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※ 27は不適切問題として解答を削除しました。
1.解答 b
放射線業務従事者は、6か月以内ごとに1回、一般労働者と同じ検査項目(医師が必要でないと認める時に省略できる項目6項目あり、ただし問診は省略不可)について、定期健康診断を行うように定められている(労働安全衛生法第66条第2項、同施行令第22条、同規則第45条)。血液及び皮膚の検査については、初めて管理区域に立ち入る前の健康診断では必ず行い、管理区域に立ち入った後の健康診断ではこれを医師が必要と認める場合に限り行うこととし、眼の検査については、全ての健康診断において医師が必要と認める場合に限り行うこと(放射線障害防止法関係法令の改正、平成12年10月官報掲載、平成13年4月1日施行)。
2.解答 b
放射線業務従事者の教育訓練の項目は下記の通り。
(1)放射線の人体に与える影響
(2)放射性同位元素等または放射線発生装置の安全取扱い
(3)放射性同位元素および放射線発生装置による放射線障害の防止に関する法令
(4)放射線障害予防規定
3.解答 b
2001年4月にICRP1990年勧告(Pub.60)を受けて線量限度が改定され、5年間に100mSvかつ1年間で50mSvとなった(改定前は年間50mSv)。また、女性に対しては、腹部で3ヶ月13mSvが3ヶ月5mSvとなった。このほか皮膚においては1年間で500mSv、水晶体では1年間で150mSvといった線量限度が定められた。
放射性同位元素とは放射線を発生する同位元素、その化合物および含有物であって、その特性によって第1群から第4群に分類されており、規制の対象となる数量および濃度は、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」(2000年10月、科学技術庁告示第5号)(以下、「数量告示」または単に「告」という)に定められている(告第1条)。しかし設問にあるように、放射性同位元素の種類ごとに細かく定められているわけではなく、eも誤りではないかと思われるが、確実に違うのはb。
4.解答 e
緊急時には、放射線業務従事者については急性放射線障害を防止し、確率的影響を低減する目的で、医療措置を含む緊急防護措置が想定されている。線量推定としては、熱ルミネッセンス線量計その他物理的な線量推定法や臨床症状からの線量推定法、生物学的線量推定法(血液・血球検査等)が試みられ、被曝線量に応じて必要な医療措置を含めた放射線防護措置がとられる。緊急時には、急性放射線障害の防止が主眼とされており、平常時の放射線防護とは別の防護措置が講じられる。なお、項目aの「被爆」が気になる。
5.解答 c
管理区域は人の被曝管理を目的に、必要な防護システムを適切に要求される区域として設定するものである。管理区域の外側で受ける線量は公衆の線量限度以下に担保されなければならず、病院の開設にあたってはX線診療室の構造設備等を示し許可を受ける必要がある(医療法第21条、医療法規則第20条第7号)。管理区域を「縮小」するという行為は上記の担保がなされなくなる恐れを含むため、許可使用者が許可なく行ってよい性質のものではない。他はいずれも届出でよい。
以上1〜5は田中淳司会員(埼玉医大放射線医学講座)
6.解答 c
(診断所見)
大脳白質内や大脳鎌に沿った半球内側部に,頭部単純CTで正常白質部より高吸収,MRIの造影T1強調像において強く増強される結節状,板状の腫瘤性病変を認める。また,MRIでは側脳室上衣に沿った部分にも線状ないし結節状の増強効果がみられる。周囲には浮腫性変化を思わせる所見を伴っているが,mass
effectはほとんど目立たない。
(診断のプロセス)
頭痛を主訴に来院した高齢者にみられた,造影にてenhanceされる頭蓋内病変の鑑別である。
