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26.解答 c
■所見
向かって左の図、spin-echo法では、上行大動脈が洋梨様に拡張(a)し(annuloaortic ectasia)、左室の拡大(e)もみられる。向かって右の図、gradient-echo法では、上記に加えて、大動脈弁逆流を示すflow
voidが左室内に認められる(d)。
■診断プロセス
上記の所見、特にannuloaortic ectasiaや25歳という年齢から、設問の選択肢(b)にあるMarfan症候群やEhlers-Danlos症候群といった疾患が思い浮かぶ。
■解答
上記1,2の如く、誤っているのはcとなる。
■鑑別診断
嚢胞性中膜壊死による上行大動脈の拡張は、老化などの後天性素因によっても発症する。
■その他
Marfan症候群やEhlers-Danlos症候群などでは、大動脈壁中膜の弾性線維が変性断裂し、壁の脆弱化を来すいわゆる嚢胞性中膜壊死がみられる。この変化は上行大動脈に多く、大動脈弁輪やValsalva洞が拡大し、大動脈解離や大動脈弁逆流を併発する。大動脈弁輪部の拡大は正常の2〜5倍にも達し、これをannuloaortic
ectasiaと呼ぶ。大動脈根部の洋梨様(pear shaped)拡張を典型像とするが、上行大動脈がびまん性に拡大したり、Valsalva洞に限局した拡張に留まることもある。
(参考文献:竹田 寛他:大血管病変の画像診断−大動脈.画像診断13:1095-1105、1993)
27.解答 a, b
■所見
大動脈の輪郭の不整と拡大、後腹膜右側優位に広がる単純CT上不均一高吸収、造影CT上低吸収に描出される後腹膜血腫が認められる。造影CTでは、不整な輪郭を示す大動脈の腹側に、血管内と同等の濃度で造影される嚢状の領域が認められ、造影剤の血管外漏出像(仮性動脈瘤形成)と考えられる。
■診断プロセス
上記から仮性動脈瘤形成(造影剤の血管外漏出)を伴う大動脈瘤破裂と診断できる。
■解答
上記1の如く、aとbはみられない。
■鑑別診断
鑑別診断を考えるより、一刻も早く治療を開始すべきである。
■その他
仮性動脈瘤形成は活動性の出血と考え、患者の状態が落ち着いていたとしても、速やかな対応が必要である。
28.解答 c
■所見
上行大動脈、下行大動脈内部には剥離内膜が線状に描出されている。高濃度に描出される真腔とともに偽腔も造影されている。さらに心前面に沿って(浸出液よりは)濃度が高いと考えられる液体貯留がみられ、心嚢内血腫と考えられる。
■診断プロセス
上記所見と臨床症状から、偽腔開存型のStanford A型大動脈解離と診断できる。
■解答
最も可能性の高いのは、cと考える。eも可能性がないとはいえないが、提供された画像上みられる所見から可能性を考えると、c>eとなる。
■鑑別診断
本症例のようなStanford A型の大動脈解離は原則として緊急手術の適応であり、鑑別を考えるより先に治療に移るべきである。
■その他
偽腔開存型のStanford A型大動脈解離の合併症として、心嚢内破裂〜心嚢内血腫・心タンポナーデ、冠動脈圧迫・閉塞や冠動脈解離およびそれに伴う心筋虚血、大動脈弁閉鎖不全などを知っておく必要があり、これらの有無も診断すべきである。本症例では診断は容易であるが、上行大動脈内の剥離内膜は動きが大きいため、同定が困難なこともあり、注意が必要である。
29.解答 c
■所見
胸部単純X線写真では、肺門部での肺動脈の拡大(と急峻な狭小化)(knuckle sign)とその末梢域での透過性亢進(肺血管影減少)(Westermarkユs
sign)が認められる。肺血流シンチグラムでは、右優位に両側で欠損像が認められる。右心系の拡大を示す心拡大の所見は目立たず、肺梗塞を疑わせる楔状陰影(Hamptonユs
hump)やこれに伴う出血を示唆する浸潤影は認められない。
■診断プロセス
上記より肺塞栓症と診断できる。右心負荷や肺梗塞の所見は指摘できない。
■解答
誤っているのは、cとなる。肺血流シンチグラムで血流欠損が大きくても、気管支動脈系などからの側副血行により梗塞に至ることは少ない。肺梗塞の合併は、全肺血栓塞栓症の10〜15%といわれており、末梢の肺動脈が閉塞した場合に生じやすい。
