一次試験問題解答および注釈 64.〜100.

64. 解答 c, e 
 a. 脂肪性乳腺は、乳房がほぼ完全に脂肪に置き換えられている乳腺のことで、病変が撮影範囲に入っていれば、検出は容易である。高濃度乳腺は、乳腺実質内に脂肪の> 混在はほとんどなく(いわゆる dense breastであり、病変検出率は低い。正解である。
 b. MLO(Mediolateral oblique) とは内外斜位方向撮影のことである。MLO viewでは、乳腺組織全体が最もよく表され、乳腺組織の分離が良く、ブラインドエリアも少なく、また乳房の上部外側の深部組織がよく描出される。正解である。
 c. 主訴が一側のみでも、対側との比較読影のために対側乳房も撮影する。誤りである。
 d.CC view(Craniocaudal view) は頭尾方向撮影のことである。正解である。
 e. 思春期以前の乳房のしこりは、癌の可能性は非常に低く、放射線被曝の問題もあり通常乳房撮影は行われない。誤りである。

65. 解答 b
 a. 石灰化のびまん性の分布とは、乳房全体に一定の分布傾向をもたずに散在する分布のことである。微細円形石灰化とは、1mm以下の円形または楕円形の辺縁明瞭な石灰化のことである。乳腺全体びまん性微細円形石灰化は、乳管拡張症による多発石灰化などが疑われ、良性を示唆する。(カテゴリー2)
 b.微細分枝状石灰化とは、細長い不整形の石灰化で、線状にみえるが断裂しており、幅は0.5mm以下の石灰化のことである。その形態は乳癌が乳管内に進展し、不整となった内腔を埋めていることを示唆しており、悪性を強く示唆する。(カテゴリー5)
 c. 中心透亮性石灰化とは、嚢状の石灰化のことで、通常2〜3mm 径で、表面平滑、円形あるいは楕円形で、中央透亮性である。壁が厚い場合には、脂肪壊死、乳管内デブリの石灰化や時に線維腺腫の石灰化などであり、壁が薄い場合には、嚢胞壁の石灰化であることが多い。いずれにしろ、良性の石灰化を示唆する。(カテゴリー2)
 d.乳癌の大部分は同量の乳腺実質(線維腺組織)と比べ、等濃度あるいは高濃度である。乳癌が低濃度であることはまれである。悪性を強く示唆する所見ではない。
 e. 辺縁平滑な腫瘤陰影は、嚢胞や線維腺腫などの良性の病変が多い。(カテゴリー3)
 カテゴリー分類
 カテゴリー1:異常なし(negative)、カテゴリー2:良性(benign)、カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず(probably benign, but malignancy not ruled out)、カテゴリー4:悪性の疑い(suspicious abnormality)、カテゴリー5:悪性(highly
suggestive of malignancy)

(以上64、65は中井資貴会員・国保日高総合病院)

66. 解答 c, d
 a. 誤:山田型隆起は、20mm以下がポリープ、20〜50mmがポリープと異型上皮、早期癌。50mm以上はほとんどが早期癌で少数の異型上皮があるが、進行癌は存在しない。
 b. 誤:c型大腸癌は隆起型に比べ、粘膜下層へ浸潤する傾向が強いが、当然早期癌も存在する。
 c. 正:胃には、カーペット状に小ポリープが密生する型が多い。食道には稀。
 d. 正:小腸Crohn病の典型例は、腸間膜付着側に一致して、多くは1条の長い縦走潰瘍を形成する。
 e. 誤:粘膜下層に浮腫を生じ、新鮮な肥厚をきたすための所見とされる。薬剤性腸炎でも見られる。

67. 解答 c, d
 a. 誤:腹腔内に大量の遊離ガスと液体の存在する時にみられ、腸管の粘膜面と漿膜面が分かれて識別される所見を言う。
 b. 誤:臨床的にイレウスが疑われ、腹部単純X線写真で腸管ガスがない場合、超音波検査を施行し、拡張した腸管の有無を確かめるべきである。絞扼性イレウスに注意すべき所見である。
 c. 正 
 d. 正:大腿内側、膝、股関節部に分布する閉鎖神経の知覚枝が圧迫されるため。
 e. 誤:癒着はイレウスの原因の60.8%を占める報告もあり、当然、絞扼性にもなりうる。

