37
1.診断所見
乳房上部に微細線状、微細分枝状石灰化が認められる。この石灰化は乳管で重層した癌細胞が壊死して生じたので乳管の鋳型をとった形態を示す。乳癌、特にcomedo typeの非浸潤性乳管癌に見られる石灰化である。
2.正解 b、d
3.コメント
comedo typeの非浸潤性乳管癌は微細線状や微細分枝状石灰化を示す。一方、cribriform typeの非浸潤性乳管癌は癌細胞の間に架橋が生じて乳管の鋳型をとらず点状の石灰化を呈する。
(参考文献 角田博子 東野栄利子 マンモグラフィーと乳房超音波)
38
1.診断所見
1mm以上の比較的大きな桿状の石灰化(large rod-like calcifications)が乳管に沿って認められる。石灰化の長軸は乳頭方向を向いている。乳管拡張症に見られる所見である。
2.正解 b
3.コメント
乳管拡張症は炎症により乳管の拡張や乳管の閉塞を生じた疾患で、乳管内あるいは乳管周囲に石灰化が生じる。形質細胞乳腺炎(plasma cell mastitis)と関連疾患である。悪性を疑う石灰化よりサイズが大きい桿状の石灰化が乳腺に沿って生じるが特徴的である。石灰化は時に中央部が透亮することがある。
以上、解答37,38は木下隆広会員(茅ヶ崎徳洲会総合病院)
39
1.横隔膜が低位で、心胸腺陰影は細く、肺は過膨張を示す。肺野は不均一で、粗大な索状影が多発しており、その間に過膨張を示す透過性が亢進した部位が散在している。挿管されている。右下肺野内側の透過性が亢進しており、右心影、横隔膜陰影が明瞭に認められ、内側気胸があるようである。
満期産で過膨張、間質陰影などの所見から、胎便吸引症候群と考えられる。Air leakもよく合併する所見である。
所見は全体に均一であり、横隔膜ヘルニアやCCAMを疑う所見では無い。RDSは早産や低出生体重児におこり、肺のvolumeが小さいのが特徴である。Wilson-Mikity症候群も早産で多く、出生直後では単純撮影で正常で、出生後1週間までの間に輪状の間質性陰影が出現してくる。現在ではChronic lung disease V型として認識されている。
2.胎便吸引症候群
40
1.右腹部に円形の腫瘤があり、石灰化を伴っている。そのほかの部位にも左上腹部や骨盤腔内にフレーク状の石灰化もあるようである。消化管ガスは上腹部では拡張しており、細かなガスが下腹部にも存在する。
新生児の腹腔内に石灰化があり、胎便性腹膜炎と考えられる。消化管穿孔があったためであるが、消化管に閉鎖や狭窄を残している場合と、再疎通により無症状の場合と、どちらもあり得る。この児はtriple bubbleを示すような近位での閉塞になってはいないが、ガス分布が不均一で狭窄は疑われる。
2.胎便性腹膜炎。
以上、解答39,40は佐藤裕美子会員(埼玉県立小児医療センター)
41
問題は副腎腫瘤に関する設問である。
腫瘍性病変は比較的小さく,単純CTで肝臓より低吸収の腫瘤であり,辺縁平滑で内部均一,石灰化は伴わなっていない。MRIはchemical shift imagingであるin-phaseとopposed-phase の画像が提示されている。in-phase画像では腫瘤は肝臓とほぼ等信号,opposed-phaseでは信号の低下が認められる。すなわち腫瘤に脂肪成分を含んでいることを意味している。選択枝の中で脂肪成分を含む腫瘍は骨髄脂肪腫と副腎腺腫となる。骨髄脂肪腫は脂肪成分と骨髄成分の割合により見え方が異なるが,基本的には脂肪成分内部に充実性の骨髄成分が混在するパターンが多く一見して脂肪性腫瘍とわかる事が多い。副腎腺腫では腫瘤内にびまん性に脂肪成分を含むため,CTでは腫瘍全体が軟部組織よる軽度低吸収として認められる。chemical shift imagingによるMRIでは脂肪を含むためopposed-phase画像で信号が低下することが特徴である。以上より腫瘍内に脂肪成分を含む腺腫が最も合致するため,解答はbとなる。副腎転移,褐色細胞腫,副腎過形成では原則脂肪成分は含まない。
42
問題は肝硬変の合併症に関するinterventional radiologyの設問である。
造影CTでは胃の壁に造影される脈管構造を認め,胃静脈瘤と診断される。提示された血管造影はすでに胃腎シャントへカテーテルが挿入され,逆行性に造影した像である。造影上CT所見に合致する明らかな胃静脈瘤は認められず,胃静脈瘤周辺の排血路である下横隔静脈と思われる静脈や細い静脈成分が認められる。すなわちこのままでは,治療のための塞栓物質は流せないため,これらの周辺の側副路をマイクロコイルなどで塞栓し,その後に胃静脈瘤に対する塞栓を施行することになる。胃静脈瘤におけるIVRでは,左腎静脈から逆行性に閉塞用バルーンカテーテルをシャント血管に挿入し,まずバルーン閉塞下で逆行性の造影を行い,胃静脈瘤や周辺の側副路の血行動態を把握する。胃静脈瘤のみが確認されれば硬化剤であるethanolamine oleate iopamidol(EOI)を注入し,静脈瘤を固めることになる。もし,本症例のように胃静脈瘤の描出が乏しく,周辺の側副路が描出される場合には,それらを先にマイクロコイルなどで塞栓してから,胃静脈瘤に対する本来の塞栓を施行する。塞栓物質として用いられるEOIは血管内溶血をおこし,free hemoglobinを生成して,腎不全を誘発することが知られている。そのため,ハプトグロビンを点滴静注し,溶血を予防する必要がある。ハプトグロビンはfree hemoglobinと結合して,腎不全を予防する効果がある。PTA balloon catheterは閉塞性動脈硬化症などに代表される血管の狭窄病変に対して,血管を拡張させるために用いる器材であり,胃静脈瘤に対して使うものではない。以上より解答はeとなる。
