第13回放射線科専門医二次試験(治療)解答ならびに注釈26.〜50.

26.解答 d
声帯の両側に腫瘍(T1b以上)、声帯の固定がない(T2以下)

27.解答 a, d
a. 誤:照射後半年あるいは年余にわたり生じてくる。
b. 正
c. 正:V20(正常肺の中で20 Gy以上照射される部分の全正常肺に占める割合)が40%を超えると致死的放射線肺臓炎の頻度が高くなるとされている (Graham et al: Int J Radiat Oncol Biol Phys 45:323-329, 1999)。
d. 誤:化学療法の同時併用では急性期の有害事象の頻度が高い。
e. 正:肺臓炎を最終判定基準としてTD5/5は全肺で1750cGy、TD50/5は全肺で2450cGyである。(Emami et al: Int J Radiat Oncol Biol Phys 21:109-122, 1991)

28.解答 a
 肺癌における腫瘍随伴症候群の頻度はCancer Medicine 6th edition (P1396-1398)によると、SIADH 5-10%、Hypercoagulable status 10-15%、Ectopic ACTH 3-7%、Eaton-Lambert 6%、Gynecomastia 6%であるが、小細胞肺癌に最も高い頻度で関連しているのはSIADHと書かれており、aを正解とした。

29.解答 a
a. 誤:小細胞肺癌の場合、meta-analysisの結果、初回治療でCRが得られた症例に対するprophylactic cranial irradiation (PCI)は有意に脳転移再発率の低下及び生存率の向上を認めた (Auperin et al: N Engl J Med 341:476-484, 1999)。
b. 正:化学療法と放射線治療の併用時期は同時の方が併用効果は高い。
c. 正:I/II期の非小細胞肺癌において、1回1.2〜1.5 Gyの過分割照射は通常分割照射に比べ良好な治療成績が示されている。
d. 正
e. 正:年齢70歳以上の高齢者やPS不良例に対する有効な併用化学療法は確立されていない。

30.解答 b
a. 正:EMRの絶対適応はm1、m2で周在性2/3以下と診断された症例。m3及びsm1であっても、患者が外科治療を望まない症例や全身状態根治手術に適さないと判断された場合は、画像診断上リンパ節転移がなければEMRの相対的適応である。
b. 誤:m1、m2に対して腔内照射単独で治療を行う場合もあるが、一般的には腔内照射は外部照射後のブースト照射として行われる。
c. 正
d. 正:線量評価点は粘膜下5mmとし、粘膜表面の線量も併記する(最大線量を把握するため)。
e. 正:T3, 4の進行食道癌に対する腔内照射の有用性は示されていない。

以上26〜30は伊藤芳紀会員(国立がんセンター中央病院)

31.解答  c
 T4N1M0=stage III の胸部中部食道癌に対する化学放射線療法についての設問である。
a. 外照射には6〜15MVのX線を使用する。10MV以上が望ましい。
b. ステント挿入による機械的な侵襲により, 耐容線量が低下し, 照射後に食道穿孔などの危険性が増加するため, 照射前のステント挿入は相対的禁忌と考えられる。
c. 脊髄の線量を耐容線量以下にするため。
d. T4 caseに腔内照射は不適当と思われるが・・・。
e. 同時化学放射線治療が可能な全身状態であれば, 総治療期間を短縮するためにも, 当初より同時化学放射線治療をすれば良いと考えられる。

32.解答  e
 適切に40Gyで脊髄を照射野からはずしていれば, 脊髄の有害事象の発生頻度は低いはずである。心筋炎も短期的には発生頻度が低いと思われるが、長期的には高くなる可能性がある。胸水貯留・肺線維症・食道狭窄はよくお目にかかる合併症である。

33.解答  e
乳房温存療法ガイドライン(1999)で乳房温存療法の適応は以下の如くである。
(1)腫瘤の大きさが 3.0 cm 以下
(2)各種の画像診断で広範な乳管内進展を示す所見(マンモグラフィで広範な悪性石灰化を認めるものなど)のないもの
(3)多発病巣のないもの
(4)放射線照射が可能なもの。従って以下のものは原則として除外する
   a)重篤な膠原病の合併症を有するもの
   b)同側胸部の放射線既往照射のあるもの
   c)患者が照射を希望しないもの
(5)患者が乳房温存療法を希望すること