診断を目的とした場合、これ以上検査をする必要があるかどうかは多少疑問に思う人もいるかもしれないが、本疾患の診断における造影CTは、いわばデファクトスタンダードと考えてよく、血栓そのものをみることができ、肺梗塞や出血などの肺野の変化や心拡大も評価できる利点がある。
■鑑別診断
突然の呼吸困難を主訴としており、上記画像所見からは鑑別すべき疾患はないと考える。発症様式を考えないとすると、肺動脈の腫大・狭小化する疾患としては肺高血圧、慢性肺塞栓症や大動脈炎症候群、肺腫瘍、肺動脈瘤などをあげることができ、肺野透過性亢進・血管影の減少を示す病態としては、Swyer-James症候群、肺気腫、巨大肺嚢胞、気管支閉鎖症などがあげられる。肺動脈肺血流シンチグラムでの欠損像は、肺炎や肺気腫などでも認められる。
■その他
(参考文献:星 俊子他:明日まで待てない画像診断−2.胸部(肺、心大血管)−肺血管疾患.画像診断21:1085-1095、2001)
30.解答 a
■所見
小葉中心性分布を示す境界不明瞭な淡い結節がびまん性に認められる。
■診断プロセス
示された画像所見はat a glanceに診断が可能なほど典型的であり、aに過敏性肺臓炎とあることから他の選択肢はみる必要もない・・・というと言い過ぎかもしれない。ただし、実際の臨床の場では選択肢が与えられるわけではなく、背景によっては他の疾患の可能性も思い浮かべながら読影する必要がある。
■解答
選択肢のなかでは、瞬時にaを選ぶべきである。
■鑑別診断
小葉中心性に分布する結節影は淡く、境界が不明瞭であることから、鑑別すべき疾患は少ないが、臨床背景によっては以下の疾患の幾つかは可能性を考える必要がある。また逆に、以下の疾患を診断する際に本疾患を考える必要がある場面もある。
陰影の性状を問わなければ、小葉中心性に細かな陰影が分布する疾患として、びまん性汎細気管支炎、気道散布性肺結核、Pneumocystis
Carini 肺炎、Cytomegaro virus 肺炎、Mycoplasma 肺炎、非定型抗酸菌症、閉塞性細気管支炎、リンパ球性間質性肺炎、濾胞性細気管支炎、肺好酸球性肉芽腫症、珪肺症などが挙げられ、小葉中心性の小結節影、樹枝状・分岐線状影などを呈しうる。
■その他
(参考文献:泉 孝英監修、村田喜代史他偏:改訂新版 胸部疾患のCT診断:小葉中心性分布を示す疾患.最新医学社、大阪、2001、p38-48)
(以上26〜30は松本純一会員・聖マリアンナ医科大学)
31.解答 e
a. 1)bronchovascular bandleの不整肥厚、2)小葉間隔壁の肥厚、3)小葉内でのbronchovascular
bandleの肥厚などを特徴とする。
b. air trapping(+)嚢胞性病変の成立機序として推測される、気道内腔の肉芽腫形成の病理像を特徴とする。
c. CCAM 正常構築が崩れた肺組織から成る肺内腫瘤で、種々の大きさの嚢胞を形成する。嚢胞壁の平滑筋と弾性線維の増生で特徴づけられる先天性疾患。成人発症例はまれで、ほとんど新生児期に発見される。CTでは多数の薄壁の嚢胞で構成される腫瘤を特徴とする。
d. 原因不明の慢性間質性肺炎でUIPとは平均年齢が10歳若く、生存期間が2〜3年長い、死亡率が低いことで区別される。気腔内への大型単核細胞が認められる。所見の時相が一致している点が画像上の特徴とされる。すりガラス様陰影を呈する。
e. 1cm以下の大きさのそろった嚢胞性病変の蜂窩肺を呈している。周囲の変化は間質主体の淡い高吸収のある点が重要である。その他牽引性の気管支拡張、すりガラス様陰影、小葉辺縁の高吸収域が時間的に、空間的に不均一に分布する。すりガラス様陰影は、高吸収域がはっきりした境界を示さずに存在する。
bronchovascular bandleの肥厚がない。a-×
air trappingが無い。気道内肉芽腫性病変を認めない。b-×
年齢的に、また、種々の大きさの嚢胞性変性がない。c-×
すりガラス所見は見られず。d-×
32.解答 d