a. × 単純CTでやや高吸収に描出され,大脳鎌に沿った強い増強効果から鑑別には挙がるが,明らかに実質内の病変が存在しており,また側脳室上衣に沿った増強効果からも当てはまらない。
b. △ 良好に造影される頭蓋内の多発病変であり,また髄液播種を来した病変であれば可能性も否定しがたいが,病変の分布や性状から典型的な画像とは言えない。
c. ○ 様々な形態を呈する腫瘤像で,一般的な脳腫瘍(転移性腫瘍も含めて)とは異なる趣を呈しており,最も可能性があると思われる。
d. e. × 脳腫瘍(glioma)の所見としてはやはり典型的でなく,まず最初に除外できると思われる。
(コメント)
なんだか普通と違った趣の脳実質内の占拠性病変や浸潤性病変を見た時は,悪性リンパ腫の可能性を常に念頭に置きたい。
7.解答 d
(診断所見)
頭部単純CTにて左後頭葉から側頭葉にかけて低吸収域を認め,皮質-髄質境界部や脳溝が不明瞭化している。MRIのFLAIR像では,同部の皮質から皮質下にかけ高信号がみられる。
(診断のプロセス)
痙攣で発症した小児の頭部単純CTとMRI(FLAIR像)である.選択枝を見ると,いずれも臨床症状や画像所見が類似した疾患であり,これらの鑑別となる。
a. × 脳炎を来すウィルスには,単純ヘルペスウィルス I・II型や水痘-帯状疱疹ウィルス,E-Bウィルス,サイトメガロウィルスなど多数知られているが,最も頻度が高いのは単純ヘルペス脳炎である。典型的な画像所見としては,側頭葉内側や前頭葉下面の皮質から皮質下に沿って,両側性(稀に片側性)に見られる事が多く,進行すると大脳辺縁系も侵され時に出血を来す。発症様式や画像所見として鑑別が必要であるが,急激な発症や乳酸値の上昇から否定できる。
b. c. × 動脈性や静脈性の脳梗塞でも同様のCT, MR所見を呈するが,小児でもあり,また臨床症状や血液所見からも一番に疑う疾患としては否定できると思われる。
d. ○ ミトコンドリア病は,ミトコンドリアの一次的な機能異常に基づく疾患の総称で,エネルギー需要が大きい臓器(筋,中枢および末梢神経系,心,腎)を中心に多臓器が慢性かつ進行性に侵され,ミオパチー,中枢神経症状をはじめとして,多彩な臨床症状を呈することから,ミトコンドリア脳筋症とも呼ばれる.そのうち中枢神経系や筋組織の異常が前景に立つものの代表としてMERRF(myoclonus
epilepsy associated with ragged-red fibers,別名:福原病),MELAS(mitochondrial
encephalomyopathy and with lactic acidosis and stroke)とLeigh脳症が挙げられる。血中乳酸値上昇と,画像上で一見脳梗塞を思わせる所見から,選択枝の中で最も疑われる疾患である。
e. × 副腎白質ジストロフィー(ALD: adrenoleukodystrophy) はperoxisome異常症の一つで,peroxisomeの一種であるacyl-CoA
synthetaseが欠損しているため極長鎖脂肪酸分解の阻害が生じ,全身組織中にこれが蓄積する疾患で,伴性劣性遺伝を示す。病変の首座は白質の脱髄であり,MRI所見上,早期には側脳室三角部の白質(稀に前頭葉)が左右対称性にT2強調像,
FLAIR像で高信号を示し,徐々に脳幹部に向かってWaller変性に伴う二次的な信号変化を生じる。
(コメント)
皮質領域の脳梗塞を一番に疑わせる画像所見であるが,“乳酸値の上昇”という情報だけでも診断がつくので,画像診断的に良問とは言えないが,受験生にとってはありがたい問題である。
8.解答 d
(診断所見)
MRIにて,右の小脳-橋角部に脳脊髄液とほぼ等信号の占拠性病変を認め,mass effectにより脳幹部が軽度圧排されている.内部には隔壁様の所見がみられ,拡散強調像では強い高信号を示している。
(診断のプロセス)