68. 解答 b, e
 a. 誤:肝移植後、外傷や腫瘍による肝リンパ系の閉塞や拡張、心不全によるうっ血性心不全などでも見られる。しかし、臨床的に鑑別は容易であり、急性肝炎を示す有用な画像所見である。
 b. 正
 c. 誤:左肝動脈→右胃静脈
 d. 誤:一般に造影効果を認めない。
 e. 正:陳旧化し線維成分が主体となると乏血性となり、遅延性濃染を呈する。

69. 解答 b
 a. 正
 b. 誤:造影剤は嚢胞へ流入する事はない。
 c. 正:"central dot sign"として知られている。
 d. 正 
 e. 正

70. 解答 b
 a. 正:門脈血低下に伴い,動脈血優位になることから生じる。
 b. 誤:基本的に、mosaic patternは示さない。
 c. 正
 d. 正
 . 正:経腫瘍性の動門脈シャントを指しているものと思われる。thin slice sigle level dynamic CTAを用いたUedaらの報告によると、多血性肝細胞癌を観察すると、腫瘍濃染直後に腫瘍外に連続したcoronaという濃染部が生じ、内部には樹枝状の血管が描出される。これは腫瘍周囲の門脈枝に流出した腫瘍動脈血及びそれらによる周囲肝実質の染まりと考えられる。

(以上66〜70は三船啓文会員・岡山大学)

71. 解答 a
 a. 正:壁内に黄色肉芽を反映した低吸収域を約半数に認める。
 b. 誤:Rokitansky Aschoff sinusの検出にはMRIのT2強調画像が優れ,高信号を呈することが多い。
 c. 誤:胆嚢癌(10〜20%)を高率に合併。
 d. 誤:一部は区域門脈枝,一部は類洞を介して肝静脈へ流入。
 e. 誤:描出されないことが多い。

72. 解答 d, e
 a. 誤:後上膵十二指腸動脈から分岐することが多い。
 b. 誤:隆起型,表面型,陥凹型に分類。
 c. 誤:肝内,肝外胆管にびまん性の狭窄,硬化像を認める。
 d. 正:慢性炎症に伴う萎縮が見られる。
 e. 正:

73. 解答 a, b
 a. 誤:膵管拡張と石灰化は慢性膵炎で認められる。
 b. 誤:横行結腸ガス膨満によるcolon cut-off signは,腸管が炎症などで,限局性に麻痺することで認められる。急性膵炎の時に認められることがある。
 c. 正:炎症や外傷後に続発する嚢胞性腫瘤。
 d. 正:病変部の主膵管が同定できる所見で,膵管癌との鑑別に有用なサイン。
 e. 正:主膵管にびまん性,あるいは少なくとも主膵管の約3分の1以上の範囲に狭細像を認める。

74. 解答 c, e
 a. 正:相当する
 b. 正:通常厚い被膜を有する多房性腫瘍で,内腔に突出する隆起や隔壁内の結節性病変は悪性を示唆する。
 c. 誤:中年女性の膵尾部に好発。
 d. 正:T2強調画像では著明な高信号を呈する。T1強調画像では,通常低信号であるが,粘液の濃度や血液の併存により一定しない。
 e. 誤:濃染することが多い。

75. 解答 b, c
 a. 正:後腹膜の前傍腎腔に存在。
 b. 誤:下部総胆管は,膵頭部を走行し,膵頭部後面内側へ移行後乳頭部に開口。
 c. 誤:体尾部背側を頭側に走行。
 d. 正:
 e. 正:腹腔動脈,上腸間膜動脈の分枝がアーケードを形成する。

(以上71〜75は富田直史会員・久留米大学)

76. 解答 a, e
 a. 誤:長期の水腎症では腎実質全体の造影に遅延が生じてくるが、楔状低吸収域は腎梗塞の場合に生じる所見でありこの場合は見られない。
 b. 正:腎細胞癌の約90%がhypervascularで残りがhypovascularかavasucularである。特に乳頭状腺癌は発生頻度は低いもののhypovascularで緩徐な発育ながら予後が悪い。
 c. 正:血管造影では豊富な血管増生、小動脈瘤、静脈相での渦を巻いたような血管(whorled "onion-peel" appearance)がみられる。
 d. 正:約10-30%に脳動脈瘤が発生する。
 e. 誤:急性腎盂腎炎の場合腎のsizeはほとんど正常に近いか、むしろ腫大がみられる。腎実質の菲薄化を生じるのは慢性腎盂腎炎であり、腎の全層に及ぶ限局性の線維性瘢痕が主体である。

