放射線科専門医認定二次試験(診断・核)解答 31〜75

31. 正解:b, e
胸部X線写真で、心尖が挙上し、心腰部の陥凹した木靴心(boot-shaped heart)と形容される心陰影が認められる。本例では右側大動脈弓も認められ、約1/4の症例に伴う。肺血管陰影は減弱している。
肺動脈狭窄が高度な例では動脈管開存が生存に不可欠であり、その保持のためプロスタグランジンE1(PGE1)の点滴静注を行う。

32. 正解:b
上行大動脈、下行大動脈に解離が認められ、上行大動脈は拡張を伴っている。心膜腔液貯留も存在する。Stanford A型大動脈解離(DeBakey分類 I型)と考えられ、早期の手術適応である。心膜腔液貯留は心タンポナーデを来たす致死的合併症であり、大動脈解離の死因の第1位である。

33. 正解:e
若い女性の胸部X線正面写真で、年齢のわりに大動脈弓が大きく、下行大動脈の辺縁に突出が認められる。不明熱もあり、高安動脈炎が最も考えられる。

34. 正解:b
胸部X線正面写真で右下肺野に三日月刀状の陰影(scimitar sign)が認められ、右肺
静脈が下大静脈へ注ぐタイプの部分肺静脈還流異常と考えられる。

35. 正解:c
左肺S10に胸部造影CTの縦隔条件で低吸収値の腫瘤が認められ、肺野条件では周囲に炎症性変化を伴っている。さらに大動脈から分岐する異常血管が連続している。気管支鏡で病変部との気管支の連続性は確認できなかった点からも、肺内型分画症と考えられる。発生部位はほぼ下葉のS10に限られており(98%)、大動脈から分岐する異常血管が肺靱帯下部を通って流入し、血液は肺静脈に還流する。通常は正常気管支との交通がないが、分画症と正常肺の境界に胸膜がないために感染が生じやすく、感染に伴って気管支交通が生じる。臨床的にも繰り返す肺炎症状で発見されることが多い。
肺外型分画症は正常肺の胸膜外に存在し、横隔膜ヘルニアなどの奇形を合併することが多い。
肺底区肺動脈大動脈起始症はpseudosequestrationとも呼ばれ、正常の気管支交通を持っている下葉の肺底区の一部あるいは全体が、大動脈から分岐する異常血管によって栄養される病態である。

36. 正解:d
写真が不明瞭でわかりづらいが、goose neck snareを使用した異物除去術の透視像と考えられる。

以上、31〜36は曽我部一郎会員(呉医療センター大学)

37
1. 左胸腔内のほぼ全域が腸管ガス像で占められており、肺実質と考えられる部分は肺尖部に見られるのみである。縦隔は右側へ圧排偏位しており、左横隔膜陰影ははっきりしない。
2. d
3. 非常に平易な問題。病変部にNGチューブの注入口らしい陰影が重なっているのが紛らわしい。

38
1. 腹部単純写真では、広範囲に拡張した腸管ガス像がみられる。注腸検査では直腸から横行結腸左半部までが描出されているが、全体に腸管径がやや大きめも有意に異常とは言えない。S状結腸がやや狭くみえるが直腸までは腸管壁がやや不整にみえる。明らかなcaliber changeは指摘できない。
胎便排泄遅延の新生児でCrohn病や潰瘍性大腸炎は考えられない。鎖肛も注腸検査が行われているので否定できる。Hirschsprung病が原因で結腸炎を併発することがあるが、胎便排泄遅延の原因が直腸炎というのは無理がある。本例はcaliber changeがはっきりしないが、出生直後には目立たないことがあるのと、全結腸型Hirschsprung病ないしextensive aganglionosis(結腸を超えて小腸にも異常腸管が続くもの)もこのような正常径の結腸像を示すことがあるのでどちらも考えられる。
2. b.
画像診断の前に臨床像で大方答えは出ている。直腸下部にバルンを思わせる陰影があるが、Hirschsprung病を疑う場合は穿孔の危険があるのであまり薦められない。

以上、37〜38は赤坂好宣会員(兵庫県立こども病院)

39. 診断所見
・マンモグラフィの圧迫スポット像にて、右乳房に腫瘤を認める。
形状;楕円形、辺縁;境界明瞭平滑、濃度;周囲乳腺組織より高濃度、随伴する石灰化;なし、構築の乱れ;なし。カテゴリー3に分類される腫瘤である。
・乳房超音波にて、乳房内に腫瘤を認める。
形状;楕円形で縦横比は低、辺縁;多くは境界明瞭平滑だが一部は明瞭粗造。内部エコー;周囲乳腺実質よりやや低エコーで実質エコーあり、前方・後方境界線:断裂なし、後方エコー;増強、側方陰影;あり。良性、悪性ともに可能性があるが、どちらかというと良性病変を疑う所見である。
解答 e(dを選んでも間違いとは言えない)
a. 内部に実質エコーはあるが、complicated cystの可能性は残る。
b. 境界明瞭平滑な腫瘤であり、十分に考えられる。
c. 比較的高齢者の境界明瞭平滑な腫瘤であり、十分に可能性がある。
d. 通常みられるDCISの所見とは考えにくい。稀に嚢胞内癌の形をとるため、可能性は残るが、この点まで考慮した選択肢なのかは正直疑問が残る。
e. 浸潤性小葉癌の場合、構築の乱れなど境界不明瞭な病変として描出される。このような境界明瞭平滑な腫瘤で描出される可能性は非常に低いと考える。

