| 放射線科専門医認定二次試験(診断・核)解答 1〜36 |
(解答番号が抜けているのは、解答するのに問題があったため依頼しておりません)
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1.解答:aとc
a:誤 放射線診療従事者の実効線量限度は (1)5年で100mSv (2)年間で50mSv (3)女子にあっては3か月で5mSv (4)妊娠中の女子にあっては出産までの内部被曝1mSv のいずれをも超えないことが必要。
b:正
c:誤 皮膚の等価線量限度は年間500mSv。
d:正
e:正
2.解答:aとb
a:正 体格にもよるが、一般的には成人と同じ線量では臓器線量は2〜5倍となる。
b:正 「最も重要」なのはこの2つである。
c:誤 小児ではmAsは適切に減らすべきである。
d:誤 自動照射制御の略称はメーカーごとに異なるが、いずれも被曝低減に有効。
e:誤 ヘリカルピッチのことと思われるが、ピッチを減少させる(=テーブルの移動速度を遅くする)ことは被曝線量の増加に直結する。
3.解答:bとd
a:誤 UNSCEAR 2000 の資料によれば頭部CTの実効線量は平均2.2mSv。西澤かな江ら(日医放会誌64:151-158,2004)によれば平均2.4mSv。
b:正 前問d参照。小児に限らず自動照射制御は被曝低減に有効である。
c:誤 部位によって被曝する臓器が異なり、それぞれの感受性が異なるために実効線量は変化する。
d:正 前問e参照。
e:誤 診断レベルの放射線被曝は妊娠中絶の合理的理由とはならない。
5.解答:aとcとe
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6. 解答 d
右側頭葉内側皮質、右島皮質にFLAIR画像での高信号域認める。皮質主体に連続的に拡がり、やや腫大も疑われる。右島病変では、拡散能の低下も疑われる。好発部位、皮質主体の拡がり、早期よりの拡散能の低下を満たす d が最も考えられる。
a. 信号変化を来した領域は、右側の中大脳動脈、前脈絡叢動脈、後大脳動脈の分布域で、これらが同時に連続した病巣として障害されるとは考えにくい。
b. 通常白質優位の腫瘍であり、拡散強調像での著明な高信号はまれ。
c. 本症例では、少なくとも上矢状静脈洞、直静脈洞のflow void は保たれており、皮質下白質中心に広がる静脈性梗塞、出血所見(多発性、両側性)は同定できない。
e. 脳脊髄炎とすると、急性、散在性に脱髄性疾患であり、白質優位の病態である。後頭葉、頭頂葉に多い。白質脳症としてもやはり、白質優位と考えられる。
7. 解答 e
両側前頭葉、両側後頭葉、右島における白質領域の拡散能低下を散見する。年齢の割にやや前頭葉、側頭葉での萎縮が目立つ。
a. frontotemporal dementia。障害部での皮質下白質でのT2延長を来す変性性痴呆で、拡散能強調像での病巣指摘は困難。
b. 頭頂連合野に萎縮のみられる変性性痴呆。やはり診断には拡散強調像は不適。
c,d 病巣の拡がりから考えにくい。
e. プリオン病の一種で、皮質優位に障害され、通常白質は保たれる。特徴的異常脳波であるPSD出現前に拡散能低下が見られることがあり、拡散強調像が、早期発見に有用なことが多い。よって eが最も可能性が高い。
8.解答 c
左前頭葉白質にリング状構造有する腫瘤を認め、周囲白質には広範な浮腫、mass effectを伴っている。リング部分は比較的均一な厚さで、T2強調像において、やや低信号を呈し、比較的明瞭な造影効果を有する。内部は、T2強調像で、やや高信号を、T1強調像で、やや低信号を呈し、造影効果には乏しいが、拡散強調像では著明な高信号を呈している。出血を積極手的に示唆する所見もなく拡散能の著明な低下を有意とするとcが疑われる。