77. 解答 d
 a. 誤:患側の腎皮質に萎縮が生じるのは長期経過した慢性水腎症の場合で、急性の場合腎腫大を生じることもある。
 b. 誤:X線陰性結石には尿酸結石やキサンチン結石があり、MRIおよびMR urographyを用いると結石自身の像や尿管内のdefect像として捉えることが出来る。
 c. 誤:結石や慢性腎炎に合併することが多いのは扁平上皮癌であり、浸潤性、悪性度ともに高い。
 d. 正
 e. 誤:X線透過結石は尿管腫瘍・凝血塊・腎乳頭壊死などと同様にIVPでは腎盂・腎杯内の陰影欠損としてみられ鑑別はできない。

78. 解答 a
 a. 正:新生児の腹部腫瘤では水腎症に次いで多い。通常一側腎全体が侵され、大小複数の嚢胞がぶどうの房状に集合した形状をとる。胎生期の尿管や腎盂の形成不全により発生し腎実質は完全に欠損する。
 b. 誤:多数の隔壁と境界明瞭な被膜を持つ稀な腫瘤で、通常は片側性・孤立性。
 c. 誤:成人では多房性嚢胞性腎癌と、小児では嚢胞性部分的分化型腎芽腫と鑑別が困難であることから切除対象となるが、本疾患自身の予後は良好である。
 d. 誤:常染色体優性遺伝性疾患であり両側腎が腫大し無数の嚢胞が存在する。50%に肝嚢胞を合併するが癌化は稀。
 e. 誤:腎癌の多くは充実成分が主体であるが、約15%に嚢胞成分が主体となった嚢胞性腎癌と呼ばれる形態をとるものがある。腫瘍の出血壊死に由来する嚢胞や、多房性腎癌、嚢胞腺癌などを含む。

79. 解答 a
 a. 正:副腎腺腫は内部に豊富な脂肪を含むため、単純CTにおけるCT値が0HU以下では腺腫、0〜20ではどちらともいえない、20HU以上の腫瘍では悪性の可能性が高いとする報告がある。
 b. 誤:悪性の副腎腫瘍では造影CTで造影増強効果があり造影効果が遷延する。
 c. 誤?:一般的な核医学検査は形態・機能検査としての意味付けをもつが、18F-FDG PETにおける悪性副腎腫瘍の検出感度および特異度は高いと報告がなされている。
 d. 誤:chemical shift imagingのout of phaseで副腎腫瘤の信号低下があれば、腫瘤の中に脂肪が含まれていることがわかり非機能性腺腫の診断に有用である。
 e. 誤:肺癌、乳癌に最も多くみられ、肝癌、腎癌、膵癌、悪性黒色腫なども副腎に転移を来す。

(以上76〜79は高橋弥穂会員・奈良県立医科大学)

80. 解答 a
 a. 正:MRIは子宮体癌の筋層浸潤の程度を評価するために役立つ。
T2強調像で低信号を呈するjunctional zoneと腫瘍との境界の性状により診断 ダイナミック等の造影検査を追加するとさらに精度が上がる。
 b. 誤:子宮筋腫は変性を伴わないことが多く、ほとんどがT2強調画像で均一な低信号となる。
ヒアリン変性、粘液腫様変性、嚢胞状変性、石灰化、赤色変性などさまざまな内部変性を生じる。T2強調画像の信号もさまざま
 c. 誤:子宮頚部に生じた悪性腺腫は、MRIで確定診断できる。Naboth嚢胞との鑑別が問題となる。
 d. 誤:MRIを用いれば、子宮内膜ポリープは子宮内膜増殖症と鑑別できる。
子宮内膜ポリープと子宮内膜増殖症との鑑別は困難、また内膜に限局する早期内膜癌との鑑別も困難な場合がある。
 e. 誤:多胎妊娠の確認のためにはMRIが第一選択となる。
産科、婦人科の第一選択は超音波検査