a. サルコイドーシス:bronchovascular bandleの不均一な肥厚を特徴とし、小葉間隔壁、細気管支周囲、葉間および胸膜面に沿う微細粒状影を示す。気管支壁の肥厚像、大小の結節影、すりガラス様陰影、末梢肺野の局所的収縮像(上肺野優位)、塊状影。
b. 珪肺:小葉中心性 or 胸膜直下の粒状影、上肺内層背側優位の所見。両側対称性塊状影。局所的肺気腫。肺門、縦隔リンパ節腫脹。
c. 肺結核:気道散布性肺結核症。小葉中心性小粒状影。分枝様構造。tree-in-bud appearance。5〜8mm大の結節影。1〜2cm大の小葉性陰影。小葉間隔壁の肥厚。空洞形成。
d. 小葉中心性の粒状影、分枝状構造を持つ線状影。細気管支拡張像。肺野外層主体の肺野吸収値の低下。気管支壁の肥厚、拡張像。
サルコイドーシスにしては胸膜面の変化が乏しい。a-×
珪肺は上肺野優位、両肺野対称性塊状影がない。b-×
肺結核は小葉中心性の小粒状影は認められるが、tree-in-bud appearanceといえるかどうか。c-×
metastasis e-×
33.解答 a
a. Langerhans細胞組織球症(好酸球性肉芽腫症) :比較的厚い嚢胞像、しばしば不整形状を呈する。粒状影(小葉中心性、細気管支中心性)。上肺野優位に結節空洞嚢胞影をびまん性に認めるが分布や形態は多様である。すりガラス状陰影。
b. Wegener肉芽腫症:しばしば空洞形成。大小の結節像。気管支中心性分布。胸膜に接した楔状の結節、腫瘤。全周性の気管支肥厚像。気道狭窄、拡張。融合像。
c. びまん性汎細気管支炎
d. 肺結核
e. 転移性肺腫瘍
a- ○
胸膜に接した楔状の結節腫瘤影は無い。b−×
細気管支拡張像は無い。c−×
d−×
e-×
34.解答 a
左肺のS6の散布巣、小葉中心性陰影 a-○
(以上31〜34は中村徹会員・神鋼加古川病院)
35.解答 b(d, e)
■所見
気管内挿管されている。両肺に対称性・びまん性の透過性低下がみられ、中枢側に強く心陰影は不明瞭。airbronchogramが認められる。肺容積に変化はみられないが、挿管中のためはっきりとしたことは言えない。
■診断プロセス
新生児において挿管の必要な病態として鑑別にあがるmajorな疾患の単純写真像を問う問題であるが実のところそう簡単ではない。
congenital cystic adenomatoid malformation(先天性嚢胞性疾患、時に充実性腫瘤様にみえる)は像が異なる。
Hyaline membrane diseaseは早産や低出生体重児などで肺組織が未熟なため2型肺胞上皮より分泌される界面活性剤が少なく、肺胞が開かず代償性に肺胞管や細気管支が拡張するとされるが、典型的には肺野は全体に肺胞内液体貯留により細網顆粒状陰影を示し、肺容積は小さくなる。Bomselの重症度分類では4つに分けられているが、本例ではその3度の像として矛盾はないと考えられる。
動脈管開存は胎児循環再疎通を意味するものとおもわれるが、これはHyaline membrane diseaseの治療にサーファクタントを投与することにより、肺胞の急激な開きによる肺血管抵抗の上昇が起こり、そのため閉鎖しかけていた動脈管や卵円孔が開いて右→左シャントが起こる。心陰影が拡大し、初期には肺動脈陰影は正常ないし細くなるとされる。本例では前述の如くHyaline
membrane diseaseの治療中としても矛盾しないため、ありえないとはいえないが本疾患の病態を反映した画像とはいえない。
羊水吸引では(成人も血圧低下でそのようになり得るが)胎児に血行動態上の虚血がおこると排便を来し、羊水が混濁しているといった所見を伴い臨床的に参考になる。過呼吸状態にあり、便を含んだ羊水を吸引するため典型的には肺野は含気減少、過膨張の領域が混在した状態でairbronchogramはみられない。胎便を含まない羊水を吸引することもあり(大量吸引症候群)、この場合肺野濃度の不均一さは目立たず新生児一過性多呼吸に類似するため本例のような像を呈しうる。
新生児肺炎の原因はウイルス、細菌、真菌とさまざまで、単純写真上もさまざまである。容易に敗血症となり、成人のように肺葉に一致せず左右対称性の均一な分布を示すが、肺野での炎症反応の強い部分や無気肺など不均一な分布を示すことも多い。本例でも否定はできないとおもわれるが、挿管が必要な病態として第一に来るかというと疑問がある。