40.
診断所見
・MLO像にて右乳房中部〜上部の深部に、CC像にて右乳房内側に微細石灰化が見られる。部位はMLOとCCを合わせて右乳房A領域と考えられる。形状は、この写真では判断し難いが、少なくとも淡く不明瞭や微細線状/樹枝状ではなさそう。分布は、乳房深部から乳頭方向へ向かう分布で区域性である。明らかな腫瘤、FAD(局所性非対象性陰影)はない。構築の乱れもない。
解答 b, e
a. 正しい。
b. 誤り。石灰化以外の部分を含めて、腫瘤およびFADは指摘できない。
c. 正しい、ただし正誤の判定に迷う不適切な選択肢。この写真で形状の判定を行うのは困難である。ただし微小円形・区域性の石灰化の頻度は稀とされているので、この点を加味すると多形性と考えるのが妥当と思われる。
d. 正しい。
e. 誤り。区域性石灰化の場合は基本的にカテゴリー4以上。微小円形・区域性は、カテゴリー3または4であるが、この症例でカテゴリー3つまり良性を積極的に考える根拠はない。多形性・区域性の石灰化でカテゴリー5との出題意図と推察する。

以上、39,40は岡藤孝史会員(九州大学)

41.
所見 単純CT:肝実質よりやや低濃度な腫瘤が右葉に存在。境界は比較的明瞭。
辺縁は軽度分葉状。
内部に壊死があるのかさらに低濃度な部分を含む。
造影早期CT:腫瘤は肝実質とほぼ同程度に染まり、周囲は低濃度の不染域で
縁取られる。内部に壊死を疑わせる不染域あり。
造影後期CT:腫瘤は肝実質よりやや高濃度に染まる。内部の不染域に染まりは
ないように見える。胆管拡張所見なし。門脈本幹への浸潤なし。
門脈周囲に小さなリンパ節散見されるも非特異的なサイズ。
診断 a 肝血管腫 ・・・・×
       典型的な像は、造影早期で、辺縁に点状濃染が出現。時間がたつにつれて中心部へにじむように染まってゆく。よって、提示像とあわない。
   b 肝細胞癌・・・・×
典型像は、動脈早期で周囲肝実質よりも濃染。造影後期には周囲肝実質よりも低濃度(洗い出し)となる。よって提示像とあわない。
   c 胆管細胞癌・・・・×
提示像に似るが、造影早期で染まらない部分も、後期では少しは染まってくることが多い。提示像では中心の不染域は後期でも染まらず。
また、肝門部に近い、胆管細胞癌では、胆管拡張が見られることが多い。提示像は、その像も見られない。
   d 肝膿瘍・・・・○
    特に矛盾しない。
肝膿瘍は造影早期でリング状濃染をしめす周りに、肝実質の浮腫性変化を
反映する低濃度域が描出されることがあり、Double Target Signと呼ばれ、膿瘍に特徴的な所見。
   e 限局性結節性過形成・・・・×
    造影早期にて周囲肝実質より濃染ことが多いが、造影後期相では肝実質と
等濃度となることが多い。また、Central Scarと呼ばれる動脈相では濃染されず、平衡相では高濃度を呈する領域が見られる。
  解答  d

42.
   所見 胃噴門部からFornixにかけて著明に発達した静脈瘤を認める。
      肝硬変が目立つ。
   考え方 患者は手指の振戦と失見当織がある。
画像の肝硬変および静脈瘤の存在から、門脈―静脈短絡による肝性脳症の存在を疑う。
この治療としては、静脈瘤を閉鎖して、短絡を減少させることが適当と
考える。
TIPS・・・・×
経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術
肝臓内で肝静脈と門脈を短絡させる方法。難治性腹水や難治性静脈瘤の治療に用いられる。
たしかに、門脈圧が下がり、静脈瘤は改善するが、門脈―静脈シャントを作成するわけであり、肝性脳症の改善には寄与せず、今回の症例では不適。
EIS・・・・×(△)
内視鏡的静脈瘤硬化療法
臨床の現場では、胃静脈瘤であっても、EISで治療を試みることもあるが、あくまでも他に治療手段がない時のみ。特に孤立性胃静脈瘤にEISを試みて、止血できなかったときは、失血死の可能性もあり、基本的には禁忌。
また、今回の場合、胃静脈瘤を治療できたとしても、門脈―静脈短絡全体を治療することは困難であり、症状の改善には寄与せず。
B-RTO・・・・△(○)
  バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術
  経静脈性に静脈瘤内にカテーテルを進め、硬化剤やコイルを用いて静脈瘤を閉塞させるため、短絡路を消失または減少させることができる。
胃静脈瘤の消失・縮小を見込め、短絡路の消失・減少により、肝性脳症の改善も見込める。
しかし、胃腎シャント、胃下横隔膜シャントなどの大きな側副路がなければ、施行できない。CTではそのあたりの情報がなく、判断できない。
複数の供血路を有する門脈大循環短絡路には、PTOに比べてBRTOの方が優れるとの報告がある。
EVL・・・・×
内視鏡的静脈瘤結紮術
  静脈瘤の出血部を一時的に閉塞させることができるが、根本的な治療に
はならない。また、肝性脳症の改善には寄与せず。
PTO・・・・△
経皮経肝門脈側副血行路塞栓術
 経皮経肝的に門脈を通って、塞栓する。これも食道静脈瘤の治療や肝性脳
症の治療に用いられる。
しかし、複数の供血路を有する門脈大循環短絡路には、BRTOの方が優れるとの報告がある。
しかし、大循環へ流入する大きな枝がないときはBRTOの施行が不可能なのでPTOを選択することとなる。
提示されたCTだけではそのあたりの判断が困難である。
  解答   c > e

