二次試験問題解答および注釈【放射線治療】26.〜50.

26. 解答 c,d
 
SVC症候群を来してはいますが、PS1なので根治を狙う症例です。(⇒e の姑息照射は誤りです)
 JASTRO2003年の学術大会で為された教育講演『肺がん―肺がんに対する最近の知見―』(多田 講演)に拠ればstage。(NSCLC)では化学療法が推奨され、タイミングは同時併用が有力である。とし、その根拠として、Pritchard(Ann Inter Med 125:723-729;1996) 及び、Furuse(J Clin Oncol 17:2692-2699;1999)その他を示されています。前者はCT+RT vs RT aloneのmeta-analysis で、CT+RT ではRT alone よりも有意に MST が延長する(約 1.7 ヶ月)。後者は、concurrent vs sequentialのRCTで、concurrentで有意にMST が延長している(約 3.2 ヶ月)。(⇒c は正解である。)
 b の導入化学療法後の同時化学放射線治療ですが、全身状況が、同時化学放射線治療を許すのであれば、総治療期間を短縮するためにも当初より、同時化学放射線治療をすれば良いと考えます。(⇒b は誤りとなります。)
 さて、残りのaおよび dからの選択ですが (多田先生に質問しておけばよかったと悔んでいます) 、『放射線治療マニュアル』(平岡他編著) (pp. 268f.)や『癌・放射線治療法2002』(大川他編) (p. 621) で紹介されているように“放射線・化学療法併用療法の比較試験では、併用の利益は非扁平上皮癌で認められるものの、扁平上皮癌では化学療法併用の利益は明らかでなかったと報告されている。”(Sause Chest 117:358-364;2000) ことを勘案し、dの放射線単独療法を選択します。(aは必ずしも誤りとはいえないと思うのですが、総治療期間を延長させ、cより、治療成績が悪いことより誤りとしておきます。)

27. 解答 c
 
『癌・放射線治療法2002』の 19 食道 b. 根治照射 2. 外部照射の方法(pp. 691f.)にc. を除く照射法の記述があります。参照下さい。ちなみに食道は細長く、その方向が、照射時の仰臥位の姿勢で、回転軸と一致しないために、通常単なる回転照射の適応にはならないと理解しています。

28. 解答 a, c

a.『癌・放射線治療法2002』 (p. 695) “潰瘍発生のリスクを考慮して、1回線量率を下げ分割回数を増やす方法が選択されている。”
c. 同 (pp. 700) “食道潰瘍や穿孔…食道狭窄は…特に腔内照射を併用して場合は、その発生頻度が高くなる。”

29. 解答 c
 『癌・放射線治療法2002』(pp. 694f.)参照。“低線量および中線量率腔内照射では一回線量は4〜6 Gy”ですが、 “食道粘膜下5 mmの点を評価点とすることが、コンセンサスとなっている”。同じ照射線量の記載であっても、評価点が、粘膜下10 mmであれば、5 mm の場合より照射線量は多くなります。“高線量率腔内照射では一回線量は原則として、3〜5 Gy で、一回線量を6 Gy 以上とすると食道潰瘍、食道狭窄、瘻孔形成などの合併症の頻度が増加します。”“また表在癌に対しては外照射(併用の場合)…一回線量を2〜2.5 Gyとして分割を増やすように警告されている。”

30. 解答 d
 総腸骨リンパ節を含めるかどうか、あるいは鼠径リンパ節を含めるかどうかについてはいずれも意見が分かれるところです(『癌・放射線治療法2002』(pp. 774f.)) が、大腸がん取り扱い規約では鼠径リンパ節は2群のリンパ節であり、総腸骨リンパ節は3群のリンパ節になります。また『放射線治療マニュアル』(pp. 366f.)に拠れば、T2〜4症例の場合として、 “… 肛門癌は歯状縁の上下で異なるリンパ流を有する。そのため、T2〜4と原発巣が進行するにつれて、鼠径リンパ節・傍直腸リンパ節・内腸骨リンパ節を primary target volume に含める必要がある。また、肛門縁付近の腫瘍では会陰へ進展しやすいため、肛門より3cm 前方の会陰の皮膚も確実にtarget volume に含める。……” とあります。

(以上 26-30は上田和光会員・市立伊丹病院 )

31.
 T4N1M0の肺癌で、SVC症候群を来している症例であり根治照射の適応はなく、根治的手術の適応でもない訳でもあるので正回答としての選択肢はb。dとするのが適切であるだろう。SVC症候群、脊髄転移で神経症状を来している症例に対しては通常緊急照射を施行する。

