二次試験問題解答および注釈【診断・核医学】25.〜53.

※ 27は不適切問題として解答を削除しました。

25. 解答 d or e?
診断所見および診断プロセス
 胸部単純写真:鎖骨内側端の確認ができず左前斜位撮影かどうかの評価は困難である。縦隔は右側偏位し、右肺が小さく、右横隔膜が挙上している。右肺低形成、右肺葉の高度無気肺、Swyer-James症候群などの鑑別が必要である。左肺は右側に比較して透過性がやや高いかもしれない。肺野血管の評価はこの写真では困難である。左肺門肺動脈は腫大し、右肺門肺動脈は小さい。しかし右肺門肺動脈の基部は右側偏位した縦隔陰影に重なっているかもしれない。右肺低形成に合併することがある異常静脈還流の所見はない。縦隔線は後接合線と奇静脈食道陥凹線(右傍食道線)が連続様にみえ、傍食道線は右側へ張り出し、右心縁を越えて肺野へ突出し、横隔膜レベルで縦隔側に戻っている。縦隔内の占拠性病変の所見である。右肺の所見と縦隔所見を結びつけることがむずかしい。

a. 右肺低形成を否定することはむずかしい。

b. Swyer-James症候群では患側肺の透過性亢進がみられ、患側肺の縮小あるいは過膨張による腫大どちらもある。肺血管陰影の異常の有無の評価が困難で、やはり否定することはむずかしい。

c.肺内腫瘍を積極的に示唆する所見はない。

d. 食道近位部領域に関連した縦隔腫瘤(例えば良性の平滑筋腫など)であれば、閉塞症状が出にくい可能性もある。気管分岐部の気管支原性嚢胞も同様の所見をとりうる。

e. 縦隔腫瘤内にニボーはみられないが、右側に突出した食道裂孔ヘルニアも同様の所見をとりうる。

26. 解答 d
診断所見および診断プロセス
 胸部単純写真では両側肺門陰影の腫大を認め、BHLの所見を認める。右傍気管ストライプの肥厚の有無の確認は困難で、縦隔リンパ節腫大の有無はわからない。両側肺野に多発する辺縁が毛羽だった斑状あるいは結節陰影を認める。

 CTはやや軟部組織陰影の条件もよめる気管分岐部レベルの画像で、気管前リンパ節の腫大がある。右上葉内には多発する結節陰影と周囲に散布する粒状陰影を認める。結節陰影は中心の濃度が高く周囲はやや淡く、辺縁は毛羽だっているが、スピクラではなく、周囲の粒状陰影へ連続性に密度が低くなるといった感じがある。つまり結節は周囲の散在性の粒状陰影が特に密度が高く集簇し形成されている。粒状陰影は、胸膜から数ミリの距離をおいてならぶ所見があり、tree-in-bud appearance(branching linear opacity)といえそうな境界明瞭な小葉中心性粒状陰影である。

a. 肺結核症に関しては初感染結核primary tuberculosisや免疫機能の高度に低下したAIDS関連結核で縦隔・肺門リンパ節が高度に腫大することがある。しかしリンパ節腫大の高度な症例では浸出性反応が強く、粟粒結核や融合性consolidationのような形態をとることが多い。発熱も随伴する。本症例の肺野陰影は境界明瞭な小葉中心性粒状陰影が主体で結核ならばpostprimary tuberculosisの形態と思われ、縦隔 肺門所見と肺野所見があわない。

b. リンパ節の高度な腫大とびまん性多発病変なので一般的な細菌性気管支肺炎は除外して良いだろう。細菌による縦隔肺門リンパ節腫大の高度なものには肺ペスト、炭疽菌吸入があるが、肺野陰影の詳細な検討はないようである。

c. クリプトコッカス症は免疫正常患者では境界明瞭な多発結節や時に空洞を呈する。肺門・縦隔リンパ節腫大に関しては免疫抑制患者でみられ、consolidationや広範な網状粒状陰影もしられるが、小葉中心性粒状陰影はあまり、目立たない。

d. サルコイドーシスは、若年者のBHLをみた場合にまず第一に考慮すべき疾患である。一般に肺野陰影はリンパ流に沿った分布が基本である。この場合小葉中心性分岐状粒状陰影はリンパ流の末端にあたり、sarcoidosisで比較的よくみる所見である。結節陰影は細気管支レベルの間質に生じた肉芽腫の集簇により、周囲の肺胞内の含気が押しつぶされたことによる見かけ状のconsolidative density(いわゆる pseudoalveolar sarcoidosis)で説明可能である。Sarcoidosisに一般的な胸膜下や気管支血管周囲鞘の不整像はこの症例では目立たないことに留意する必要がある

e. 縦隔肺門リンパ節腫大、小葉中心性粒状陰影や結節陰影はカリニ肺炎ではminorityであり、一般的には両側びまん性の地図状のスリガラス陰影やconsolidationを呈する。  

 

