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1.解答 b, e
b.誤:いかなる場合も問診は省略できない。
e.誤:眼の検診は医師が必要と認める場合に限り行う。
2.解答 b
b.誤:乳房撮影用X線装置の届け出は設置後10日以内に届け出ればよい。
3.解答 e
e.誤:使用する診療用放射線同位元素の準備及び使用後の汚染物の処理は、
診療用放射性同位元素使用室で行うこと。
診療用放射性同位元素の移動使用の許可は集中強化治療病室等における医学的管理の必要のある患者に対し診療用放射性同位元素の使用が必要かつやむを得ない場合に限り特別に使用が認めるという趣旨で、問題文a,
b, c, d(ICU等の使用では他の患者の被ばくする線量は1週間につき100マイクロシーベルト以下になるような措置を講ずること。)とされており、e(上記)の項目の他に、「ICU等の使用では、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師または診療放射線技師の中から管理責任者を選任し、ICU等における管理体制を明確にする組織図を作成すること。」が定められています。
参考)医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(医薬発第188号)
http://www.macnet.or.jp/jsrt2/no188per-ver/no188per-ver-1.html
4.解答 e
e.誤:放射線同位元素装備診療機器とは、その装備する密封された放射性同位元素の数量が3.7GBqを越えるものをいう。
5.解答 e
e.誤:管理区域とは、(1)3月間につき外部放射線の実効線量が1.3mSvを越えるおそれがある。(2)3月間につき空気中濃度平均が空気中濃度限度の1/10をこえるおそれがある。
(3)問題文のdの項目。のどれか1つでも該当すれば管理区域であり、線源の数量に関する規定はない。
(以上1〜5は木梨友子会員・京都大学)
6.解答 c
拡散強調画像で左被殻、尾状核頭を覆う高信号域があり、その外周に無信号に近い低信号の帯があり、さらにその外周にやや高信号の帯域がある。T2強調画像では拡散強調画像における異常部位に、被殻内側から膨隆するようなやや高信号の領域があり、その周囲により高信号の帯域がある。以上から、これは被殻内側部位から出血した急性期血腫が疑われ、c.
脳出血が答えとなる。
7.不適切問題
脳底部を中心に軟膜が厚く造影され、一部では結節を形成しているように見え、両側側脳室側頭角が拡大している。しかし、脳梁の位置と形状から、側脳室全体は拡張していないようで、矢状断像で第四脳室の屋根の上衣が造影されていることから類推すると、すでに脳室炎もきたして、側脳室内部でcompartmentalizationが起きている可能性がある。
a. 化膿性髄膜炎でここまでこじれることは珍しく、画像診断される段階ではすでに診断がついているはずで、「髄膜炎疑い」で施行されることはないであろう。b.
ウィルス性はここまで厚く造影されることはほとんどない。 e.クリプトコッカス性は基底核に偽嚢胞を形成するのが特徴なので、これとは異なる。
c. 癌性とd. 結核性はいずれも可能性があり、ひとつに選ぶことはできない。さらに言えば、画像診断のみでどちらかに絞ってはいけない症例で、これから先の鑑別は臨床側に任せるべき。どちらが可能性が高いかなどといたずらに時間を浪費せず、速やかに臨床医にfilmsと所見を渡すべきである。不適切問題。作成者が問題作成の意図を発表されることを望む。
8.不適切問題
小脳虫部および小脳半球内側部に軽度の萎縮が見られ、第四脳室がやや拡大し、その背側でくも膜下腔が拡大し、mega cisterna
magna状態になっている。萎縮と脳室やくも膜下腔の拡大のどちらが原因結果かはもちろん分からない。正中で第四脳室下部と背側のくも膜下腔が連続しているようにも見える。脳幹も若干萎縮している可能性がある。両側側脳室の拡大があり、大脳深部白質にはび慢性にT2延長領域が広がっている。これも脳室拡大が主因か白質の変性萎縮が主因かはわからない。脳梁も若干萎縮しているように見える。大脳基底殻は保たれ、脳回に明らかな異常は見られない。
上位疾患概念からその下位疾患概念を三個も並べた奇妙な選択肢の問題であるが、それに触れる前に、明らかなものから確認しておく。d
Leigh症候群は淡蒼球や被殻、尾状核、傍側脳室白質、中脳水道周囲灰白質にT2延長領域をきたすのが特徴で、この症例では淡蒼球や被殻は保たれているように見える(印刷が悪い可能性も残るが)ので、異なる。
b. Dandy-Walker 症候群はDandy-Walker variantのことを指すのか、Dandy-Walker
continuumのことを指すのか不明な用語ある。英語文献ではDandy-Waker syndromeという用語が使われることはほとんどなく、Dandy-Walker
malformation, Dandy-Walker variant, Dandy-Walker continuumのいずれかで表現することがほとんどである。したがって、このような場合には症候群のあとにvariantないしcontinuumと付けるか、英語表記のみにすべきである。
もしDandy-Walker variantを指すのが問題作成者の意図であれば、小脳虫部が形態上は一体として存在し、若干萎縮しているだけなので、その可能性は低くなる。一方、Dandy-Walker
continuumを指すのであれば、mega cisterna magnaまで含めるこの疾患概念に相当する可能性を否定することはできないが、このような最軽症の場合に大脳の異常を伴うことは少ないので、やはり当症例がこれに該当する可能性は低いと考える。
したがって、不適当なものはb, dと考える。選択肢a, c, eは上位疾患概念からその下位疾患概念を三個も並べたもので、a.