43 所見 上行結腸のガス像に接して動脈の破綻を認める。静脈の描出は目立たない。
責任血管は回結腸動脈か。位置からは上行結腸や終末回腸からの出血を疑う。

考え方
Meckel憩室・・・・○
疼痛を伴わない突然の下血で発症することが多い(提示の症状と合う)。腸間膜付着部対側、回盲部から口側数十cmほど離れた回腸にできる。
b. 動静脈奇形・・・・×
動静脈奇形にみとめられる、流出静脈が認められない。
    c. 潰瘍性大腸炎・・・・×
基本的には広範囲に大腸が侵される。大腸のガス像を見る限り、横行結腸などに異常は感じられない。
大腸癌・・・×
あってもよいが、大量下血で発症するような癌にしては血管造影にて腫瘍濃染がなく、合わないと考える。
孤立性大腸潰瘍症候群・・・・×
排便時の過度のいきみにより直腸粘膜の脱出と虚血がおき、直腸粘膜に潰瘍が 発生。直腸に生じるため、今回の症例では不適。
   解答  a

44.
所見   1998.6では小さくまとまったコイルの塊が認められる。
     1999.8では内部に隙間がでてきたように見える。
     2000ではコイルの塊像は増大し、内部の隙間が目立っている。
 考え方
新たな動脈瘤の発生・・・・×
  変化が起こっているのはコイル塞栓を行ったその部分であると思われる。
コイルの変形・・・・×
  外傷の既往は書いていない。また、変形ではなく、コイル塊像は円形を保ったまま増大している。
c. 動脈瘤の再開通・・・・○
d. Coil Compaction・・・・×
   コイル塊が縮んだわけではない。あえて英語にするなら
Coil Incompaction。
コイルの逸脱・・・・×
 逸脱ではない。留置部での変化。

45.  
所見 左肝動脈外側区域枝は左胃動脈から分岐。 
   右肝動脈後区域枝の一部は総肝動脈の近位から分岐。
   右肝動脈後区域の一部と背側膵動脈は共通幹。
   右肝動脈前区域枝は固有肝動脈から分岐。
   右胃動脈は固有肝動脈から分岐。
解答  bが間違い。

46
所見 単純CT:肝S5-6に広がる低濃度腫瘤あり。境界はやや不明瞭。
造影CT動脈相:内部の染まりは悪く、辺縁は正常肝よりやや低濃度に染まる。
腫瘤周囲の肝実質は不整に染まっている。
    遅延相CT:単純、動脈相よりはやや尾側のスライス。腫瘤内部は染まらず、
嚢胞様。
    冠状断CT:胆嚢床を中心に腫瘤が広がる。正常胆嚢の描出なし。
考え方
     a.  肝細胞癌・・・・×
典型像は、動脈早期で周囲肝実質よりも濃染。造影後期には周囲肝実質よりも低濃度(洗い出し)となる。よって提示像とあわない。
     b. 肝膿瘍・・・・×
       画像上の染まりなどは矛盾しないが、膿瘍に特徴的なDouble Target 
Signがない点や正常胆嚢が画面上写っていない点から、膿瘍よりは悪性
腫瘍を考えるべき。
肝浸潤をともなう胆嚢癌・・・・○
   典型画像。
胆嚢浸潤をともなう肝胆管細胞癌・・・・×
   ないわけではないが頻度は少ない。肝内胆管の拡張もない。
肝嚢胞腺癌・・・・×
  このような像のものもないわけではないと考えるが、やはり正常胆嚢がないことから、これは考えにくい。また、典型像は多房性、中年女性に多い点、提示画像には充実部が不明瞭な点から除外。

47.
所見 CT-1:主膵管、総胆管の拡張著明。胆嚢は緊満。
     CT-2:膵頭部にて拡張した管腔内に乳頭状の腫瘤があるように見える。
  考え方
IPMT・・・・○
  矛盾せず。高齢男性の膵頭部に好発。主膵管と交通があり、拡張が15mm以上であり、総胆管の拡張も伴っており、悪性を疑う。
通常型膵癌・・・・×(△)
  膵癌でもCT-1のような像を呈するが、CT-2の管腔内の乳頭状の腫瘤からはやはりaを正解と考えた。
慢性膵炎・・・・×
慢性膵炎の存在を疑うような、石灰化や膵実質の萎縮はない。
MCT・・・・×
  膵頭部にみられる乳頭状の腫瘤がある、管腔構造を管腔内ではなく、厚い被膜を有する嚢胞性腫瘤と考えるならないでもないが、基本的に主膵管と交通はなく、女性の膵体尾部に多い点から考えて、間違いとする。
胆嚢癌・・・・×
  胆嚢は緊満しているだけで、腫瘍を疑う所見なし。

48.
所見 単純CT:膵尾部に比較的大きな、境界明瞭な円形腫瘤を認める。内部は大動脈
に近い濃度の部分とそれよりも低濃度の部分に分かれる。
主膵管の拡張なし。
     造影CT:内部の染まりなし。やや厚い被膜を有するようにみえる。

