放射線科専門医認定一次試験 解答 1〜30

1 解答:d 代表的な閾線量を記憶しておく
a:× 確定的影響 閾線量 0.1Gy。
b:× 確定的影響 閾線量 3Gy。
c:× 確定的影響 閾線量 0.5Gy (全身被曝によるリンパ球減少)。
d:○ 確率的影響 (閾線量の有無についての見解は定まっていない)。
E:× 確定的影響 閾線量 1.5Gy。

2 解答:b いずれも法的に定められている。正しい数値も記憶しておく。
a:○
b:× 実効線量限度は5年間で100mSv。さらに1年間で50mSvと定められている。
c:○
d:○
e:○

3 解答 :d いずれも撮影方法による違いが大きいが、骨盤が照射野に入らない検査は除外して良い。なお、胎児に精神発達遅延や奇形発生などの影響が生じる閾値は0.1Gy程度。以下の数値は ICRP publ.84による妊娠初期を想定したもの。
a:× 0.005 mGy未満。
b:△ 6.8 mGy (最大24 mGy)。
c:△ 1.7 mGy (最大10 mGy)。
d:○ 25 mGy (最大79 mGy)。
e:× 0.01 mGy未満。

4 解答 :c 医療領域における被曝は医療被曝、職業被曝、公衆被曝に分類して管理する。医療被曝とは、患者もしくは被検者としての被曝および介護する家族などの被曝である。
a:○
b:○
c:× 業務上の被曝は職業被曝に分類される。
d:○
e:○ 検診による被曝も医療被曝に含まれる。

以上、1〜4は権丈雅浩会員(広島大学)

5 解答 :a, c
a:× 相同組換え修復(homologous recombination、HR)によるDNA2重鎖切断の修復はS期−G2期に起こる。
b:○ p21はG1期チェックポイントに関与する。
c:× アポトーシスでは細胞は縮小する。
d:○ アポトーシスでは、DNA断片化が認められる。
e:○ 放射線によるアポトーシスの多くはp53を介したものである。

6 解答 :c, e
a:× RBEはLETが100-200 keV/μmのところで最も高く、これより高いLETではRBEは逆に減少する。
b:× S期は放射線抵抗性である。
c:○ 低酸素状態では、X線照射後の細胞生存率は上昇する。
d:× 分割照射するとDNA損傷が修復され細胞生存率は上昇する。
e:○ α/β比は急性反応型組織や癌組織で高く、晩期障害型組織で低い。

7 解答 :b, e?
a:× 一般に腫瘍内のpHは正常組織に比べ低い。
b:○ 照射後細胞環境を特定の条件(生理食塩水中での培養や、細胞が密集し増殖が抑制された定常状態での培養)に置くことにより生存率は高くなる。
c:×? 低LET放射線では、一般に線量率が低下すると細胞生存率は上昇する。ただし一部の細胞での特定の線量域では逆に細胞生存率は減少する。この現象は逆線量率効果と呼ばれる。
d:× 1回照射の値からLQモデルを用いて分割照射の際の等効果線量を推定することはできない。
e:○? 酸素効果比(OER)は細胞周期依存性があり、G期の細胞で2.3−2.4と小さく、S期の細胞で2.8−2.9と大きく、G2期ではこれらの中間値を示すと報告されている。ただし、報告されているOERの細胞周期依存性は小さく、しかもその値は細胞生存率曲線におけるOERの線量依存性から推定した値である。低線量照射での細胞生存率では、G期の影響が最も反映されるのでOERは小さい。このため低線量率照射でも、細胞周期に変化がなければOERは小さいことが予想される。細胞周期同調による逆線量率効果まで考慮すると必ずしも低線量率照射でOERが小さいとはいえない。出題者の意図は腫瘍組織での低酸素細胞の再酸素化を念頭においている可能性が考えられる。

以上、5〜7は細井義夫会員(東京大学)

8 解答 :??
a:○ 不適切な観察環境は診断能に影響を及ぼすため、モニタの輝度に関連して部屋の照度、採光に留意する必要がある。
b:△ 階調とは画像表示端末の階調なのか、表示画像の階調(ウィンドウレベル)なのか混乱する。通常の画像表示端末の階調はカラーCRTで8bitと固定、モノクロCRTでも10bit等があるが固定であるためこれを調整するというのか?
c:○ 必要に応じて拡大するなどの操作は診断をする際には有効である。
d:△ 非可逆圧縮画像は条件付きで非圧縮の原画像と臨床上同等とガイドラインにはあるため、×とも○ともとれる。
e:○ CRTモニタはフィルムに代替可能ではあるが、その輝度はシャーカステンに比べて低い。
ひっかけ問題なのか不明? どちらも正ともできるしどちらも誤ともできるような気がします。

