔内A点で24〜30Gy/4〜6分割が適応されている。選択肢中で最も典型的なのは、b.の全骨盤20Gy,中央遮蔽30Gy,腔内A点25Gy/5分割である。

41.解答 e
 シスプラチンは放射線と同時併用されるとき、
a. 正:プラチナがDNAへの活性酸素の結合を介在し、障害的に作用するという説明があり、酸素が多い酸素化細胞で強い放射線増感効果があると考えられる
b. 正;併用で平均致死線量は減少させる。
c. 正
d. 正;併用効果が認められ予後を改善させることは知られている。
e. 誤:シスプラチンの併用でも一回線量は減らさず、通常1回線量である1.8〜2Gyが使用される。

42.解答 e
 子宮頚癌IIA期の放射線治療での5年生存率は教科書的には、70〜85%であり、選択肢の中のベストではeの80%である。

43.解答 d
 子宮体癌については、
a. 正;近年疫学的に増加傾向にあり、子宮癌全体に占める割合が以前は5%程度であったが、最近では20%程度にまで増加している。
b. 正;子宮頸癌に比較して高齢者に多く、患者の70%以上は閉経後の症例である。
c. 正:糖尿病,肥満、高血圧などの患者に多いことも知られている。
d. 誤:子宮癌検診の普及とともに、多くは切除可能な十分な早期病変で発見される。
e. 正傍大動脈リンパ節は子宮頚癌とは違い子宮体癌では所属りンパ節であり、+のものは遠隔転移でなくFIGO IIIC期となる。

44.解答 c
 頸部リンパ節腫大を認めず、節外性の涙腺部のリンパ腫として最頻とされるのは、その50〜70%を占めるC.のMALT Lymphomaである。
 MALT(=mucosa associated lymphoid tissue) lymphomaとは胃、甲状腺、涙腺、結膜、唾液腺、乳腺、肺、汗腺など、そもそも正常な臓器内にリンパ組織がないところに、リンパ球が慢性的に浸潤する病態(例えばヘリコバクター ピロリ菌の慢性感染、橋本病、シェーグレン症候群など)を契機に発症し悪性度を増した病態である。Bリンパ球の反応性多クローン増殖,反応性単クローン性病変, MALTリンパ腫,そして高悪性度リンパ腫へと進展する多段階悪性化のone stepと考えられている。
 他にaのDiffuse Large B cell LymphomaやPeripheral T cell Lymphomaなどもありうる。しかし、bのDiffuse Large T cell Lymphoma、d.のNK/T cell Lymphoma、eのBurkitt's Lymphomaであることは稀であろう。

45.解答 c
 胃初発例以外では、孤立性・限局性病変のMALTに対し標準治療は放射線治療、外科的切除などの局所療法である。最も標準的な治療とされるのはcの放射線治療単独である。
 初期治療としての化学療法(a.)は一般に不要と考えられている。通常の限局例にはinvolved fieldを用いて25〜40Gy照射するRT単独でほぼ100%のCR率と95%以上の5年非再発生存率の高い治癒率が期待できる。bulkyなhigh grade transformed MALTに対してはCHOPを含む化学療法をRTと併用する場合(b)もありうるが、一般的治療法としては確立されていない。

(以上39〜45は大阪府立成人病センター・小泉雅彦会員)

46.解答 d
a. 5歳以下75%、7歳以上10%、ピーク1−2歳、5%が両側性。
b. 大半が5歳以下、半数が2歳以下。ピーク1歳以下。
c. ピーク1歳以下。
d. 10歳以下、ピーク2−4歳。
e. 大半が4歳まで、6歳以上はまれ。ピークは1歳以下。
 a,b,c,eいずれも0.1歳にピークがあり年齢とともに患児数は減少するが、dのみ0−1歳よりあとにピークがくる。

47.解答 d(b?)
a. III 期favarable histoloryおよびII-III 期clear cell sarcomaの術後とすれば、正解。残存腫瘍に対しては、10Gy程度追加。汪以外のanaplastic histology
では、18ヶ月まで(18-24Gy)、19-30ヶ月(24-30Gy)、31-40ヶ月(30-36Gy)、41ヶ月以上(36-40Gy)
b. 術後腫瘍残存に対して術後照射。1歳以上III 期、また「期の進行症例では、化学療法先行し、手術、照射の併用。線量は、National Wilms Tumor Studyの基準に準じる。一部の進行例では、術中照射の併用も試みられているらしい。
c. 肝腫大による呼吸障害などの緊急を要するとき。
d. 高リスク群で1回1.5−1.6Gy、18Gy/12Fr程度。24Gyでは成長障害、知能障害増加。
e. 全脳,全脊髄照射、1回1.5-1.7Gy、30Gy程度。局所は、総線量50Gy以上。

48.解答 d
 切除不能肝癌で治療中であり、明らかに重複癌を疑う所見なければ、b.頸椎の生検は結果により治療法が変わらず不要と考えられる。c.腹部CTも緊急性はない。
 治療により担癌長期生存者が多くなり、肝癌骨転移もよく経験するようになった。骨外に広がる腫瘤形成した骨転移もおおく、a.直ちにX線シミュレーション行わず、d.頸部CTで骨外の進展範囲を確認したほうがよいと考えられる。照射野の継ぎ目、今後の治療予定の点から、次にe.全身骨シンチグラフィーの情報があるとよいかもしれない。

49.解答 b
放射線治療管理料 1門又は対向2門照射 2700点
非対向2門、3門照射 3100点
4門以上、運動、原体照射 3400点
高エネルギーX線治療 1門又は対向2門照射 930点(310点)
2回目点数) 非対向2門、3門照射 1240点(410点)
4門以上、運動、原体照射 1580点(520点)
放射線治療管理料(常勤専門医加算) 330点
全身照射(一連) 10000点
定位放射線治療 63000点
術中照射 所定点数に3000点加算
施設基準に適合しなければ100分の70で算定

 

50.解答 a,c
a.d.  0.25Gy 以下の被爆 臨床的症状なし。
   0.5Gyの被爆    リンパ球の一時的減少。
   1.5Gyの被爆    半数が放射線宿酔。
   2−6Gyの被爆    ヒトのLD 50(30)は4Gy前後と推定される。
      第1期  1−2時間から嘔吐。1-2日続く。リンパ球減少。
      第2期  1週間後まで自覚症状なし。
      第3期  出血、造血機能障害、脱毛などが数週間続く。被爆量が多いと感染、出血で死亡。
      第4期  回復期。線量が少なければ、回復に向かう。
   10-数十Gyの被爆  被爆後数時間で強い嘔吐,下痢。1-2日は一時症状軽くなるが、再び嘔吐、下痢、発熱出現。2週間以内に腸管障害死。
   100Gy以上の被爆  全身痙攀など。1日以内に中枢神経害死。

b.2年以内と限定はできない。頻度としては、白血病が多い。

e.中性子線も含まれているが、第一の被爆源ではない。

(以上46〜50は市立旭川病院放射線科・川島和之会員)