Mucinous Cystic Tumor・・・・×
  膵体尾部に見られる、辺縁平滑、厚い被膜を有する多房性または単房性の腫瘤。
 比較的若い女性(40〜50歳)に多い。典型画像は厚い繊維性被膜を有する多房の
 の腫瘤。症例は19歳であり、単房性である点から合わないと考えた。
Serous Cystic Tumor・・・・×
女性に多い。1cm未満の微小嚢胞の集簇を1〜2cm大の多数の嚢胞が取り囲む辺縁凹凸のある嚢胞製腫瘤。提示画像上は合わない。
Solid-Pseudopapillary Tumor・・・・○
若年女性に好発。本来は充実性腫瘍だが腫瘍内出血をきたし、嚢胞化。提示画像での、単純CTの内部濃度から考えて出血成分の存在があってもよいと考え、年齢も矛盾せず、正解とした。
Invasive Ductal Carcinoma・・・×
  主膵管の拡張や周囲への浸潤像はない。
Intraductal Papillary-Mucinous Neoplasm・・・・×
  高齢の男性の膵頭部に多い。主膵管の拡張あり。

49.
所見 造影CT動脈相:膵尾部の腫瘤様の染まりは血管と同程度。脾臓が染まっていないのに脾静脈が明瞭に濃染。短絡の存在を疑う。
    造影CT静脈相:膵尾部の腫瘤様の染まりは血管と同程度。
MRIT2WI:CTで認めた膵尾部の腫瘤様の染まり部分は血管と同じ無信号となっている。
  考え方
Islet Cel Tumor・・・・×
    動脈早期での染まりだけなら矛盾しないが、門脈の動脈相での描出やMRIの無信号野からは否定的。
Acinar cell Carcinoma・・・・×
    a.と同様。
Pancratic AVM・・・・○
矛盾せず。動脈と門脈に短絡があるため門脈圧亢進症をきたしていると考えた。

Solid and Pseudopapillary Tumor・・・×
、動脈早期では染まらないことが多い。
Serous Cyst Adenoma ・・・・×
  1cm未満の微小嚢胞の集簇を1〜2cm大の多数の嚢胞が取り囲む辺縁凹凸のある嚢胞製腫瘤であり、合わない。
  解答 c

50.
所見 膵臓の腫大。辺縁の不鮮明。膵尾部の染まりは悪く、壊死を疑う。前腎傍腔には液体貯留あり。腎周囲腔や後腎傍腔には液体なし。 膵背側に見られるはずの脾静脈の描出なし。CT Gradeは」である。

   解答 d

51.
所見 
造影CT:肝辺縁で観察される波状彎入像。腹腔内に皮下の脂肪織と同等の低濃度腫瘤が広がる。
エコー:腹腔内に高輝度の網目状構造が充満。その中に大小の結節状構造が多発しているように見える。大動脈や静脈の圧排はない。
考え方 肝表面の凹凸は腫瘍の着床における圧排陥没でありscallopingといわれる。
腹膜偽粘液腫でよく見受けられる。

脂肪肉腫・・・・○
CTやエコーでは、脂肪に近い柔らかな腫瘤が予想され矛盾せず。
腹膜偽粘液腫・・・・○
典型像。
癌性腹膜炎・・・・×
  すべて皮下脂肪に近い低濃度であり、、否定的。
肝硬変症・・・・×
腹水ではない。
腹膜び慢性GIST・・・・×(△)
文献を調べても、CT像を確認できなかったが、GISTは間葉系由来の腫瘍であるが、すべて脂肪に近いCT濃度であることは少ないと考えた。やはり結節像が主体なのでは・・・・・。

以上、41〜51は園田明永会員(滋賀医科大学)

問題52
診断所見
上写真:小腸が拡張が認められる。大腸の拡張は見られない。
下写真:左外閉鎖筋と左恥骨筋の間にair densityを有する軟部組織が認められる。
解答:a, e
診断:閉鎖孔ヘルニア
閉鎖管から脱出するヘルニアで稀。高齢女性に多い。
閉鎖神経の圧迫による大腿内側から下腿に至る疼痛、異常感が約半数に認められ、これをHowship-Romberg症状という。
内容は小腸が多く嵌頓しやすいために、治療は手術となる。

問題53
診断所見
CT:
小腸は拡張しair-fluid levelを形成している。
拡張した小腸の粘膜の造影効果は動脈相・平衡相ともに明らかではなく、骨盤左側には造影平衡相にて描出される腸管が認められる。
腹水を伴っている。
解答:c
診断:絞扼性小腸閉塞症
小腸の拡張とDynamic studyによる血流情報の解析が大切である。粘膜の造影効果が不明瞭であり、血流途絶による腸管壊死が示唆される。腹水は腸管壊死による腸液の漏出または炎症による反応性と考える。
通常の検査で骨盤部を含めDynamic studyを施行するかは疑問。

問題54
診断所見
経口小腸造影: 回腸末端に拡張した腸管と不整形の潰瘍が認められる。
腹部造影CT: 小腸は限局性に拡張し、壁は不整に肥厚し強く造影される。
いわゆるaneurysmal dilatationの所見である。
解答:c
診断:小腸悪性リンパ腫
小腸悪性腫瘍の中ではカルチノイド、癌に次いで頻度が高く、消化管悪性リンパ腫の中では胃に次いで頻度が高い。特に回盲弁より40cm以内が好発部位と報告されている。アウエルバッハ神経叢浸潤によるaneurysmal dilatationが特徴的である。

以上、52〜54は黒木嘉典会員(国立がんセンター東病院)

