放射線科専門医認定二次試験(治療)解答 31〜55

(解答番号が抜けているのは、解答するのに問題があったため依頼しておりません)

31:解答b
a. 正
ホジキンリンパ腫以外の悪性リンパ腫の生命予後を予測し、適切な治療方針を検討するための因子として 国際予後指標:International prognostic index(IPI)は非常に重要である。
IPIでは、Ann Arbor 病期・年齢・PS・血清LDH値・節外病巣数の5項目について予後因子を点数化することにより、「Low 、Low-Intermediate 、Intermediate-High 、High 」の4群の risk group に分ける。
b.誤
Waldeyer輪初発はリンパ節初発に比して予後は比較的良好である。
c. 正
低悪性度 Follicular lymphoma・Marginal zone B-cell lymphoma の限局期stage I・II では、Definitive RT(RT)30〜36Gyが有効であるという合意がある。
d. 正
成長期にある小児Hodgikin病では、化学療法の併用を用いた低線量の放射線治療が施行される。
e. 正
限局期Intermediate riskの非Hodgkinリンパ腫に対して、3コースのCHOP療法後に放射線療法を用いる場合は40Gy程度が適切である(SWOG-8736では、3コースの短期間CHOP療法と40〜55GyのIFRTの併用の有効性が認められている)。

32:解答b
a 正
 MALT(=mucosa associated lymphoid tissue) lymphomaとは、もともと正常な状態ではリンパ組織がない臓器内に、慢性炎症(ヘリコバクターピロリ菌の慢性感染、橋本病、シェーグレン症候群など)によってリンパ球が慢性的に浸潤する状態を生じ、悪性化した病態と考えられている。
 REAL分類ではmarginal zone B-cell lymphomaとして位置付けられ、全般にその臨床経過は緩やかであるとされる。節外性リンパ腫の限局性病変として診断される事が多い。
 胃の悪性リンパ腫ではH. Pyloriが関与したMALT lymphomaが多く,治療の第一選択はピロリ菌の除菌療法である。除菌不応性の場合は放射線治療の適応となる。
b.誤
胃初発例以外では、孤立性・限局性病変のMALT lymphomaに対しては放射線治療の適応となる。初期治療としての化学療法は一般に不要と考えられている。
通常の限局例にはinvolved fieldを用いて25〜40Gy照射する放射線治療単独で、ほぼ100%のCR率と95%以上の5年非再発生存率の高い治癒率が期待できる。
c. 正
精巣原発のNHLは高齢者に多く、60歳以上では精巣腫瘍のなかで精巣原発のNHLが最も多い。進展形式としては陰嚢内、後腹膜リンパ節に進展しやすく、遠隔転移として中枢神経系が多い。また、両側性発症や対側精巣再発も多い。
d. 正
鼻腔のNHLはNK-T細胞リンパ腫が多く、局所再発の頻度が高く予後不良である。アジア人に多くEBVとの関連が知られている。
e. 正
中枢神経系の悪性リンパ腫は眼窩内へ進展することがある。逆に眼窩のリンパ腫の場合にも中枢神経系リンパ腫を合併しやすく、中枢神経系の検索が必要となる。

33: 解答d
APシャントは肝硬変で高率に出現する。dynamic CTで古典的肝細胞癌との鑑別が問題となる場合があり注意を要す。
a,b,c,eは根治性に関しては問題となるが、個々のケースに応じて適応となると考える。

34:解答e
a 正
b. 正
c. 正
d. 正
リコール現象は、何かのきっかけで過去の放射線照射の影響が再燃し傷害を引き起こす現象である。抗癌剤によるものが知られており、最近では放射線増感作用が強いとされるゲムシタビンに関する報告がみられる。
e.誤
CPT-11は生体内で活性型であるSN-38に変換される。このSN-38によってDNA修復関連酵素を阻害して抗腫瘍効果が得られる(topoisomerase汨j害剤)。
現在は放射線による治療効果(DNA損傷)を高める増感剤として、様々な腫瘍で臨床応用が進められている。副作用としては骨髄抑制や消化器症状が多い。

35:解答c
大腸癌で用いられる抗癌剤としては5-FU(その誘導体であるテガフール、UFT等)、MMC、DXR、CPT-11、ロイコボリンが代表的である。
ビンクリスチンは白血病、悪性リンパ腫や小児腫瘍で用いられる事が多い。

以上31〜35は村田 修会員(北里研究所メディカルセンター)

36. 解答:c,d?
a. 誤?:"Principles and Practice of Radiation Oncology 3rd Ed."によると、A点は元々は"paracervical triangle"の耐容線量の指標として使用され、現在では腫瘍の平均または最低線量の指標として使用されていると記載されている。設問の"腫瘍中心"は微妙だが、中心と断定するのは無理があるように思われ誤?
b. 誤:線源配置により線量分布は異なる。
c. 正?:前出の教科書によると、オボイドからのA点への寄与は40%以下となるようにするとなっている。設問は50%だが、誤差を考慮すると正?
d. 正:"放射線治療システム研究会編、RALSの線量計算基準"に"タンデムでは線源下端は外子宮口の鍔の位置より外にでないこと、できれば線源下端と鍔の間に5mm位の空間を作ること"となっている。
e. 誤:オボイドはなるべく大きいもの、タンデムはなるべく長いものを使用する。