小児にみられた小脳-橋角部腫瘤の鑑別である。脳脊髄液と等信号の脳実質外病変で,拡散強調画像(呈示された画像はおそらくb値=1000の画像と思われるが…)で著明な高信号を示すものを選択すればよいことになる。造影の画像がないため情報が少ないが,拡散強調画像がヒントになると思われ,おそらく嚢胞性病変の鑑別問題と考えると,選択枝のうちa.は除外できそうである。
a. × 髄膜腫のうちcystic meningiomaと呼ばれるものもあるが非常に稀で,やはり充実成分が指摘しがたく,T2強調像で脳脊髄液と同程度の強い高信号を示していることからも(一般的には髄膜腫はT2強調像で比較的低信号を示すことが多い)否定できると思われる。
b. × 神経鞘腫も嚢胞成分を伴うことがあるが,典型的には頭痛よりは聴力低下や眩暈などの聴覚・前庭障害がmainであろう。
c. × 小脳-橋角部の嚢胞性病変として,次の類表皮腫と並んでしばしば鑑別に挙がる疾患であるが,拡散強調画像で高信号にならない(拡散の制限がない)ことを知っていれば容易に除外できる。
d. ○ 前にも述べたように,拡散強調画像で高信号になることは,現在の放射線科診断医としては常識として知って置かなければならない。
e. × 脳膿瘍は,時期により(とくに被膜形成が完了した亜急性から慢性期にかけての時期)拡散強調画像で高信号を呈することもよく知られているが,病変は実質外と思われることから除外できる。
(コメント)
拡散強調像を読影させるのであれば,T2 shine-through効果のこともあるので,できればADC mapもつけて頂きたい。
9.解答 bとd
(診断所見)
頭部MRAにて,左内頸動脈のC3部(いわゆるprecavernous segmentと呼ばれる部位)から内側に横走し,脳底動脈と吻合する異常血管を認める.異常血管分枝より中枢側の内頸動脈は描出されていない(欠損している?)。また,吻合する脳底動脈やそれと連なる両側の椎骨動脈はいずれも低形成で,非常に細く描出されている。
(診断のプロセス)
内頚動脈と脳底動脈との間には,時として胎生期にみられる血管吻合の遺残がみられることがあり,その代表として頻度順に大きく3つの吻合枝〈PTA=persistent
(primitive) trigeminal artery, PHA=persistent (primitive) hypoglossal
artery, POA=persistent (primitive) otic artery〉が知られ,前者2つには様々なvariantの存在が報告されている。
a. ○ 遺残血管が存在する場合には,吻合する血管系はしばしば低形成となる。特に後で述べるpersistent trigeminal
artery (PTA)の場合,吻合部より近位側の脳底動脈は低形成となる。
b. × 上記でも述べたが,persistent otic artery (POA)は3つの破格のうち最も頻度が少なく稀で,真偽についても異論があるが,一般的に言われている同定の根拠としては,内頸動脈のpetrous
segmentで水平部から垂直部へ移行する部分で分岐し,内耳道を通過して脳底動脈の近位部で吻合する血管とされている。
c. ○ PTAは最も頻度が多くみられ,呈示症例のように内頸動脈のprecavernous segmentから分岐して海綿静脈洞内で三叉神経第一枝に沿って後向きに走行し,鞍背を経由(時に貫通)して脳底動脈のほぼ中間部付近(AICAとPICA分岐部の間)で吻合する。
d. × PHAはPTAの次に多い破格で,内頸動脈のcervical segmentから分岐し平行に上行して,同側の舌下神経管より頭蓋内に入り,脳底動脈と吻合する。また,同側の椎骨動脈は低形成となる。
e. ○ 胎児型(fetal type)とは後方循環(椎骨-脳底動脈系)が前方循環からの血流を受けているpattern,つまり後大脳動脈が椎骨-脳底動脈系以外に後交通動脈を介して内頸動脈系からの血流を直接受けているtypeのことであり,呈示症例のMRAにて,左後大脳動脈はP1部が低形成で描出されておらず,発達した後交通動脈と連続的に描出されていることからfetal