55.
解答:c
解説:
 呈示されているのは腹部造影CTである。腹部大動脈〜腎動脈は高濃度を呈し、造影早期相と考えられる。両側の腎臓は萎縮し、小嚢胞
を多数認める。長期透析に伴うAcquired renal cystic disease (Acquired cystic disease of the kidney: ACDKとも言う)が示
唆される所見である。右腎には不均一な濃染像を呈する腫瘤を認め、透析により高リスクとなるRCCの合併が疑われる。
 ACDKは長期間の透析を受けている腎不全患者に認められ、多発性の小嚢胞を認める病態であり、透析期間が長くなるにつれて発生頻度
は高く、5-10年の透析歴では90%以上に認めるといわれる。嚢胞内出血の頻度も高い。RCCは通常の6-7倍の頻度で
発生し、時に多発をみる。
 Autosomal dominant polycystic kidneyは常染色体優性嚢胞腎(成人型)であり、腎臓の皮質および髄質に多数の嚢胞形成を認める。
嚢胞は徐々に増加・増大し、それにつれて腎機能も低下がみられ、40代くらいで腎不全になることが多い。多数の嚢胞形成とともに腎臓は
腫大する。経過や画像所見より、本例には合致しないものと思われる。
 Multilocular cystic nephromaは乳幼児および中高年に好発する良性の嚢胞性疾患で、片側・孤立性に認められる。画像上は比較的大
きな多房性腫瘤として認められ、本例とは合致しない。
 Angiomyolipoma(血管筋脂肪腫)は良性の間葉系腫瘍で、腫瘤内に脂肪を認めることが多い。本例では明らかな脂肪成分は指摘でき
ず、病歴等からも積極的に示唆するものはない。

56.
解答:c
解説:
 呈示されているのは排泄性腎盂尿路造影、右腎レベルでの単純および 造影CTである。造影CTでは腹部大動脈および下大静脈はともに造影効果を認め、右腎は皮質および髄質がともに造影されており、 静脈相〜平衡相あたりの時相で撮像されているものと考えられる。排泄性腎盂尿路造影では腎盂〜腎杯の軽度拡張を認め、腎盂内に腫瘤様の陰 影欠損像を認める。単純CTで拡張した腎盂は実質と同程度の軟部 濃度を呈し、造影にて不均一な造影効果を呈し実質内に連続する腫瘤として描出されている。実質は髄質〜皮質にかけて断裂像を呈する。以上 の所見より、まずは実質浸潤を伴った腎盂癌が考えられる。造影効果を 伴った腫瘤形成より、尿管結石および慢性腎盂腎炎は否定できる。腎細 胞癌および転移性腫瘍も否定はできないが、腎盂内の腫瘤形成は非典型 的と思われる。

57.
解答:d
解説:
 呈示されているのは腎臓レベルでのMRI(FSE法T2強調横 断像およびGE法T1強調横断像: in phase画像および out of phase画像)である。左腎にT2強調像にて高信号を 呈する円形の腫瘤を認め、in phaseでは実質と同程度の低信号を 呈し、out of phaseで相対的に実質より低信号として描出されて いる。従って、この腫瘤内には脂質成分が含まれていると考えられる。 選択枝の中では、淡明細胞癌が合致する。

58.
解答:b
解説:
 呈示されているのは副腎レベルでのMRI(T1強調横断像および T2強調横断像)、131I-アドステロールによる副腎皮質シン チグラフィである。副腎は両側性に本来の形状を保った多結節状の腫大 を認め、シンチグラフィでは両側性のRI集積がみられる。肥満、 高血圧、皮膚線条などの臨床所見からはCushing症候群が疑われ る。
 選択枝にあるAIMAHとPPNADは両側の副腎病変を認める特 殊型のCushing症候群である。AIMAHは両側の副腎が本来の 形状を保って腫大し、3cm程度までの結節が多発する。画像所見 および臨床所見(Cushing症候群や易出血性)が合致する。
PPNADは2-5mm程度の小結節が両側に多発し、副腎自体の腫大は伴 わないので、本例とは合致しない。Cushing病で認められる下垂 体腺腫による両側副腎過形成は本例のような多結節状の形態を呈さな い。副腎癌もCushing症候群を呈することがあるが、通常は片側 性の大きな腫瘤として認められる。

以上、55〜58は竹内麻由美会員(徳島大学)

59. 14歳男子。
a. M_ller管嚢胞
b. 精嚢嚢胞
c. リンパ管腫
d. 奇形腫
e. 神経鞘腫

画像所見
右骨盤腔内に嚢胞性腫瘤、内部に線状の隔壁様構造。病変は頭側にむかって牽引されたような形状を示すことから、腸間膜由来のリンパ管腫が疑われる。腸間膜においては境界不明瞭な腫瘤を形成することが多いが、
M_ller管嚢胞は通常、前立腺に発生するので、膀胱を頭側に圧排する。精嚢嚢胞は、今回の画像から精嚢由来か否かを判断するには矢状断の画像では不十分と思われるが、水平断像では右前方に進展しており、精嚢由来とは考えがたい。また、精嚢嚢胞は高頻度に腎欠損、異所性尿管開口などの非尿生殖器系の異常を伴う頻度が高い。奇形腫は女性では卵巣に好発するが、男性では骨盤腔内の発生は極めて稀である。神経鞘腫は神経孔との関係が認められず、骨盤壁というよりは腹腔内の病変と考えられることから、否定的と思われる。選択肢にM_ller管嚢胞や精嚢嚢胞を含むのであれば、前立腺や精嚢との位置関係がわかるような画像が望まれる。鑑別に挙がる選択肢はいずれも良性疾患であるが、かなり稀な病態も含まれる。結果として、Film interpretation級の難問となっていると思われる。
解答;c