34.解答  e
a. 局所進行膵臓癌の標準的治療法は化学放射線療法である。
b. 切除不能局所進行例の生存期間中央値は10〜15ヵ月程度で, 5年生存率は1〜2%に過ぎない。
c. CA19-9値が高い症例の予後は不良である。
d. 膵癌はリンパ管浸潤や神経周囲浸潤の頻度が高く, 後腹膜領域へも浸潤しやすいため, 傍大動脈節(腹腔動脈幹〜上腸間膜動脈根部のレベル)や後腹膜領域(椎体の腹側)をもCTVに含むべきであるとされる。
e. PTVはCTVに1cm程度のマージンを加えるが, 特に膵尾部では呼吸性移動が大きいため頭尾方向のマージンは充分(可能なら1.5〜2.0cm)に確保する。

35.解答 b
a. 術中照射単独の平均生存月数は4〜8ヵ月に過ぎず, 術後外部照射の追加が必要である。
b. 6MeV以下では治療域の深さは約2cm以下しかなく, 不適当である。
c. 十二指腸潰瘍を防ぐため, 可能な限り十二指腸を照射野からはずす。
d.
e. 消化管潰瘍・血管狭窄・膵膿瘍などの合併症が多い。

以上31〜35は西山典明会員(国立札幌病院)

36.解答 b
a. 誤:肛門管癌は直腸癌の約5%
b. 正:肛門管癌では両側鼠径部リンパ節は所属リンパ節で、照射野に含める必要がある。
c. 誤:術後照射の方が晩期障害が多い。
d. 誤 
e. 誤:根治照射としては全骨盤40Gy、局所は60Gy(もしくはそれ以上)

 

37.解答 b
a. 正?  
b. 誤:リンパ管造影、動静脈造影、CT, MRI所見はFIGO臨床病期分類には認められない。
c. 正
d. 正
e. 正:子宮頸癌における骨盤外病変は遠隔転移

 

38.解答 e
a. 誤
b. 誤
c. 誤:大きな差はない
d. 誤:HDRでは、遠隔操作式小線源治療装置(remote afterloading system:RALS)のため、術者の被曝はない。
e. 正:192Irの半減期は約74日で、年に数回の線源交換を行う必要がある。

 

39.解答 e
a. 誤
b. 誤
c. 誤
d. 誤:Manchester法に基づく線量計算は子宮頸癌の場合。
e. 正:膣断端再発予防には、外照射と腔内照射の併用が行われる。

 

40.解答 c
a. 誤:T2aは、前立腺に限局する腫瘍で、片葉の1/2以内の進展。
b. 誤:T2bは、前立腺に限局する腫瘍で、片葉の1/2をこえ広がるが、両葉には及ばない。
c. 正:T2cは、前立腺に限局する腫瘍で、両葉への進展。
d. 誤:T3aは、前立腺被膜をこえて進展する腫瘍で、被膜外へ進展する腫瘍。
e. 誤:T3bは、前立腺被膜をこえて進展する腫瘍で、精嚢へ浸潤する腫瘍。
ちなみにT1は、触知不能、または画像診断不可能な臨床的に明らかでない腫瘍。T4は、精嚢以外の隣接臓器に固定、または浸潤する腫瘍。

以上36〜40は松村由香里会員(国立病院九州がんセンター)

 

41.解答  c,e
 63歳男性,PS 0,前立腺癌T2cN0M0,Gleason score 7,PSA 15ng/ml.中等度リスク群で全身状態も良好であり,生存期間も長期にわたると考えられるため,経過観察,ホルモン療法のみは不適当と考えられる.125-I小線源治療も単独治療の適応を越えている.T2では高線量の外部照射と前立腺全摘の治療成績はほぼ同等と考えられている.