43
問題は皮膚の結節状紅斑と消化器疾患に関する設問である。
注腸造影写真では,回盲部にバリウムの貯まりを認めており,潰瘍形成の所見である。皮膚症状に結節性紅斑を認めており,注腸所見と照らし合わせるとベーチェット病が考えられる。ベーチェット病では本症例のように回盲部の潰瘍形成を特徴とする。ただし,ベーチェット病の診断は他の臨床症状と合わせ総合的になされる。腸結核は回盲部から上行結腸が好発部位であり,帯状潰瘍,潰瘍瘢痕を伴う萎縮帯,腸管の短縮や狭小化,炎症性ポリープなどを認める。Crohn病は縦走潰瘍と敷石状の粘膜形成を特徴とし,潰瘍の形態が異なる。大腸癌では進行性では陥凹を形成することがあるが,回盲部は好発部位ではなく,また臨床症状も合致しない点から除外される。宿便性潰瘍は,結腸やS状結腸に好発する円形ないしは不整形の潰瘍である。以上より解答はdとなる。この設問では皮膚の結節性紅斑がベーチェット病の皮膚症状であることを知っているかが解答するポイントとなる。
44
卵巣腫瘍に関する設問である。
腫瘤はおそらく単房性と思われる腫瘤であり,T1強調画像では低信号,T2強調画像では高信号を主体に,壁に沿って低信号を示す部分が認められ,一部充実性腫瘤様の形態を呈している。T1強調画像では,T2強調画像で低信号に相当する異常信号ははっきりとは指摘できない。造影後T1強調画像では,T2強調画像で低信号を呈した部分に造影効果を認める。すなわち,この低信号は充実性成分と推測される。以上から,嚢胞性成分を主体にわずかに壁在性充実性成分を伴う卵巣腫瘤となる。これらの画像と矛盾しないものに,まず明細胞癌が挙げられる。明細胞癌では内膜症性嚢胞の合併が多い点も特徴の一つである。
顆粒細胞腫は充実性成分と嚢胞性成分がさまざまな割合で混在し,嚢胞内には出血を伴うことがあり,その場合にはT1強調画像で高信号を呈する。また比較的hypervascularであり,充実性部分は濃染する。未分化胚細胞腫は10〜20台の若年者に発症し,充実性成分を主体とし,線維成分に富んだ隔壁構造をもち,その隔壁は造影にてよく濃染されることを特徴とする。転移性卵巣腫瘍は充実成分と嚢胞成分がさまざまな程度に混在し,画像的な決定的所見はないようである。充実性部分は造影効果を認める。大腸癌からの卵巣転移では,多房性嚢胞性パターンをとることがあり他の嚢胞性腫瘤との鑑別に注意を要する。
卵巣甲状腺腫では,多房性嚢胞性パターンを主体に充実性成分を伴うことが多い。また甲状腺コロイド,高粘稠の物質を含むことがあり,T1強調画像で高信号を呈しうる。充実性成分は濃染されることが多い。これらの画像所見から解答としてcの明細胞癌がまず考えられる。それ以外では未分化胚細胞性腫瘍は年齢,画像所見から否定的である。転移性腫瘍は腫瘍マーカーに異常がない点,本症例が単房性嚢胞性腫瘤であることから,その可能性は低くなるが,嚢胞性と充実性両者を含む腫瘤である以上,完全否定しきれない。顆粒細胞腫瘍,卵巣甲状腺腫も完全否定しきれない。以上より確実に解答として2つ選択することは難しいと考える。また,提示された画像の腹側よりにアーチファクトが認められ,T1強調画像にてT2強調画像で低信号を示す腹側よりの充実性成分ががはたして病的な信号として認めていないのか否かが判然としない。見方によっては淡い高信号が存在しているようにも見えてしまい,それによっては解答もまた異なってくる可能性がある。まとめると解答の一つはcでもう一つを完全にし絞りきることは難しいのではないかと考える。
45
問題は腹部領域での嚢胞性病変を診断させるものである。
造影CTでは左腎の前方に低吸収の嚢胞性成分を主体として,多房性で辺縁に点状石灰化,内部に造影効果の乏しい充実性成分を伴う腫瘤を認める。嚢胞成分は胆汁よりかは高吸収である。病変の局在であるが,脂肪抑制T1強調画像を見ると,膵臓の体部と思われる臓器と病変が隣接し,膵臓由来の可能性が考えられる。ただし,左腎の辺縁から外側前方へ発育した腫瘤の可能性も完全否定はできない。MRI上,嚢胞成分は脂肪抑制T1強調画像で軽度高信号,T2強調画像で高信号を示し,充実性成分はいずれにおいても軽度低信号である。総合的に多少の粘稠度を有する多房性嚢胞性病変で充実性成分を伴う腫瘤となる。