60. 45歳 女性
a. ホルモン療法で容易に完治する ×
b. チョコレート嚢胞としばしば合併する ○
c. 本症例でDouglas窩癒着は見られない ×
d. 放置すると悪性化する危険が高い ×
e. 月経困難症を主訴とする ○

画像所見
子宮後壁は境界不明瞭な低信号の腫瘤により腫大しており、その内部には内膜と同等の信号を呈する高信号が認められ、腺筋症と考えられる。また、子宮背側の漿膜面には線維化によると思われる索状の低信号が認められ、子宮後膣円蓋の挙上も認められることから、骨盤内膜症が示唆される。この問題に関しては、設問によっては、その対象が腺筋症なのか、あるいは骨盤内膜症なのかわからないが、いずれにせよa.c.dが明らかに誤りであるので、解答には問題ないと思われる。腺筋症から子宮体癌が発生してくることは認識しておく必要があるが、その頻度は非常に稀である。
解答;b, e

以上、59〜60は小山 貴 会員(京都大学)

61.
15O-PET画像では、右大脳半球後部(posterior watershed area)のCBF低下、OEF上昇、CBV上昇を認め、CMRO2には明らかな左右差を認めない。下に示す図(「最新脳SPECT/PETの臨床」より改変)のうち、Aの領域に属し、脳血流量の低下に対し、脳組織が酸素摂取率を増加させることで酸素消費を保っている状態と考える。脳血流量の低下からluxury perfusion、post-ischemic hyperperfusionは否定的で、misery perfusionと考える。ischemic penumbraは梗塞周囲に存在する比較的軽い障害領域を示すものであり、今回の画像ではCMRO2が保たれていることから、虚血による障害はまだ発生していないと思われ、ischemic penumbraの存在は否定的と考える。CBV上昇はvasodilatationによる側副血行の発達を示す所見と考える。以上から回答はc. misery perfusion、e. vasodilatationと考える。



62.
提示されている脳血流SPECT画像、統計画像で認められる特徴は、後頭葉の集積低下が強いことである。
選択肢にある疾患の脳血流SPECT所見の特徴は、
a. アルツハイマー病 :側頭頭頂連合野、後部帯状回の集積低下
b. レビー小体型認知症 :後頭葉の集積低下
c. 進行性核上性麻痺 :間脳、基底核、両側前頭葉の集積低下
d. ピック病 :前頭葉、側頭葉の集積低下
e. オリーブ・橋・小脳変性症 :小脳の血流低下
であり、以上から回答はb. レビー小体型認知症と考える。
問題文にある幻視はレビー小体型認知症に特徴的な臨床症状である。

63.
問題文からは痴呆性疾患が示唆される。提示されているFDG-PET画像では側頭葉、頭頂葉の集積低下を認める。3D-SSP画像では後部帯状回の集積低下を認める。側頭頭頂連合野、後部帯状回の集積低下が軽症アルツハイマー病の所見であることを知っていれば回答は困難でないであろう。回答はc. 後頭葉、d. 前部帯状回と考える。

以上、61〜63.は坂本 雅彦会員(奈良県立奈良病院)

設問 64
解答 b
注釈:
 4 時間後像で心尖部の集積亢進は明らかであり、心尖部肥大型心筋症の診断は比較的容易であると考えられる。肥大部の集積が亢進しているのは心筋灌流そのものが増加しているわけではなく、部分容積効果により非肥大部に比べ相対的に集積が高く見えるためである。運動負荷時像は一見正常であるが、4 時間後像と比較すると心尖部(肥厚部)には再分布が見られ、これは心筋肥大に伴う相対的な血流低下や微小循環障害に伴う心筋虚血によるものと考えられている。
 4 時間後像にて心基部側の集積は相対的に低下して見えるが、冠動脈の支配領域に一致せず、虚血性心疾患は否定できる。



設問 65
解答 d
注釈:
 負荷時像にて前壁中隔から心尖部にかけて集積低下を認め、4 時間後像にて同部位の集積はより低下し、ブルズアイ表示でも同部の洗い出し亢進が示されている。これを逆再分布といい、血行再建術に成功した場合に見られる現象で、逆再分布を示す領域の心筋生存能は保たれており術後の機能回復を期待できる。強いダメージを受けたために心筋細胞のタリウム保持能が傷害されていることを反映すると考えられている。
 本症例では下壁の集積も低下して見えるが明らかな虚血性変化は示さず、深部減衰に伴う疑陽性所見の可能性がある。また血行再建成功後も脂肪酸代謝障害は遷延して認められるため、BMIPP シンチは傷害心筋のメモリーイメージングに用いられる。

以上、64〜65は鳥羽 正浩会員(日本医科大学附属多摩永山病院)

66.
1 診断所見
病歴の動作緩慢、安静時振戦、固縮よりまずパーキンソン病が思い浮かぶ。
a. 123I-MIBGは交感神経イメージング剤である。そのため交感神経系に直接影響する薬剤(三環系抗うつ薬など)は検査前に中止する。
b. 早期像、後期像ともに心筋への集積は全く認められず、心筋/縦隔摂取比は異常低値を示している。
c. 123I-MIBGは肝にもよく取り込まれる。
d. 心筋への集積は早期像、後期像ともに全く認められない。
e. パーキンソン病では123I-MIBGの集積低下がよくみられる。