脊髄小脳変性症のなかに遺伝性と非遺伝性があり、遺伝性のなかで常染色体優性遺伝のものは原因遺伝子の塩基配列がCAGという配列を繰り返し、c.
CAGリピート病などと呼ばれ、その一型として歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)がある。 e. RPLAは被蓋優位の脳幹の萎縮、小脳の萎縮が特徴で、大脳白質のT2が延長する。この症例では被蓋がしっかりしているように見えるので、異なるとも思われるが、一概に可能性がないとはいえない。一般的にc
CAGリピート病やa脊髄小脳変性症に程度の強弱は別として大脳の萎縮を伴うことがあり、小児でも稀に大脳萎縮を伴うとする報告があるで、可能性がないとはいえない。年齢の問題が残るが、この三者の可能性を、発症年齢のみをもとに差別化することはできないと考える。
ただし、このような上位疾患概念からその下位疾患概念を三個も並べた選択肢を提示するのは問題として不適切である。というのは、aはcを含み、cはeを含むをいう集合関係にあるので、aが不適当なら、c,
eも不適当だが、e, cが不適当でもe以外のc, c以外のaが不適当かどうか考えなければならず、このような複雑な概念関係を考えさせるのは、問題として不適切である。また、Dandy-Walker症候群という表記を選択肢にする点も上記のとおり不適切である。問7と同じく、作成者が問題作成の意図を発表されることを望む。
9.解答 b
両側淡蒼球のT1が短縮しており、a. 肝硬変、c. 肝内門脈―肝静脈短絡、e. 長期中心静脈栄養管理状態で起こる可能性があり、d.
静脈管開存でもc. と同様の血流動態となれば起こりうると考える。 b. 急性肝炎では普通見られない。
10.解答 d
左前頭葉前部皮質下に腫瘤があり、T1, 2とも延長し、整った辺縁がやや厚く造影され、その背側脳実質にも軽度造影される領域を伴い、内部は拡散強調画像で強い高信号を呈す。a.
多形性膠芽腫、c. 血管腫、e. 皮質下白質血腫とは異なる像である。b. 転移性腫瘍、d. 脳膿瘍ともにこのような特徴を示すことがあるが、転移性腫瘍としては拡散強調画像で高信号過ぎるよう見える。ただし、臨床場面では膿瘍と断定してはならない。可能性の高低は付けるとしても、かならず両者を併記して臨床医に伝えるべきである。
11.解答 c
頭頂葉領域深部白質に若干T1, 2延長した腫瘤があり、強く均一に造影され、脳梁に進展している。拡散強調像でも強い高信号を示す。a.
多形性膠芽腫、d. 転移性腫瘍、e. 脳膿瘍はこれとはかけ離れた像を呈す。b. 悪性髄膜腫は通常は実質外腫瘍。ただし、異所性のものがまれにはあるが。c.