32. 解答 d
 腹腔動脈幹に血管造影上encasementがみられ、局所進行膵癌症例(T4N0M0)である。リンパ節転移を認めず、肝転移や遠隔転移もみられない。手術適応は考え難いわけで、正解答はdが最も適切であろう。5−FUのみでなく、SMFを用いたCRT(化学療法併用放射線治療)により、生存期間中央値が2〜3月から10月程度に延長されたとの報告例がある。

33. 解答 c
 食道癌では2年生存率が30%前後〜40%をやや下回る程度、5年生存率は5〜10%程度にしか満たない。化学療法併用で60Gyの放射線治療後も局所再発を来たす症例は多い。設問の適切な治療とは?  正解答はcとするのが適切と考えられる。

34. 乳癌の危険因子として一般的に挙げられているのは
1. 白人、黒人
2. 乳癌の既往歴
3. 35歳以上
4. 癌の家族歴’
5. 初産年齢31歳以上
6. 未経産
7. 自然的閉経
8. 肥満、過多の脂肪摂取
などであり、正回答としてはa, が適切と考えられる。

35. 解答 c
a.こうした報告例はみられない。
b.治療後10年以上経過しての再発が比較的多く見られるのが、乳癌の一つの特徴と言える。したがって、長いtime spanを取って経過観察をする必要がある。
d.腋か部への照射はリンパ浮腫をもたらす可能性が高く、予後改善に寄与しない。
e.一般に欧米人はBreastのVolumeが大きい為、6MV以上のX線を用いることが多いが、日本人では通常4MVのenergyを用いている。
したがって、正解はc.とするのが適切であるが、照射野中心での肺野の厚みは1.5~2cmとするのが望ましい。

(以上31-35は大谷雅俊会員・関西労災病院)

36.解答 c
 一部の早期下部直腸癌に対して、低エネルギーX線の腔内照射筒を直接肛門に挿入して照射する方法(Papillon法)や、局所切除と放射線治療を組み合わせた方法が肛門を温存する治療法としてあります。T3以上やリンパ節転移のある症例では切除術と放射線治療を組み合わせた治療法が再発率の低下に有効で、また局所進行直腸癌に対する術中照射により局所制御率・生存率の向上が報告されています。T2N0M0(Dukes A)では切除術の根治性が高くneoadjuvant療法の意義は小さいと考えられます。

37.解答 e
 子宮体癌は子宮頚癌より高齢者に多く、また、不妊、少産が危険因子となっていることで頚癌とは対照的です。肥満・高血圧・糖尿病の合併が多い傾向があります。子宮体癌は放射線感受性が低く、切除術が第一選択の治療法となります。腔内照射法は子宮頚癌の場合に比べて確立されていませんが線量を集中させる方法として有効です(HeymanのPacking法)。術後照射は局所再発率の低下をもたらしますが、生存率の向上は証明されていません。

38.解答 e
 FIGO分類項目にない腫瘍因子ですが腫瘍体積が大きいと局所制御率は低下します。Hostの因子として低Hb値は局所制御率を引き下げ、また、腫瘍内酸素分圧を実測して生存率との相関を証明した報告もみられます。放射線治療の因子として全照射期間の延長は局所制御率を引き下げます。腔内照射において低線量率と高線量率の小線源治療成績を比較した研究では、高線量率で直腸の合併症がやや高い傾向がみられるものの、局所制御率には差がないとされています。

39.解答 e
 全身照射による間質性肺炎を防ぐため、肺の遮蔽、多分割照射が行われます。白内障を防ぐため前眼部を遮蔽します。低線量率照射では長い照射時間中に急性障害が出て中断したり、血小板減少がみられるそうです。睾丸に対してブースト照射を付加することで同部位の再発率を低下させた報告があります。

40.解答 a
 限局期ホジキンリンパ腫の予後良好因子として40歳以下、女性、組織形がlymphcyte predominantまたはnodular sclerosis、B症状なし、病巣が3リンパ領域を越えない、巨大縦隔腫瘍なし、リンパ節外進展なし、血沈50mm/時以下などがあげられます。

(以上36〜40は中村隆二会員・岩手医科大学)

41.解答 b
a.化学放射線療法
b. 化学療法はdoseを上げても無効。放射線治療先行させるか、早い時期に行う。
c.乳房温存療法
d.ピロリ菌除菌
e.化学療法

42.解答 a
 大部分がB細胞性のびまん性大細胞性リンパ腫である。</FONT></DIV>

43.解答 a
 その他の予後不良因子としては年齢(1.5-2歳以下、8-10歳以上)等。

44.解答 b
 網膜後部は含める。
a.照射野に含めると中枢神経再発が著明に減少。
e.照射野尾側は第2頚椎下縁。

45.解答 a
 (1)根治的膀胱全摘術+リンパ節郭清 (2)A外照射 (3)外照射+組織内照射
c.特に尿管口付近。
d.治療成績は不良。長期観察で40-50%が局所再発する。
e.Jekinsの報告(1988)等。