MRCPでは主膵管の拡張は認めない。腫瘤の信号はMRI像と同様である。以上のことを踏まえて診断すると,解答はdの膵粘液性嚢胞腫瘍と思われる。仮性嚢胞は膵炎に伴う合併症であり,充実性成分は伴わない。また臨床背景からも考えにくい。浸潤性膵管癌は乏血性充実性腫瘤であり,その診断にはDynamic studyが有用である。また周辺の脈管浸潤を伴いやすく,画像所見から除外は容易である。粘稠性を有する嚢胞内に決して血流が豊富とはいえない充実性腫瘤を形成する嚢胞性腎癌は考えにくく,発生部位として腎臓の可能性は残るが,総合的には否定的である。膵管内乳頭状粘液性腫瘍は,主膵管の拡張が主体となるものや,それに充実性腫瘤を伴うもの,膵管の分枝が局所に拡張して,分葉状あるいはぶどうの房状の形態を示すものなどがある。本症例のような大きな嚢胞を形成する
ことはほとんどなく,画像的には否定的である。
以上41〜45は高橋修司会員(杏林大学)
46
1.診断所見:橋と仙骨排尿中枢の間で脊髄障害が 生じると排尿筋反射亢進となる。排尿時に排尿筋と外尿道括約筋が同時に収縮し、こ の状態をdetrusor-external sphincter dyssynergia (DESD、排尿 筋外尿道括約筋協調不全)という。膀胱 造影にて膀胱は垂直方向に伸び、肉柱形成により輪郭は不整で、憩室も見られる。こ れをクリスマスツリー様膀胱と呼び、長期にわたるDESDで見られる所 見である。時VURが見られるこ ともあり、本症例でも左側に認められる。
2.解答:a, c
47
1.診断所見:造影CT では、膵はびまん性に腫大し、切れ込みの少ない鮮明な辺縁を示している(ソーセー ジ様)。腎臓・脾臓の染まり具合から造影早期相と思われるが、通常より膵実質の造 影効果が不良である。胆嚢は緊満し、総胆管・肝内胆管に拡張が認められる。 T2強調像では膵頭体部は高信号、体尾部は低信号を 示している。MRCPでは下部胆管 (膵内総胆管)の比較的長い範囲で描出はなく、主膵管にびまん性の口径不整が認め られている。
2.解答:e
3.鑑別:a; 腫瘍性病変が 確認できない。膵病変が説明できない。b; 膵管の拡張が 弱い。c; 閉塞性黄疸は稀である。d; 急性膵炎の像ではない。
48
1.診断所見:思春期の男性の陰嚢痛。左精巣は腫 大し、MRIのDynamic early phase、Dynamic delayed phaseでいずれも造 影効果が無く、精索捻転の所見である。画像診断は血流の変化を捉えることが基本と なる。急性期の99mTcO4 −シンチグラ フィー(a)ではcold areaになっていれ ば精索捻転症を、hot areaになっていれ ば急性精巣上体炎を考える。カラードプラ(b)は陰嚢内容の 解剖学的構造と血流を同時に評価しうる優れた検査である。6時間 以内に外科的に修復されれば予後は良いが、24時間以上経過 したものでは、精巣機能は損なわれるため、上記検査で診断が得られれば、なるべく 早期に外科的修復(e)を行う。
2.解答:c d
3.他の選択肢:c; MRIで診断は得ら れており、侵襲的な血管造影をする意義はない。d; 手術を優先す べきである。
49
1.診断所見:直腸腹側、膀胱下縁背側に、造影 CTでは内部低吸収で辺縁に造影効果が疑われる病変 が認められる。臓器は前立腺と思われる。T2WIでは内部高信 号、造影後T1WIでは辺縁部に 強い造影効果が認められ、内部は造影効果が認められない。DWI では高信号を呈している。前立腺膿瘍と考えられる。
2.解答:d
3.鑑別:a; 前立腺癌壊死 巣、感染を伴う前立腺癌なども鑑別に挙がるが、典型的ではないb; 直腸に異常はない。c; 単純な嚢胞ではない。部位も異なる。
e; 膀胱病変ではない。
50
1.診断所見:USでは、肝右葉 に壁在性に乳頭状、結節状の像を含有する嚢胞性病変が認められる。単純 CTでは肝右葉に境界明瞭、内部均一な巨大嚢胞性病 変が認められる。造影CTでは、造影効 果を示す充実成分や壁構造は認められない。USで認められた 構造の描出も見られない。内容物のCT値は 15HUで水に近い。単純・造影ともに肝左葉外側区の肝 嚢胞と思われる低濃度域と同等の吸収値を示している。以上から出血性嚢胞と考えら れる。USで描出された像は凝血塊と思われるが、 CTではこのような凝血塊は不明瞭となり、注意を要 する。この症例とほぼ同様の所見を示すcase reportを以下に 示す。単純性肝嚢胞は無症状だが、complicated cystの場 合、嚢胞内の出血や感染により疼痛や発熱をみることがある。
参考文献;Kitajima Y et al. Intracystic hemorrhage of a simple liver cyst mimicking a biliary cystadenocarcinoma. J Gastroenterol 2003; 38: 190-193
2.解答:e
以上46〜50は 林田 稔会員(山口大学)
51.解答 a d
画像所見