悪性リンパ腫がこの症例の像にもっともよく合致する。
(以上6〜11は稲川正一会員・浜松医科大学)
12.解答 d
■診断所見
脊髄円錐付近の画像と考えられる。脊髄円錐付近は腫大し、T2強調像にて髄内に高信号域が認められ、脊髄〜馬尾背側には線状、点状の低信号が認められる。造影後、脊髄〜馬尾背側に粒状の濃染が認められる。
■診断プロセス
T2強調像での線状低信号、造影後の粒状の濃染を異常血管に相当すると考えるならば、硬膜動静脈ろうなる。ただし、異常血管が目立たない、濃染がはっきりしてないことから判断に迷う問題である。症状と、与えられた矢状断のみで診断しうる、ということを考慮し以下の解答を導いた。
■鑑別診断とその必要性
a. 横断性脊髄炎:背部痛、頚部痛を伴い急性または亜急性に発症する対麻痺と知覚脱失を来たした病態であり、臨床診断名である。この病態の原因としては多発性硬化症、ADEM、SLEなどがある。
b. 多発性硬化症:脊髄病変のみのものが患者全体の約1/3に見られる。頚髄が多い傾向で、緩解増悪を繰り返す。脱髄巣はT2強調像で高信号、T1強調像で等〜低信号、造影効果は病時期による。典型的には横断像で白質に相当する脊髄辺縁に信号変化がみられる。
c. 星細胞腫:好発部(頚髄・胸髄)
e. 前脊髄動脈症候群:前脊髄動脈の血流障害により脊髄の前2/3、中心灰白質が主に侵される。症状は突然の胸背部痛、急激な下肢対麻痺、四肢麻痺、解離性知覚障害(後索が侵されないので、深部感覚は保たれる)、膀胱直腸障害であり、病態が設問と異なる。脊髄円錐部もAdamkiewicz動脈が前脊髄動脈に流入するレベルであり、起こりうる。脊髄腫大、T2強調像にて髄内高信号が見られ、造影効果はあることもないこともある。
■その他、ご意見等
a、b、eについては、診断に際し横断像が必要と考えられ、放射線科医が矢状断のみで診断できるものではないだろう。a、eについては病態診断でもあることから、これだけの文が決め手になるとは思えない。最も考えられるものとあるので、それぞれの経験にも左右されそうな問題である。
■参考までに…
脊髄動静脈奇形の分類
Anson and Spetzlerによる分類
沍^ 硬膜動静脈ろう (dural anteriovenous fistula)
型 髄内グロムス型動静脈奇形 (intramedullary glomustype AVM)
。型 髄内、髄外、しばしば脊柱外要素を伴う若年型動静脈奇形 (juvenile AVM)
「型 硬膜内髄外動静脈ろう (intradural extramedullary AVM fistula)
「型は脊髄周囲動静脈ろうで、脊髄円錐、馬尾周囲に認められる。20〜40歳に多く、進行性脊髄症状、くも膜下出血、急性対麻痺。
13.解答 b, c
■診断所見
造影CT:右耳下腺内に腫瘤が認められる。下顎後静脈が内腹側に圧排され、浅葉内の病変と考えられる。造影効果は弱い。
唾液腺シンチグラム:クエン酸服用前 若干右耳下腺の集積が高い。クエン酸服用後 右耳下腺に強い集積が残る。
■診断プロセス
唾液腺シンチグラムの所見が有力。唾液腺シンチグラムで用いられる99mTcO4-は正常唾液腺に取り込まれるので、通常の腫瘍は唾液腺シンチグラムで欠損像となる。 Wartin腫瘍とoncocytomaは腫瘍への集積と、洗い出しの遅延が見られる。
良い問題である。
14.解答 b
■診断所見
左鼻腔内に結節性病変が認められる。筋肉と比較しT1強調像で高信号を示す。T2強調像でやや高信号を示す内部に、低信号部分が認められる。
■診断プロセス
T1強調像で高信号を示す腫瘤。
メラニンを含む悪性黒色腫は、メラニンによる常磁性体効果と腫瘍内出血によりT1強調像で高信号、T2強調像で中〜低信号を示す。設問ではT2強調像の信号が典型的と言い切れないが、解答を導いた。
■鑑別診断とその必要性
a.悪性リンパ腫: T1/T2強調像ともに中等度の信号。
c.乳頭腫:教科書的にはT2強調像、造影T1強調像で画像所見が説明されていることが多い。文献ではT1強調像で筋肉と比較し等〜やや高信号とする記載もあるため、選択に迷うが、悪性黒色腫をあえてはずし経過を観察する理由がないことから、選択からはずした。
d.神経鞘腫:鼻・副鼻腔ではまれだが、両者で比較すると鼻腔発生が多いとされる。Antoni A型とAntoni B型が混在し、嚢胞変性、出血巣を伴うこともある。
e.扁平上皮癌:T1強調像低〜中等度の信号、T2強調像低〜軽度高信号。出血や壊死が見られる。
■その他、ご意見等
一見して悪性黒色腫を選んでしまうが… 造影T1強調像も確認したいところである。
15.解答 d (<) e?