(以上41〜45は豊嶋心一郎会員・富山医科薬科大学) 

46.解答 b
a. ○ 陰茎癌の所属リンパ節は浅・深鼠径リンパ節および骨盤リンパ節である。
b. × ○でも良いと思うが他の選択枝は教科書に明記されている内容であるため×と
した。この設問は恐らくUICCのT因子と思われT2は尿道海綿体または陰茎海綿体浸
潤、T3は尿道または前立腺浸潤である。T3になると根治は難しいか?
c. ○ 有害事象(主に皮膚炎)を軽減する目的で,可能ならば割礼を行う。
d. ○ モールド使用では表面で60-65Gy/6-7日程度の治療が報告されている。
e. ○ 線量分布の改善を目的とする。

47.解答 d
a. ○ 高位除睾術後の傍大動脈と同側の骨盤内リンパ節の放射線治療で99%の治癒率
と95%を越える無再燃生存率が報告されている。
b. ○ 術後は経過観察のみで再発したら治療という方針で15%のリンパ節再発と99.7
%の粗生存率が報告されている。
c. ○ 病期の記載がないが非精上皮腫では高位除睾術後にI期では後腹膜リンパ節郭
清、経過観察、化学療法(high risk群)などの選択枝がある。また、II期以上では
化学療法が中心となる。
d. × 精巣のリンパ流は後腹膜優位である。右精巣静脈は右腎静脈の2-3cm尾側で下大
静脈に合流し、左精巣静脈は左腎静脈に合流する。リンパ流もこれに準じる。
e. ○ 当然、精上皮腫の話と思われる。線量は25-30Gy。また、上記の如く問題は後腹
膜リンパ節であり、骨盤内の再発は3%未満とも言われ、低悪性度群では傍大動脈だ
けの照射で良好な治療成績が報告されている。

48.解答 a,e
a. × 切除のみでは30-60%の再発があり90Srによる放射線治療を併用する。切除後24時間以内の照射開始が望ましく、20-50Gy/3-5fr/1-7週での治療が報告されている。
b. ○ 疼痛の軽減に放射線治療が使われる。通常分割で30-40Gyが至適とされている。
c. ○ 分割回数に関係なく10-20Gyが適当と考えられている。
d. ○ 定位手術的照射ではPTVの中心線量を25Gyとし、80%線量でPTVをカバーするようにする。
e. × 1-2Gy/frで10Gy前後の報告が多い。自然退縮もあるので少ない線量で経過を診
ることが多い。有効な場合には10日以内に血小板が増加してくる。四肢の発生が多
い。

49.解答 d,e
a. ○ 脂肪肉腫は50-60歳台に好発し、下肢が45%、後腹膜を含む腹部に14%、体幹部
14%、上肢7.6%である(Radiology Review Manual 5th edition)。
b. ○ 木村氏病は頸部、側頭部、耳介周囲に好発する『リンパ組織の増生を伴う異常
な肉芽腫』でbenign lymphoid hyperplasiaの一型と考えられている。
c. ○ 横紋筋肉腫は胎児性、胞巣状、多形性に分類される。胎児性は幼少児の頭頸部
に多く、四肢に少ない。放射線感受性は高い。胞巣状は10-20歳の頭部、四肢、体
幹、多形性は中高年に好発し成人型とも呼ばれる。
d. × MFHは多彩な細胞構成からなり、放射線感受性は線維細胞が多ければ低く、組織
球細胞が多ければ低くはない。必ずしも×ではないが他の選択枝との兼ね合いから×。
e. × Kaposi肉腫の放射線感受性は高く、20Gy程度でも局所制御可能である。
 
50.解答 e
a. ○ 他に4Gyや6Gyの報告もある。
b. ○ 70-90%程度の除痛効果が報告されている。
c. ○ 40-50%の完全寛解が報告されている。
d. ○ 除痛までの期間は8Gy/1frと30Gy/10frで差がないとする報告と4Gy/1frと
8Gy/1frでは8Gyの方が早いという報告があるが...
e. × 脊髄圧迫症状がある場合は緊急照射の適応である。麻痺は48-72時間で不可逆性
とされており、直ちに治療を開始すべきである。出題者の意図は緊急とは即日という
ことを理解しているかにあると考える。しかし、症状発現7日以内とは受診までの時
間も含まれているのか?この選択肢が○でdが×なのか?

(以上46〜50は江原威会員・静岡県立総合病院)