両側腎臓は腫大しており、大きな嚢胞により実質は置換されている。T2強調画像で低信号から高信号まで様々な信号強度を示している。壁在結節は認められない。肝臓にも嚢胞が多発している。これらの所見から常染色体優生遺伝多嚢胞腎と考えられる。
診断プロセス
a. 誤:常染色体優生遺伝である
b. 正:尿路感染を合併しやすい
c. 正?:肝臓(25-50-80%), 膵臓(9%)に嚢胞の合併がみられる。肺や脾臓、甲状腺、卵巣、子宮、精巣、精嚢、精巣上体、膀胱にも嚢胞を合併するがまれである。「甲状腺、卵巣などに嚢胞を合併しやすい」というのは曖昧な表現であるが、選択枝を考慮すると◯と思われる。
d. 誤:合併しない。血管芽腫を合併しやすいのはvon Hippel-Lindau病である
e. 正:50〜70%に高血圧を合併する
52.解答 c d
画像所見
CT造影早期相では肝臓の外側区域を置換するような境界明瞭で楕円形の腫瘤を認める。肝実質よりも強く濃染されている。中心部には索状の濃染不良域を認める。辺縁から中心部に向かう拡張した動脈を認める。腫瘤の背側に太い動脈を認め、蛇行した脾動脈かもしれない。MRI T2強調画像では外側区域の腫瘤は肝実質と同程度ないしわずかに高信号を示している。CTで濃染不良を示した中心の索状域に一致して淡い高信号を認める。これらの所見から肝細胞腺腫、FNH (Focal Nodular Hyperplasia)が考えられる。確定診断はできな いが、選択枝を考慮すると肝細胞腺腫と思われる。脾臓はMRI T2強調画像で著明な高信号を示しているが原因は不明である。
診断プロセス
a. 誤:肝臓の良性腫瘍で最も多いのは海綿状血管腫
b. 誤:肝細胞腺腫にKasabach-Meritt症候群を合併することは無い
c. 正:糖原病Ia型(von Gierke病)との関連が示唆されている
d. 正:経口避妊薬との関連が示唆されている。5年の使用でリスクは2.5倍となる
e. 誤:Kupffer細胞をほとんど有しておらず、99mTcフチン酸の取り込みはほとんど認めない
53.解答 d
画像所見
ダイナミックCT動脈優位相は膵鈎部レベルが、MRI T2強調画像は膵頭部レベルが提示されている。膵臓の腫大はあまり目立たない。総胆管は軽度拡張している。主膵管は軽度拡張しているが、口径不整は認めない。膵頭部周囲にCTで低吸収を示し、MRIで高信号を示す領域を認める。MRIでスキャンされている膵体部周囲には高信号域は見られない。これらの所見よりgroove pancreatitisを疑う。
診断プロセス
a. 誤:膵頭部に腫瘍は認められない
b. 誤:総胆管の壁の肥厚や内腔を閉塞する腫瘍は認められない
c. 誤:十二指腸を取り囲む輪状膵は認められない
d. 正
e. 誤:膵臓の腫大や周囲の低吸収域(capsule-like rim)、膵管の狭細化等の所見は認められない
54.解答 d
画像所見
MRI T2強調画像矢状断が提示されている。子宮頚部に高信号を示す大小の嚢胞が多数認められる。嚢胞は頚部全体に疎らに広がり、嚢胞と嚢胞との間には正常の頚部間質が介在している。腫瘤の形成は認められない。これらの所見からNaboth嚢胞を第一に疑う。鑑別疾患としてはadenoma malignumが考えられるが、嚢胞の集簇する腫瘤の形成が無いことから可能 性はより低いと考えられる。臨床的には多量の漿液性帯下の有無が重要である。(Adenoma malignumでは多量の漿液性帯下を伴う。)
診断プロセス
a. 誤:子宮頚部に頸癌を疑う所見は認められない
b. 誤:子宮体部に腫瘍は認められない
c. 誤:上記の子宮頚部の嚢胞と変性筋腫の所見は異なる
d. 正
e. 誤:adenoma malignumは子宮頚癌取り扱い規約で腺癌の内頸部型に分類されている。広い意味では子宮頚癌に含まれているので、この選択枝が正しければaも正しいことになってしまう。
55.解答 c
画像所見
仙骨上縁レベルの単純CTが提示されている。盲腸の左側に単房性の嚢胞性病変を認める。内部はwater densityを示している。壁はやや厚いが充実成分は伴っていない。その左腹側 にも単房性の嚢胞性病変を認め、壁に石灰化を伴っている。これらが連続しているのか接しているだけなのかはこの画像のみでは分からない。虫垂由来または盲腸の粘膜下由来が考えられる。
診断プロセス
a. 誤:嚢胞性腫瘤は盲腸にめり込むように存在しているが、腸重積は来していない
b. 誤:通常は強く濃染される腫瘤として認められ、変性を来すとしてもこのような所見を呈すことは無いと考えられる(腹部画像診断アトラスVI P188)
c. 正:位置からは虫垂由来の病変として矛盾しない。充実成分は認めず、粘液瘤や粘液嚢胞腺腫が考えられる
d. 誤:卵巣嚢腫がこの位置に来ることは考えにくい
e. 誤:虫垂の悪性リンパ腫は消化管のリンパ腫の中でもまれである。虫垂の形態をある程度保ちながら腫大することが多いようである。このような壁の薄い嚢胞状の形態をとることはないと考えられる。
以上51〜55は高田 章会員(安城更生病院)
56.