■診断所見
左上顎洞内に不均一に造影される腫瘤が見られる。骨の破壊が見られる。上顎洞壁の状態についてはCTがないため、不確定だがexpansiveに増大するような所見とはとれない。
■診断プロセス
骨破壊を来たしていると推定されることから、悪性の病変を考える。
antrochoanal polypは上顎洞から自然口を通り、鼻腔内へ突出する。T1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示すが、粘液蛋白の状態によっては不均一・様々な信号を呈する。骨破壊を呈することは少ない。
■鑑別診断とその必要性
■その他、ご意見等
dでないとすると、造影での不均一性からeの悪性リンパ腫がのこる。 悪性リンパ腫でも骨破壊は少ないが、polypではまれである。MRIでの濃染の不均一さを中心に考えると誤りはeとなるが、骨破壊が推定されるような状況を無視していいのか疑問が残る問題である。T2強調像がないことから、濃染を見てほしいという出題者の意図をくまないといけないのだろうか。それにしては試験時間も短く、難しさの質が違う方向に向いているように思えてならない。
(以上12〜15は金子智喜会員・信州大学)
16.解答 e
■画像所見
印刷の写真は非常に見にくく、詳細な読影は困難であるが、骨盤部単純X線写真で、左側恥骨から腸骨に骨陰影の増強を認める。腸恥線iliopectineal
lineが対側と比べ、明らかに肥厚している。右側骨盤骨には明らかな異常を認めない。骨シンチグラムでは、左恥骨上枝から腸骨の辺縁部を中心とする著明な集積亢進を認める。第5腰椎、右仙腸関節にも軽度の集積亢進を認める。
■診断プロセス
びまん性の骨硬化像を示す疾患は、稀なものも含めると非常に多数あるが、例えば、次のような鑑別診断のリストが考えられる。造骨性骨転移
osteoblastic metastases、パジェット病Paget disease、大理石病 osteopetrosis、腎性骨異栄養症
renal osteodystrophy、骨髄線維症 myelofibrosis、鎌状赤血球症 sickle cell disease、肥満細胞症
mastocytosis、運動選手 athletes、フッ素沈着症 fluorosisなど。
この問題では、悪性腫瘍の既往があり、臨床的には造骨性骨転移が問題となるが、骨盤骨の片側のみに異常を認める分布や、骨盤骨での病変の局在からは考えにくい。
骨シンチグラムは、この問題において、他のびまん性骨硬化症を否定する意味を持つ。なお、第5腰椎、右仙腸関節の集積は、変形性関節症によると考える。
骨盤骨の片側性の骨硬化、腸恥線の肥厚は、Paget diseaseに特徴的である。
■解答
Paget diseaseは、原因不明の骨疾患で、中年以降の男性に多い。病因としては、ウイルス感染が疑われているが、確定はしていない。人種差があり、欧米に多く、日本では比較的少ない。著しい破骨細胞の活性化による骨吸収から始まり、骨芽細胞の活性化により骨硬化を起こす。したがって、X線像には、溶骨相と硬化相、その混合相があり、常に骨硬化像のみを示す疾患ではない。病変は、頭蓋骨、脊椎、骨盤骨、長管骨に好発する。初期には無症状のことが多く、後に軽度の疼痛を訴えることもある。臨床検査では、血清カルシウム、リンは正常範囲内のことが多く、アルカリフォスファターゼの著明な上昇が特徴である。悪性腫瘍の合併は、5%以下とされている。組織学的には、骨肉腫
osteosarcoma、線維肉腫 fibrosarcoma、軟骨肉腫 chondrosarcomaなどの報告がある。
したがって、解答は、eである。画像から診断名を挙げることができても、Paget diseaseに関する知識がなければ正答できない問題である。
17.解答 e
■画像所見
両側膝関節単純X線写真正面像で、両側大腿骨遠位骨幹端、脛骨、腓骨近位骨幹端に骨透亮像を認める。明らかな骨膜反応はないようである。骨端には明らかな異常所見を認めない。関節裂隙は正常範囲内と考えられる。軟部組織陰影に明らかな腫大は認めない。
■診断プロセス
小児の骨幹端透亮帯 metaphyseal radiolucent bandをきたす疾患を問う問題。骨幹端透亮帯をきたす疾患の鑑別診断を以下に示す。白血病