28. 解答 d
診断所見・診断プロセス
 単純胸部X線写真:左下肺野に境界明瞭でやや分葉状の辺縁を有する卵円形の腫瘤陰影を認める。左半分は心陰影に重なり、全周の辺縁が明瞭で肺内腫瘤陰影と思われる。
 選択的左肺動脈陰影:腫瘤は血管造影によりほぼ均一に造影され、肺動脈相において蛇行する肺動脈と左房へ向かう蛇行する下肺静脈との連結が認められる。肺静脈の早期描出が明らかで、肺動静脈瘻(肺動脈-肺静脈短絡, PAVM)と診断できる所見である。

a. 悪性疾患ではないが、重篤な合併症(多血症、脳塞栓、脳膿瘍、喀血、血胸)を予防するためには、治療手段を講ずるべきで、放置してはいけない。

b. 手術と塞栓術の二つの治療手段があり、外科手術の安全性は確立されている。技術の向上に伴い経皮的塞栓術が主流になりつつあるが、6cmを越える巨大な病変や流入動脈が10mmより太い場合は塞栓術の困難さや塞栓物質の瘻内からの流出の危険性も高くなり、手術適応の考慮が必要になる。

c. 塞栓物質には通常コイルスプリングやdetachable balloonを使用する。動静脈瘻では動脈塞栓と異なり、瘻を介して流入動脈はより太い流出静脈につながり、ゼルフォームのような小さな塞栓物質では左心系をすり抜け、重篤な合併症を起こす危険性がある。

d. 脳膿瘍は合併症の一つである。

e. 栄養動脈が一本、排出静脈が一本のPAVMをsimple PAVM, 複数の栄養動脈のものをcomplex PAVMといい、前者が80%を占める。

 

29. 解答 d
診断所見・診断プロセス
胸部単純X線写真の所見
 鎖骨の位置からは後前撮影と思われる。正中撮影かどうかを確かめたい所だが、鎖骨の内側端が判読できず、正確な評価は困難である。写真の印象からはほぼ正面像で有意な斜位撮影にはなっていないようである。右横隔膜は明らかに挙上している。右胸郭は左側に比して肋間の狭小化がみられ、右胸郭の縮小の所見である。気管を含め、縦隔全体は右方偏位を認めるが、明らかな心拡大を認めない。左肺は大動脈弓レベルで右胸郭内への軽度のヘルニアを認める。左肺は右肺の縮小を補う代償性過膨張の状態が示唆され、腫大気味の肺門肺動脈陰影から血管陰影が伸展され広がっている。縦隔の偏位で重なっている可能性があるので、右肺動脈の評価には慎重さが要求されるが、明らかな肺門肺動脈陰影は同定できない。肺野の透過性は写真上では左右差を認めない。

シンチグラムの所見
 右肺が小さい。換気は正常だが、血流は右側全体で欠損している。右肺の高度の換気血流ミスマッチが認められる。右肺動脈の欠損あるいは閉塞を示唆する所見である。

a. 三尖弁閉鎖症は合併するほかの奇形により種々の形態をとるが、一般に右室への血流がないため、肺動脈陰影は一般に減弱し、右左短絡の必要性から左室肥大あるいは左室拡大を伴うチアノーゼ疾患である。肺動脈欠損が合併しうるが、この症例では少なくとも左肺門肺動脈陰影は拡大し、左心拡大の所見を認めない。

b. 40-100%の頻度で肺動脈病変(狭搾や閉塞)が認められるが、年齢的に一般的でなく、動脈炎による肺動脈閉塞も区域枝より末梢に多い。、

c. 心房中隔欠損に特徴的な肺動脈幹と右室の拡大の所見が認められない

d. 片側肺動脈欠損症は単独型と血管奇形を合併するものに分類され。後者の代表にscimitar症候群、hypogenetic lung syndrome(通常右側に多く右肺静脈還流異常の形態をとる)がある。患側への縦隔偏位、患側肺の低形成、代償性肺気腫による健側肺の透過性亢進と患側胸郭内への健側肺ヘルニア、患側肺門部での肺動脈影の欠如と血流欠損は右側肺動脈欠損症(単独型)にcompatibleである。

e. 右肺静脈還流異常というためには異常肺静脈が拡大した上大静脈ないしは右房、あるいは下大静脈に直接還流する所見が必要だが、その所見は確認できない。また右房、右室の拡大、肺血管影の増強所見はみられない。

以上25,26,28,29は川口真平会員(JA岐阜厚生連中濃病院)

 