typeに近いといえる。
(コメント)
内頚動脈脳底動脈吻合のnormal variationの知識を問う専門的な問題で,神経放射線領域を専らとしない放射線科医にとっては少し難問であると思われる。
10.解答 d
(診断所見)
橋中心部に,MRIのT2強調像にて比較的境界明瞭な淡い高信号域がみられる。周囲の信号変化は乏しく,mass effectを思わせるような脳幹部の腫大もなさそうである。
(診断のプロセス)
アルコール多飲者のMR画像で,中枢神経系に異常を認める疾患の鑑別である。典型的画像を1度でも目にしておけば,解答を導くにはさほど難しくないと思われる。
a. × 橋の中心部に梗塞を来すことは非常に稀で,また梗塞であれば,病変の範囲からみてもいきなり意識障害を来す程ではなく,めまいや嘔吐といった症状や仮性球麻痺がmainになると思われる。
b. × 出血にしてはT2強調像の信号強度が低過ぎる印象であり,また発症からの時期にもよるが,やはり典型的にはヘモジデリンの沈着を反映した低信号帯(low
intensity rim)が見られることが多い。
c. × アルコール依存症の患者で多くみられ,vitamin B1(thiamin)欠乏によって起こるとされ,外眼筋麻痺や小脳失調,精神錯乱などで発症する。典型的には中脳水道周囲にMRIで左右対称性のT2強調像で高信号,Gd増強効果が見られる。また,病変は時に視床内側,橋被蓋,乳頭体などにもみられることがある。アルコール多飲者で脳幹部中心に異常信号がみられ,間違いやすい選択枝である。
d. ○ osmotic myelinolysis(OM)はアルコール依存や低栄養状態,低Na血症の急激な補正時,肝疾患,悪性腫瘍などの低免疫状態で起こる脱髄疾患で,約75%が橋にみられることから,別名central
pontine myelinolysis(CPM),それ以外の部位ではextrapontine myelinolysis(EPM)と呼ばれる。病歴とこの一枚の画像所見のみで確定診断をつけ,これを選択させるのには多少無理があるような気もするが,その他の選択枝と比べると,これを正解とするのが妥当と思われる。
e. × アルコール依存症患者の低栄養状態で稀にみられる疾患で,急性型と慢性型があり,前者は急激な意識障害で発症し死に至るが,原因は不明である。MRIでみられる脳梁中心部のT1強調像で低,T2強調像で高信号を示す脱髄病変は特徴的で診断価値が高い。この疾患自体が稀であるが,時にWernicke脳症とのoverlapがみられる。
(コメント)
特になし。
以上6〜10は内山雄介会員(久留米大学医学部)
11
出題者の意図がよく理解できません。
まず、キアリ奇形を合併する可能性のあるものを聞いているのか、空洞症を合併するものを聞いているのか、あるいはそれ以外のことを聞いているのか判然としません。
選択肢の中にArnold-Chiari奇形 I 型が含まれていることからすると、この回答者も考えたように、空洞症を合併する可能性のあるものを聞いているのかもしれませんが、ただ明らかにキアリI
型奇形の所見があるわけで、問題自体に矛盾が生じます。空洞症自体の所見も分かりにくいものです。
このように見解が分かれるだけでも不適切な問題ではないかと思いますが、さらに、キアリ奇形を合併するものとしても、空洞症を合併するものとしても、少なくとも(放射線科医に要求される)一般的な知識では、一つだけ誤っているものを選ぶことはできないように思われます。
空洞症を合併する可能性が最も低いものを選択するのは困難です。神経線維腫症I型はキアリI 型奇型の合併がありえます。脳梁欠損とキアリII
型は合併することがあり、キアリIIでは空洞症の合併もありえます。あとの二つでは脊髄腫瘍に伴う空洞症の可能性があります。従って正解はないことになります。(作成者はa.を正解?)
