放射線科専門医認定一次試験 解答 81~100

81. 解答 d
a. ×:大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアの1~4%。
b. ×:盲腸周囲ヘルニアは内ヘルニアの13%。
c. ×:腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの8%。但し、小児の先天性内ヘルニアの中では最多。
d. ○:傍十二指腸ヘルニアが内ヘルニアの53%を占める。このうち、左が3/4、右が1/4。
e. ×:子宮広間膜ヘルニアは、極めて稀。

82. 解答 b、 c
a. ○:acquired cystic disease of kidneyは非遺伝性。腎癌の発生母地となる。
b. ×:adrenal myelolipomaは悪性化はしない。
c. ×:polycystic disease(adult type / autosomal dominant)では30%に脳動脈瘤を合併し、その約1/3が破裂により死亡。
d. ○:medullary sponge kidneyでは、腎盂造影で、拡張した集合管が描出され、腎杯から連続して刷毛で書いたような細かい線状影がみられる。
e. ○:adrenal adenomaの微量の脂肪を検出するのに用いる。

83. 解答 c、 d
a. ×:腎盂癌はhypovascular。
b. ×:集合管(Bellini管)に類似した組織からなる腎の悪性腫瘍。浸潤性で、髄質を中心とした発育を示すが、病変部はhypovascular。
c、d. ○:腎細胞癌には淡明細胞癌、顆粒細胞癌、嫌色素性細胞癌、紡錘細胞癌、乳頭状腎細胞癌などがある。90%以上はhypervascularであるが、乳頭状腎細胞癌は殆どがhypovascular。
e. ×:オンコサイトーマは、血管造影上、車軸状の腫瘍血管が特徴的とされる。

84. 解答 c
a. ×:子宮頸部に生じる。
b. ×:Skene腺は男性の前立腺に相当。女性の尿道の両側にこれと平行して走る管状腺。尿道口の両側に開口しており、副尿道あるいは尿道傍管という。
c. ○:前立腺の嚢胞性疾患。他に前立腺・精嚢にできる嚢胞としては、前立腺小室嚢胞、射精管嚢胞、精嚢嚢胞、貯留性嚢胞、前立腺肥大の嚢胞変性などがある。
d. ×:Wolff管の遺残のGartner管から発生する貯留嚢腫で腟壁にみられる。
e. ×:尿生殖洞からの大前庭腺はBartholin腺と呼ばれ男性のカウパー腺に相当する。

85. 解答 d、 e
a. ×:高信号を呈する。
b. ×:淡い高信号を呈する。
c. ×:高信号を呈する。
d. ○:子宮頸癌で全周性に保たれていれば、Stage Ib(defunitive)。
e. ○:子宮体癌で、junctional zoneが断裂していればStage Ib以上。

以上、81~85は 前田 隆樹 会員(兵庫県立がんセンター)

86. 解答 a、 b、
a. 正:α線の水中、生体内での飛程は数ミクロン程度で体外まで出てこないので核医学イメージングには使えない。
b. 正:β線の水中、生体内での飛程は数mm程度で体外まで出てこないので核医学イメージングには使えない。
c. 誤:SPECT用核種の主な放射線である。
d. 誤:Tl-201では70keV程度の水銀X線をイメージングに使う。
e. 誤:PET用核種の放射線である。

87. 解答 a
a. 正:副腎癌にはMIBGは集積しない。
b-e. 誤:褐色細胞腫、カルチノイド、神経芽細胞腫、甲状腺髄様癌にはMIBGは集積する。

88. 解答  d
一般に悪性腫瘍のFDG集積は高くなるが、高分化型肝細胞癌では脱リン酸化酵素活性により取り込んだFDGを排泄するのでFDG集積は低くなる。

89. 解答  e
a. 誤:膿瘍では腫瘍と同様にFDG集積が高くなり鑑別は困難である。
b. 誤:放射線壊死ではFDG集積が低くなり腫瘍再発との鑑別に有用である。
c. 誤:FDG投与後に視覚刺激や聴覚刺激があると視覚野(後頭葉)や聴覚野(側頭葉)の集
積が増加しやすい。
d. 誤:発作間欠期の側頭葉てんかん病巣の検出率は74.4%である。
e. 正 

90. 解答  b
a. 誤:I-123-MIBG:交感神経末端のuptake-1機構
b. 正
c. 誤:Tc-99m-MDP:ハイドロキシアパタイトへの化学的吸着
d. 誤:F-18-FDG:糖代謝、グルコーストランスポーター
e. 誤:C-11-メチオニン:アミノ酸代謝、中性アミノ酸トランスポーター

以上、86~90は 河野 匡哉 会員 (金沢循環器病院)

91. 解答 c
 cのI-131 NaIは甲状腺シンチグラフィに用いられ、I-123 NaI、I-131 NaIいずれを使用する場合も前処置としてヨード制限を行う。現在はI-131 NaIの使用は限定されており、甲状腺癌術後の転移検索やヨード内用療法に先立って行われるのが大半である。
 I-123とI-131を混同しないように。a~eのtracerの質量数が123か131か確認すること。
なお、副腎皮質および髄質シンチグラフィ(I-131 adosterol、I-131 MIBG)では前処置として甲状腺ブロックのため前処置としてヨードを投与する。

92. 解答 b
a. どの製剤も初回循環にて大半が脳に摂取される。
b. 2-4時間後に30-40%が骨に集積し、50%以上が尿中に排泄される。
c. 正確な集積機序や体内動態が解明されていないが、トランスフェリンの関与が大きいとされる。
d. TlはKと同様の挙動を示すとされ、Na-Kポンプにより細胞内に取り込まれる。
e. ヨードは消化管から吸収され血中へ移行し、ヨードイオンは甲状腺に能動的に取り込まれる。排泄は腎尿路経由。
以上から、薬剤の体内動態が腎機能に左右されやすいのはb、eに絞られるが、基本的にeは甲状腺局所の撮像、bは全身の撮像であり、画像のRI分布に影響を受けやすいのはbと思われる。