37. 解答:d
a. 誤:FIGO分類では、進行期決定のための検査としては触診、視診、コルポスコピー、診査切除、頚管内掻爬、子宮鏡、膀胱鏡、直腸鏡、排泄性尿路造影、肺および骨のX線検査、となっている。その範囲で小骨盤腔をこえた遠隔転移があれば、IVb期となる。
b. 誤:上記
c. 誤:進行期決定には、MRI,CTによる所見を反映させてはいけない。
d. 正:骨盤リンパ節転移の有無はFIGO分類には規定されていない。
e. 誤:UICC-TNM分類はリンパ節転移を考慮している。一般的にはFIGO分類が用いられている。

38. 解答:d
a. I-IIA期では、根治的放射線治療と広汎子宮全摘術は同等の治療成績とされている。(日本ではIIB期も手術対象とされる場合が多い)。
b. IB2期(IIB)からIVA期をを対象とした複数のランダム化比較試験において化学放射線同時併用療法が放射線単独療法より生存率が良好との報告がなされ、NCIのアナウンスメントでも推奨されている。
c. aと同じ
d. IIIB期は根治的手術の対象ではなく、導入化学療法後に手術を行う事により根治的放射線治療と同等の治療成績が得られるというエビデンスはない。
e. 術後病理組織的にT2bの場合、再発危険性は比較的高いと考えられ術後照射が行われることが多く、再発率の低下が期待できる。しかし生存率の改善は証明されていないので、"充分なエビデンス"に基づくのかはやや疑問であるが、dよりは高いレベルのエビデンスかと思われる。

39. 解答:d?
a. 誤:体部下部からは子宮頚癌と同じ経路であるが、体部上部からは広間膜、卵巣を経て卵巣動静脈に沿って腎下極付近の傍大動脈節に直接転移する経路がある。
b. 誤:術後照射、根治照射共、腔内照射を併用する場合が多いが、併用不可や不適の場合もある。術後再発などの場合も不適の場合がある。
c. 誤:設問では対象病期が不明だが、一般的に手術可能の場合には手術が行われ、合併症などで手術不能の場合に根治的照射が行われている。この両者の比較では手術成績の方が良好である。
d. 誤?:1988年のFIGO分類は術後病理による進行期分類になっている。
しかし、非手術例については1982年のFIGO臨床進行期分類を適用することとなっている。
e. 誤:骨盤または傍大動脈リンパ節転移陽性(stageIIIc)に対する術後骨盤照射の有用性(生存率?)はランダム化比較試験によってはまだ証明されていない。(が、一般的には行われている)以上正解がないように思えるが、新しいFIGO分類についてと解釈するとdか?

40. 解答:c,d ?
a. 誤:超音波ガイド下に刺入することが多い。
b. 誤:125Iはγ線とX線を放出する。
c. 正?:"シード線源による前立腺永久挿入密封小線源治療の安全管理に関するガイドライン"(日本放射線腫瘍学会、日本泌尿器科学会、日本医学放射線学会)では、"1年以内に死亡した場合には、剖検にて(前立腺ごと)シード線源を取り出し、病院の貯蔵使節にて保管する必要がある"となっている。"半年"も1年以内なので正?
d. 正:線源刺入方式には専用のMickアプリケータを用いる方式と、線源とスペーサーを治療前計画どおりにあらかじめ充填しておく方式があるが、日本ではまだスペーサーが認可されていないため、前者の方式となる。
e. 誤?:米国小線源治療学会の基準 (Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1999 44:789-99.)では、相対的禁忌の中に"刺入時前立腺体積が60cc以上"という項目があるので60cc以下が適応という記述は正とも考えられる。
しかし、国立病院東京医療センター泌尿器科斉藤史郎先生の記述(https://www0.nmp.co.jp/member/oncoseed/download/seminar4.pdf) をみると、日本の退出基準1300MBqを満たすためには前立腺体積は35cc以下が望ましいとされているので誤?

以上36〜40は辻野佳世子会員(兵庫県立成人病センター)

41.D (or B)
 a.正
 b.△ 前立腺肥大等でも上昇する、の意で×ですが全体としてはDを答えさせたいかと。前立腺に比較的特異的、とは言えますし…。
 c.正 
 d.× 生化学的再発と臨床的再発は区別されると思います。少なくとも" 直ちに"ではないでしょう。
 e.正?