要するに私には不適切問題と思われ、回答はできません。
以上11は興梠征典会員(産業医科大学)
11.解答 dまたはa
小脳扁桃が大孔側に下垂しキアリ奇形のI 型と考えられるが,画像をよく見ると,頸髄に空洞があるようである.問題の解釈が難しいが脊髄空洞症を合併する疾患を考えればよいと考えた。bのArnold-Chiari奇形1型は問題ないであろう。cのvon-Hippel-Lindau病は脊髄内上衣腫を、eの神経線維腫症2型は脊髄内血管芽腫の合併があるので脊髄空洞症の合併もありうる.残りの2つであるが,aの脳梁欠損だけの症例に空洞が合併するというのは,一般的ではない。キアリ奇形2型に合併したらあり得るだろうが・・・.dの神経線維腫症1型では基本的に合併するのは髄外腫瘍であり脊髄空洞症は合併しないだろう。
12.解答 c
大脳皮質下白質、基底核にびまん性〜斑状にFLAIR像で高信号病変を認める。病変は多発し、癒合傾向もある。灰白質は保たれている。HIV感染者であり易感染宿主の可能性を考えると病変の主座がU-fiberにあることにより進行性多巣性白質脳症(PML)を考える。Papovavirusに属するJC
virusが原因。
a. HIV脳症は痴呆を呈するHIVの脳感染症で、びまん性脳萎縮像を呈することが多い。
b. 易感染宿主に生じやすい。前頭葉・側頭葉に多くT2強調像では中等度〜軽度高信号で容積効果は通常軽度である。基底核、視床も侵されることがある。均一な増強効果を呈することが多い。脳梁を超えて浸潤することが多いことも特徴の一つである。
c. 正解(前述)
d. 血管支配に一致していないこと、灰白質が保たたれていることが鑑別点。
e. HIV患者にはよくみられる感染症。浮腫を伴う多発性のリング状〜結節状の造影効果を伴う病変として認められる。
13. 解答 c
左眼球の網膜に接し後極より眼球内に突出するT1強彫像で高信号、脂肪抑制T2強彫像で低信号を呈する病変が認められる。メラニンのparamagnetic
effectを反映した信号と考える。メラニンを含み、ぶどう膜の後極より発生しやすい腫瘍を考える。悪性黒色腫はぶどう膜の後ろ1/3より発生することが多い。ただ、黒色腫が特徴的信号強度を呈するのは70%との報告もあり、非特異的な信号強度の場合、転移性腫瘍や、脈絡膜血管腫などとの鑑別が問題となる。
a.一般には原発腫瘍が進行した症例に多く、境界不明瞭な軟部腫瘤として認められることが多い。肺がんや乳がんからの転移が多い。
b.MRIにおける信号強度は非特異的なことが多いが、高い細胞密度を反映しT2強調像での信号強度はさほど高くないことが多い。炎症性偽腫瘍との鑑別がしばしば問題となるが、リンパ腫で外眼筋病変の頻度が低い、増強効果がやや弱い、両側性あるいは眼窩外病変を伴うことなどがあるなどが、鑑別の一助となる。
c. 正解(前述)
d..筋円錐部の境界明瞭な卵円形の腫瘤でT2強調像で高信号となることが多い。
e.網膜過誤腫は結節性硬化症や神経線維腫症I 型などに合併する病変。中年女性に初発した病歴からは考えにくい。
14. 解答 d
左胸鎖乳突筋前縁、頚動静脈鞘の外側に接して嚢胞性腫瘤を認める。部位、性状より第2鰓裂嚢胞と考えられる。この嚢胞は内外頚動脈分岐レベルで、顎下腺後方の、胸鎖乳突筋前縁に沿った領域に見られることが多い。
a. 舌下腺は舌下粘膜の直下に位置し、顎舌骨筋上で、下顎体内面に接して位置する薄い腺であり、舌下腺管は、舌下腺前縁から起こり、前上走し、顎下腺管と接して舌下小丘に開く。
b. 胸腺の原基は第3咽頭嚢腹側部で背側部(上皮小体の原基)とともに下方へ移動する。腹側部は、はじめ管状であるが、内胚葉性上皮が増殖して管腔が閉鎖し充実性となる。咽頭壁との連絡を失い、下方に移動し、さらに左右が融合し、縦隔上部において胸腺を形成する。