leukemia, 骨転移(神経芽細胞腫)metastases (neuroblastoma)、新生児 neonate、全身状態の悪化
severe illness、骨髄炎 osteomyelitis、経胎盤感染 transplacental infection、Cushing症候群、ビタミンD過剰症、骨形成不全症
osteogenesis imperfecta、大理石病 osteopetrosis、壊血病 scurvy。骨幹帯透亮帯という所見は、軟骨内化骨障害によると考えられており、2歳以下では非特異的であるが、2歳以上に見られた場合には白血病の可能性が高い。
■解答
骨幹端透亮帯を示す疾患のうち、問題の選択肢にあるのは、e. 白血病しかない。
白血病による骨の変化は、成人で見ることは少ないが、小児では過半数の症例で見られる。骨幹端透亮帯以外の所見としては、上腕骨近位骨幹端内側のcortical
erosion、浸潤性、虫喰い上の溶骨性変化、骨膜反応、びまん性の骨吸収像、骨硬化などが知られている。 a.化膿性関節炎、b. 結核性関節炎は、基本的に単関節炎である。両者とも初期には、骨陰影の変化は少なく、関節液の増加(関節裂隙の増加)や、軟部組織の肥厚を認めるのみか、所見のないことが多い。その後、化膿性関節炎は急速に関節軟骨の破壊、骨のerosionを引き起こす。結核性関節炎のX線所見としては、古典的なPhemister3徴 1)関節周囲の骨吸収像 2)骨辺縁の侵食 3)関節裂隙の緩徐な狭小化 が有名である。
c. 若年性関節リウマチとd. 血友病は、軟部組織の腫脹、骨陰影の減弱、関節裂隙の増大、狭小化、骨端のovergrowth、顆間窩の開大など、類似したX線所見を示す。
代表的関節疾患の典型像について、知識を求められている問題で、多くの人が苦手とする分野である。難しいと感じる人が多かったのではないだろうか?
18.解答 a
■画像所見
恥骨部単純写真では、恥骨結合部に離開と骨皮質の侵食像を認める。骨膜反応や、軟部組織の腫脹は明らかでない。MRIは、前立腺の信号強度などから、脂肪抑制T2強調像と考えられるが、恥骨結合部に限局した高信号域を認める。恥骨周囲の軟部組織には異常所見を認めない。
■診断プロセス
恥骨結合部骨侵食像の鑑別診断としては、外傷、感染性関節炎、血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、Reiter症候群)、副甲状腺機能亢進症、恥骨結合炎、ストレス骨折(疲労骨折、不全骨折)などが挙げられる。“徐々に”疼痛が出現した経過(vs
恥骨骨髄炎)や、骨硬化が明らかでなく(vs ストレス骨折、血清反応陰性脊椎関節症)、MRIでほぼ対称的な高信号域の分布、恥骨周囲の軟部組織に変化を認めない(vs
感染性関節炎、外傷)ことから、恥骨結合炎が考えやすい。
■解答
恥骨結合炎osteitis pubisは、1924年、Beerらにより泌尿器科的手術を施行した例や前立腺炎などの骨盤部の炎症性疾患の症例にみられた恥骨結合部の骨変化として初めて報告された。しかし、その後外傷後や妊娠・分娩後の例などが報告されるようになり、Klinefelter
(1950)らにより、スポーツ活動による症例が報告された。病態は明らかでないが、内転筋群の起始部での変性あるいは腱炎、恥骨の部分壊死、恥骨結合の亜脱臼または疲労骨折、内転筋群の恥骨起始部での剥離骨折、感染などが考えられている。臨床的には、原因を問わず、恥骨結合部に疼痛、圧痛を来たし、単純写真上、同様の所見を呈する症例群を呼称する。症状は、恥骨結合部の運動痛、圧痛、股関節内転筋起始部の疼痛である。X線所見としては、恥骨結合部の離開、恥骨辺縁の骨侵食像を認める。慢性期には恥骨結合部の骨硬化と狭小化を示す。骨シンチグラムでの恥骨結合部集積亢進所見は診断に有用である。MRIでは、急性期に恥骨結合部が高信号を呈し、慢性期になるとT1/T2強調像でともに低信号を示す。繊維化を伴う非感染性炎症所見を反映するとされる。
d. 絨毛結節性滑膜炎は、滑膜の結節絨毛状の増殖を特徴とするもので、滑膜へのヘモジデリン沈着のため、MRIではT1/T2強調像ともに低信号を示す。e.