以上、8は成田雄一郎先生(京都大学)

9 解答 :a,c MD-CTの普及に伴って詳細な検査が行われるようになっている。被曝低減の実践は重要。
a:× 造影剤の濃度は直接は線量に関係しない 可能なら造影のみとして単純CTを行わない。
b:○ 被曝低減のために可能な範囲で低電流、低電圧とする。
c:× ピッチファクタを小さくすると実効線量は増える。
d:○ 必要最小限の範囲のスキャンを行う。
e:○

以上、9は権丈雅浩会員(広島大学)

10 解答 :d
a:○ マンモグラフィ用等の小焦点X線管球はぼけが小さく鮮明である。
b:○ ブッキー装置やグリッドはX線撮影の散乱線除去フィルタとして使用される。
c:○ フラットパネルディテクターはデジタル画像装置でありほぼリアルタイムでCRTモニタに画像を映すことができる。
d:× CRTモニタのダイナミックレンジは階調に制限されるが、フィルムの場合は視覚的に捉えられるかは別としてレンジは広く連続的である。
e:○ 不適切な観察環境は診断能に影響を及ぼすため、モニタの輝度に関連して部屋の照度、採光に留意する必要がある。

以上、10は成田雄一郎先生(京都大学)

11 解答:c
a:○ 所在地の保健所を通じて都道府県知事に届け出る(医療法施行規則第24条)。
b:○ リニアック、ガンマナイフ、密封小線源などの治療装置は放射線障害防止法も適用される。
c:× 許可申請もしくは届け出時に必要だが、1週間毎の義務づけはない。
d:○ 電離則に記載されている。
e:○ それ以外の者は胸部に装着。不均等被曝の場合には最も高くなる部位に追加する。

12 解答:b 医療現場で放射性同位元素を取り扱うに当たって必要な知識が問われている。
a:× 核医学診療に用いられた注射筒などの放射性廃棄物は永久的に放射性物質として取り扱われる。
b:○ サイクロトロンは診療用高エネルギー放射線発生装置として放射線障害防止法の適用を受ける。
c:× 投与後に患者を直ちに帰宅させてよい検査用放射性医薬品については 排泄物の管理は不要。
d:× 購入できる核種、使用量、貯蔵数量は許可された範囲内だが、単年度毎の許可申請は必要ない。
e:× 手術室、適切な防護措置と汚染防止措置を講じたICUとCCUでのみ一時的な検査用RI使用は可能。

以上、11,12は権丈雅浩会員(広島大学)

13 解答:b, c
a:× 電磁放射線に分類されるX線及びγ線は、原子核との相互作用により間接的にしか電離することができない。
b:○ α線のような荷電粒子は、軌道電子とのクーロン力によって直接的に電離することができる。
c:○ β線のような荷電粒子は、軌道電子とのクーロン力によって直接的に電離することができる。
d:× 電磁放射線に分類されるX線及びγ線は、原子核との相互作用により間接的にしか電離することができない。
e:× 電荷をもたない中性子は、原子核との相互作用により間接的にしか電離することができない。

14 解答:d
a:○ 原子核を構成する陽子と中性子は核子と呼ばれる。
b:○ 原子核に含まれる陽子の数は元素を決定し原子番号と呼ばれる。
c:○ 陽子と中性子の質量は、それぞれ1.00728(u)と1.00087(u)でほぼ等しい。
d:× 電子と陽電子の対消滅では、電子の静止エネルギーに相当する511keVのγ線が180°反対方向に2本放出される。
e:○ 1Gyとは放射線量を表す単位で、その定義は物質1kgに1Jのエネルギーを与える時を1Gyとしている。

15 解答:d
a:○ 物質(原子番号)に依存するが、低エネルギーでは光電効果の寄与が大きく、高エネルギーになるにつれ散乱の寄与が増加する。さらに1.022MeV以上では電子対生成の寄与が徐々に増加する。
b:○ 照射範囲が広がると、それに比例して散乱X線量は増加する。
c:○ 被写体が厚い方がコンプトン散乱等の発生が増加し、結果として散乱X線量は増加する。
d:× コンプトン散乱、光電効果、電子対生成の発生確率は被写体の原子番号に大きく依存している。
e:○ 散乱線は直接線ビーム方向から軌道が逸れるため、フィルムまでの距離が遠い程その混入率は低下する。

以上、13〜15は成田雄一郎先生(京都大学)