c. 甲状舌管嚢胞(正中頚嚢胞)は扁平上皮に囲まれた嚢胞性腫瘤であり、多くは舌骨前方または直上、直下の正中もしくは傍正中にみられる。
d. 正解(前述)
e. Stensen管=耳下腺管。咬筋上を通り頬筋を貫き上顎第二大臼歯部の頬粘膜に位置する耳下腺乳頭に開口する。
15. 解答 d
右鼻腔〜上咽頭に筋肉よりやや高濃度の軟部腫瘤があり鼻腔を充満している。また上咽レベルで咽頭頭底筋膜に一部浸潤性に発育している。外頚動脈撮影で顎動脈領域に濃染像を認める。若年性血管線維腫は非上皮性良性腫瘍で10代男児に多く鼻腔上後方側壁や上咽頭に発生、浸潤性で血管に富む病変である。局所浸潤性の強い腫瘍で、翼口蓋窩、眼窩、蝶形骨洞、上・下眼窩裂、中頭蓋窩、海綿静脈洞に進展する。血管は外頚動脈分枝の顎動脈や上行咽頭動脈から栄養されるが、蝶形や海綿静脈洞が侵されると内頚動脈からも栄養されることがある。
a. 嗅球、篩骨篩板、後部篩骨洞、傍鞍部より発生。篩骨篩板を貫き、前頭蓋底や、鼻腔上部、副鼻腔、眼窩などに進展する。どの年代にも発生するが30歳代〜40歳代に多い。
b.富血管性の所見からは否定的。
c. どの年代にも発生するが60歳代に多い。片側性の鼻腔内軟部腫瘤で石灰化を認めることもある。通常は膨張性に発育し骨破壊像は呈さないことが多いが、ときに悪性化し浸潤性骨破壊を見ることがある。
d.正解(前述)
e. 中鼻道に好発する炎症性腫瘤で鼻炎・副鼻腔炎が原因となる。病理学的には軟性線維腫である。このような多血性の浸潤性発育所見は呈さないだろう。
参考文献 眼窩・耳鼻咽喉・口腔領域のMRI 小玉隆男 編集 MEDICAL VIEW社など
以上11〜15は若松秀行会員(八日会藤元早鈴病院放射線科)
16.解答 b、d
所見:骨端線の癒合がみられていないことから、小児である。小児にしては骨濃度が異常に低下しており、osteopeniaの状態である。関節腔の狭小化があり、大腿骨骨端はやや過形成を示す。
プロセス:小児関節炎の問題。
所見からまずはa血友病とe若年性関節リウマチが鑑別に挙げられる。血友病性関節症は繰り返す関節内出血による変化であり、軟部組織腫張、骨粗鬆症、関節軟骨破壊による関節腔狭小化がみられる。小児では骨端の過形成を伴う。
cの滑膜性血管腫は、骨端部血流が増加することにより、血友病や慢性関節リウマチに類似した画像所見を示す。
bの痛風性関節炎は、硬化縁を伴うerosionが特徴的所見であり、好発年齢も異なる。
dのCPPD血症沈着症は、軟骨の石灰化が特徴である。
17.解答 c,e
所見:大腿骨頭が臼蓋の外側に位置している。骨頭の上縁は臼蓋上面とほぼ同じ高さである。小転子が大きく見え、外転位である。大腿骨頭骨折がみられる。
プロセス:股関節脱臼の診断と臨床的事項を問う設問。
a 誤:臼蓋の形態は正常である
b 誤:骨頭の位置、大腿骨の転位状態から、前方脱臼と判断される。後方脱臼では骨
頭が臼蓋上面より頭側に位置し、内転位のため小転子は小さく見えることが多い。
c 正:前方脱臼での骨頭骨折の合併率は報告により様々で、10〜70%と幅広い。
d 誤:坐骨神経損傷は通常一過性である。
e 正:治療開始が発症24時間を越えると、約半数に骨頭壊死を合併する
18.解答 e(またはa)
所見:距骨内側関節面にやや蛇行した骨折線を認める。骨折線の母床側に軽度の硬化像が疑われる。骨片部の骨濃度はやや低下している。
プロセス:若年スポーツ選手に生じた骨折の分類
a △:剥離骨折とは、筋の収縮や腱、靭帯の張力により、付着部がはがれた状態。距骨
の剥離骨折は三角靭帯付着部のlateral processや前上方の関節被膜付着部に見られる
ことが多い。本例では剥離骨折の非典型部と思われる。
b 誤:脆弱性骨折とは、骨の脆弱性に基づく骨折で、高齢者や放射線治療後などにみ