30.解答 c
 両側総頚動脈壁が著しく肥厚している。もう少し尾側のスライスでは拡張した右の腕頭動脈と左の総頚動脈が描出されている。壁はやはり,肥厚している。大動脈弓部のレベルでは大動脈の壁肥厚と上行大動脈の拡大がみられる。しかし,動脈硬化を示唆する石灰化は認めない。また,年齢も若く強い動脈硬化があるとは考えにくい。以上,動脈硬化以外が原因の動脈壁肥厚を示す疾患であることが示唆される。
 病変は主に動脈壁に存在しており,縦隔炎は否定的である。側頭動脈炎は側頭動脈をはじめとする比較的細いレベルの動脈を中心に侵す病気であり,この場合大動脈にも明らかな病変があるので異なる。また,発症年齢も高齢者が多い。また,一部動脈瘤状に拡張して見える部分もあるが,動脈壁の肥厚がかなり広範にみられ,周囲の脂肪組織浸潤像も乏しい。したがって,感染性動脈瘤も否定的である。また,血栓で閉鎖された偽腔はないので血栓閉鎖型大動脈解離も否定的である。

31.解答 e
 胸部単純X線写真上,著しい心拡大が見られる。また,大動脈弓部が限局性に拡大している。また,右心縁に重なって半球状の構造が見られるが拡大した左心房の辺縁と考える。肺動脈は正常か若干目立っている。肋骨にnotchingは認めない。
 以上の所見から,大動脈弓部の拡大,左心房,左室拡大とおそらく左心系の負荷による二次的な軽度の肺高血圧の状態と考えられる。肺動脈は正常から若干目立っているくらいなので,aとFallot 四徴症は否定できる。また,動脈管開存を疑うほどの肺動脈の目立ちかたではない。また,大動脈縮窄症では通常大動脈弓部は拡大しない。rib notchingもない。したがって,画像からは胸部大動脈瘤と大動脈弁不全の像が一番画像所見に合致する。

32.解答 e
 左心房内の低濃度腫瘤の鑑別診断である。左心房に不整形,境界明瞭な低濃度腫瘤がある。造影のみしか呈示されていないが,均一な低濃度であまり造影されていないように思われる。造影効果に乏しいことで,横紋筋肉腫,転移は否定した。脂肪も石灰化もないので奇形腫も否定した。左房の血栓と粘液腫の鑑別になるが,血栓は左心耳等の血液の鬱滞しやすい部位におきやすいといわれており,好発部位ではない。一方,粘液腫は心房中隔に接して発生が多い。以上より,粘液腫を第一に考える。造影効果の評価のため単純CTはあったほうがよいと思います。心臓がこれだけ造影されているタイミングだと,ウィンドウレベルもかなり高いと思うので造影効果等見た目の濃度の印象はあまり信頼できないと思います。

33.解答 c
 まず,フィルターの留置部として,1の右心房への流入部,3の腎静脈の下大静脈への流入部はフィルターが静脈壁に固定でしないので問題外である。また,留置ルートとして,血栓が下大静脈まで及んでいるので,大腿静脈からの手技ではガイドワイヤー,フィルター留置のデバイス等の操作により血栓が飛ぶ危険性がある。したがって,留置ルートは内頚静脈になる。以上より,正解はCとなる。年齢が若い患者であり,腎上部留置になるので永久型ではなく,一時的なフィルター留置で血栓溶解療法後抜去するのがよいと思う。この点もからめて出題してもよいかもしれない。

34.解答 c
 胸部単純X線写真では心拡大が見られる。また,心右縁が限局性に膨隆して見える。肺野に大きな異常はない。大動脈造影では(正直あまりわかりませんでしたが)拡張した右冠動脈と思われる血管構造が見られその末梢に造影剤のプールする腔がある。教科書的な記載から考えるとおそらく,右室もしくは右心房と考える。大動脈自体のシルエットはきれいに追えないが,おそらく,その腔に重なって描出されていると考えられる。また,単純X線写真での右心縁の膨隆像は拡大した冠動脈により形成されていると考えられる。以上,拡大した冠動脈の存在を考えると,解答はCになる。単純写真のみでは心膜嚢胞は否定できないが,大動脈造影からは明らかに異なる。分画症については,下葉背側の横隔膜に接した領域が好発とされるが,この場合右心縁の病巣はシルエットサイン陽性でもし,肺病変と考えると肺の前方の病巣と考えられ好発部位とは異なる。しかし,やはり,大動脈造影が鑑別の決め手であろう。右冠動脈起始異常では冠動脈の拡大は通常ない。部分肺静脈還流異常を示唆する,典型的な下大静脈に流入する肺静脈に対応する右下肺野縦隔側よりに頭尾方向に走行するトルコの半月刀様の索状影(scimitar sign)はない。ちょっとそれらしき血管が尾側に伸びているようにも見えるがおそらくこれは正常血管であろう。scimitar signは正常血管のようにtaperingしないのが一つの鑑別点である。
 心大血管系の血管撮影にたずさわる放射線科医は比較的少ないと思うので,やや難しい問題ではないかと思います(私も本を調べて解答していますが,全く自信はありません)。また,大動脈撮影も画質も今一つだと思うのですがいかがでしょうか?また,血管撮影は実際の臨床では一枚のフイルムのみで診断することはまずないとも思います。もちろん慣れている先生であれば一目なのでしょうが,画質の悪さが問題を必要以上に難しくしている気がしました。