42.c
 a.正 「本分類は腺癌にのみ適応する」
 b.正  primary score+secondary score
 c.誤 G2:Gleason5-6 、G3―4:Gleason7-10 
 d.正 定義どおり
 e.正

43.d
 a.正 
 b.正 誤っては無いと思います。
 c.正 分類上、根治的精巣摘除術を必須としないpTis及びpT4を除き、〜。
 d.誤 ALP→LDH
 e.正 

44.a
放射線治療計画ガイドラインより
"骨腫瘍では、Ewing肉腫が最も放射線感受性が高く、巨細胞腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH: malignant fibrous histiocytoma)、脊索腫と続き、軟骨肉腫は放射線感受性が低い。"(a > c > d > e > b)

45.d 悪性軟部腫瘍取り扱い規約第2版では以下との事。
 a.脂肪肉腫    5生:73.7
 b.繊維肉腫       70.1
 c.悪性繊維性組織球腫  63.0
 d.横紋筋肉腫      26.8
 e.滑膜肉腫       59.9
放射線治療計画ガイドラインより
横紋筋肉腫について、"日本小児外科学会悪性腫瘍委員会の1986〜1990年登録症例の予後追跡調査では2年生存率59.2%、5年生存率43.1%で、前期間(1981〜1985年)59.7%、46.7%から改善が認められていない。"

以上41〜45は安藤正憲会員(大阪警察病院)

46. a 
a. 甲状腺機能亢進 x 一般に放射線治療により甲状腺機能は低下する。
b. 不妊 
c. 白内障 
d. 腎機能障害
e.二次癌

47. d.e(?)
a. 全脳照射と全脊髄照射を同時に行う。
b. 全脊髄照射の下縁はMRIを参考にしてCTV(clinical target volume)を設定した方が良い。
c. 全脳照射と全脊髄照射はjunctionn部に注意する。
d. 後頭蓋窩+脊髄の照射も一つの選択肢である。誤。くも膜下腔全体に照射しなくてはいけない。
e. 術後、放射線治療単独の場合、標準的な線量は30-35Gyである。誤。
標準的な線量は50-55Gyである。
選択肢が2つある不適切問題である。

48. a.
a.誤 横紋筋肉腫10.8Gy/6fr 肉眼的病巣に50-55Gy、顕微鏡的病巣に40-41.4Gy必要。(癌よりやや少ない線量と覚えよう!)
b. Wilms腫瘍 10.8Gy/6fr
c. 神経芽細胞腫 .8Gy/11fr  
d. 網膜芽細胞腫  45Gy/25fr
e. 白血病予防的全脳照射 18Gy/10fr
 
49. e
a. 神経芽細胞腫の肝転移による呼吸困難
b. 横紋筋肉腫の髄膜浸潤
c. 椎体骨転移による脊髄圧迫症状  o 常識である 
d. 肺癌による上大静脈症候群 o 常識である
e. 食道癌による食道狭窄症状 x 補液して脱水を改善さえすれば緊急性は無い。

50.d
a.誤。骨転移の疼痛に対してWHO方法薬物療法の第一段階では塩酸モルヒネ投与である。NSAID投与が原則である。
b.誤。骨転移に対して30Gy/3frで処方した。一回線量が多すぎる。
c.誤。四肢骨の転移への照射はできるだけ全周性に軟部組織を含める。末梢側にリンパ浮腫を生じてしまう。   
d.正。 脊髄を圧迫し下肢の神経症状を伴ったので緊急放射線治療を行った。
放置すると回復不能の膀胱直腸障害も生じてしまう。 
e.誤。腰椎転移への照射では有害事象はない。 x 宿酔、皮膚炎などが生じ
得る。

以上46〜50は本田 力会員(東京慈恵医大青戸病院)

51. 解答c
a. 正
b. 誤 Hartsellらの研究(Randomized trial of short- versus long-course radiotherapy for palliation of painful bone metastases J Natl Cancer Inst. 2005 Jun 1;97(11):798-804)によれば、再治療率は8Gy1回照射の方が有意に高いとのこと。
c. 正
d. 正

52. 解答d, e
a. 誤
b. 誤
c. 誤
d. 正 使用するのは低エネルギーの電子線です。
e. 正 ボーラス使用します。

53. 解答 e
a. 誤 一般的には20Gy/10回。40Gyは過剰です。
b. 誤 晩期有害事象である白内障を防ぐため、水晶体を照射野から外します。
c. 誤 b.の解説の通りです。
d. 誤
e. 正

54. 解答 c
a. 正
b. 誤 治療に必要な総線量がいずれの場合も低く、早期反応が問題になることは稀かと。
c. 正
d. 正

55. 解答 a
a. 正 角膜中心部へと病変が進行すると視力障害を生じます。
b. 誤 10kVのX線、もしくはSr-90のβ線にて5Gy×3回程度の照射ですから、40G yは過剰です。
c. 誤 放射線治療は手術後の再発予防として施行されます。
d. 誤 b.の通りです。
e. 誤 手術+放射線治療の場合、再発は数%程度。

以上51〜55は福島正秀会員(松戸市立病院)

閉じる