16 解答:c
a:○ 一般にα/β比は急性反応型組織や癌組織で高く、晩期障害型組織で低い。
b:○ 脳の耐用線量は肺の耐用線量よりも大きい。
c:× リンパ球はアポトーシスを起こし、被曝後早期に減少する。
d:○ 成熟した精子は制限細胞よりも放射線抵抗性である。
e:○ 一般に放射線照射によるアポトーシスはp53を介したものが主である。

以上、16は細井義夫会員(東京大学)

17 解答:b, e
a:○ 正解。Dynamic MLC法、step&shoot法といったMLCを複雑に動かしながら強度変調照射野を作成する。また補償フィルターを用いる施設もある。
b:× 現在のところIMRTが有効とされているのは、頭頸部癌、前立腺癌、脳腫瘍、乳癌などである。IMRTの臨床的な有用性は線量増加と合併症を低下させることである。今後肺癌に臨床応用される可能性あるが、現時点では有効というevidenceはない。
c:○ 治療計画装置で作成されたIMRTの線量分布図は、あくまでコンピューター上でのものであるため、ファントムを用いた線量検証は必須である。
d:○ 正解。
e:× 現時点では一回1.8 - 2Gyを用いた線量分割照射が行われる。しかし今後一回線量を多くする照射分割法も提唱されてくるであろう。

18 解答:b
a:○ 60-Co 平均γ線は1.25MeV、半減期5.27年。
b:× 90-Sr β線源。90Srは半減期が28.8年のβ壊変核種で半減期64時間の90Yに変わり、90Yのβ線が治療に用いられる。主に翼状片の治療に用いられる。
c:○ 125-I 少量のγ線0.035MeV、0.027MeVのX線を放出する。半減期60.2日。永久刺入線源として用いられる。
d:○ 192-Ir γ線源。半減期は74.2日。
e:○ 198-Au γ線源。半減期は2.7日。永久刺入線源として用いられる。

19 解答:d
a:× デスモイドは結合組織由来の良性腫瘍であり、治療の第一選択は手術である。しかし浸潤傾向が強く、完全摘出困難で局所再発率が高く、術後放射線治療の適応となるが、免疫抑制作用による機序ではない。
b:×
c:× 血管腫に対する電離放射線の作用は、免疫抑制効果ではなく、血管内皮細胞障害により微小血栓塞栓形成を促進し、血管腫を消退させることである。
d:○ 甲状腺眼症の生立機転は正確には解明されていないが、自己免疫によるものと考えられている。放射線治療による甲状腺眼症改善の機序も解明されていないが、球後部に浸潤した活性化したTリンパ球を減少させることで、免疫抑制させると考えられている。
e:× cと同様。

20 解答:a
a:× 放射線治療ガイドライン2004 通常分割照射における正常組織の耐容線量の表を参考にすれば、同じ腹部臓器のなかでも腎臓は一番耐容線量が低い。
b:○ 同上。正しい。
c:○ 正しい。
d:○ 正しい。50Gyなので保険診断書も書きやすい。
e:○ 腋窩リンパ節陽性の数によっては鎖骨上窩リンパ節領域を含める場合がある。

以上、17〜20は近藤英宏会員(弘前大学)

21 解答:b
a:× 疾患やプロトコールによって術前もしくは術後に施行される.
b:○ 疾患やプロトコールによって術前もしくは術後に施行される.
c:× 小児にも施行される.
d:× 病期や治療方針にもよるが、一般に子宮頚癌ではIIB期以上、肺癌ではIII期以上(II期までは手術)では化学療法併用が標準と考えられる.
e:× 治療効果は高いが、有害事象の頻度も多い.

22 解答:a
a:○ 組織の確定も必要だし、可能な限り腫瘍の減量をおこなうことも重要.
b:× 高悪性腫瘍に対してはかつて全脳照射が施行されていたが、近年は局所照射が一般的である。低悪性度では局所照射が一般的.
c:× 放射線感受性は低い
d:× 若年者の方が予後良好.
e:△ MRIが有用であるが、造影CTも有用でないとはいえない。.

23 解答:d
a:○ (両側耳下腺が照射される場合は)早期より口腔乾燥がみられる.
b:○
c:○ 唾液腺障害は非常に回復しにくい。味覚は数ヶ月〜数年で回復するといわれている。
d:× 照射後の抜歯は創傷の治癒が悪く膿瘍や顎骨炎等のリスクあり。将来的に抜歯のリスクのある歯は必ず照射前に処置する.
e:○

24 解答:a, d
a:○ 一般に2.5cmは許容される.
b:× 傍胸骨LNは接線照射のCTVには含まない。必要な場合は別照射野で照射する.
c:× 電子線で追加する場合が一般的
d:○
e:× 最も一般的に施行される線量分割は50Gy/25分割/5週.