単純CTであるが、明らかに肝臓全体が異常に高濃度となっていることがわかる。肝臓内血管の低濃度が明瞭である。肝臓がびまん性に高濃度なるような疾患を選択肢から選べばよいが、考えにくいものを選べという問題文を見逃さないように注意。
肝臓が低濃度 ⇒ 基本的に脂肪沈着。脂肪肝がよい例。
肝臓が高濃度 ⇒ 高原子番号と高分子物質の沈着。
鉄:ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシス、SPIO
金:金コロイド薬
銅:ウイルソン病
ヨード:アミオダロン、リピオドール
ガドリニウム:ご存知MRI用造影剤
トリウム:トロトラスト
高分子:糖原病など。
砒素やタリウム:誤嚥や自殺
○ a. NASHは非アルコール性脂肪性肝炎の略で、アルコール非摂取者(ないし機会飲酒者)で肥満、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患を背景に脂肪肝を生じ、進行性の肝障害を生じ、肝硬変・肝癌を発症するという病態である。脂肪肝であるので肝臓は低濃度となり、問題のCTからは考えにくい。
× b. ヘモジデローシスは鉄沈着症であるが、沈着は網内系に限られ肝脾の濃度は上昇するが膵への沈着は(-)。このCTでは膵尾がわずかにdetectされるが高濃度化は認められず、所見と矛盾しない。脾の濃度上昇が低いのが気にはなるが・・・。輸血など鉄摂取量の増大に伴いやすく、次のヘモクロマトーシスの本質とは関係が無い。
ヘモクロマトーシスも同じ鉄沈着症であるが、全身性沈着であり、特に肝膵に強い沈着を認め、機能障害を伴う。常染色体劣性遺伝形式をとる。
× c. アミオダロンはヨードを含む致死的心室性不整脈に対する薬物である。肝臓にヨードが沈着するため高濃度となる。なお、間質性肺炎を生じることでも有名である。
○ d. 特殊なタンパク質(アミロイド)が全身に沈着する病態である。原発性、多発性骨髄腫・慢性炎症・悪性腫瘍に合併する2次性のものがある。アミロイドの沈着した肝臓は低濃度、MRIではT1,2で低信号を示すという報告を散見する。
× e. 糖原病は、先天的な酵素欠損により組織に多量のグリコーゲンが沈着する疾患である。基本的には肝腫大が所見だが、高分子の沈着により高濃度を示す場合がある。
NASH、アミオダロン、ヘモジデローシスはすぐにわかったと思いますが、アミロイドーシス、糖原病でのCT所見で迷ったのではないでしょうか?
57.
動脈瘤に対するIVRの問題か?と思いきや様相は異なっている。Angiographyでは確かに腹腔動脈根部に狭窄が存在し、これだけではなかなか解答に到達しないが、MPRの矢状断が示されている。この画像にヒントがあると考え、よくみるとaortaの腹側に矩形の軟部陰影を認め、これが腹腔動脈根部に接している部で狭窄が認められる。
× a. ASOは下肢中大動脈(膝窩動脈より中枢)におこる動脈硬化性変化による狭窄である。ちなみにバージャー病は膝窩動脈以下。
× b. 動脈炎は大動脈及びその主要分岐を侵す非特異性炎症である。Aorta3分岐、aorta、腎動脈等に生じやすい。
○ c. 正中弓状靭帯は大動脈裂孔の腱性縁を形成するが、これが腹腔動脈根部に達し狭窄を生じることがある。
× d. 画像から動脈損傷は考えにくい。
× e. 血栓は認められない。
正中弓状靭帯による腹腔動脈狭窄の報告はたまに目にする。ただ、言い方は悪いが消去法で攻めたほうが正解にたどり着きやすいようです。
58.
高齢者、突然の腹痛、下血と聞いただけで既に虚血性大腸炎という解答に到達した方々もいるであろう。その予想に確信を持つべく注腸をみると、予想通り腹部左側の画像で、下行結腸からS状結腸にかけて著明な鋸歯状内腔狭窄を認める。いわゆる母指圧痕像である。さらにCTをみるとS状結腸壁は全体的に浮腫状肥厚を示しており、周囲脂肪組織に線状影、少量の腹水も伴っていると考えられる。また、複数の点状高濃度は憩室が疑われる。
× a. 腸結核は腹痛・軽度の発熱・下痢を示し、回盲部が好発部位で、次に回腸、空腸である。
× b. 潰瘍性大腸炎は非特異的慢性疾患で、直腸、S状結腸に初発し、上行性に大腸を冒す。腹痛、下痢、粘血便が症状で、注腸では鉛管像が有名である。
○c. IMA灌流領域は交通枝が発達していないため、血圧低下などで虚血に陥りやすい。
高齢者の急激な腹痛と下血で発症する。腸粘膜の浮腫と出血を認め、狭窄を生じる。血管造影で閉塞が認められるのは5%以下といわれている。
× d. 投与された抗生物質が腸内細菌叢の変動をもたらし、主に大腸の急性炎症で、偽膜を形成するもの。基礎疾患治療中高齢者に発症しやすく、鈍痛、水様下痢を伴う。
Clostridium difficileが原因。S状、下行結腸などが冒されやすい。
× e. 症状だけならば大腸癌からの出血も鑑別に入るが画像からは考えにくい。
なかなか典型的な臨床問題で、全員正解だったのではないでしょうか?