以上30〜34は南部敦史会員(山梨大学)

 

35.解答 b. c
a. 肺血管陰影の増強 ×
明らかな肺血管影の増強はない。肺血管影の増強は肺うっ血や肺高血圧の程度にあわせて、上肺野の血管影の増加から肺野全体の血管影増強、やがて末梢領域の肺紋理の減弱となる。

b. rib notching ○
大動脈狭窄の前後で側副血行として肋間動脈が拡張・蛇行し、肋骨下縁に erosion を生じるものである。画像としては波状の切痕や反応性の硬化像を肋骨下縁に呈する。管後型大動脈縮窄で下半身の側副血行として機能するは第3〜第7(8)肋間動脈であり、rib notching はこれらの肋骨にみられる。この印刷された画像ではかろうじてあるようだとしかいえないが、さいわい問題の選択枝としては迷うことはない。

c. “figure 3 ”サイン ○
大動脈弓部遠位の突出があり、下行大動脈との間に切痕が見られる。“figure 3 ”サインの所見であり、管後型大動脈縮窄と診断される。大動脈縮窄の直接所見として有名であるが、これを示す頻度は必ずしも多くはない。

d. 右室肥大 ×
明らかな右室肥大を示す所見はない。

e. Eisenmenger complex ×
Eisenmenger complex は、心房・心室・大血管レベルで著明な左→右短絡が存在する場合に肺血流量が増加して肺高血圧症を呈するが、長期間この状態が持続すると肺小動脈に閉塞性病変が生じ、その結果、肺血管抵抗が増大して右→左短絡が生じることである。右→左短絡が優位の場合には、短絡閉鎖手術の禁忌となる。画像的には高度肺高血圧の所見、つまり中枢肺動脈の拡張と末梢肺動脈の減弱などが認められる。

 

36.解答 c. d
 大動脈瘤に対するステントグラフト留置術はまだまだ限られた施設で手術困難例を中心として行われている段階であるが、放射線科専門医としてのIVRに対する一般的な知識による解決を要求しているものと思われる。

a. 脊髄動脈離断の可能性が大きい。 ×
術後大動脈造影では肋間動脈の描出が術前より不明瞭であるが、撮影タイミングの影響も大きい。ステント留置で前脊髄動脈を分枝する肋間動脈を閉塞して対麻痺を起こす可能性は外科手術と有意差はないとされている。術前大動脈造影で明らかな Adamkiewicz 動脈は描出されておらず、通常はTh9〜Th12の高さにあることが多い。もっとも Adamkiewicz 動脈は術前診断が困難な例もあり可能性はないとはいえないが、少なくとも「可能性が大きい」わけではない。

b. 術後、発熱することは少ない。 ×
ステントグラフト留置後の術後合併症としては、発熱がある。

c. 術後、大動脈瘤径の縮小を認める。 ○
3ヶ月後のCTおよび大動脈造影にて、瘤内の血流が減少している。大動脈造影では大動脈瘤径の縮小を認めているが、なおなだらかな突出が認められている。なお、示されたCT画像で術前後を比較するとむしろ径が大きいように見える。ステントグラフトの長期にわたる耐久性は確立されておらず、経過観察が重要である。

d. 外傷性動脈瘤に対しても、この治療は適応がある。 ○
外傷性胸部大動脈瘤の緊急手術の致死率は15〜29%と高く、全身状態の不良な症例では低侵襲的なステントグラフト留置術が適応となる。外傷性胸部大動脈瘤の好発部位は遠位弓部から近位下行大動脈であり、ステントグラフトの十分な留置が行えずに適応外となることもある。

e. 上行大動脈に対しても、この治療は適応がある。 ×
上行大動脈の動脈瘤に対しては、ステントグラフト留置術の適応はない。手術が第一選択となる。ステントグラフトによって大動脈瘤を十分にカバーできる遠位弓部から下行大動脈が適応となる。

 

37.解答 c
 超音波画像で、いわゆる“腫瘤非形成性病変”の所見が見られる(左の画像)。マンモグラフィでカテゴリー3以上の悪性の可能性のある石灰化を指摘された病変の場合は、石灰化の位置に一致して超音波検査で病変があるかないかが重要である。明らかな腫瘤性病変を形成する例と、この症例のような明らかな腫瘤を形成しない低エコー病変として認められる場合がある。こういった所見を超音波検査で見た場合には、常に非浸潤性乳管癌と乳腺症の鑑別が問題となり、浸潤性乳癌も考えられる。
 この症例ではA領域(右の画像)は正常の乳腺と考えられ、これと比較してC領域の所見は明らかに異なっており、横長の低エコー病変内に石灰化と思われる点状高エコーが認められる。マンモグラフィの石灰化の位置が書かれていないが、対応するものと判断する。前方境界線の断裂の所見はなく、後方エコーはやや減弱している。非浸潤性乳管癌の可能性がもっとも高い病変であり、病理学的アプローチが必要である。乳腺症の一部である硬化性腺症は否定できないが、選択候補にはない。このような症例は触診では捉えがたいことが多く、石灰化の位置と異なる部位に超音波検査で異常を指摘することも多いので、検診マンモグラフィでは異常石灰化の位置を明確に記載することが重要である。非浸潤性乳管癌の超音波所見は多彩で、基本的に乳管内病変であることから縦横比の低い横長の低エコー病変であることが多く、嚢胞集簇型や嚢胞内腫瘤の形をとることもある。
a. 硬癌の超音波所見は、後方エコーの減弱を伴う低エコー腫瘤であり、辺縁部高エコー帯が前方から側方に厚いことが多い。b. 充実腺管癌とe. 線維腺腫はどちらも境界明瞭で横長の楕円形腫瘤を呈してときに鑑別困難な例もある。d. 乳管内乳頭腫は、乳頭近くの拡張した乳管内の隆起性病変として認められる。嚢胞内乳頭腫も病理学的には同じである。