81. 解答 c
 a. 誤:卵巣の多房性嚢胞性腫瘍のうち、各房の信号強度が異なるパターンを呈するものは、漿液性嚢胞腺腫に多い。卵巣の多房性嚢胞性腫瘍のうち、いわゆるステンドグラスパターンを呈するのは粘液性嚢胞腫瘍。
 b. 誤:両側卵巣の卵胞が複数描出されている場合は、臨床所見にかかわらず多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome: PCO)を疑う。PCOの代表的疾患Stein-Leventhal synd,症状は無月経、不妊、肥満、男性化、多毛です。当然臨床所見は大切です。
 c. 正:卵巣内膜症性嚢胞からも悪性腫瘍が発生することがあるので、疑わしい場合は造影を追加するなどの慎重な評価が求められる。明細胞癌、類内膜癌などの悪性腫瘍が生じることがある。
 d. 誤:石灰化を含む卵巣腫瘍は、奇形腫と診断してよい」。
奇形腫の診断上有用なのは脂肪と石灰化である。石灰化だけでは出血や変性等による石灰化もあり、他の卵巣腫瘍の可能性は残る。
 e. 誤:卵巣腫瘍茎捻転では、腫瘍は強い浮腫を伴うため、ダイナミック造影により腫瘍部が早期から濃染する。浮腫、うっ血が進行すると壊死を生じ、壁肥厚や造影効果欠損となる。

82. 解答 c
 a. 誤:子宮平滑筋肉腫は比較的若年者に多い。
  比較的高齢者の子宮体部に見られる
 b. 誤:悪性ミューラー管腫瘍の肉腫成分で多いのは,軟骨肉腫である。×
悪性ミューラー管腫瘍は癌肉腫と同義語である。子宮悪性腫瘍の2%以下とまれ、閉経後の高齢者に多い。癌腫と肉腫が混在し出血壊死も高頻度に見られる。
 C. 正:悪性ミューラー管腫瘍のステージ診断は子宮体癌に準じる。
  FIGO分類では体癌より除外されているが、日本では体癌として取り扱われる。
 d.誤:子宮内膜間質肉腫は一般に若年者のものほど悪性度が高い。
40‐50代と比較的若い閉経前の女性に発生する悪性腫瘍。組織的にlow grade, high gradeに分類されるが、年齢による悪性度が変わるという記述はない。
 e. 誤:T2強調像で高信号を呈する子宮筋腫は悪性のことが多い。
子宮筋腫は大きくなり内部変性すればT2強調像で高信号を呈する部分が増えます。肉腫との鑑別のことを言いたいのだと思います。信号強度での鑑別は困難、血管が腫瘍の辺縁にあれば筋腫を内部にあれば肉腫を疑う。

83. 解答 c
 a. 正:内膜症性嚢胞に合併しやすいのは、明細胞癌、類内膜癌である ○
  明細胞癌、類内膜癌などの悪性腫瘍が生じることがある。
 b. 正:卵巣奇形腫の中には甲状腺シンチで取り込みを示すものがある ○
  卵巣甲状腺腫は甲状腺シンチで取り込みを示す。
 c. 誤:未分化胚細胞腫は内部に出血壊死を伴うことが多い ×
  若年成人に発生する胚細胞腫瘍、辺縁は分葉状で内部は隔壁様構造に境された多結節が癒合したような形態をとる。大きな腫瘍であるにもかかわらず出血、壊死を伴うことが少ないのも特徴である。
 d. 正:顆粒膜細胞腫は内部に大小の嚢胞を伴う
  胞状卵胞の顆粒膜から発生し,しばしばエストロゲンを分泌する.内部に多数の小嚢胞を伴う。嚢胞内にはしばしば出血を認める。
 e. 正:卵黄嚢腫瘍は内部に出血、壊死を伴うことが多い。
  卵黄嚢腫瘍は内部出血、壊死、嚢胞変性が著明で、腫瘍の大部分を壊死性分が占めることもある。

(以上80〜83は黒川浩典会員・国立岩国病院)

84. 解答 b, d
 a. 誤:化膿性胆管炎の炎症極期には造影により胆道内圧を上げることはseptic shockを惹起するため行ってはならない。
 b. 正:下横隔動脈と肺内血管に吻合が存在することは周知のことである。塞栓物質が肺静脈に流入した際には脳塞栓をはじめとした局所虚血が生じうる。
 c. 誤:細径針を用いていても播種の可能性は十分あり得る。
 d. 正:腫瘍内造影剤貯留 (pooling) という言葉をこの場合使用するか?という問題があるが、血管外漏出 (extravasation) を示しているのならば正である。
 e. 誤:教科書的には「門脈右枝前後分岐部を穿刺目標とする」とある。ただし、右葉萎縮が強く中肝静脈からの穿刺を行う場合には門脈左枝を穿刺することもある。