59
あれ、小腸が右、colonが左側に偏っているなあと思えば、既に解答に到達している。あとはこれがどうやって生じたのかなどを覚えているかどうかだけである。
腸管は胎生期にSMAを中心に半時計回転をしながら腹腔におさまる。十二指腸下行脚から横行結腸までは発生段階で中腸と呼ばれるが、中腸は腹腔から臍帯に出るときにSMAを中心に反時計回りに90度、腹腔に戻るときに180度回転し、合計270度回転することにより正常な位置に達する。この回転が何らかの原因で行われないのが中腸回転異常で、90度で停止するものが多い。この場合、無回転症と呼ばれるが、特徴は、
・ SMAとSMVの位置が逆転している。
・ 十二指腸がSMAとaortaの間を走行しない。
・ 十二指腸が右側、盲腸が正中、結腸が左側に位置する。
・ 無症状で成人にて発症する場合もある。
などがある。
あとは誤っているものを1つ選べという設問に注意。
a. 正しい。
b. 正しい。
c. 正しい。
d. 上記より90度である。
e. 正しい。
画像を見た瞬間にみたことあるけどなんだったけ?と思った方もいらっしゃったでしょう。やや面倒なところで、疾患の説明に文章が多く、敬遠されがちなところですね。ただ、一度理解してしまえば大丈夫です。
60
一見するとCBDの拡張で内部にやや高濃度の構造物か?と考えてしまうが、よくみる
とこのリング状低濃度を伴う円形構造物のすぐ左側にCBD,MPDと考えられる小さな低濃度領域を2個認める。とすると、CBDではなく膵実質病変が疑われるがこのような画像にはあまりお目にかからない。しかし、このCTにはなにか足りない。そう、膵頭部の右側に通常は存在している十二指腸下降脚がみあたらないのである。とするとこの構造物は十二指腸と考えられ、十二指腸を取り囲むように膵が存在しており、輪状膵が解答と考えられる。腹側膵が回旋して背側膵に融合する過程で生じる奇形で、十二指腸の狭窄症状を呈することがある。
× a. pancreas divisumは腹側膵原基と背側膵原基との間に癒合が認められない先天異常である。背側膵からの膵液は小乳頭、腹側膵の膵液は大乳頭に注ぐことが多い。
○ b.約半数は小児期、約半数は成人期に発症する。新生児では拡張した胃と球部のairがdouble bubble signを示す。確定診断はERPである。
× c. pancreatic cystは膵のう胞症で仮性、真性に分類される。
× d. acute pancreatitisでは膵の腫大、膵周囲の液体貯留が認められる。
× e. 問題のCTはabscessとしてはおとなしすぎる所見である。
一度でも見ていれば平易な問題ですが、見ていなくとも十二指腸の走行から推定すれば正解に辿り着けるかも。59,60問ともに発生異常というなかなか厳しいところを突っ込んできていますね。簡単なものでよいので小児放射線の本を一度読んでおくと試験対策にもなり知識の整理もしやすいと思いますので、暇をみて一通り読んでみましょう。
以上59〜60は能城 毅会員(京都大学)
61解答:a, e
悩んだ受験生も多いのではないかと思われます。痴呆(認知症)の生体での鑑別にSPECT(PET)は有効性が認められ、統計解析画像(SPM, 3D-SSP, eZis等)も簡単に得られるようになってきました。画像は通常の断層像のみですが間違いなく前頭葉は低下しており、また側頭葉、頭頂葉の低下も認められます。全脳性に対称性の分布なのでdの脳血管性痴呆は除外できますが、Alzheimer病(AD)、前頭側頭葉型痴呆(FTD)はいずれも進行すると特徴的な低下部位(ADは頭頂葉、側頭葉内側、FTDは前頭葉、側頭葉)から広範化していく(ADは前頭葉、FTDも頭頂葉に低下域が広がっていく)ため、解答しにくいのではないかと考えます。従ってaを選べばeであるし、bを選択すればもう一つはcということになります。臨床症状も情報としてはいまいちです(数ヶ月で進行したという文からFTDのほうを考え上記の解答としました)。今後は統計解析画像付きの出題が望まれます。
62解答:c
問61がわからなくても問62を解答した後また見直した方も多いのではないでしょうか。所見は両側頭頂葉(後部帯状回、側頭葉との連合野)に対象性の低下を認めます。アルツハイマー病の典型像と考えます。パーキンソン病のSPECT所見は教科書的にはまだ特徴的な記述は見られません。皮質基底核変性症は大脳皮質の血流の左右差が強くアルツハイマー型では最後まで残存する運動野の集積も低下するとされます。Pick病は前頭葉から側頭葉の広範な対称性低下が典型的。Creutzfeldt-Jakob病(CJD)は全脳性に著しく血流が低下します。
63解答:c,d
運動負荷心筋血流シンチグラムです。負荷時は心尖部から前壁中隔、下壁側の一部に集積低下が認められ、安静時にて同部の集積は再分布を呈しています。前壁中隔を中心とした虚血の所見であり、責任冠動脈は前下行枝(LAD)となります。