hyaline membrane disease、羊水吸引、新生児肺炎について、画像のみでの鑑別は困難なことが多いものの通常は炎症反応の有無、羊水混濁の有無、未熟児か満期産児かなどの臨床情報を参考にしながら鑑別がすすむ。本問題は最も考えられるものはどれかではなく考えられるものを一つ選べとあるが、a以外はどれも考えられ、特にb,
d, eのうち一つのみ選ぶのは難しい。あまり深く考えないで選ぶとすると(オーソドックスには)bを選ぶが我々でも即断は難しい。
36.解答 c
■所見
臥位で撮像された腹部単純写真では、右上腹部、左上腹部で腸管壁が二重にみえ、左ではfree airのようにもみえる。その他の部位の腸管には明らかな異常は指摘できない。空気条件の腹部CTでは右上腹部の異常影が描出されているが、free
airの中に腸管が浮いているようにみえる。一部で腸管の輪郭に沿った空気があるようにみえる。
■診断プロセス
白血病患児の急激な腹痛といえば、臨床的にはリンパ系腫瘍に用いる抗腫瘍薬のl-asparaginaseに起因する急性膵炎が問題となるが、film上、膵炎を積極的に支持する所見はみられない。残る4つの選択枝の中ではいずれも重症だとfree
airを来しうるが、潰瘍性大腸炎、Crohn病、大腸憩室炎では白血病との直接的な関連はない。大腸憩室炎は治療中の免疫力の低下状態で併発し、悪化することもありえるが、陰影の分布が不自然で、小児において憩室自体非常に稀である。Pneumatosis
cystoides intestinalisはいろんな原因で起こり得るが、腸管の感染やステロイド、抗腫瘍薬によっても引き起こされるとされる。白血病患児にみられる急激な腹痛というキーワードとは関連が薄く、むしろ臨床の実際を知っている方が混乱し、問題としては適当とはいえないが、起こり得る病態から画像的に最も可能性が高いものを選ぶとすると除外診断よりPneumatosis
cystoides intestinalisということになろう。
37.解答 e
■所見と解説
頭部単純写真側面像では、脳回様の二条の石灰化(tram line calcification)が描出され、CTで片側性の脳回の石灰化とわかる。このような病態として、Sturge-Weber病が有名で、脳軟膜のangiomaにより、徐々に皮質に石灰化を来してくる。診断は容易で鑑別は必要ないと考えられる。
38.解答 a, d
■所見と解説
頭部CTでは左右の側脳室壁に石灰化を伴った結節が認められ、右側脳室前角付近の実質内にも石灰化がみられる。結節性硬化症に伴ったsubependymal
tuberおよびsubcortical tuberとの診断は容易である。腹部CTでは両腎に腫瘤が認められ左腎の腫瘤内にfatをおもわすlow
densityの部分と血管と同程度に造影される部分がある。大動脈造影では腫瘍血管の一部にaneurysmalな部分が認められる。結節性硬化症に伴った腎病変としてはangiomyolipoma(過誤腫)、腎細胞癌ともに考えられるが小児では腎細胞癌は稀である。画像所見、頻度よりangiomyolipomaと考えられる。
(以上35〜38は赤坂好宣会員・兵庫県立こども病院)
39.解答 c, d
■診断所見
左乳房の(おそらく)MLO方向撮影と、その拡大像が提示されている。左乳房上部に腫瘤性病変を認める。腫瘤の形状は多角形あるいは一部分葉形である。辺縁は微細鋸歯状で一部スピキュラを伴う。濃度は高濃度で、中央部にはさらに高濃度のcoreを認める。石灰化は明らかでない。以上の所見は腫瘤の判断樹ではカテゴリー5となり、乳癌が疑われる。
■診断プロセス
a. ×
b. ×葉状腫瘍は線維腺腫の2〜3%を占める比較的まれな疾患である。巨大なことが多く、分葉状を呈し、内部は均一であることが多い。
c. ○radial scarとは良性の過形成性病変である。MMG上内部にradiolucent areaを伴うことが多い。
しかし、辺縁不整形、分葉形、時にスピキュラを伴い、時に悪性病変との鑑別を有する。