85. 解答 a
 a. 誤:単発の肝細胞癌に関しては手術もしくはラジオ波焼灼術が選択される。
 b. 正;本邦をはじめ東洋の肝細胞癌は肝炎持続感染、肝硬変合併が多く肝予備能低下症例が多い。
 c. 正:
 d. 正:いずれも肝細胞癌および正常肝細胞の血流動態の基本事項
 e. 正:局所制御を高めるために区域枝以下のレベルで栄養動脈を同定し、lipiodolを併用したLp-TAEを行う。

(以上84, 85は柳生行伸会員・近畿大学)

86. 解答 d
 a. 3.25日
 b. 2.83日
 c. 13時間
 d. 8.06日
 e. 3.04日

87. 解答 d

88. 解答 a, c
 b. α崩壊では質量数は不変です。
 d. ガンマ線が放出されても中性子数や陽子数は不変です。
 e. 原子核の崩壊に伴って放出されるのはガンマ線です。

89. 解答 c

90. 解答 c

 副腎皮質シンチグラフィは131I-アドステロールです。

(以上86〜90は油谷健司会員・国立病院大阪医療センター)

91. 解答 b, d
 a. 誤:H215Oは脳血流量測定のPET検査に用いる放射性薬剤である。したがってa.は×。
 b. 正:C15O2は脳血流量の測定に用いる放射性薬剤である。○。
 c..誤:C15Oは赤血球量(血液量)の測定に用いる。×。
 d. 正:13N-アンモニアは心筋血流量の測定に用いるので○。
 e.誤: 脳アミノ酸代謝測定に用いるのは11C-メチオニンである。18F-FDGはグルコース代謝の測定に用いる。

92. 解答 c, d
 a. 99mTcO4-は、胃粘膜の粘液産生上皮細胞に取り込まれた後、胃内腔に分泌される性質を持っているのでa.は正しい。
 b. 99mTc-HMDPは骨シンチグラフィに用いられる放射性薬剤で、投与後2-4時間で約30-40%が骨に集積し、50%以上が尿中へ排泄される。したがって、腎臓、尿路系が描出され、膀胱内の尿は強く描出される。b.は正しい。
 c. 201Tlにより、過機能性副甲状腺結節が存在すると集積像を示すが、正常の副甲状腺は画像上は描出されない。c.は誤り。
 d. 99mTc-MAAにより脳の描出が見られたら、右左シャントの存在を意味する。正常では脳は描出されない。d.は誤り。
 e. 131I-MIBGは正常で交感神経に富む唾液腺や心臓およびカテコールアミンが代謝される肝臓に集積し、描出される。e.は正しい。

93. 解答 b
 b. の99mTc-MIBIによる副甲状腺シンチグラフィは保険診療の適用外である核医学検査である。当院では、99mTc-MIBIによる副甲状腺シンチグラフィを行う場合には校費等にて施行している。a. 99mTc-MIBI による心筋血流SPECT、c. FDG-PETによる肺癌の病気診断、d. 123I-IMPによる脳血流SPECT、e. 201Tl SPECTによる脳腫瘍の診断は保険診療の適用である核医学検査である。

94. 解答 aとc
 a. 正しい。
 b. 撮影を短時間で行ってもすでに投与された放射性薬剤による患者の被爆は変化しない。b.は誤り。
 c. 67Ga、201Tl、131Iを含んだ放射性薬剤は最低3週間授乳禁止、99mTc標識放射性薬剤(99mTc-RBCとリン酸塩、99mTc-DTPAを除く)は最低12時間の授乳禁止、99mTc-RBCとリン酸塩、99mTc-DTPAは最低4時間授乳禁止(ICRP Publ.52)である。c.は正しい。
 d. 線量限度は医療被曝(患者の被爆)には適用されない。したがって誤り。
 e. 放射線診療従事者の被爆は職業被爆である。誤り。

95. 解答 d
 a. 決して一般的ではない。×。
 b. ×。当然撮像できる。
 c. ×。骨シンチグラフィには、低エネルギー用コリメータを用いる。
 c. ○である。FDGの供給が始まれば、この方法で検査をする施設が増えると思われる。
 e. ×。NaI(Tl)結晶が用いられる。

(以上91〜95は加藤克彦会員・名古屋大学)