38.解答 d. e
a. スピキュラが認められる。 ○
マンモグラフィにて典型的なスピキュラを認める。もっとも確実なマンモグラフィでの悪性所見で、これを伴う腫瘤はカテゴリー5と判定される。硬癌ないし浸潤性小葉癌でもっともよくみられる所見であり、後者の方がより横長の形態を呈する傾向がある。術後変化でもスピキュラないし“構築の乱れ”所見がみられるので、既往歴の確認が重要である。

b. 中心のコアが認められる。 ○
マンモグラフィにてスピキュラの中心部の濃度は対応する乳腺組織と比較して濃度が十分に高くコアがあると判定される。中心のコアがはっきりしないスピキュラの場合には、radial scar と術後変化といった良性病変の可能性があり、カテゴリー4と判定される。Radial scar は病理的には外傷などを原因とする瘢痕組織である。マンモグラフィで観察される場合には中心濃度の薄いスピキュラのみの所見を呈する。

c. connective tissue sign 陽性である。 ○
超音波画像にて connective tissue sign 陽性を認める。超音波検査における用語としては類義語である前方境界線の断裂が一般により用いられる。前方境界線は解剖学的には乳腺実質と皮下脂肪との境界の結合織による線状高エコーに対応し、その断裂は病変の皮下脂肪織への浸潤傾向を示す。浸潤性癌で見られることが多く、超音波にて悪性を示唆する所見として非常に有用である。一部の非浸潤性乳管癌でもときにクーパー靱帯沿いに進展する乳管内病変が前方境界線断裂類似所見を呈することもある。また炎症性病変でも前方境界線断裂を示すことがあり、注意が必要である。

d. 後方陰影は増強している。 ×
超音波画像では軽度の後方エコーの減弱を認める。超音波検査における用語としては後方陰影よりは後方エコーがより適当と思われる。線維成分の多い硬癌ないし乳頭腺管癌では後方エコーが減弱することが多い。後方エコーの増強する病変としては、嚢胞性病変、充実腺管癌、線維腺腫、髄様癌、粘液癌などがあげられる。

e. 髄様癌が疑われる。 ×
問題で示された画像からは、病変は硬癌あるいは乳頭腺管癌と考えられる。髄様癌は乳癌取り扱い規約の特殊型に分類されており、頻度はまれである。マンモグラフィでは“境界明瞭な腫瘤”を示すことが多い。超音波では特徴的な著明な後方音響増強を伴う境界明瞭な低エコー腫瘤として描出される。この症例とはまったく異なり、充実腺管癌や線維腺腫が鑑別となるような画像所見を呈する。

以上35〜38は負門克典会員(聖路加国際病院放射線科)

 

39.解答 d
1. 画像所見
 胸部単純X線写真正面像では両肺に多発性に粗大な不正形陰影が認められ、空洞形成も認められます。CTでは病変の性状がより詳細にわかりますが、空洞形成を伴う不正形陰影が末梢領域に存在します。血管・気管支の収束像は伴わず、胸膜の引き込みも認めません。陰影は楔型のように胸膜に広く接する形で、空洞の壁はそれほど厚くないようです。
2. 診断プロセス・解答
 多発性の空洞形成を伴う肺結節性病変の鑑別診断になります。発熱と関節痛を伴う、という臨床情報から炎症性疾患と考えると、肉芽腫(真菌、結核、サルコイドーシス、Wegener肉芽腫)、敗血症性塞栓症が鑑別に挙がります。Langerhans細胞組織球症も発熱や関節痛などの症状で発症する場合もあり、肺の所見としては、網状粒状影や蜂窩肺様の間質影、ブラ形成(±気胸)の他に空洞形成を伴う腫瘤影を示すことがあり鑑別の一つになりますが、病状の進行に伴い生じてくる場合が多く、発症時は肺には所見が無いことが多いです。
問題の選択肢の中で一番考えやすい疾患は敗血症性塞栓症と考えます。敗血症性塞栓症の画像所見は末梢領域の多発性結節(wedge-shaped, ±空洞形成)、空洞壁は薄い、とされており、この症例に合致します。
3. その他
 肺転移は肺の多発性結節性病変の重要な鑑別疾患の一つで、小児では肺転移を伴う頻度の高いWilms腫瘍や骨肉腫では空洞形成を伴うことがあり、気胸を来す場合があることが知られています。これらの病変は基本的には形は丸く境界明瞭な病変として認められ、この症例の所見とは異なります。