64解答:d, e
心筋の血流像と(脂肪酸)代謝像でミスマッチ(血流像は低下域なく、脂肪酸代謝のみ前壁で低下)を示します。登山という運動負荷にて虚血がおこり、脂肪酸代謝異常(心筋障害)を引き起こしたと考えるのが妥当です。安静時にはまた血流は戻っています。aは梗塞が×、
bとcは安静時血流低下が×です。従ってeは間違いなく正解なので残りはdとなります。
このようなミスマッチは心筋がViable(Viabilityが保たれているのと同義)なことを示すことが多いのですが、golden standardはFDG-PETで糖代謝が生きているかを見ないとなりません。
65解答:a, d
急性期心筋梗塞にPCI等の再灌流治療を行うとTlの心筋への分布は逆再分布(早期に比べ後期像で更に集積が下がる)を示すことが多いです。MRIとの比較からその意義は虚血と梗塞の混合像であり、早期は血流状態を、後期はリスク領域をみているという報告も見られますが、その意義は不明な点も多いです。以上より下壁の逆再分布を画像から認めますので、血流は低いながらも再開通しており、Viablityはまだあると考えます。従って慢性期機能回復を期待できるとしa, dとしました。
参考文献 最新臨床核医学第3版 心臓核医学の基礎と臨床改訂版
以上61〜65は竹井俊樹会員(旭川厚生病院)
66. 解答 d
MIBGはノルエピネフリンと同様の挙動を示す。正常心筋では交感神経終末が多く存在するため、心筋への高い集積が認められる。診断には、心筋集積を視覚的に行うとともに、左室と上縦隔に関心領域を設定し、そのカウント比から心筋/縦隔比(H/M ratio)を算出し、定量的な評価が行われている。さらに洗い出し(washout)の指標として遅延像を撮像し、その変化を洗い出し率(washout rate)として算出して評価が行われる。心臓核医学ワーキンググループによる正常値は、H/M ratio (early) = 2.34 ± 0.36、H/M ratio (delayed) = 2.49 ± 0.40である。
問題では、心拡大は明らかであり、心筋集積も低下している。心集積の低下はH/M ratioでも明らかである。H/M ratioは早期像、遅延像ともに低下している。
症例は拡張型心筋症と思われる。
67. 解答 c
所見:99mTcO4-シンチグラムで、正常甲状腺への集積が軽度、またはほとんど認められない。両側の耳下腺、顎下腺および口腔内唾液が描出されている。
さらに、舌根部に相当して強い集積が認められる。
a 無痛性甲状腺炎では、甲状腺集積はびまん性に低下する。
b Basedow病では、びまん性に集積が亢進する。
c 異所性甲状腺では、著明なRI集積がみられる。縦隔や舌根部に好発。
d 甲状腺リンパ腫では、他の多くの甲状腺腫瘍と同様に欠損を示す。
e 橋本病は初期にはびまん性に集積亢進がみられるが、病態の進行で集積が不均一となる。
68. 解答 b, e
123I-MIBGは心筋や唾液腺、肝臓、脾臓などの交感神経の豊富な臓器に多く集積する。また24時間以内に約50%が尿中に排泄されるため膀胱が集積像を呈す。また腸管や肺が軽度に描出される。
神経芽細胞腫において、123I-MIBGシンチグラフィは骨シンチグラフィで陽性率の低い骨髄転移を比較的容易に検出できる。
a 小児では年齢によってRI分布は異なるが、本例での頭蓋骨集積は明らかに異常である。
b 左大腿骨近位骨端付近の集積は、対側に比して亢進し、範囲も広く骨転移を疑わせる。
c ヨード制限は必要ない。逆に甲状腺シンチグラフィ以外の放射性ヨード投与前には、甲状腺への余計な被曝を避けるために非放射性ヨードによるブロックをしておく必要がある。
d 神経芽細胞腫は否定できない。ただし神経芽細胞腫が存在すれば、相対的に心臓集積は減少する。
e 正常例では骨は描出されない。本例では、頭蓋骨、椎体、骨盤骨、上腕骨、大腿骨などに集積亢進がみられ、骨または骨髄への転移と考えられる。腹部正中の塊状集積は原発巣と思われる。
69. 解答 b, e
所見:腎動態シンチグラムにて、両腎ともに血流相、機能相での描出は比較的良好だが、排泄相では腎実質の集積が経時的に増強しており排泄遅延がみられる。腎盂の拡張はみられず、膀胱内にRI排泄が認められる。
レノグラムでは、両側とも排泄相が欠如し、機能相の上昇が持続している。尿路狭窄などによる排泄障害時に認められるパターンであるが、動態シンチグラムでは、腎盂拡張などの尿路狭窄を示す所見はみられず、これは腎実質障害により腎実質から尿路への移行が不良なためと考えることができる。
a 99mTc-DMSA は腎静態シンチグラフィに用いられる放射性医薬品で、主に腎の形態像の診断に用いられる。腎動態シンチグラフィでは、99mTc-DTPAまたは99mTc-MAG3が用いられる。