問題96-100解答解説
注)以下( )は最新臨床核医学第3版:金原出版、[ ]は核医学ハンドブック:金芳堂、{ }は実用シンチグラムレポートの書き方:金原出版、それぞれの参照ページを示す。

96. 解答 d
 a. 正:健常例の脳血流は灰白質で多く、白質で少ない。(115-116P)
 b. 正:発作時には焦点を含め広い範囲で脳血流が増加、発作直後2分以内では焦点及びその近傍では血流が増加したままであるが、その周囲の血流は高度に低下、さらに時間がたつと焦点及びその近傍も血流低下する。発作間欠期には全く異常ないものや、部分てんかんでは約半数で焦点の血流低下がみられる。(123P)
 c. 正:初期アルツハイマー病は後帯状回内側の血流低下に始まり、病状の進行に伴い側頭葉・頭頂葉・前頭葉と広がって行く。進行すると大脳全体の血流が低下するが、一次運動・感覚野、後頭葉視覚野、視床、基底核、小脳は最も障害を受けにくい。(121P下)
 d. 誤:同側→対側とすれば正しい。CCD (crossed cerebellar diaschisis)のことで、遠隔効果(脳のある領域が虚血などの障害を生じたとき神経線維を通して他のはなれた領域の神経活動が抑制され、2次的に代謝や脳血流の変化をきたす病態)のひとつで、大脳半球のある領域に血流低下があり、反対側小脳半球の血流が2次的に低下している場合をいう。(120下)
 e. 正:ピック病は前頭葉の血流低下が特徴的で、病状の進行に伴い血流障害範囲は広がり、重症例では前頭葉に加え側頭葉の血流低下も出現する。(122下)

97. 解答 d
 a. 正:心筋血流シンチは、自覚症状や負荷心電図などで虚血性心疾患が疑われたとき、最終診断法である冠動脈造影法に進むかどうかを決める目安になる。検査結果が正常なら虚血性心疾患の可能性はかなり低下するし、仮に虚血性心疾患があっても、軽症で予後はよいと考えられている。(185P上) 特に負荷心筋シンチで異常所見が出現しなければ問題のない可能性が高いと思われる。
 b. 正:他にはドブタミン負荷、過換気負荷、寒冷負荷などがある。(173-174P)
 c. 正:初期像の集積低下が後期像で改善すれば、程度の差はあってもその領域は虚血心筋と考えられる。しかしながら、再分布が見られなくても梗塞心筋とは限らず、高度虚血心筋を含む可能性がある。タリウムの追加静注法や24時間後の後期像撮像により再分布を認め、虚血心筋の診断が可能となることもある。(187P上)
 d. 誤:低下→上昇とすれば肺うっ血の所見となる。(185P)[211右-212左]
 e. 正:99mTc-MIBIは201Tlと比べて心筋停留性が高く、通常は明らかな再分布現象を示さないので、負荷検査においては負荷時と安静時に二回RIを投与する必要がある。(167上)

98. 解答 a
 a. 正:本症は特発性一側性過透明肺ともいわれ、胸部X線上一側肺の肺野がより黒く見え、換気および血流の一致欠損が特徴である。一側肺全体の血流低下を示すこともあれば一肺葉のみのこともある。症状は乏しいこと多く、非侵襲的に診断できる肺血流シンチの重要性高い。(302P下)
 b. 誤:血流欠損部と肺外表の間に帯状の正常集積を認めることで、急性肺塞栓を否定するのに役立つ。(297P下)
 c. 誤:99mTc-MAAの凝集塊形成を防ぐため、血液と混和しないように注意する。MAAの凝集塊はシンチグラム上に点状の多発性高集積部位を形成し、注意すべきアーチファクト源となる。(295P下)
 d. 誤:右左シャントや肺高血圧のある患者でも、投与粒子の数を制限すれば安全に検査できるが、そのような患者でも明確な適応がある限り禁忌ではない。(295P中)
 e. 誤:大動脈炎症候群では、肺動脈の狭窄により肺塞栓と同様のシンチグラフィ所見を呈するので注意が必要である。肺血管病変が大動脈病変に先行したり、同時発症することもある。(301-302P上)