a. 拡散強調像では、出血の混在がなければ中心部の壊死巣は通常低信号を呈する。
b. 硬膜由来で、多くは脳実質外に腫瘤を形成する。リング状濃染も非典型的。
d. 腫瘤+浮腫の画像であり、梗塞巣とは考えにくい。出血を伴うとしても信号強度的に合わない。
e. 転移巣内部の早期壊死の場合、拡散強調像での著明な高信号を呈すこともあるが、頻度的にはまれ。
9.解答 b
非造影CTで、第四脳室部に一致して比較的高濃度の mass lesion 認める。明らかな石灰化は同定できない。拡散能も一様に低下しているが、第四脳室内への進展があるのか、背方よりの圧排のみかははっきりしない。造影効果は不均一で、橋〜延髄表面、小脳脳溝での濃染も目立つ。播種性変化の rule outが必要である。
a. atypical or anaplastic meningioma では、拡散能低下が報告されているが、一般には脳実質同等で、側脳室内では鑑別対象に挙げられる。
b. PNET-Mbは、最も高頻度(25%)の小児悪性腫瘍で5〜9歳に多い。悪性度も高く、髄液播種を来しやすい。小児では90%が小脳虫部より発生し、第四脳室へ伸展しやすい(4th V tumor arising from "roof")。石灰化を伴う頻度は29%。本症例は発生部位、画像所見も典型的で、最も可能性が高いと思われる。
c. 頭蓋内では第四脳室に多く脳室周囲の ependymal or subependymal cell 由来と考えられている(4th V tumor arising from "floor")。テント下は小児に多い。石灰化の頻度はPNET-MBより多く69%で、出血、嚢胞も伴って不均一な信号強度の事が多い。拡散能低下は見られない。
d. 50-60歳に多く、ほとんど無症状な良性腫瘍で第四脳室に70%、側脳室に21%の頻度。CTで等〜低濃度を呈し、一般に造影効果には乏しい。
10.解答 e
小脳右半球にhemosiderin rimと思われる低信号縁を有するT2延長域認め、問題の小脳出血部が疑われる。位置的に歯状核の障害が強く示唆され、下方のスライスでは、左延髄左縁に円形のT2延長域を認める。下オリーブ核の変性が疑われる。
一側の歯状核と対側の赤核、下オリーブ核(Guillain-Mollaretの三角)とはGABA抑制線維である歯状核オリーブ路により連っているが、同経路の障害により下オリーブ核に変性を来す。一般に、中枢神経系では求心路遮断により、神経細胞は萎縮性変化を呈するが、下オリーブ核神経細胞では異なり、経路障害後3週ほどして腫大性変化がはじまる。同時にMRI画像でのT2延長、口蓋振戦もみられる。発症後10ヶ月前後で、下オリーブ核の仮性肥大は最高値に達し、画像的にも明瞭な< /SPAN>T2延長域を呈する。
いずれの選択枝も、T2延長域を呈するが、小脳出血に起因する病巣とするとeの肥厚性下オリーブ核変性が最も考えられる。
a. 椎骨動脈解離等による延髄梗塞では、より外側部での障害が有名(Wallenberg症候群)。
c. 滲透圧性脳症は、橋以外では、基底核、視床、内包、外包、前障に多く通常、両側性。
b,d 問題の臨床経過からは考えにくい。
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11.解答 a
解説:診断は「ガマ腫」.
非造影CTでは,左舌下部(左舌下腺付近,左舌下間隙付近)に細長い低吸収域を認める(病変が「舌下部の片側性」に存在するところがポイント!).造影CTでは左舌下部の低吸収域は濃染に乏しい印象である.