られる。
c 誤:ストレス骨折とは、繰り返す外力が原因でおこる骨折の総称である。骨折線が認
識できず骨折の修復による硬化像のみ認められる場合もある。本例では骨折線が明瞭
に認識でき完全骨折であり、硬化像などの修復機転がはっきりしないことから、繰り
返す外力による骨折ではないと考えられる。
d 誤:病的骨折とは、骨腫瘍などにより限局的に強度の低下した骨に起こる骨折。本例
では距骨に腫瘍や骨髄炎などの既存病変はない。
e おそらく正:距骨ドームは離断性骨軟骨炎の好発部位の一つであり、繰り返す外傷が
原因と言われている。X線写真の典型的所見は軟骨下骨の透亮像、関節面の不整像、
関節内遊離体などである。提示写真は典型像でないが、軟骨下骨の壊死が進行してい
ない状態と考えられる。
19.解答 b
所見:脛骨に地図状の異常像がみられる。辺縁にはT1強調で低信号の蛇行した帯状信号がみられる。T2強調では低信号と高信号の二重線が認められる。内部は脂肪信号である。
プロセス:特徴的MRI所見から骨壊死を選びたい。骨壊死の原因には、外傷、ステロイド、鎌状赤血球症などの血液疾患、アルコール、膵炎、臓器移植後、放射線治療、Gaucher病など様々なものがある。SLEの加療中であることから、本例ではステロイドが要因と考えられる。
20.解答 b
所見:大腿骨頭に硬化縁を有する境界明瞭な透亮像がみられる。
プロセス:小児の骨端に発生する溶骨病変。
a 長管骨のLangerhans組織球症は、骨幹や骨幹端の中心性に発生する溶骨病変。病変
活動性により、浸潤程度が異なるので、画像所見も様々になる。
b 軟骨芽細胞腫は、骨端線閉鎖前の骨端部に発生する溶骨病変の代表である。硬化性の
辺縁を有する地図状の溶骨像が典型的で、約半数に石灰化を認める。
c 巨細胞腫は、膨隆性の透亮像で硬化縁を有する。好発年齢は20〜40歳。
d 提示写真は、軟骨基質の石灰化がなく、悪性所見にも乏しい。12歳は好発年齢より若
い。
e 提示写真は、骨膜反応もなく、侵襲性も高そうでない。
以上16〜20は藤澤英文会員(昭和大学横浜市北部病院)
21.解答 d
1. 画像所見
右上葉に境界明瞭,辺縁平滑な結節影がみられます.内部に皮下脂肪織と同等の低濃度領域(Fat attenuation)と辺縁に点状の石灰化を認めます.ベースに気腫性変化があります.
2. 診断プロセス
現病歴,脂肪/石灰化成分の存在および散布巣の欠如から,肺結核症,原発性肺癌,転移性肺癌は否定的です.一般に硬化性血管腫では,ミクロレベルの脂肪織を有することがありますが,マクロレベルの脂肪織の存在はまれです.よって肺過誤腫が画像診断上最も示唆されます.
3. 解答:d.肺過誤腫
4. コメント
結節内の脂肪の存在を認識することにより,鑑別診断を絞ることが可能になります.実際にはマクロレベルの脂肪織を認めた場合,大部分肺過誤腫といえます.ただし鑑別として,軟部組織などの脂肪肉腫からの単発転移,マクロレベルの脂肪織を有する硬化性血管腫,肺原発脂肪腫/脂肪肉腫があります.詳しくは下記文献ご参照ください.
5. 参考文献
1)Radiology 1986;160;313-317
2) RadioGraphics 2000;20:43-58
3)RadioGraphics 2002;22:S61-78
22.解答 b
1. 画像所見
左舌区領域にAir bronchogramを有する肺胞性陰影(Consolidative shadow),および右中下葉,左下葉により濃度の低いすりガラス状の領域がみられます.左下葉の背側にも斑状の肺胞性陰影があります.
2. 診断プロセス
大量の喀痰および抗生物質(種類は不詳)に抵抗性であることからマイコプラズマ肺炎,急性好酸球性肺炎,過敏性肺臓炎,カリニ肺炎(混合感染の可能性はありますが)は否定的です.