25 解答:e
a:○ T1に比べT2の局所制御は悪い.
b:○
c:△ 治療のモダリティによって異なる。ワシントン大学からの通常照射の報告では6%程度、定位照射245例の報告では3.3%、がんセンター東病院の陽子線治療37例の報告では13.5%と報告されている。出題者が4-7%という数値をどこから持ってきたのか不明。
d:○
e:× 術後照射の有用性はメタアナリシスにて否定されている.その後のアップデートにてもしかり。日常臨床では術後照射は一般に施行されることはない.特にI期の場合は照射による毒性から生存に対してネガティブに影響を及ぼす可能性あり.
選択枝Cも間違いと判断すべきだが、明らかにeが間違いなので正解はeとなる

以上、21〜25は西村英輝会員(神戸大学)

26 解答:c,e
a:× 術中照射は1回大線量照射で行なう。再酸素化現象や再分布現象は分割照射法の利点である。
b:× 切除不能膵癌に対して行なうことが多い。
c:○ 外照射が術中照射の併用で、術中照射単独よりも高い局所制御効果が報告されている。
d:× 膵癌では照射後、画像的な縮小効果が得られるまで3-4か月有する。術中照射後2か月以内でのCTでの縮小効果判定では局所効果と生存率に関連は認められなかったが、照射後3-6か月に治療効果を判定した場合局所効果と生存率が相関したとの報告がある。
e:○

27 解答:b
a:× 発生頻度が一番高い部位がMt領域である。(約50-60%)
b:○ 海外では50-50.8Gy/25〜28回程度を化学放射線療法における標準的放射線量とする考えもあり、日本では化学放射線療法の場合50-64Gyの幅で種々の線量が選択されているが最適な線量は模索中である。(なお日本放射線腫瘍学会による放射線治療計画ガイドライン2004では60Gy/30回程度、放射線単独療法では60〜70Gy/30〜35回が標準的と記載されている。)
c:× 腔内照射は深達度が比較的浅い腫瘍に対して局所制御率を向上させる目的で外照射と併用で施行する。
d:× sm癌ではリンパ節転移の頻度がm癌に比べ高く、根治を目的とした標準治療は手術療法(あるいは放射線療法)とされている。
e:× 深部臓器であり6MV−X線以上のエネルギーでの照射が推奨されている。

28 解答:b,e
a:× 総治療期間の延長により、生存率や骨盤内制御率の低下が指摘されている。
b:○
c:× 一般に高線量率照射は低線量率照射に比べ生物学的効果は低いとされている。
d.:× 1回線量や総線量の工夫により治療成績、障害発生に差はないといわれている。
e:○ 直腸出血は照射後2年以内の発生が多く、殆どが5年以内に出現するが、膀胱出血は5年以降の出現も決して稀ではない。

29 解答:d
a:× 125Iシード線源が認可されている。
b:× low risk groupに対する良い適応である。
c:× 日本では管理区域とした一般病室からの退出基準は体表面1mで1.8μSv/hを超えないことが条件となり、また線源挿入後の脱落は約9割が1日以内で生じることから、125I線源の挿入後1日は最低限入院が必要である。一般的には数日の入院となることが多い。また線源により放出される放射線(γ線)が腫瘍の根絶に寄与するのは4半減期(8ヶ月)程度と考えられている。
d:○ migrationは骨盤内以外では血管を通じ肺や心臓に生じうる。
e:× 線源を均等に配置すると尿道への照射線量が過量となってしまう。

30 解答:c
a:× AVBD療法、放射線療法が施行される。
b:× リツキシマブ、CHOP療法、放射線療法が施行される。
c:○ リンパ芽球性リンパ腫(LBL)は現在、WHO分類で「前駆TあるいはBリンパ芽球性白血病/リンパ腫」(Precursor T- or B-Lymphoblastic Leukemia/Lymphoma)として、一群の疾患に分類されている。(LBLとALLは、骨髄に浸潤している腫瘍細胞の割合で区別しており、浸潤の割合が20%未満の場合はLBL、20%を超える場合にはALLという診断となる。)
d:× 低悪性度であり、局所放射線療法、リツキシマブ、CHOP療法が施行される。
e:× びまん性大細胞型リンパ腫と同様の治療方針をとることが多い。

以上、26〜30は那須佐知子会員(東京女子医科大学)

閉じる