a. ○:ガマ腫は「舌下部の片側性」の嚢胞性腫瘤として描出されるので,これが正解と思われる
b. ×:脂肪腫は「皮下」,「筋肉の間」などに多いとされる
c. ×:皮様嚢腫は「舌下部の正中」に存在することが多い
d. ×:リンパ管腫は「後頸部間隙」に多い
e. ×:甲状舌管嚢胞は「舌根部から甲状腺までの正中」に発生することが多い
<ワンポイントアドバイス>
頸部における代表的な嚢胞性腫瘤の「種類」と「発生部位・好発部位」を理解しているかどうかが出題の意図であろう.受験者の多くは「ガマ腫」と「皮様嚢腫」の2つの選択肢で迷ったのではないだろうか?.残念ながら提供された画像からでは舌下部の低吸収域が水成分であるのか脂肪成分であるのかを判別することは困難である.そこで「典型的な発生部位」を頼りに鑑別していくことがこの問題で要求されているものと思われる(ガマ腫は舌下部の片側性,皮様嚢腫は舌下部の正中に多い).また,皮様嚢腫は必ずしも脂肪成分優位とは限らずしばしば水成分優位であることもあるので,この問題では舌下部腫瘤(低吸収域)の成分にはこだわらない方が賢明であろう.頸部における嚢胞性腫瘤の「種類」と「発生部位・好発部位」を理解する上では,とても良い問題と思われる.選択肢の疾患以外にも鰓弓嚢胞なども併せて理解して覚えておきたい.
12.解答 aが正解と思われる
解説
診断は「舌甲状腺,異所性甲状腺」.
非造影CTでは舌根部の正中に境界が明瞭な類円形の高吸収域を認める.
MRI-T1-強調画像(矢状断像)では舌根部の結節はほぼ均一な等信号〜低信号である.
a. ×:「性差はない」と言われている.また発生過程での障害であるので「若年者に多い」というのも誤りである
b. △:甲状舌管嚢胞に遺残甲状腺組織を認めることがある(ただし嚢胞性変化を来すことが多いのかどうかは解らない).
c. ○:舌甲状腺は異所性甲状腺の一つである
d. △:甲状腺癌(主に乳頭癌)が発生することがある(ただし多いかどうかは解らない).
e. ○:123I-甲状腺シンチグラフィが診断に有用である.
<ワンポイントアドバイス>
画像は非常に典型的.非造影CTにて高吸収域を呈するところから「甲状腺実
質」を推測するところがポイントの一つである.また甲状腺の発生を理解して
いるかどうかも問われている.これらと関連して甲状舌管嚢胞も理解して覚え
ておきたい.
13.解答 c
解説
診断は「Warthin腫瘍:ワルチン腫瘍」.
造影CTの所見:右耳下腺内の下極に10mm前後、左耳下腺内の下極に30mm前後とそれぞれに結節を認める(耳下腺下極に多発している部分がポイント!).いずれも混合濃度を示し,所々に濃染域を認める.MRI-T1-強調画像の所見:いずれの結節もT1-強調画像にて不均一な低信号を呈している.MRI-T2-強調画像の所見:いずれの結節も信号強度は低下している(これが重要なポイント!).
a. ○:ワルチン腫瘍は50歳以上の男性に多い
b. ○:ワルチン腫瘍は喫煙との関連性が報告されている
c. ×:50歳以上の男性に多い
「性比はほぼ男性:女性=1:1である」という「c」の選択肢が間違い
「間違っているのはどれか」であるのでこれが正解となる
d. ○:耳下腺尾部(下極)に多い.両側性(10%),多発性などもワルチン腫瘍の特徴である
e. ○:99mTcO4-シンチが集積
<ワンポイントアドバイス>
耳下腺腫瘍の代表であるWarthin腫瘍(ワルチン腫瘍)の特徴を理解しているかどうかを問う良い問題である.Warthin腫瘍(ワルチン腫瘍)の特徴は下記を参照し,ぜひ覚えておいて頂きたい.この問題における画像診断のポイントのひとつは「MRI-T2-強調画像にて腫瘍の信号強度が低下している」ところであろう.ワルチン腫瘍と同様,耳下腺腫瘍の代表である「耳下腺多形腺腫」の特徴に関しても併せて理解しておきたい.