d. ○
e. ×
■鑑別診断
特になし。
■その他
画像が悪く、中心部の高濃度が大きな石灰化のようにも見えてしまいますが、そこは深読みせず、浸潤性乳管癌の像でよいと思います。
40.解答 a, c
■診断所見
右乳房の(おそらく)MLO方向撮影と、その拡大像が提示されている。右乳房下部に微細な円形、多形性あるいは不均一、一部小さな線状〜分枝状の石灰化を認める。分布はほぼ区域性である。以上の所見は石灰化の判断樹ではカテゴリー5となり、乳癌が疑われる。
■診断プロセス
a. ○
b. × 乳腺原発のリンパ腫はまれな疾患である。孤立性腫瘤を呈することが約58%、片側びまん性病変が約25%、片側多発性腫瘤が約8%との報告がある。石灰化は一般的でない。
c. ○ comedo癌は、乳管内に癌細胞が充満するタイプの非浸潤性癌である。悪性度が高く、早期に浸潤癌に移行する。MMG上、乳管内で栄養血管を持たず中心部が壊死することによる、鋳型状・分枝状の石灰化が特徴的とされる。
d. × hamartomaの代表的なものはadenolipomaである。MMG上、薄いradiopaque capsuleに囲まれた境界明瞭な腫瘤を呈し、内部は脂肪または軟部組織濃度を呈する。石灰化は一般的でない。
e. ×
■鑑別診断
特になし。
■その他
カテゴリー診断をすると癌と考えやすく、消去法でもアプローチ可能でしょう。マンモグラフイーの2題は、腫瘤・石灰化から癌を診断させる問題でした。他の分野と比較するとやや基本的な問題だった気がします。
(以上39、40は篠原真木子会員・慶應義塾大学)
41.解答 e
■所見
十二指腸下行脚の管腔内に辺縁rimを伴った嚢胞状構造物を認め、同部で狭窄もみられる。それより口側は拡張している。嚢胞状構造物内にはair像およびバリウムを認める。明らかなニッシェはみられない。
以上から、a, bは否定的で、また十二指腸の走行も正常と考えられ、従ってdも否定的。残りはc, dであるがMRCPで十二指腸周囲には輪状の膵管は明らかでなく、解答はeとなる。上記所見からも壁様のrimや嚢胞状構造物内のバリウムの存在からeとして矛盾はないと考える。
(参考)
十二指腸壁内憩室・・・十二指腸内腔へ嚢状に突出する憩室で、その両面は腸粘膜で被われているまれな先天性疾患である。成因的には胎生期に遺残したpartial
duodenal diaphragmが蠕動や内圧亢進により次第に伸展され、袋状の所見を呈するようになったものとされている。上部消化管X線検査では主として十二指腸口側の拡大と、西洋梨状、袋状、卵形などの嚢状陰影と、これを取り囲む透亮帯を認めるのが特徴。腹部単純写真ではdouble
bubble signを認めることが多い。
十二指腸回転異常・・・Vater乳頭部より口側と肛側で発生が異なる。Feldmanが4型に分類。沍^:球部よりすぐ左側に反転するもので下行部の形成がみられないもの。型:下行部に移行した後、外側から左上方へ反転して走行するもの。。型:下行部が延長して蛇行した後に、外上方に反転して左方へ移行するもの。「型:無回転型で、下行部は左方へ移動せずに、そのまま下行して腹腔右半の空腸に移行し、十二指腸空腸曲は認められないもの。
42.解答 c
■所見
肝辺縁に結節状〜びまん性を呈する低吸収域をみとめる。中心部にはBullユs eye様のさらに強いLDAも伴っている。造影で腫瘤辺縁のみわずかにenhanceされるのみである。
転移性肝腫瘍が鑑別になるが、腫瘤部には肝の陥凹性病変も伴っていることより上記の所見からは第一には類上皮性血管内皮腫を考えたい。
(参考)
日本住血吸虫・・・CTでは肝内の高濃度線状影と線状石灰影が門脈域の線維化と石灰化した門脈内塞栓虫卵を表している。典型像は肝辺縁の陥凹とこれに連続する線状石灰化影が網目状に肝内で交差する。著しい場合は肝辺縁も石灰化する。
類上皮性血管内皮腫・・・肺、肝、軟部組織、骨などに発生するまれな血管内皮系の腫瘍。IVBAT(intravascular