b 正解
c 腎盂の拡張はみられない。
d 両腎に萎縮はみられず、血流相での腎の描出は良好で、機能相での描出も比較的保たれている。排泄相での腎実質の経時的な集積亢進および腎盂拡張がみあれないことから、腎実質障害とくに急性尿細管壊死(急性腎不全)を考える所見である。
e 急性腎不全では、原因が除かれれば腎機能が回復することが多い。また、血流相、機能相での腎実質集積に著明な低下がないことからも、回復が期待できると考えられる。
70. 解答 a, c
a 動態シンチグラムでは、左腎は血流相および機能相での腎集積は低く、排泄相では腎盂が拡張しており水腎症の所見である。レノグラムでも排泄相が欠如している。
b 血流相での集積の程度から、明らかに左腎の血流が低下している。
c 右腎のTmaxは5.5分である。正常は4〜6分であり、正常範囲と考える。
d 右腎は、血流相、機能層での集積はほぼ正常で、排泄相では腎集積が持続し、腎盂が描出されている。レノグラムでは、排泄相は遅延しているが認められており、DJステントはある程度機能しているものと考えられる。
e レノグラムでの血流相、機能層は、腎機能をある程度反映しているが、カウント数のみで腎機能を推定することは困難である。
○注:Tmaxを5分以下とする施設もあり、cを誤りとするとeが正解となるが、より正解に近い選択肢を選んだ。
以上66〜70は小西淳也会員(神戸大学)
71. 解答 b,d (e)
a.×:骨シンチグラフィに使用される薬剤は99mTc-MDPまたは99mTc-HMDPであり、これらのリン酸化合物は、骨を形成するハイドロキシアパタイトへ主に化学性吸着により集積する。骨肉腫の骨外転移に関しても組織成分にハイドロキシアパタイトが存在するため、同様に骨シンチグラフィ製剤は取り込まれる。
b.〇:骨シンチグラムにおいて、左胸郭中部に異常集積が存在する。前面、背面ともに同じ集積強度であり、異常集積は胸郭の深部に存在することが示唆される所見である。
c.×:上記所見により、異常集積は胸郭深部に存在し、肋骨転移は否定的である。
d.〇:胸部CTにて左肺門部に高度の石灰化を認める。典型的な骨肉腫の肺転移はcannon ballといって少数の大きな塊状影を呈することが多い。胸部CT(縦隔条件)だけからは陳旧性の肺結核と石灰化を伴ったリンパ行性転移との鑑別は困難である。ただし、骨シンチグラフィで認める高度の異常集積を考慮すると、骨肉腫の転移巣を第一に疑う所見である(転移巣に関しては骨代謝が行われているため臨床的に陳旧性変化と比し高度の集積を認めることが多い)。
e.△:一般的には陳旧性結核の石灰化には骨シンチグラフィにて高度の異常集積は呈さないが、上記理由から明らかな×とはいえないと思われる。
72. 解答 c
a.× b.× c.〇 d.× e.×
骨シンチグラム後面像にて腰椎および仙骨に対照的な集積増加を認める。骨盤CT骨条件では、明らかな骨転移を示唆する腫瘤形成はなく、骨粗鬆症の所見を認める。
閉経後の骨粗鬆症の多い年代に、大きな外傷がなくちょっとした外力にて骨折が起きる事がある。骨シンチ所見は仙骨を中心としたH字型を呈する対照的集積増加となる。したがって、脆弱性骨折を第一に疑う。
73. 解答 d
a.× b.× c.× d.〇 e.×
骨シンチグラムでは、左右の鎖骨および胸骨、左第3肋骨前面に異常集積を認める。既往歴に乳癌が存在し、疼痛等の症状はない。
滑膜炎、骨炎、座瘡(炎症性皮疹)、膿疱症等の症状、所見は無いが、骨関節病変が皮膚病変に先行して発症するものも約10%あり、胸鎖骨の特徴的な肥厚した高度の異常集積所見からはSAPHO症候群に伴う胸肋鎖骨間骨化症を第一に疑う。
74. 解答 e
a.× b.× c.× d.× e. 〇
両肩やや背側に、左右対称性に長くやや不揃いな集積が認められる。また、背部椎体両側に点状の集積が上下に並んで見られ、頚椎の両背側にも集積が認められる。集積範囲・所見からは褐色脂肪組織への生理的集積と考えられる。褐色脂肪組織の集積は数%に見られ、冬場に多いとされている。
参考文献:陣之内正史 編.FDG-PETマニュアル 検査と読影のコツ.インナービジョン.2004
75. 解答 a,e
a.〇 b.× c.× d.× e. 〇
FDGの集積は、組織のブドウ糖代謝を反映している。FDG-PET画像を読影する上で重要なことは、生理的集積を異常と誤認しないこと、異常集積を見逃さないことである。FDG-PET画像の正常例において脳、心臓、肝臓、腎臓、尿管、膀胱等に生理的集積を認める。
本症例においては、生理的集積部位以外に肝右葉下面、腹部正中部に異常集積を認め、肝右葉および傍大動脈リンパ節への転移が示唆される。
以上71〜75は藤田晴吾会員(藤元早鈴病院)