40.解答 c
1. 画像所見
 頚部単純X線写真の側面像が呈示されている。腫大した喉頭蓋が舌骨と重なる軟部陰影として認められる。
2. 診断プロセス
 発熱と呼吸困難を示し、気管内挿管を要した症例。頚部側面像で喉頭蓋の腫大が明らかで、診断は急性喉頭蓋炎になります。
3. その他
 この疾患は診断のための画像診断よりも治療が優先される急を要する疾患です。

以上39〜40は野澤久美子会員(埼玉県立小児医療センター放射線科)

 

41.解答 d.肝転移
 供覧されているCT像に描出されている結節はいずれも動脈優位相でring状の造影効果を呈し、後期相では周囲肝実質と比較し造影効果に乏しい結節として描出されている。この動脈優位相における造影所見はc.肝細胞癌における早期濃染像とは云いがたいほか、肝細胞癌は後期相においてももう少しコントラストにかける低濃度として描出されるのが通例である。また、e.肝血管腫はその名の通り血管由来の腫瘍であるため、造影経過を通じて動脈と同様の造影効果を示すと考えればよい。すなわち、動脈早期相では動脈と同様の強い造影効果を周囲に有するし、後期相でも動脈と同様の造影効果が維持される。
a. 肝膿瘍 b.胆管細胞癌 d.肝転移はそれぞれ鑑別に苦慮する場合もあるが、S状結腸癌の精査中に発見されていることから、何ら臨床症状を呈していないと考えてa.肝膿瘍は否定。胆管細胞癌は肝転移と似た所見を呈することがあり、さらに多発あるいは肝内転移を来す場合もあるが、一元的に考えてb.胆管細胞癌よりd.肝転移が妥当と考える。

42.解答  e. 胆管細胞癌(粘液癌)
 供覧されているMRI-T2で高信号、造影後期相(5分後)では、辺縁がまだらに造影され、腫瘍内部に造影不良域が残存していることからMyxoid腫瘍と考えられる。Dynamicでは腫瘍の辺縁より緩徐に造影されるが、動脈の造影効果よりその造影効果は劣っている。a.肝細胞腺腫は若い女性に多く、経口避妊薬と因果関係があるとされる腫瘍であり、その造影効果は肝細胞癌に似る。b.肝血管腫は問題41で触れたような造影効果を有する。c.肝限局性結節性過形成(FNH)は、Wheel Like Apperanceが有名な所見である。d.肝膿瘍は内部に壊死組織を有することから、造影経過中に造影剤が「しみ込むような」所見は呈さず、どちらかといえば肝転移と似たような所見を呈する。これらよりa.〜d.はすべて否定的であり、e.胆管細胞癌(粘液癌)がもっとも考えられる。

43.解答  保留(c. peribiliary cyst?)
MRCPが供覧されていない。両側多発腎嚢胞と左肝管拡張を認めるが、供覧されているCTのみからは診断は困難。

44.解答  d.総胆管嚢腫
 供覧されているCT像より、嚢胞様構造が肝門部から膵頭部に存在。内部Densityは均一ではなく、淡いHigh Densityがこの内部背側面に認められる。この右側には胆嚢と思われる構造があり、この内部にも淡いHigh Densityを呈する内容物が貯留している。超音波所見では嚢胞様構造は胆管系と交通している(交通している部分を供覧している?)。膵周囲に明らかな炎症所見は見られない。
 若い女性で、膵炎様症状で発症していることも合わせ、d.総胆管嚢腫と考える。
 ただし、急性膵炎の炎症所見消退後に膵仮性嚢胞内出血をきたせば、供覧されているCT像のごとき所見を呈することもあると考える(この場合には供覧されているUSの意図がつかめなくなるが・・・)。

以上41〜44は新槇 剛会員(県立静岡がんセンター)

 

45.解答 e
 画像所見:US像では肝内に多発性にコメット・エコーを伴う高輝度結節が認められる。MRI像ではT1強調像において肝実質よりも低信号で、T2強調像においては高信号を呈する多発SOLが認められる。
診断プロセス&解説:MRI像より多発性の嚢胞性病変である。MRI像では肝嚢胞、肝転移、肝細胞癌なども考慮されるが、多発性にコメット・エコーを伴う高輝度結節のUS像と併せて考えると、胆管過誤腫が適当かと思われる。
 胆管過誤腫(Von Meyenburg's complexes)は線維間質に囲まれた胆管様構造の集簇である。これらの結節は通常小さく0.1−5mm大であるが、時に10mmに達することがある。肝の一部にみられることもあるが、また全肝に散布してみられることもある。超音波では多発性の小嚢胞として認められるが、大きさが数mm以下と小さい場合は高輝度結節あるいは多重反射によるコメット・エコーを示すことがある。
 解答:胆管過誤腫