滑膜骨軟骨腫症は滑膜内に多数の硝子様軟骨結節が増生することを特徴とする。原発性と変形性関節症、関節リウマチ、離断性骨軟骨炎などに続発する二次性のものがある。多くの例で軟骨結節に石灰化、骨化を伴い、それが単純写真で関節周囲に明瞭に描出される。いずれも、画像所見が本例と合致しない。
19.解答 a, c
■画像所見
Spinal segmentationの異常である6 lumbar vertebraのcaseと思われる。腰椎単純X線写真正面像で、presacral
vertebraの上位椎骨(第5腰椎と思われるが、全椎骨の数が不明なので、確定は不能)に、左側椎弓根の硬化像を認める。同レベルと思われるCTでは、左椎弓に境界明瞭な溶骨性病変(直径約10mm)を認め、周囲の骨膨隆と、骨硬化を伴っている。軽度の側弯を認める。
■診断プロセス
片側の椎弓根に骨硬化を来す疾患には、次のようなものがある。類骨骨腫 osteoid osteoma、骨芽細胞腫 osteoblastoma、対側の椎弓、椎弓根の欠損
absence of the contralateral pedicle or lamina、脊椎分離症 spondylolysis、骨硬化性転移
osteoblastic metastases、感染性脊椎炎 spondylitis、骨島 bone island。CTで認める左側椎弓内の周囲骨硬化を伴う約10mm大の骨透亮像は、類骨骨腫のnidusとして典型的な像である。しかし、典型的な類骨骨腫を扱うときでも、ストレス骨折、Brodie膿瘍、骨島は鑑別診断に入れるべきであると言われている。
骨芽細胞腫は、放射線学的にも病理学的にも類骨骨腫との鑑別が問題となる形態を示しうる疾患である。通常、骨透亮像は類骨骨腫より大きく、1.5-2cm以上であることが多い。
■解答
類骨骨腫は、良性の骨芽細胞性腫瘍で、良性骨腫瘍の約10%を占める。大腿骨、脛骨に多いが、椎体の後方成分にも発生することが知られている。ちなみに、椎体後方成分に生じた腫瘍性病変の鑑別診断としては、骨芽細胞腫
osteoblastoma、類骨骨腫 osteoid osteoma、動脈瘤様骨嚢腫 aneurysmal bone cyst、巨細胞腫giant
cell tumorなどがあり、非腫瘍性病変としては、ブロディ膿瘍 Brodieユs abscessや、結核性脊椎炎 tuberculous
sponditiltisなどの報告がある。類骨骨腫の画像所見は、その腫瘍部分(nidus)の発生部位によって異なる。骨皮質内の場合には、骨膜反応を伴う広範な骨硬化を引き起こすが、海綿骨内では硬化性変化に乏しいことが多い。関節内では変形性関節症の原因にもなりうる。診断には、nidusの証明が必要で、Brodie膿瘍との鑑別が必要である。画像診断には、単純X線写真、CT、骨シンチグラムが有用で、MRIの有用性は低い。単純写真など、骨に関する情報なしにMRIのみを見ることは、その広範な反応性変化から、炎症性疾患や悪性腫瘍と誤認する危険性があり、避けなければならない。
治療法として近年、CTガイド下の経皮的穿刺による局所ablationの有用性が注目されている。
骨芽細胞腫は、類骨骨腫に較べると稀であるが、椎骨の後方要素に好発する良性骨芽細胞性腫瘍である。10代から30歳までに多く発生する。画像所見には異なる3つのパターンが知られており、ひとつは、giant
osteoid osteomaとも呼ばれるもので、類骨骨腫と類似の骨透亮像を取り囲む骨硬化像からなる。類骨骨腫と異なるのは、大きさが1.5-2cm以上と大きい点にある。もう一つは、辺縁の硬化縁と腫瘍内部の石灰化を伴い、膨張性発育を示すパターンである。脊椎後方成分に生ずる病変にはこのパターンが多い。さらに、aggressive
osteoblastomaといわれる悪性病変類似の像を呈するタイプもある。本例では骨透亮像の径が約1cmと、骨芽細胞腫を疑うにしては小さく、“可能性が高い”ものとして選択するには多少抵抗を感じる。
また、d. 転移性骨腫瘍や、e. 結核性脊椎炎も後方要素に病変を生じうることから、鑑別に入ってくる。特に、小児の結核感染では、cystic