*Warthin腫瘍(ワルチン腫瘍)の特徴
・発生部位:耳下腺下極に好発,両側性(10%),多発性
・年齢・性差:50歳以上の男性に多い
・画像の特徴:MRI-T2-強調画像にて信号強度が低下することが多い
・99mTcO4-シンチが集積
*Warthin腫瘍(ワルチン腫瘍)の暗記の仕方(語呂合わせ)
「悪いチンポのテクニック」
・悪いチンポ → Warthin腫瘍(ワルチン腫瘍)
・ チンポ → 男性に多い
・ チンポ → ニコチン → タバコ・喫煙
・テクニック → テクネシウム(99mTcO4-シンチが集積)
「悪いチンポのテクニック」って?・・・・少々下品な語呂合わせではあるが,便利な語呂合わせと思われるので紹介しておく.気に入った方はぜひ活用して頂きたい.「浮気ばかりする悪い亭主と,そんな悪い亭主に癒されている愛人」などをイメージすると良いかもしれない.「シモネタ」だから「ワルチン腫瘍は耳下腺下極に発生」とか,「浮気は1度では済まずに何回も繰り返される」だから「ワルチン腫瘍は多発する」などと暗記項目を膨らませていっても良いであろう.
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15:39歳男性。c/c 右膝の次第に増強する痛みと運動制限。
画像所見;膝関節矢状断T1強調画像およびT2強調画像が提示されている。膝関節の膝蓋上嚢およびPCL周囲に広がる分葉状の腫瘤が認められる。T1強調画像で低信号、T2強調画像で低信号を混じる不均一な高信号を示している。滑膜の増殖と思われる。骨に侵食所見は目立たない。
選択肢;
a.関節リウマチ
b.変形性関節症
c.アミロイドーシス
d.滑膜性骨軟骨腫症
e.色素性絨毛結節性滑膜炎
骨に侵食所見が目立たないことからは変形性関節症や関節リウマチ、アミロイドーシスの印象は低い。関節リウマチの滑膜増生の分布とも異なると思う。軟骨腫を表す結節構造がはっきりしていないことからは滑膜性骨軟骨腫症とは決めがたい。単関節病変であり、臨床経過も矛盾せず、選択肢の中では色素性絨毛性結節性滑膜炎が最も考えやすい。
解答;e
16:27歳男性。c/c 10年前からの右上腕弯曲と後頭部膨隆。
画像所見;頭蓋骨および右上腕骨単純X線写真が提示されている。頭蓋骨では頭蓋底の肥厚が見られ、後頭骨も厚い。右上腕骨骨幹の腫大と外側凸の弯曲が認められる。骨皮質は薄く、髄腔は比較的均一に見える。石灰化や骨の増殖性変化は目立たない。
選択肢;
a.内軟骨腫症
b.骨軟骨腫症
c.線維性骨異形成
d.Paget病
e.悪性リンパ腫
骨変形を伴う多発性の骨病変とすると、線維性骨異形成が考えやすい。
解答;c
17:64歳女性。c/c 両下肢しびれ。
画像所見;腰椎矢状断T1強調画像およびT2強調画像、横断T1強調画像が提示されている。矢状断像ではL4/5レベルの椎間板腔の狭小があり、椎間板および椎体終板の変性とL4椎体の前方すべりを認める。硬膜嚢の狭窄が見られている。横断像では硬膜外脂肪織がほぼ消失し、脊柱管狭窄の所見である。Th12椎体内に円形の信号域が見られ、椎体血管腫などが疑われる。
選択肢;
a.腰椎圧迫骨折
b.腰椎変性すべり症
c.腰椎分離すべり症
d.脊椎椎間板炎
e.腰椎椎間板ヘルニア
すべり症による脊柱管狭窄の所見である。分離を否定できないが、分離の所見は提示されたスライスでは明らかではない。椎間板や椎体終板の信号変化は圧迫骨折、椎間板炎、脊椎炎ではなく、変性によるものと思う。
解答;b
18:80歳女性。p/h乳癌術後、c/c 腰痛。
画像所見;骨シンチグラム背面像、仙骨部冠状断T1強調画像およびT2強調画像が提示されている。骨シンチグラムでは仙骨に一致してH型の高集積があるように見える。いわゆる本田サインと思う。MRIでは左右仙骨翼に縦走する骨折線を認め、不全骨折/脆弱性骨折の所見と思われる。そのほか下位胸椎、腰椎にも高集積が見られ、骨粗鬆症による圧迫骨折が疑われる。肋骨の集積については外力性の骨折によるパターンを示し、やはり骨の脆弱に起因すると思われる。