 

42.解答 b,e
 表在性膀胱癌(T1)の治療はTUR-BTが主体である.筋層浸潤のあるT2ではpT2a 6〜20%,pT2b 20〜30%の頻度でリンパ節転移があるため,内腸骨リンパ節をCTVに含める必要がある.pT3では30〜60%にリンパ節転移を伴う.T2〜T4に対する放射線単独の治療では5年生存率30〜40%と報告されている.放射線治療の最大の利点は膀胱温存であるが,現状では浸潤性膀胱癌の標準治療は膀胱全摘術である.化学療法については導入化学療法より放射線治療との同時併用が推奨される.

43. 解答 e (?)
 Wilms腫瘍の治療については国際的なプロトコールがあり,日本ではNWTS-5に則って共同研究が行われている.Favorable histologyのIII〜IV期,anaplastic tumorのII〜IV期,clear cell sarcoma of the kidneyの全病期,rhabdoid tumorのIII〜IV期に術後放射線治療,10.8Gy(1日1.8Gy)を行う.腹腔全体に及ぶ腫瘍漏出や播種が認められたときは全腹部照射を行う.(照射野が広範となるときは1日1.5Gyとする.)肺転移では両全肺照射,12Gyを行う.肉腫型腫瘍はFavorable histologyと比較して予後不良である.診断の時点で5〜7%が両側性である.NWTS-3におけるFavorable histologyの5年生存率は汪,期,ではそれぞれ97%,95%であったと報告されている.。期,「期では90%前後となるが,選択肢上,e以外の項目には明らかな誤りと思われるものはなく,“Favorable histologyの予後が良い“点を強調する問題として,解答はe と考える.

 

44.解答 b,c
 中枢神経系の悪性リンパ腫はほとんどがdiffuse large B cell lymphomaである.HIV関連のものが有名で,免疫能の低下した患者に起こりやすい.髄膜播種や眼球内進展を高頻度に伴う.他部位初発のリンパ腫と比較して予後不良であり,照射による一時効果は良好であるが高率に局所の再燃を来す.そのため放射線単独の場合50〜60Gyの照射が行われてきたが,近年,化学療法,特にHigh-dose MTX併用により,線量を低減する傾向にある.現状でMTX併用が完全にstandardとなっているとはいえず,治療反応性が不良な場合にboostを考慮する場合もあるが,いずれにせよ合計線量45Gy/25回が標準的とはいえないと思われる.(なお,放射線治療後にMTXを投与すると白質脳症発症の危険性が高いためMTX併用の際には化学療法を先行させるべきであるとされている.)

 

45. 解答 e
 胃の悪性リンパ腫ではH. Pyloriが関与したMALT lymphomaが多く,治療の第一選択はピロリ菌の除菌療法であるが,除菌不応性の場合,放射線治療の適応となる.また,経過中にdiffuse large B cell lymphomaに悪性転化する例があり,この場合は化学療法+放射線治療が行われる.推奨される治療はMALT lymphomaの場合は放射線治療単独で総線量30Gy,diffuse large B cell lymphomaではCHOP療法3コース+放射線治療30〜40Gyである.胃全体がCTVとなり,臓器の動きも考慮すると照射野が広範となるため,1回線量を1.5〜1.8Gy程度に減じる場合がある.また照射野の設定については両側腎の被曝線量・容積についての注意が必要である.

以上41〜45は齋藤淳一会員(埼玉県立がんセンター)

 

46.解答 b
 急性リンパ性白血病のピークは3〜5歳であり、選択肢の項目からも小児を想定していると思われるため、小児白血病について述べる。
 小児白血病は年間10万人に3〜4人で、このうち急性型は95%でそのうち80%が急性リンパ性白血病である。急性リンパ性白血病では予後因子の有無によって治療が層別化されている。以下に東京小児がん研究グループ(TCCSG:L99-15)の年齢と初診時白血球数によるリスク分類表を掲載しておく。
白血球数 1〜6歳 7〜9歳 10歳〜
2万/μl 未満 SR HR HR
2万以上5万/μl 未満 HR HR HR
5万以上10万/μl 未満 HR HR HEX0
10万/μl 以上 HEX12 HEX18 HEX18