tuberculosisと呼ばれる骨病変を生じることが知られている。境界明瞭で、単房性または多房性の骨透亮像の周囲に、種々の程度の骨硬化像を伴う。長管骨骨幹端の報告が多いが、脊椎に生じた例も報告されている。50年程前には、多発する例がより多く認められたが、近年では単発病変が増加しており、そのような場合、類骨骨腫の像に類似することがある。しかし、頻度を考えると、この問題で“可能性が高い”とは言い難く、skeletal
radiologyの一般的な教科書においても、類骨骨腫に類似した骨結核の椎骨病変の画像を見ることはできない。もし、これが正解とすると、専門医試験の解答としてはレベルが高すぎると思われる。
本問題の選択肢に挙げられている疾患は、いずれも単純写真で片側性の椎弓根硬化像を示しうる。CTでの椎弓内部の限局的溶骨像から、素直に類骨骨腫と骨芽細胞腫を選択することとする。
20.解答 b
■画像所見
腰椎単純X写真、正面像と側面像にて、第3, 4腰椎に椎体の変形と配列の不整、椎体高の減少を認める。第3腰椎は扁平椎と言える程collapseしているが、椎間板腔は比較的保たれている。正面像で、右側腰筋陰影の拡大と、これに重なる石灰化像を認める。側面像では、腰椎の前方に石灰化が描出されており、下方では骨盤内へ連続している。
■診断プロセス
8歳の男児。提示されているのは腰椎の単純写真であるのに対し、主訴は慢性の右股関節痛であることから、多発病変あるいは、腰部から股関節付近までの連続性病変の可能性が示唆される。画像所見から、連続する2椎体病変、扁平椎、傍脊柱陰影の拡大と石灰化というキーワードが頭に浮かぶ。連続する2椎体に破壊性変化を起こす疾患としては、化膿性脊椎炎
septic spondylitis、結核性脊椎炎 tuberculous spondylitis、小細胞性腫瘍(Ewing
sarcomaやmalignant lymphomaなど)、動脈瘤様骨嚢腫 aneurysmal bone cyst、骨芽細胞腫
osteoblastomaなどがある。扁平椎 vertebra planaをきたしうる疾患は、Langerhans cell
histiocytosis、転移性骨腫瘍 metastatic bone tumor、骨髄腫 multiple myeloma
/ plasmacytoma、骨粗鬆症 osteoporosis、血管腫 hemangioma、脊椎炎 spondylitis、外傷
trauma、パジェット病 Paget disease、Morquio病など。傍脊柱陰影の拡大は、腫瘍(脊椎転移性骨腫瘍、神経原性腫瘍、Ewing肉腫、悪性リンパ腫など)、膿瘍(結核性脊椎炎、腸腰筋膿瘍など)、血腫(外傷、大動脈瘤破裂など)、髄外造血巣で見られ、傍脊柱部石灰化像の鑑別診断としては、神経芽細胞腫、軟骨・骨形成性腫瘍、神経節腫など)、炎症(結核性脊椎炎の流注膿瘍)、動脈硬化や動脈瘤、リンパ節、リンパ管造影の既往などが挙げられる。
本例では、椎間板腔が比較的保たれていることから、腫瘍性病変や、結核性脊椎炎が鑑別に挙がる。隣接する2椎体を侵し、さらに右股関節症状をも生ずる広範あるいは多発病変で、傍脊柱部にも石灰化を伴う変化を伴うことから、結核性脊椎炎が疑われる。
■解答
結核性脊椎炎は結核菌の血行性感染によるもので、下位胸椎や上位腰椎に好発する。通常、椎体前縁の終板下に初発し、前方の前縦靭帯下や、椎間板腔に広がるとされる。椎体の前方部分の破壊により、著しい亀背kyphosisを呈する。化膿性脊椎炎も同様の進展形式を示すが、結核菌では蛋白溶解酵素を欠くため椎体や椎間板腔が保たれることも多い。典型的画像所見は、終板の菲薄化と椎間板腔の狭小化、椎体前部の破壊像であるが、初発所見が、単発の扁平椎と椎間板腔の保持である例も実際には多い。これらの経過にも数ヶ月を要し、進行は緩徐である。椎体周囲への側方進展により、流注膿瘍
(cold abscess)を形成、しばしば石灰化を伴う。傍脊柱膿瘍の石灰化は結核に特徴的とされる。
本問の選択肢を見ると、扁平椎をきたしうる疾患が並んでいるのがわかる。a. Langerhans細胞組織球症は、5から10歳という好発年齢に本例は合致し、Calv持扁平椎も有名である。傍椎体陰影の拡大も示す。しかし、病変が多発しても、連続2椎体を侵す特徴はなく、傍椎体部の石灰化像は説明できない。c.