選択肢;
a.転移性骨腫瘍
b.脆弱性骨折
c.仙腸関節炎
d.仙骨骨髄炎
e.腸骨硬化性骨炎
特徴的な骨シンチグラム所見から脆弱性骨折と思う。
解答;b
19:46歳女性。c/c手指関節の疼痛と変形。
画像所見;両手正面単純X線写真が提示されている。両手の関節周囲の osteoporosisが認められる。手根関節の関節裂隙の狭小が疑われ、濃度が高く見える。関節破壊や強直があるのかもしれないがはっきりしない。第1〜5指のMP関節、第1指のIP関節の亜脱臼が見られている。そのほか左第5指、左第3指、右第5指の関節にも亜脱臼が見られる。
選択肢;
a.痛風
b.関節リウマチ
c.Reiter症候群
d.変形性関節症
e.化膿性関節炎
左右対称性の多関節炎であり、手根関節、MP関節主体に侵されるパターンは慢性関節リウマチが最も考えやすい。
解答;b
20:42歳男性。c/c 特にないところがポイントなのか?大切な病歴が隠されているのか?
画像所見;骨盤および手正面単純X線写真が提示されている。骨盤骨、大腿骨、橈尺骨遠位、手根骨、中手骨、指節骨に斑状の骨硬化性変化が認められる。骨盤では臼蓋には広汎な硬化性変化が認められる。骨破壊性変化や腫瘤形成は明らかではない。
選択肢;
a.Paget病
b.転移性骨腫瘍
c.POEMS症候群
d.SAPHO症候群
e.骨斑紋症
Paget病は手の変化が乏しいとされる。手の変化の報告としては不均一な硬化性変化、粗ぞうな骨梁、骨の肥大等があるが、本症例の所見とは合致しない。腫瘤形成や骨の破壊性変化が見られていないことからは、溶骨性の転移性骨腫瘍やPOEMS症候群は考えがたい。しかし、転移性骨腫瘍でも造骨性の骨転移を否定することはできない。SAPHO症候群とするには臨床情報が足りないのではないか。「他の理由で撮影された」ということは症状がないのか、病歴を隠しているのか、解釈はどうすべきなのか。特に症状がないとするならば、斑状の骨硬化性変化を示す骨斑紋症か。病歴を隠しているのであればわからなくなる。
解答;e>b
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21.正解 d
診断所見:右肺下葉の肺動脈は伴走する気管支より明らかに細い。両側下葉には相対的高吸収域と相対的低吸収域が混在している。吸気・呼気CTともに相対的低吸収域では血管影は細く、逆に相対的高吸収域では末梢血管影が顕在化している。呼気CTでは、吸気CTと比較して、相対的低吸収域の吸収値も上昇しており、過膨張の存在は否定される。また、小葉中心性肺気腫や隔壁様肺気腫の所見は認めない。心臓では右心系の拡大が疑われる。Mosaic perfusionの鑑別診断を問う問題であるが、上記所見より慢性肺血栓塞栓症が最も考えられる。
22.正解 d
診断所見:右気胸を認め、肺内には10mm以下の正円形の嚢胞が多発している。嚢胞壁は薄い。若年女性であり肺気腫は考えにくい。典型的な肺リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphangioleiomyomatosis:LAM)の所見である。腎腫瘍はおそらく、腎血管筋脂肪腫だったであろう。LAMと腎血管筋脂肪腫を合併する疾患は結節性硬化症である。
23.正解 b , c
診断所見:胸部X線写真正面像で、左肺門部に重なって腫瘤影を認め、左上肺野縦隔側の透過性は低下している。下行大動脈の左縁は追えるので、腹側に病変が存在する。左肺門部陰影と左横隔膜面の挙上を認め、左中下肺の血管影が粗である。左肺上葉の無気肺と考えられる。側面像では、右肺中葉の一部の虚脱を認める。左肺上葉の無気肺が高度のためか、その指摘は側面像では困難である。閉塞性無気肺の原因として、肺癌と気管支カルチノイドを考える。
24.正解 a , d