3. 解答:b.細気管支肺胞上皮癌
4. コメント
びまん性の肺胞性陰影を呈する腫瘍性疾患として,細気管支肺胞上皮癌とリンパ腫があります.前者は,多量の喀痰(Bronchorrhea)を呈することがあります.後者は,臨床症状が顕在化しないことがあります.実際には,気管支鏡下生検で,診断をすることになります.詳しくは下記文献ご参照ください
5. 参考文献
1) AJR 1999;173:1623-1629
2) RadioGraphics 1997;17:1345-1357
3)Muller NL, Fraser RS, Lee KS, Johkoh T. Diseases of the Lung,
6th ed. Baltimore, MD: Williams & Wilkins, 2003:80-87
23.解答 e
1. 画像所見
単純写真上,両肺野に濃淡不均一な浸潤影がみられます.胸部CTでは,斑状もしくは結節状の,汎小葉性のすりガラス影もしくはより濃厚な浸潤影(Consolidation)がみられ,気管支血管鞘および小葉間隔壁(広義の間質)の肥厚所見が認められます.胸水貯留ははっきり指摘し得ません.
2. 診断プロセス
若年男性,臨床症状,画像所見から,マイコプラズマ肺炎と急性好酸球性肺炎との鑑別が問題になります.両疾患とも,びまん性のすりガラス影,広義間質の肥厚所見を呈しますが,小葉隔壁の肥厚所見が顕在化していることおよび小葉中心性の陰影があまり目立たない(左下葉にはある)ことから,急性好酸球性肺炎を第1にあげました.ただし.診断を確定するためには気管支肺胞洗浄液での好酸球の上昇を確認しなければいけません.画像上はマイコプラズマ肺炎も否定し得えません.
3. 解答:e.急性好酸球性肺炎
4. コメント
急性好酸球性肺炎およびマイコプラズマ肺炎は,診断のおくれが呼吸不全につながる危険性があり,致死的状況にいたることもあります.画像のみならず,迅速な総合的診断が必須です!.また急性好酸球性肺炎では,喫煙との関係が報告されており,喫煙歴の情報も大切です.詳しくは下記文献ご参照ください
5. 参考文献
1) AJR 1996;167:1195-1199
2)Radiology 216;2000:773-780
3)Am J Respir Crit Care Med 2002;166;1235-1239
4)Radiolgy 1997;203:715-719
5)Muller NL, Fraser RS, Lee KS, Johkoh T. Diseases of the Lung,
6th ed. Baltimore, MD: Williams & Wilkins, 2003:156-158
24.解答 e
1. 画像所見
胸部単純写真上,半年前に比し,両側肺野の過膨張所見を呈しています.また胸部CTでは,肺野の透過性が亢進し,末梢血管の狭小化および気管支拡張像が認められます.
2. 診断プロセス
末梢血幹細胞移植の治療歴,臨床症状および画像所見から,Bronchiolitis obliterans syndromeが考えられます.
3. 解答:e
4. コメント
Bronchiolitis obliterans syndromeは,骨髄移植後,心肺移植後に発症する重篤な合併症の一つです.骨髄移植後の約10%に合併するといわれ,発症機序は不明ですが,慢性GVHDが関与するといわれています.予後はきわめて不良です.
CT所見は,Mosaic perfusionを伴う肺野濃度の低下,気管支拡張像,呼気時CTでのAir trappingなどです.詳しくは下記文献ご参照ください
5. 参考文献
1) RadioGraphics 1997;17:1359-1371
2) Muller NL, Fraser RS, Lee KS, Johkoh T. Diseases of the Lung,
6th ed. Baltimore, MD: Williams & Wilkins, 2003:300-303
3) Muller NL, Fraser RS, Lee KS, Johkoh T. Diseases of the Lung,
6th ed. Baltimore, MD: Williams & Wilkins, 2003:143
4) Chest 1998;113:365-370
5) Am j Roentgenol 1997;169:673-677
以上21〜24は桐生拓司会員(岐阜大学)
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