軟骨肉腫は小児では稀である。骨軟骨腫の軟骨帽を母地とするものがほとんどである。d. 血管腫は、小児に多く、脊椎にも好発する。画像所見は縦走する骨梁の肥厚で、corduroy
cloth appearanceとも呼ばれる。MRIでは、脂肪量の増加も認める。軟部組織に発生する血管腫に石灰化(静脈石)を伴うこともあるが、脊椎から周囲へ浸潤性に発育することは稀である。5歳以下であれば、神経芽細胞腫のe.
転移性骨腫瘍が比較的多いが、8歳という年齢では、比較的少ない。また、血液疾患や小細胞性腫瘍であれば、傍椎体部への進展は考えられるが、石灰化像は考えにくい。その他の腫瘍では、骨破壊像が目立たない点で矛盾する。
(以上16〜20は山下智裕会員・東海大学)
21.解答 d
■診断所見およびプロセス
(1)肺血管は拡張していない。従って左右短絡を伴うa. 心室中隔欠損症、b. 動脈管開存症は否定される。
(2)両側の第4 , 5肋骨下縁に骨硬化像がありrib notchingである。c. Fallot四徴症、d. 大動脈縮窄症にこの所見がみられるが、肺動脈の狭窄はなく、c は否定される。
(3)心陰影の拡大はなく、e. 大血管転位症は否定される。
その他:正面像のみで循環器疾患の診断を求めるのは適切でないと思う。また、rib notchingも写真が小さいのでわかりにくい。
22.解答 c
■診断所見およびプロセス
(1)胸膜陥入像がある。これは腺癌の他、繊維化を伴う炎症性腫瘤でもみられる。
(2)Spiculation、nothingがある。これは腫瘤の繊維化を反映する所見である。したがってaは否定的。
(3)内部に気管支透瞭像をともなう。bの“空洞”ではない。
23.解答 e
■診断所見およびプロセス
(1)“木靴型”の心陰影で、Fallot四徴症の典型像である。
(2)Fallot四徴症は1)肺動脈流出路狭窄2)心室中隔欠損3)大動脈騎乗4)右室肥大で定義される。aは4)、b, c は1)に由来する所見と考えられ、大動脈の描出は正常なのでdも正しい。
24.解答 b
■診断所見およびプロセス
(1)肺血管陰影が増強しているので、左→右シャントの存在が疑われる。肺動脈が狭窄、閉塞するc Fallot四徴症d 肺動脈閉鎖と、右房圧が上昇してむしろ右→左シャントが生じることのあるe Ebstein奇形は否定される。
(2)上縦隔が左右に拡大して心陰影とともに“雪だるま型”または“8の字型”を呈している。左右肺静脈が合流して左主静脈となり、左無名静脈に流入するタイプ(上心臓型)のb 総肺動脈還流異常を疑う。拡大した上縦隔の右縁は上大静脈、左縁は左主静脈と考えられる。
25.解答 c
■診断所見およびプロセス
(1)気管分岐角が開大しており左房の拡大の所見である。
(2)左右上肺野の血管陰影が増強しており、後毛細血管性肺高血圧の所見である。
(3)大動脈弓や肺動脈幹の大きさは正常であり、したがってa. 大動脈圧の上昇と
b. 肺動脈弁狭窄の合併は否定できる。
(4)c, d, eのうち後毛細血管性肺高血圧で上昇するのはc. 肺動脈楔入圧である。
(以上21〜25は西 直子会員・埼玉医科大学)
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