診断所見:胸部X線写真では、左肺下葉縦隔側に結節影を認める。HRCTでは、左肺下葉の縦隔側胸膜面に接して分葉状で境界明瞭な腫瘤を認め、その周囲には正常肺より低吸収値を示す過膨張肺を伴っている。また、造影CTでは、大動脈から分岐していると考えられる異常血管が腫瘤に関与している。肺葉内肺分画症である。a.は肺葉外肺分画症の所見であり誤りである。また、CTで異常血管が描出・同定できる現在では、診断目的の血管造影検査は不要である。
25.正解 e
診断所見:胸部X線写真では右上中肺野の外套部にいわゆる浸潤影を認める。胸部X線写真とほぼ同時期に撮影されたであろうHRCTでは、右肺中葉から下葉にかけて非区域性の帯状の濃度上昇域を認める。辺縁部はすりガラス様の濃度上昇である。非区域性の陰影であり、経気道性感染症は否定的である。
外套部優位の陰影であり、好酸球性肺浸潤(pulmonary infiltration with eosinophilia:PIE)が考えられる。PIEでは、回復期に外套部の方から陰影が淡くなることが知られており、HRCT像も矛盾しない。気管支肺胞洗浄液中の好酸球増加で確定診断を行う。鑑別には器質化肺炎(organizing pneumonia:OP)が挙がる。
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26解答:e
所見:不規則な分布を示すびまん性と結節性病変の鑑別である.それぞれの浸潤性病変や結節の辺縁は不整である.左肺には空洞様の病変も見られる.また所々胸膜のひきつれ像もある.a.acute eoshinophilic pneumoniaは肺門周囲の均等病変であり否定.b.bronchioloalveolar carcinoma,c.aspiration pneumoniaとしては病変がびまん性過ぎ,両葉に見られ否定.d.small cell cartinomaを積極的に示唆する所見もなく,e.Wegner's granulomatosisを考えたい.
27解答:d,e
所見:不規則な分布を示すびまん性小結節性病変の鑑別である.そこで,
a.asbestosis,d.metastatic pulmonary tumor,e.military tuberculosisが考えられるが,
a.asbestosisでは結節が上肺野や背側に優位に分布することにより,本症例と合致せず,d.metastatic pulmonary tumor,e.military tuberculosisを考えたい.
28解答:e
所見:まず,20歳の男性で,現病歴や既往歴などの記載がなく,クリプトコッカス症は考えにくい.左肺上葉に背側優位であるが,多発する小結節を小葉中心性に認める.病変部の気管支拡張や気管支周囲の濃度上昇を認め,癒合した印象も受ける.病変内の一部の気管支壁の不整像もある.また部分的にtree-in-bud appearanceも見られる.全体として経気道性病変を考えたい.とすると,e.肺結核症がもっとも考えられる.c.びまん性汎細気管支炎としては,癒合傾向が強く,b.癌性リンパ管症,a.サルコイドーシスとしては胸膜直下の間質性変化が乏しく考えにくい.サルコイドーシスでもpseudoaveolar patternと呈するものもあるが,本症例より末梢におき,周囲にすりガラス状病変を伴ったり,周囲胸膜のひきつれを伴っており,e.肺結核症を考えたい.
29.解答:a
所見:左肺透過性亢進.左肺の血管も右肺に比して不明瞭化.左主気管支の狭窄.左肺動脈は部分的にしか見えていないが狭小化あり.肺野条件のみですが,左主気管支,左肺動脈周囲に前縦隔の濃度より高くリンパ節などの病変の存在が疑われるが,詳細はわからない.そして右肋骨が描出されていない.溶骨性変化か否か,1スライスのみでは判断できず.肺血流減少と気管支の狭窄の原因として,気管支周囲,肺動脈周囲のリンパ節などの腫瘤と考えると,a.肺癌がもっとも考えられる.