46.解答 e
急性膵炎の典型的なCT像である。
a.正
b.正
c.正
d.正
e.誤:嚢胞性変化をみとめない。

47.解答 c
 画像所見:造影CTにおいて、膵頭・膵鉤部にやや大きな多房性嚢胞性腫瘤が認められ、さらに膵体・尾部の主膵管の拡張が認められる。
 診断プロセス&解説:慢性膵炎は、CT上膵内石灰化、膵石、膵管全長あるいは体尾部の膵管の拡張、仮性膵嚢胞、膵萎縮などを呈する。このCTでは膵管の拡張はあるものの、慢性膵炎に高頻度にみられる石灰化はなく、膵頭部の嚢胞性変化も仮性膵嚢胞とは異なるので、適当ではない。このCT上は嚢胞性腫瘍であるので、膵管癌は適当ではない。膵胆管合流異常を示す所見はこのCTではわからない。漿液性嚢胞線腫はCT上比較的小さな嚢胞の集簇として認められる。中心部に石灰化がみられることが多い。嚢胞壁、隔壁が富血管性であるので、dynamic―CTの造影早期相で濃染する。このCTでは膵頭部の嚢胞はやや大きく、石灰化もみとめられないことより、適当ではない。
 膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMT)は、粘液産生能を有し乳頭状増殖を特徴とする上皮より構成される膵管内腫瘍である。これは高齢男性(60-70歳)の膵頭部に好発し、基本的に主膵管あるいは大型分枝に病変の主座を置く病変であり、前者は主膵管型、後者は分枝型に分類される。病理学的には病変が両方に及ぶ混合型の場合も少なくなく、本例はCT上、膵頭部に辺縁凹凸のあるぶどう房状を呈する被膜を有さない嚢胞があり、主膵管の拡張が認められ、混合型のIPMTと推測される。
 解答:膵管内乳頭状粘液腫瘍(IPMT)

48.解答 d
 画像所見:膵頭部腹側に造影早期相で低吸収域が認められ、後期相では造影効果をみとめる。
診断プロセス&解説:膵頭部の充実性腫瘤である。膵管癌では一般に単純・造影CTで低吸収を呈する腫瘤であり、遅延相で濃染されるので、このCT造影パターンにはあわない。膵内分泌腫瘍はHyperrvascularな腫瘤として描出されるので、適当ではない。膵内副脾は膵尾部に発生することがあり、Hyperrvascularな腫瘤として描出されるので、適当ではない。漿液性嚢胞線腫はCT上比較的小さな嚢胞の集簇として認められる。中心部に石灰化がみられることが多い。嚢胞壁、隔壁が富血管性であるので、dynamic―CTの造影早期相で濃染する。このCTでは膵頭部の嚢胞はやや大きく、石灰化もみとめられないことより、適当ではない。腫瘤形成性膵炎は慢性膵炎自体が限局性の実質性変化をきたし、腫瘤様の所見を呈するものをいう。Dynamic CTでは早期濃染は乏しいことが多く、遅延相では均一な増強効果がみられるのが普通である。したがって、造影パターンから考えて、腫瘤形成性膵炎が適当かと思われる。
 解答:腫瘤形成性膵炎

49.解答 b
 画像所見:MRI,USで脾腫が認められる。超音波像では脾内に小さな高輝度領域が多発性に認められる。FSE-T2強調像では認められないが、T1強調像(GRE,TE 4.4ms)の像では、脾内に多発性に低信号域が認められる。
 診断プロセス&解説:門脈圧亢進症の症例では、脾臓内に廬胞腔のなれの果てであるGamna Gandy結節が生じることがある。これはヘモシデリンを含有しているのでGRE像で低信号を呈する。USで瀰漫性に高輝度域を呈していたと報告されている。微小膿瘍、リンパ管腫ではT2強調像で高信号を呈するので適当でない。肉芽腫も炎症性変化によるものであるから、T2強調像で高信号を呈すると思われる。
 解答:Gamna Gandy結節
 参考文献:Minami M et al. Siderotic nodules in the spleen: MR imaging of portal hypertension.Radiology. 1989 172:681-4
Sagoh T et al. Gamna-Gandy bodies of the spleen: evaluation with MR imaging. Radiology. 1989 172:685-7

以上45〜49は三上恒治会員(大阪大学)

  