2 解答:c, d

67.
1 診断所見
甲状腺全摘出後の甲状腺癌転移巣に対する131I内照射療法後のシンチグラムである。131I内照射療法の適応は分化型甲状腺癌である乳頭癌、濾胞癌である。髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫は、131Iの取り込みがないため内照射療法の適応はない。呈示症例は肺や骨への転移巣への131Iの取り込みがみられている。解答の乳頭癌、濾胞癌で迷うところであるが、骨転移は濾胞癌に多くみられることより濾胞癌としたい。

2 解答:b

68.
1 診断所見
a. 131I-MIBGは心筋も描出されることが多い。逆に131I-MIBGの強い取り込みのある腫瘍が存在すると、代償的に心筋への取り込みが減少して心筋が描出しないことがあるが、心筋への集積がみられるからといって、再発が否定できるわけではない。
b. 肺への異常集積はみられない。
c. 骨への異常集積はみられない。
d. 131I-MIBGは正常でも肝臓に集積するが、呈示症例は肝臓に局所的に強い集積がみられ肝転移が疑われる。
e. MENaは甲状腺髄様癌、副腎褐色細胞腫、副甲状腺腫瘍の合併する症候群である。甲状腺髄様癌にも131I-MIBGの集積がみられるが、呈示症例は甲状腺部分には異常集積を認めない。

2 解答:d

69.
1 診断所見
呈示画像は骨シンチグラムである。慢性腎不全では続発性副甲状腺機能亢進症を発症しやすい。この場合、骨代謝が亢進し骨シンチ製剤の全身骨への集積上昇や肺や胃、筋肉など軟部組織や異所性石灰化部などへの集積上昇を認める。
a. 肺への集積は異所性石灰化のためと考えられる。
b. 関節近傍に異所性石灰化のためと考えられる集積がみられる。
c. 胃にも異所性石灰化がおこりやすい。遊離した99mTcは胃の他、甲状腺や唾液腺にも集積する。呈示症例では胃の描出がみられるが、甲状腺や唾液腺の描出はみられず、胃への集積が遊離した99mTcによるものとは考えにくい。
d. 大腿骨頭部ではなく股関節部への集積と考えられ、関節への異所性石灰化のためと考えられる。
e. 体内の吸収体によるアーチファクトとしてよくみられるものにペースメーカーがある。通常ペースメーカーは右利きの人では左胸部に埋め込まれることが多いようだが、左利きでは右胸部に埋め込まれることが多いようである。ペースメーカー以外で胸部に呈示画像のようなアーチファクトとなりうるものとして、リザーバーが考えられる。呈示画像のみで、吸収体がペースメーカーなのかリザーバーなのか、または他の何らかの吸収体によるものかは不明であると思われるが、他の選択肢とのかねあいより正解とした。

2 解答:b, e

70.
1 診断所見
a. 両肋骨に微小骨折と考えられる小さな集積がみられる。
b. 骨粗鬆症では骨シンチグラフィで特徴的集積パターンを示さず骨粗鬆症の診断に骨シンチグラフィが用いられることは少ないが、骨粗鬆症に伴う胸腰椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折などの病変を感度よく捉えることができる。呈示画像では、胸椎の圧迫骨折もみられ、また骨密度の低値が指摘されており骨粗鬆症と考えられるのであろう。
c. 胸椎に圧迫骨折がみられる。
d. 副甲状腺機能亢進症では頭蓋骨を始め全身骨への骨シンチ製剤の集積亢進を認める。呈示画像では、その所見はみられない。
e. 仙椎に集積がみられ不全骨折が考えられる。

2 解答:d

以上、66〜70は山本由佳会員(香川大学)

71.
解答:dとe
肝・胆道シンチグラフィでは、早期像にて肝左葉の大きな腫瘤に正常肝よりも強い集積を認め、40分後の排泄相にて腫瘤への集積が相対的に明瞭になっている。2時間後のSPECT像にて、肝実質の集積はわずかとなっているのに対して、腫瘤全体への集積残存が明らかである。肝・胆道シンチグラフィで集積するためには、肝細胞の性質が必要である。
a. ×:通常の肝嚢胞は、胆道と交通がないので、描出されない。しかし、bilomaには胆汁が貯留するので鑑別できる。
b. ×:炎症が強く、血流が増加すれば、膿瘍周囲の早期集積が増加する可能性はあるが、通常では経時的に集積が増強することはない。
c. ×:転移性肝癌では、集積欠損となる。
d. ○:分化度の高い肝細胞癌では、肝細胞の性質を持っており、腫瘍集積が認められることがある。このため、肝胆道シンチグラフィ製剤による全身像で肝細胞癌の転移性骨転移の検索に有用な場合がある。しかし、原発性肝細胞癌では、多くの場合で通常の肝組織と比較して集積が低く、集積低下として認められる。この症例の様にはっきりと集積することは希である。
e. ○:良性病変である限局性結節性過形成では、肝細胞が豊富にあるので、正常肝組織よりも高い集積が認められることが多い。特に、排泄相で集積が明瞭となる。

72.
解答:bとc
投与後32分間の連続像では、左上から下腹部に帯状の淡い集積を認め、経時的に明瞭化している。3時間像では骨盤内に集積が強く、左腹部に小腸と思われる消化管内放射能が認められる。さらに、24時間後像では、大腸が明瞭に描出されている。小腸下部からの持続的出血が疑われ、この放射能が経時的に下流へ流れて、3時間後に骨盤内小腸が描出され、24時間後には大腸が描出されている。
a. ×:早期から小腸描出の経時的増強を認めるので、持続的出血を疑う。
b. ○:回腸出血の可能性が高い。
c. ○:検査後早期から小腸の描出がある。
d. ×:24時間像での横行結腸の描出は、上流から流れた放射能のためであり、横行結腸からの出血を必ずしも意味しない。むしろ、3時間後像で小腸内に多くの放射能を認めることから、これが下流へ流れてきたと考えるのが自然である。
e. ×:小腸下部からの出血と考えれば、通常の上部消化管内視鏡で出血点を見つけられる可能性は低い。