 SR:標準リスク群、HR:高リスク群、HEXn:超高リスク群+全脳照射nGy

 その他、縦隔腫瘤、臓器腫大、中枢神経浸潤が存在すると予後不良である。また、標準リスク群からはT細胞型は除くとされている。
 近年強力な化学療法が導入された結果、標準リスク群に対しては放射線治療は必要なくなってきたが、高リスク群では中枢神経白血病の予防目的の全頭蓋照射が行われる。これより古い基準では低リスク群は2〜7歳、初診時白血球数2万以下とされていたため、bが正解となる。

 

47. 解答 d(eも?)
 多発性骨髄腫の治療は化学療法が主体で、標準的にはMP療法が行われる。放射線治療を行う目的は(1)骨病変による局所疼痛の緩和(10〜15Gy)、(2)化学療法抵抗性の広範な骨痛に対する治療(全身照射:8.5〜10Gy、半身照射:上半身6Gy、下半身8〜10Gy)、(3)荷重骨の病的骨折の予防(30Gy程度)、(4)脊髄あるいは神経根圧迫の緩和などである。
 孤立性形質細胞腫の場合は根治目的で40〜50Gyの照射が行われる。40Gy以上で局所制御率は90%以上であるが、約半数が2年以内に多発性骨髄腫へと移行する。
化学療法は必ず同時併用するとは限らないと思いますが…。

 

48. 解答 a
 横紋筋肉腫は胎児型と胞巣型とに大別され、前者の予後は良好とされる。胎児型では完全切除できた場合には術後放射線治療は不要であるが、胞巣型では41.4Gy/23Frの照射が必要とされる。遺残がある場合には41.4Gy/23Fr〜50.4Gy/28Frの照射を行う。
 脊索腫は頭蓋底(斜台)や仙椎に好発する腫瘍で、手術が第一選択となるが、摘出が困難なことも多く、その場合には放射線治療が行われる。放射線治療には中等度の感受性があり、残存腫瘍に対して、60〜70Gy程度の局所照射を行う。斜台に発生した場合は、脳や眼球を保護するために陽子線や炭素線による粒子線治療や定位放射線治療が有用である。
 脊椎血管腫は手術やステロイド治療の無効例あるいは非適応例に施行される。36〜40Gy程度が照射されることが多い。
 骨肉腫は放射線感受性が低いため通常の外照射は有用でないが、一回大量照射は有効とされている。そのため、術中開創照射、術中体外骨照射、重粒子線治療、小線源治療などが行われる。50Gy程度が照射されることが多い。
 脂肪肉腫のうち高分化型は手術成績が良好で放射線感受性も低いため、通常放射線治療は行わないが、その他の型は手術のみでは再発率が高く、放射線感受性も比較的高いため術後照射が行われることが多い。50〜70Gyの照射が行われる。

 

49. 解答 e
 診療点数早見表(医学通信社)によると、頭頸部腫瘍に対する直線加速器による定位放射線治療は、「極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、照射中心の固定精度が2mm以内であるものをいう。数ヶ月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。定位型手術枠又はこれと同等の固定精度をもつ固定装置を取り付ける際などの麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。」とされている。体幹部に対する直線加速器による定位放射線治療については別の基準があるため成書を参照されたい。
 因みにa.は「極小照射量」ではなく、「極小照射野」の誤りだと思われる。

 

50. 解答 a
 診療点数早見表(医学通信社)によると、放射線治療専任加算に関する施設基準(労働大臣が定める)は、「放射線治療を専ら担当する常勤医師(放射線治療経験:5年以上)及び放射線治療を専ら担当する診療放射線技師(放射線治療経験:5年以上)がそれぞれ1名以上いること。当該管理を行うために高エネルギー放射線治療装置、X線あるいはCTを用いた位置決め装置、放射線治療計画システムを備えていること」とされている。また、「上記に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、患者に対して、放射線治療を専ら担当する常勤の医師が策定した照射計画に基づく医学的管理を行った場合は、所定点数に330点を加点する。」とされている。
過去には保険点数についても問われたことがあるため、一度は目を通しておいて頂きたい。

以上46〜50は浅川勇雄会員(奈良県立医科大学)

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