93. 解答 e
 特異的な所見なので、おぼえてください。(その他oncocytomaも陽性に描出される。)ほかの唾液腺腫瘍では欠損像を示す。

94. 解答 e
a、b、cはこの通り。
d. I-131 3700MBqに含まれる無機ヨードの量は約10μg。成人必要量は約150μg。また、ヨードアレルギーの副作用は皮膚からの摂取でもっとも症状が大きく、内服では小さいとされる。薬剤添付文書の禁忌事項には該当せず、核医学会のガイドラインには記載がない。メーカーに問い合わせたところ、絶対安全とはいえませんという回答であったが、日本ラジオロジー協会発行の「ラジオロジー」2005年No.5のp2でガイドライン作成者の一人によればアレルギーの方でも副作用の心配はないとのことであり、正答とした。
e. 甲状腺癌の再発や浸潤病巣の残存、遠隔転移などに対する、いわゆる狭義の治療では甲状腺の全摘が必須。残存甲状腺の廃絶を目的とするablationも広義の放射線ヨード治療である。よって、eが誤りとした。詳細は成書を参照のこと。

95. 解答 c、e
Tc-99m-O4-は唾液腺シンチグラフィや異所性胃粘膜シンチグラフィで用いられるように、唾液腺や胃粘膜に生理的に集積する。

以上、91~95は 鈴木 加代 会員(兵庫県立がんセンター)

96. 解答 d
a. ×:右左短絡があると脳や腎が描出されるが、上大静脈症候群で脳が描出されることはない。
b. ×:Tc-99m-MAAの粒子径は約10~50μm
c. ×:ストライプサインとは、血流欠損部の辺縁に認められる帯状の血流残存領域。慢性閉塞性肺疾患で高率に認められるが、肺塞栓症でこの所見を認めることはほとんどない。
d. ◯:肺血栓塞栓症では換気正常、血流欠損という、換気・血流ミスマッチが特徴。
e. ×:深吸気で息止めを行うと、一時的に胸腔内圧が上がり、右心圧>左心圧となって、卵円孔開存のある患者などでは右左短絡を来してしまう。通常静注は、安静呼吸下で行う。

97. 解答  d
僧帽弁狭窄症逆流の手術適応は心エコーによる左室収縮末期径、左室駆出率を用いた重症度評価や心不全徴候または症状の有無により成される。

98. 解答  a、d
a. ×:FDG-PETは悪性リンパ腫の骨髄浸潤の診断に有効である。(Moog F、 et al. FDG PET can replace bone scintigraphy in primary staging of malignant lymphoma. J Nucl Med 1999:40:1407 -1413)
b. ◯:FDG-PETは悪性リンパ腫の病期診断、治療効果の判定に有用である。
c. △: Meningeal lymphomaの診断に有用との報告はあるが、硬膜浸潤は??。
d. ×:リンパ節病変におけるFDGの高集積は悪性リンパ腫に特異的ではない。
e. △:FDG集積(SUV)と悪性リンパ腫の組織学的悪性度はある程度は相関しているが、高悪性度でもFDG集積が低い症例やその逆も存在する。

99. 解答  b、c
FDG-PETの保険適応疾患は虚血性心疾患、てんかん、脳腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵癌、転移性肝腫瘍、食道癌、大腸癌、悪性リンパ腫、黒色腫、原発不明癌、子宮癌、卵巣癌である。
保険未適応だが有用性が高いのが、痴呆性疾患、不明熱、骨髄炎、多発性骨髄腫、精巣癌、軟部肉腫、小児腫瘍、GIST。
有用だがFDGが第一選択ではないのが、甲状腺癌(131I)、神経芽細胞腫、褐色細胞種(123I-MIBG)
有用性が低いのが、胃癌(正常でも胃にかなり集積するため)、腎癌、膀胱癌、前立腺癌(FDGは尿に排泄されるため)。

100. 解答  e
リンパ節転移は、腫瘍から流出するリンパ流が最初に経由するリンパ節から始まると考えられ、このリンパ節(センチネルリンパ節)における転移の有無は、より下流のリンパ節への転移の指標となりうる。したがって、このセンチネルリンパ節を同定し、その組織学的な転移の有無を評価すれば、個々の症例に応じた適切なリンパ節郭清の範囲が決定できる。
99mTc標識アルブミンあるいは 99m Tc標識スズコロイドを用いる。
a. ×:RI検査室でRIの注射とPlanar像の撮影を行うが、センチネルリンパ節の同定は術中に小型ガンマ線検出装置(ガンマプローブ)を用いて行う。
b. ×:目的はセンチネルリンパ節の同定であって、転移の有無は組織学的に成される。
c. ×:対象は、乳癌、悪性黒色腫をはじめ、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、胆嚢・胆管癌、頭頸部癌、泌尿生殖器癌など。
d. ×:腫瘍から流出するリンパ流が最初に経由するリンパ節であって、必ずしも最も近接しているとは限らない。
e. ◯:99mTc標識アルブミンに比べて99mTc標識スズコロイドは大粒子径である。
日本国内で販売されているRIトレーサーとしては
99mTc-HSA(テクネ・アルブミンキット):粒子径2~3nm
99mTc-Tin colloid(スズコロイドTc-99m注調整用キット):粒子径400~5000μm
99mTc-Phytate(テクネ・フチン酸キット):粒子径200~1000μm

以上、96~100は 堀 祐郎 会員(国立循環器病センター)

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