bronchioloalveolar tumor)は類上皮性血管内皮腫の肺病変と考えられている。CT所見は肝実質より低吸収を示す腫瘍で、造影後は腫瘍の辺縁にリング状の濃染像を認めるとされている。腫瘍内には石灰化をみることが多い。結節型、びまん型に分類。肝辺縁部に結節が多発し、増大するに従い、癒合してびまん型に発展すると推測されている。びまん型では肝被膜の陥凹所見が多くにみられ、特徴的所見である。US所見では低エコーで中心部が高〜等エコーのBullユs
eye patternの報告がある。
MRIではT1WIでは肝実質より低信号を呈し、T2WIでは高信号を示すと報告されている。
43.解答 d
■所見
肝S8に中心部に強い石灰化をともなった腫瘤を認める。MRIでは少しスライスレベルが異なるが石灰化に一致してT2強調像で比較的強い高信号を示し、中心部低信号を示している。
消化管、特に大腸癌で粘液産生の強いものであれば石灰化することが多く、粘液成分が多ければT2強調像で強い高信号でも矛盾はないと考える。
44.解答 d
■所見
肝腫大がみられ、門脈周囲に淡い低吸収域 (periportal collar)と胆嚢内腔虚脱、胆嚢壁の浮腫状肥厚をみとめる。
これらは急性肝炎にみられる所見である。
45.解答 a○、b×、c×、d○、e△
■所見
単純CTでS4/8、S3に1cm強、S7に内部に約3.5cm大の小結節を伴った巨大なLDAを認める。造影CT動脈相でS8にさらに2cm強の腫瘤がみられ、いずれも強いenhancement
areaが見られる。S3、S8 massは単純および動脈相で中心瘢痕様のlow densityもみられる。平衡相ではiso
densityからややlow densityを示すが、S7の巨大なmassは被膜がみられる。MRI T1強調像ではisoから淡いhigh
intensityを示し、T2強調像で小病変はisoからごく淡いhigh intensity、S7 massはhigh intensityを呈する。S7
massは被膜が明瞭である。
糖原病(沍^:von Gierke病)に合併しやすい肝病変としては肝細胞腺腫がまずあげられ、S7 mass以外は肝細胞腺腫として矛盾はないと考える。ただし、S3、S8
massは中心瘢痕様(+)ということからFNHも否定できない。S7 massは造影パターンからadenoma、FNH、HCCの鑑別になると思われるが、中心瘢痕は明らかではなく、また均一な染まりでなく、造影CT平衡相で一部wash
outされており、被膜を伴うということからadenoma、HCCとして考える(一般にはFNHは被膜を伴わない)。総合的には、adenoma、HCCを考えたい。
(以上41〜45は宮本義也会員・兵庫医科大学)
46.解答 d
胆嚢頚部には壁肥厚は見られずに、胆嚢体部から底部に限局する著明な壁肥厚像が描出されている。aの単純CTでは明かではないが、bの造影CT後期相では粘膜の下層部が肥厚し造影増強しており、内部に低吸収な嚢胞状構造が見られる。MRCPでは胆嚢体部から底部と思われる周囲に多数の嚢胞状構造が描出されている。
以上から主要な所見は胆嚢体部と底部に限局した壁肥厚像とその内部の嚢胞状構造であり、胆嚢腺筋症混合型がbaseであると思われる。
ここでこの症例は右季肋部痛を主訴に来院しており、aの単純CTでは肝床部の吸収値が低下しており炎症に伴った浮腫が疑われる。またMRCPでは胆嚢体部から底部の内腔が描出されておらず、この部分の粘膜側に沿って細い線状の高信号がリング状に描出されていることから内腔を充満する結石の存在が疑われる。
一方、RASと思われる嚢胞状構造は大小不同でかなり大きなものも含まれており不整形なものも見られる。通常の胆嚢腺筋症に見られるRASは1mm〜5mm程度の小嚢胞構造で、本症例で見られるものはそれよりも大きなものも含まれていると思われる。
これらの情報および所見は、結石を伴った混合型の胆嚢腺筋症から結石の嵌頓により内圧が上昇しRASが壁内で破裂し、肝床部に炎症が及んだ状態を示唆しているものと思われる。従って解答はd.の黄色肉芽腫性胆嚢炎と思われる。
黄色肉芽腫性胆嚢炎はbaseに胆嚢腺筋症が存在することが多く、結石の嵌頓などが原因で胆嚢内圧が亢進した結果、RASが壁内で破裂することにより起こるとされる。壁内に漏出した胆汁により局所に強い化学性炎症を来す。通常はびまん性の変化を来すが、限局性の場合もあり本症例は体部から底部の限局型と思われる。