99. 解答 d
 a. 誤:水腎症の際には腎シンチグラフィで腎盂腎杯からの尿排泄が延長し、レノグラムでは持続的なカウント数の上昇パターンが観察される。このような所見は尿路系の閉塞狭窄によるその上流の拡張と、閉塞狭窄のない単純な拡張時に観察されるが、利尿薬を負荷した際に腎のカウントの変化が後者では低下するが前者では低下が乏しいことで鑑別される。つまり無反応の場合は閉塞性の水腎症となる。(473-474上)
 b. 誤:糸球体濾過率(GFR)測定物質としては、血漿蛋白結合なく糸球体の毛細血管膜を自由に通過すること、尿中に排泄されたあとは再吸収がなく、また尿細管からの分泌もないこと、腎機能に影響を与えないことなどを満たす物質で、シンチグラフィに利用できるものでは99mTc-DTPAがある。99mTc-MAG3は有効腎血漿流量測定(ERPF)に用いられる。ERPF物質は、1回循環での抽出率(EF)=[(腎動脈内濃度−腎静脈内濃度)/腎動脈内濃度]が高く、なおかつその値が正確に把握されていること、腎循環内に速やかに血漿蛋白から分離すること、腎で代謝されないことなどを満たす物質で、123I-OIHが優れた性質を有しているが、現在製造が中止され、99mTc-MAG3がその代わりに広く使用されている。(465P下-467P中)
 c. 誤:腎血管性高血圧の原因となる腎動脈狭窄が存在しても、レニン-アンギオテンシン-アルドステロンカスケードにより腎の濾過機能は一般的に保持され、レノグラム上は正常かあるいは軽微な変化が観察されるにとどまる。しかしながら、カプトプリル投与時はこの自己調節機能が阻害され、糸球体濾過機能は低下し、レノグラム上では非投与時に比べ著しい変化が観察される。(475-476P)
 d. 正:検査20-30分前に水分(成人で5ml/kg、最大300ml)を摂取させ、利尿状態で行う。(464P下)
 e. 誤:腎静態シンチグラフィーでは腎杯・腎盂・尿管内の尿中には放射能低く、これら尿路はむしろ欠損像として見られる。したがって膀胱尿管逆流における尿路の異常は視覚化されないが、他の薬剤のようにこれら尿路中の放射能に煩わされずに腎皮質機能の正確な評価が可能になるので、腎盂腎炎や腎瘢痕の検出に極めて有用である。[266P右-267左]{126-127P} 腎盂腎炎では局所の集積欠損や集積低下が単発性または多発性に認められるか、あるいは腎全体が障害されてびまん性の集積低下を示すが、容積の減少は見られない。瘢痕や慢性腎盂腎炎では皮質の菲薄化、輪郭の平坦化に加え、容積の減少が見られる。(483-484P)

100. 解答 a
 a. 正:原発である甲状腺が全摘されていなければ、投与された131Iは甲状腺組織に大部分集積してしまうため、転移巣の治療のためには甲状腺全摘が必須である。(473-474上)
 b. 誤:絶対禁忌は妊婦および授乳婦である。(621P下)若年者については、以下の理由により禁忌ではないが慎重にすべきという意見もある。すなわち悪性腫瘍の発生率が増えるという報告はないが、良性結節については増加したとの集計もあり、また晩発性甲状腺機能低下症が起こると長年に渡り補充療法が必要となるからである。[399左]
 c. 誤:治療の適応は、濾胞上皮由来の分化型甲状腺癌である乳頭癌および濾胞癌である。未分化癌は濾胞上皮由来であるが、131Iを取り込む性質を失っており、適応はない。髄様癌の場合は131I-MIBGの適応を考慮する(620P中)
 d. 誤:131I治療に際しては癌病巣への取り込み増加を図るためにTSHを上昇させる必要があり、補充療法を休止する。また、ドーパミン、副腎皮質ステロイド、オクトレオチドもTSH分泌を抑制するために可能な限り休薬する。(623P下)
 d. 誤:肺転移・骨転移の治療のためには5.55〜7.4GBqの131Iが投与されるとの記載がある。(623P上)また、放射性医薬品を投与された患者の退出・帰宅における基準があり、131Iの場合には投与量または体内残留放射能が500MBq、患者体表面から1mの点における1cm線量当量率が30μSv/hであり、それまでは構造・設備の基準を満たした放射線治療病室への入院が必要である。(例外としてICUまたはCCUへの一時的な収容が認められている。)(706-707P)

(以上96〜100は谷口敏孝会員・川崎医科大学付属川崎病院)