50.解答 a, b
所見
 単純CT(図A)では左腎実質内にガス貯留を認める。腎盂・腎杯にガスは認められない。また、Gerota筋膜の肥厚も認められる。造影CT(図B)では腎実質には造影欠損部は認められず、膿瘍形成も認められない。腎周囲腔に膿瘍形成が認められる。
診断プロセス
 腎実質内にガス像が存在するが、腎盂・腎杯にはガス像が存在しない点から、気腫性腎盂腎炎と診断できる。
解答
 気腫性腎盂腎炎は致死率の高い急性腎盂腎炎で、90%以上は糖尿病を、約1/3では腎盂尿管の閉塞を合併している。また、男女比は1:2で女性に多い。原因菌の69%が大腸菌、29%が肺炎桿菌である。抗菌薬と早期の腎瘻からのドレナージあるいは腎摘出術を必要とする。
 以上から、解答はa,bである。
鑑別診断
 気腫性腎盂炎:ガスが腎盂腎杯に認められるが、腎実質内には存在しない。気腫性腎盂腎炎と同様に糖尿病や尿路閉塞に合併することが多く、原因菌も大腸菌がほとんどであるが、気腫性腎盂腎炎ほど重症にならない。
 

51.解答 a, c
所見
 両側腎は腫大し、内部に脳脊髄液と同等の高信号を呈する腫瘤性病変を多数認める。また、肝両葉にも大小さまざまな高信号腫瘤を認め、いずれも嚢胞の所見である。腎嚢胞の一部に低信号〜中等度信号の病変も認められるが、出血性嚢胞と考えられる。
診断プロセス
 56歳の成人男性で両側腎に大小無数の嚢胞を生じる疾患として、成人型多発性嚢胞腎と診断できる。
解答
 腎実質に大小さまざまな嚢胞を形成する遺伝性疾患で、幼児型と成人型に分けられる。大部分は成人型である。幼児型は先天性で劣性遺伝であり、MRIで両側腎は腫大し多数の小嚢胞を認める。重度の腎障害のため多くは致死的。成人型は優性遺伝で、MRIで両側腎は腫大し大小無数の嚢胞を認める。嚢胞内容は尿様・血性とさまざま。本症の10〜30%の患者で脳動脈瘤の合併が見られる。また、僧帽弁逸脱症の合併もみられる。
以上から、解答はa,cである。
鑑別診断
腎に多発嚢胞を認める疾患として、以下のものがあげられる。
 ・Multicystic dysplastic kidney:
幼児期の嚢胞性腎疾患で最も頻度が高い。MRIでは発育異常を認める腎組織と多数の大小さまざまの嚢胞を認める。多くは片側性であるが、腎全体に嚢胞を認めるものや一部に見られるものなどさまざま。
・Multilocular cystic nephroma:
稀な腎の嚢胞性腫瘤で、小児期と壮年期の2相性ピークがある。境界明瞭の円形の腫瘤で、内部に隔壁で隔てられた大小の嚢胞を認める。造影では外壁と線維成分が主体の隔壁が造影される。
・Localized renal cystic disease:
腎の一部に限局して多数の単純性嚢胞が集簇して存在する稀な疾患。遺伝性や家族性はなく、他の腎腫瘍と合併することもない。

52.解答 c
所見
 MRI矢状断像では前立腺から膀胱内腔に突出する表面が分葉状の腫瘤を認める。内部信号はT2WIで不均一ではあるが高信号を呈し、造影では不均一に強く造影されている。分葉状を呈する部分はT2WIで著明な高信号を呈し、この周囲辺縁部にはT2WIで低信号を呈しかつ造影で淡い造影効果を呈する帯状構造物を認める。被膜を反映していると思われる。
診断プロセス
 若年者に発生する前立腺腫瘤で、非常に浸潤傾向が強いことから前立腺肉腫と診断できる。
解答 
 c
鑑別診断
 特になし。あえて挙げるならば前立腺癌か?
その他
 前立腺肉腫の発生頻度は低く、前立腺腫瘍の1%以下。しかし若年者、特に25歳以下で前立腺腫瘤を発見した場合は生検で確定診断が得られるまでは前立腺肉腫と考えてよいと言われている。前立腺肉腫は悪性度が高く、進展が急速でかつ発見が遅れることが多いため、一般に予後は不良である。

53.解答 a,b
所見
 腹部大動脈-上腸間膜動脈の間から末梢側の腎静脈は全体に拡張している。その他、腎動静脈瘻などの血管奇形を含め特に異常所見は認めない。
診断プロセス
 上記所見から、nutcracker現象と診断できる。
解答
 無症候性血尿を来す疾患のうちのひとつ。腹部大動脈と下大静脈の間に左腎静脈が挟まれるため左腎静脈内圧の上昇を来し静脈より出血する。痩せた人に多い。また、思春期に多い。体重増加を伴わない急な身長の伸びと椎体の過伸展、そのために起こる体型の急変により左腎静脈の機械的圧迫を来すものと推測される。おもな側副血行路として、腰静脈・上行腰静脈・性腺静脈・傍脊椎静脈が発達する。悪性腫瘍の合併に関しては調べた限り関連はなさそうである。
 以上から、解答はa,b。
鑑別診断
 特になし

以上50〜53は田中治会員(京都府立医大)


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