47.解答 d
膵腫瘍の鑑別診断が選択肢にあげられている。
腫瘍は単純CTでは境界明瞭な類円形で、内部には地図状の低吸収域が拡がっている。造影CT後期相では腫瘍内部の性状がよりはっきりとし、大きな嚢胞成分と充実成分が混在している。充実部分の造影増強効果は強くなく、肝、脾よりも低く、膵実質よりもやや低い。腫瘍の背側には腎や腎静脈が広範に接しているが、浸潤を疑う所見は指摘できず圧排のみと思われる。
巨大な腫瘍であるが周囲への浸潤傾向が見られないこと、および嚢胞成分と充実成分が混在する腫瘍であること。また症例は19才と若年で、くわえて過去には自覚症状が乏しかったであろうと思われることから、診断はd
のsolid cystic tumorと思われる。
形態的な鑑別としてはa.の膵島腫瘍が考えられるが、これは充実部分が著明に造影増強することが特徴で、本症例には合致しない。また大きなものは内部壊死を伴うが、SCTの嚢胞成分の形態とは異なる様に思われる。
48.解答 e
単純CTでは膵頭部に分葉状の嚢胞性腫瘤が描出されており、造影CTでは腫瘤内部には隔壁があるようだが明らかな充実部分は描出されていない。MRIではこの嚢胞性腫瘤は小嚢胞の集族であることが分かる。またMRCPではこの腫瘤はブドウの房状の形態で膵頭部に描出されており、主膵管は拡張している。
この時点で、鑑別診断としては粘液性嚢胞腺腫、漿液性嚢胞腺腫のMacrocystic type、膵管内乳頭腺腫(腺癌)などを考えるが、MRCPで見られたブドウの房状の形態は膵管内乳頭腺腫の分枝膵管型に特徴的な画像を提示していると思われる。
膵管内乳頭腺腫(腺癌)は主膵管内や分枝膵管内に発育する腫瘍で、主膵管型、分枝膵管型、混合型の3型に分類される。主膵管型は膵全体に著明な膵管拡張が認められる。また乳頭からの粘液の流出が認められる。分枝膵管型は膵管の分枝がブドウの房状に拡張するので、画像上は主膵管と連続する多房性嚢胞として描出される。粘液を産生する膵管上皮の過形成や腺腫あるいは腺癌自体は比較的小さなものが多く、画像上検出するのが困難な場合が多い。ほとんどの場合、腫瘍は膵管内に限局しており、腫瘍外への浸潤を認める場合を除いて、画像所見で良悪性の鑑別は困難とされている。
これらの特徴を踏まえ、解答の選択肢の中で過っているものはeと考えられる。
49.解答 d
US、CT、MRCPが提示されており、膵頭部の嚢胞性腫瘍であることは明かである。この時点で解答の選択肢はdの漿液性嚢胞腺腫か、eの粘液性嚢胞腺腫にしぼられる。
CTを見ると、一見大きな単房性の嚢胞の様に思われるが、USでは嚢胞の内部全体に細かな隔壁様構造が描出されており小さな嚢胞の集族像であることが分かる。これを踏まえて造影CTを見ると、嚢胞内部には点状や線状の非常に小さく、あるいは細い、高吸収な構造がちらばっている様に見え、漿液性嚢胞腺腫に特徴的な蜂巣状構造が描出されているものと考える。嚢胞の2時方向にはやや粗大な線状の高吸収物があり隔壁の様にも思われるが充実部分の造影増強とも考えられる。MRCPでは2時方向や、6時方向、9時方向の辺縁部に小さな嚢胞の集族と思われる像が見られ、この所見も漿液性嚢胞腺腫を示唆している。嚢胞の中心から10時10分の方向には隔壁と思われる線状のdefectが見られるが、薄いものに思われる。
解答はd.の漿液性嚢胞腺腫と考えられる。
eの粘液性嚢胞腺腫は厚い線維性被膜を有する大きな嚢胞からなる多房性腫瘍であり、各嚢胞は比較的厚い隔壁により境され、本症例とは形態的に異なる。
(以上46〜49は竹吉正文会員・聖マリア病院)
50.解答 b
■解説
単純CTにて左腎盂内に高吸収部分を認め血液成分を反映した所見と思われる。造影CTでは早期相にて左腎洞に対側に比し微細な血管構造が目立ち、左腎静脈は対側に比し増強効果が強い。おそらく前者はnidusを反映し、後者は早期静脈還流を反映した所見であると思われる。以上、腎動静脈奇形(cirsoid