73.
解答:dとe
FDG PET前面像では、脳、扁桃、心、腎、尿路系の生理的集積の他に、骨盤内右側に腫瘤状集積を認める。閉経前の女性では、卵巣の生理的集積を認めることが多い。また、両側見えることもある。本症例では右側のみ腫瘤状であり、腫瘍の可能性も否定はできないが、この程度の大きさでは、排卵後の生理的集積と捉えた方が正しい確立が高いと思われる。月経の時期を問診すると排卵後の生理的集積は推定可能である。
a. △:一側の腫瘤状集積なので、PET画像のみでは卵巣悪性腫瘍の可能性を否定しきれないと思われる。ただし、集積がそれほど強くないことから推察する。
b. ×:骨盤内集積を、PET画像のみで異常なしとは断言できないであろう。
c. ×:肝への異常集積は指摘できない。
d. ○:PETの前面像のみでは、集積が骨盤骨か否かが判断できない。乳癌の骨転移は否定できないであろう。
e. ○:卵巣の生理的集積としては、やや大きく、腫瘤状である。しかし、排卵後では、このように見えることも考えられる。卵巣の重複癌よりは生理的集積を考える方が妥当であろう。しかし、他の疾患の可能性もあるので、MRI等で確認した方がよいと思われる。

74.
解答:bとc
Dynamic CT画像では、膵管の拡張と膵尾部に腫瘤状の造影の不良な領域を認める。FDG PET画像では、膵尾部に淡い結節状集積を認める。しかし、症例の全身像を注意してみると、脳の生理的集積が肝臓に近いほど低下しているのが分かる。これは、高血糖状態を示す。高血糖では、腫瘍集積も同様に低下するので、注意しなければならない。石灰化の有無は造影のため、はっきりしないが、膵管拡張や萎縮所見から、慢性膵炎に伴う糖尿病を発症していることが示唆される。この症例の膵尾部の結節集積は脳よりも高いので、正常血糖ならば高集積に相当する。膵癌の可能性が高い。確認のため、通常ではFDG投与直前の血糖を測定する。
a. ×:径が約1cm以上あれば、多くの充実性の膵癌では、通常FDGの強い集積が認められる。これに対して腫瘤形成性膵炎では通常集積が弱いので、鑑別に有用である。しかし、嚢胞性膵癌では集積が弱い場合も多く、鑑別が困難になることもある。また、類似疾患として自己免疫性膵炎では集積が強いことが知られており、膵癌とのFDG集積による鑑別は困難である。
b. ○:高血糖では、肝臓以外の高集積臓器の集積が低下する。膵癌へのFDG集積も低下する。
c. ○:膵尾部の腫瘤に淡いFDG集積が認められるが、正常血糖ならば高集積に相当する程度と予測される。膵癌の可能性が高いと言える。
d. ×:高血糖の場合は、強いFDG集積低下のため、SUV値自体は鑑別に役立たない。SUV値を用いる場合は、常に血糖値を確認する必要がある。
e. ×:脳集積の低下は、高血糖が原因と考えられる。腎機能にもよるが、尿排泄は、相対的に影響が小さいので相対的に高く見える。

75.
正解:aとe
FDG PET画像では、右肺野に大きな腫瘤状の強いFDG集積を認める。脳と同程度以上の集積であり、中から高分化腺癌か扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌など悪性度の高い腫瘍が示唆される。右縦隔および右鎖骨上窩に集積を認め、リンパ節転移が疑われる。胸部正中の点状集積は側面像で腫瘤の前方に見えるので、常識的に縦隔リンパ節と判断する。同様に右鎖骨上窩は鎖骨上リンパ節と判断する。右肺野には、腫瘤以外に淡い集積があるが、これは、気管支鏡検査に伴う炎症反応の疑いが高い。肺門部の集積も高くなることがあるので、気管支鏡検査や肺生検後は注意が必要である。副腎転移は、腎の生理的集積があるので、PET/CTでないと判定は困難である。TNM分類では、T2N3M0以上となる。
a. ○:PET画像には表示法や左右の表示がない。全身像の左右は心と肝の生理的集積で考えると、完全内臓逆位でないかぎり、常識的には右肺であろう。今回の核医学画像では画像上の左右の表示がないものが多いが、曖昧さを排除するためには画像の表示法あるいは左右を明示すべきであろう。
b. ×:FDG集積が強い肺癌では、高分化腺癌の可能性は低い。むしろ、確率的に中〜高分化型腺癌や扁平上皮癌などを疑うべきである。
c. ×:左腎上極の集積が少し悩ましいが、正常の腎臓の生理的集積と判断するのが妥当であろう。副腎転移は、胃や腸管、腎の生理的集積が近傍にあるので、PET/CTでないと正確な判定は困難である。
d. ×:同側鎖骨上リンパ節転移があるので、N3であり、Stage IIIB以上である。
e. ○:原発腫瘤の評価はPET画像のみでは不十分と考えられるが、常識的にはT3以下と思われる。いずれにしてもN3なので、遠隔転移がないと考えるとN3M0でStage IIIBとなる。ただし、正確には脳転移の有無は他の検査を併用しないとFDG PETのみでは困難である。

以上、71〜75は久慈一英会員(埼玉医科大学)

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