30.解答:d
所見:左上下葉間に胸膜に接して腫瘤を認める.胸膜との境界部はややirregularである.腫瘤と隣接する肺野構造は圧排のみである.造影CTの縦隔条件では腫瘍と胸膜外脂肪層との明らかな連続性は見られず.腫瘤内の濃度は不均一で低濃度であるが,明らかな脂肪は確認できない.また胸水とするには濃度やや高く不均一である.以上より肺外病変であり,明らかな脂肪は含有しない病変であり,a.悪性中皮種,c.葉間胸水,d.孤立性線維性腫瘍を考えます.c.葉間胸水としては接している胸膜面がややirregularである.その他の胸膜に不整像はなく,積極的にa.悪性中皮種を示唆する所見はなく,d.孤立性線維性腫瘍を考えたい.
31.解答:e
所見:呼吸器症状を訴える外来患者においてびまん性すりガラス状所見を示す急性・亜急性疾患の鑑別である.胸部X線写真上,右中下肺野,左中肺野のやや肺門側優位にすりガラス状陰影を斑状に認める.HRCTでは多発するすりガラス状病変に重なって微細な網状病変もあるように見えます.強い気管支拡張像や収縮像は見られない.a.急性間質性肺炎は完全には否定できず,注意深く経過観察が必要であるが,浸潤性病変や気管支拡張像や収縮像があれば,より考えられる.b.過敏性肺炎としては小葉中心性の小結節が見られず否定.c.細気管支肺胞上皮癌は多発する浸潤病変であり否定.d.カリニ肺炎は入院患者であれば強く疑うが,外来患者で特に免疫状態が異常ではないようなので否定.よって,e. 肺胞蛋白症を考える.
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以上、26〜31は中山 淳会員(メディカルイメージラボ)
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32.
(診断所見)
造影CTで胸部下降大動脈〜腹部大動脈にかけて剥離内膜(intimal flap)が認められ、大動脈解離の所見である。
(解答) c, d
a. × Stanford A型は上行大動脈に解離を認めるもので、提示症例では上行大動脈に解離は見られずStanford B型である。Stanford A型はシンタンポナーデや大動脈弁閉鎖不全を来たし循環動態が不安定になる可能性があるため早期に手術が施行される一方、Stanford B型では分枝虚血などの合併症がない場合は降圧療法が選択される。
b. × 偽腔も造影されていることから血栓閉鎖型(thrombosed type)ではなく、偽腔開存型(double barrel type)である。
c. ○ 臥位で撮影されたと思われる腹部単純X線写真で小腸・大腸に広範囲にわたり腸管の拡張・ガス貯留が見られ、イレウスと考えられる CTでは Niveau 形成も認められる。
d. ○ 解離が上腸間膜動脈に及ぶと血管支配領域の腸管虚血により麻痺性イレウスを生じることがある。
e. × 偽腔開存型大動脈解離では通常径の小さい方が真腔、大きい方が偽腔である。提示症例では腹腔動脈は真腔から分岐している。
33.
(診断所見)
右室壁の菲薄化と右室の高度の拡張、右室前壁側に限局する脂肪濃度が認められ、不整脈原性右室異形成(arrhythmogenic right ventricular dysplasia; ARVD)の所見と考えられる。病歴の「不整脈の検査中に行われた」という記載もこの診断を示唆する。
(解答) c
a. × 肥大型心筋症は左室壁の肥厚と内腔の狭小化が見られる。
b. × 拡張型心筋症では4つの心腔の拡張があり、特に左室には心筋壁の肥厚は認められず楕円形の著明な拡大を呈する。
c. ○ 不整脈原性右室異形成は心筋の脂肪変性が不整脈と関係するもので、右室壁に限局する脂肪浸潤が特徴的である。脂肪の特定にはCTが優れる。形態的には右室壁の広範な菲薄化を伴う著明な拡張と特異な肉柱形成が見られる。
d. × CTでは心膜の石灰化が約半数で見られ、これに両心房や上大静脈の拡大、心室変形などの形態変化が加わる。
e. × たこつぼ型心筋症は左室心尖部を中心とした広範囲の収縮低下を一過性に認める病態で、心基部は正常あるいは過収縮となり左室造影の収縮期末期像があたかもたこつぼのように見えるものである。心筋梗塞に似た胸部症状・心電図変化を呈し、高齢女性に多い。
34.