type)の所見として典型的である。画像上は両側腎臓に占拠性病変は認めず、上記の血管奇形の所見を読影できなくとも最終診断にはたどりつくものと思われる。また、病歴の比較的若い男性の大量血尿というhistoryは本疾患の存在を考慮すべきである。鑑別診断の必要性はなし。
51.解答 b(厳密にはdも不正解とは言えない)
■解説
左副腎に結節性病変を認める。また、本症例における2種類のT1強調画像とは、chemical shift imaging
法を用いた画像であり、左側がin phase 画像で、右側がout of phase(opposed phase)画像である。両者を比較すると前述の左副腎の結節性病変は明らかにin
phaseからout of phaseにて信号が抑制されており、病変内の脂質を反映した所見である。従って、素直に考えると解答はb.副腎皮質腺腫となる。ただし、d.転移性副腎腫瘍も厳密には不正解とは言えない。なぜならば、腎臓由来のclear
cell carcinoma の副腎転移の場合には、腫瘤内に脂質を含有するため同様の画像所見をとり、画像上の鑑別は困難であるからである。
52.解答 d(もしくはe)
■解説
左副腎に類円形の腫瘤性病変を認める。単純CTにて低吸収と脾臓と同程度の淡い高吸収の混在した不均一な形態を呈し、造影後は、前者の低吸収部分は増強されず嚢胞変性もしくは壊死部分と思われ、後者の充実部分は比較的強く増強されている。MRIではT2強調画像にて著明な高信号を呈しているのが特徴的所見と思われる。また、T1強調画像、T2強調画像ともに低信号を呈する索状構造も認められるが。おそらく腫瘍内出血等を反映した所見と思われる。以上の所見より、診断は褐色細胞腫が画像上は最も疑われる所見である。そこで、選択肢にたちかえってみると、a.
b. c. は明らかに正しい(詳細は成書を参照)。従って、d.もしくはe.が誤りになるのだが、dに関しては皮質腺腫が造影後の腫瘍の増強効果が早く失われる傾向がある
(rapid wash out) との文献上報告に基づきこの選択肢を作成したものと思われる。だが、褐色細胞腫も造影早期にて著明に増強され晩期相ではwash
out される腫瘍であり、判断に苦慮する。また、eに関してはIの標識が問題となる、本来は131が副腎に使用されるIの標識である。123は心筋には保険適応があるが、副腎には認められていない。ただし、文献上は123も褐色細胞腫において陽性像を呈し、検出感度、特異性も高いとの報告がみられ、厳密には"誤"とはいえない。以上、この設問は不適切問題と思われる。
53.解答 b
■解説
右副腎領域に脂肪成分を含むやや辺縁が凹凸不整な腫瘤性病変を認める。石灰化はなし。造影後は単純CTにて肝臓と同程度の吸収値を呈していた充実成分は肝臓と同程度に濃染し、内部に一部著明な増強効果を呈する部分も認められる。以上の所見は副腎骨髄脂肪腫の所見として典型的である。また、ここに挙げられている選択肢の中で成熟した脂肪組織を含む腫瘤性病変はb.骨髄脂肪腫のみであり、本症例においては鑑別診断の必要性はないかと思われる。
54.解答 c
■解説
膀胱左側壁に辺縁不整な腫瘤性病変を認める。T2強調画像にて正常の膀胱壁筋層を反映する低信号帯が断裂しており腫瘤は筋層を越えて周囲脂肪組織まで浸潤しているものと考えられる(a.
正)。また、左尿管はT2強調画像冠状断にて拡張(水尿管症)が認められ、T1強調画像軸位断では尿管内が膀胱腫瘤と等信号を呈しており、膀胱腫瘤の尿管浸潤の可能性が疑われる(b.
正)。また、脂肪抑制を併用した造影T1強調画像では膀胱腫瘍が不均一に増強されている。呈示された3スライス内には有意な大きさのリンパ節腫大は認めない(e.
正)従って、cとdのいずれかが誤りになるのだが、dの造影剤による増強効果の判定には、脂肪抑制法が役立っているのは明白であり、cが“誤”となる。おそらく、造影像では腫瘍と炎症いずれも増強され腫瘍の正確な範囲の同定が厳密にはやや困難となるが、造影前像では膀胱腫瘍が周囲脂肪組織に浸潤している範囲が比較的明確に分離できるからという主旨の出題と思われる。
(以上50〜54は熊副洋幸会員・佐賀大学)
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