(診断所見)
大動脈弓が気管の右側に認められ、下行大動脈も右側を下行している。左側第1弓は同定困難である。側面像では気管は後方から強く圧排されている。これらの所見からは右側大動脈の可能性が最も高い。
(解答) d
a. △ 重複大動脈弓は左右の大動脈弓が存在するもので、食道と気管のまわりに血管輪を形成する。通常右側の弓が優勢で単純X線写真で大動脈弓陰影が両側に認められることはむしろまれとされ、この場合右側大動脈弓との鑑別が問題となる。
b. × 大動脈に瘤状の拡張は認められない。
c. × 側面像でretrosternal spaceに前縦隔腫瘍を疑う腫瘤状影は認められない。
d. ○
e. × 大動脈弁狭窄の胸部X線像としては、狭窄後拡張(poststenotic dilatation)による上行大動脈の拡張所見、大動脈弁の石灰化像が挙げられる。
35.
(診断所見)
左肺下葉肺底区に大動脈から分岐する異常動脈が分岐している。断層写真で分画肺を示唆する腫瘤形成や嚢胞状陰影は認められない。また左下葉気管支の透瞭像が認められ、その分岐に異常は見られない(異常動脈が分布する左肺底区にも気管支透亮像が認められる)ことから肺底区動脈大動脈起始症と考えられる。
(解答) b
a. × 肺葉外分画症(extralobar sequestration)は左肺底部に見られることが多く、正常肺とは独自の胸膜により分画される。大動脈から分岐する異常動脈から血液が供給され、還流静脈は下大静脈や奇静脈である。分画肺は正常気管支との交通が無く、含気が無いため腫瘤影を呈する。
b. ○ 肺底区動脈大動脈起始症(systemic arterial supply to normal basal segments of the lung)はかつてPrice I型肺葉内分画症とされていたが、分画肺がないため肺分画症とは独立した疾患とされる。大動脈から分岐する異常動脈により血液供給を受けるが気管支分岐には異常を認めず、分画肺組織がない。
c. × 肺動静脈瘻では結節性病変に連続する拡張した流入動脈および流出静脈が認められる。
d. × 気管支動脈瘤の所見はない。
e. × 高安動脈炎(Takayasu arteritis)は大動脈とその分枝を侵し、肺動脈に病変が及ぶことも少なくない。急性期では動脈壁の肥厚、慢性期では大動脈壁の広範囲な石灰化と内腔の狭窄が見られる。
36.
(診断所見)
胸部単純X線写真では左心横隔膜部に結節状陰影が認められる。造影CTではこの結節状陰影に連続する拡張した流入動脈および流出静脈が認められ、肺動静脈瘻(AVF; arterio-venous fistula)の診断は容易である。
(解答) c
a. ○ 多くは先天性であるが、成人になってから発見されることが多い
b. ○ 以前は診断に肺動脈造影が必要とされていたが、造影CTで診断可能である
c. ×主な合併症としては脳膿瘍、脳塞栓症、一過性脳虚血発作、破裂による喀血や血胸等が挙げられる。
d. ○ 患者の約半数は皮膚、粘膜、その他の臓器にもAVMを持ち、Rendu-Osler-Weber病(=遺伝性出血性毛細血管拡張症)と呼ばれる。
e. ○ 金属コイルや離脱式バルーンを用いた肺動脈塞栓術が有用である
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以上32〜36は野村 敏会員 (山口労災病院放射線科)
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