放射線科専門医認定二次試験(診断・核)解答 31〜75

31.解答 b
(診断所見)左房内腔に石灰化伴う分葉状卵円形腫瘤を認める。腫瘤は一部僧帽弁にはまり込んでいる。腫瘤は、心房中隔に付着しており、造影効果は乏しい。左房拡大は認めない。左房粘液腫が疑われる所見である。粘液腫は最も頻度の高い原発性良性心臓腫瘍で、やや女性に多く、60%が左房に認められる。左房血栓は、通常、僧帽弁疾患に伴って認められ、左房拡大を伴う。左心耳、後壁、側壁に好発する。血栓は通常造影効果を認めない。血管肉腫は右房壁に好発する。著明な造影効果を伴う。転移性心臓腫瘍は、原発性心腫瘍より遙かに頻度が高い。担癌患者におこり、肺癌が原発巣として多い。血性の心嚢液を伴うことも多い。原発性心臓悪性リンパ腫は、右房に好発し、心膜、複数の心腔に及ぶことが多い。免疫不全患者の発生が多い。

32.解答 d
(診断所見)右肺は小さく心陰影は右方へ変位している。右下肺野に垂直方向に走行する異常血管を認める。部分肺静脈潅流異常の一型であるscimitar syndromeと思われる。scimitar syndromeでは、右肺低形成を伴い、異常肺静脈潅流が右横隔膜下、IVCへむかう。異常肺静脈が肝静脈、門脈や右房に還流することもある。肺分画症は、気管気管支系と交通を持たない肺組織で体循環より血流を受ける。肺葉内と肺葉外に分けられる。肺葉内が多い。左下葉に好発する。分画肺は正常気管支との交通が無く、含気が無いため腫瘤影を呈する。肺動静脈瘻は胎児期の肺の毛細血管形成異常のため肺動脈と肺静脈に短絡が起こる疾患である。結節性病変に連続する拡張した流入動脈および流出静脈が認められる。横隔膜ヘルニアは、腹腔臓器が横隔膜の裂隙より胸腔へ脱出した状態である。Morgagni孔ヘルニアは、右側に好発する。Bochdalek孔ヘルニアは左側に好発する。肺底区肺動脈大動脈起始症は、異常な体循環からの血流が正常肺組織を還流するものである。

33.解答 e
(診断所見)右室拡大を認める。心外膜下脂肪の増加、心室中隔右室側に脂肪を認める。右室自由壁は、波状を呈する。不整脈源性右室心筋症の所見である。不整脈源性右室心筋症は、右室心筋が脂肪繊維組織で置換され、心室性頻拍を生じ、突然死や心不全の原因となる疾患である。病理学的特徴は、進行性に右室心筋細胞が脂肪・繊維組織に置き換わることであり、右室流出路、右室心尖部、三尖弁下の下壁に好発する。右室拡大が診断基準の大基準に含まれる。右室拡大は、右室の左室に対する拡張末期心腔内径の比が0.5以上で診断できる。肺塞栓症としては、肺動脈内血栓の描出がない。拡張型心筋症では、左室、または両心室の拡大を認めるが、心外膜下脂肪の増加や波状を呈する右室自由壁は、認められない。心筋内脂肪は存在することもある。Ebstein奇形では、三尖弁の一部が、右室壁に付着し、三尖弁機能不全を呈し、右房拡大が著明である。アミロイドーシスでは、内腔の拡張を伴わない壁肥厚を呈し、拡張不全を呈する。

34.解答 b
(診断所見)大動脈弓左側に血管構造を認める。左上大静脈遺残の症例である。左上大静脈遺残は、本来なら消失している上縦隔左側を下行する左上大静脈が遺残して左側頭頸部、左上肢の血流を心臓へ還流する状態である。左上大静脈からの血流は斜静脈、冠静脈洞を介して右房へ入る。右上大静脈はやや小さい。

35.解答 d
(診断所見)上行大動脈から下行大動脈、腹部大動脈に血栓化した解離腔を認める。血栓閉鎖型大動脈解離である。Stanford分類では、上行大動脈に病変があるものをA型、ないものをB型とし、大動脈弁、頸動脈が侵される可能性のあるA型を緊急手術の適応とした。DeBakey分類では、上行、下行大動脈共に侵される?型、上行大動脈が侵される?型は緊急手術の適応となる。高血圧、動脈硬化、外傷、などが原因になりうる。大動脈内膜の剥離と偽腔形成が本態である。

36.解答 d
(診断所見)下行大動脈に嚢状の大動脈瘤を認める。周囲には厚い軟部陰影が認められ、動脈壁の構造が判然としない。病変内背側に三日月状高濃度域を認める。左胸水を少量認める。発熱があり、感染性大動脈瘤が正解と思われる。下行大動脈瘤破裂、仮性動脈瘤形成(contained rupture)や、潰瘍状突出を伴った血栓閉鎖型大動脈解離も鑑別診断に挙がる。画像だけでは、難しい症例と思われる。感染徴候を有する症例で大動脈瘤が見つかった場合、感染性動脈瘤を考慮に入れる必要がある。形態的には嚢状瘤であることが多い。破裂して血腫を伴うことが多い。

以上、31〜36は 高桜竜太郎 会員(滋賀医科大学放射線科)

37. 2ヶ月の乳児の腎疾患の画像所見を問う問題である。

【診断所見】
写真左の単純CTでは、左腎はほぼ正常の形態と大きさで描出されているが、右腎には大小様々な多数の円形の境界明瞭な低吸収域が認められる。一方、写真右の99mTc-MAG3によるレノグラムのplanar像では、腎は片側しか描出されていない。背側からの収集画像と思われ左右の区別に悩むが、CTとあわせて考えれば描出されているのが左腎であり、右腎は全く描出されていないものと判断できる。よって右腎に多数の嚢胞性病変を伴い、ほぼ無機能の腎疾患が存在することがわかる。乳児でこのような画像を見た場合には、多嚢胞性異形成腎と水腎症を考慮する必要がある。
水腎症では嚢胞性病変に見える部分は拡大した腎杯であり、それらは腎門部で拡大した腎盂と交通している。また菲薄化した実質部分には機能が残存しており、レノグラムでは多少なりとも集積が得られることがほとんどである。他方、多嚢胞性異形成腎では、実質に存在する嚢胞が互いに交通せず、残存しているように見える実質部分にも通常は機能は存在しない。よって本例は多嚢胞性異形成腎の可能性が最も高いと考えられる。

【解答】
e.多嚢胞性異形成腎

【その他コメント】
レノグラムで左腎の上極および下極に集積低下部位が見られるが、ここに何らかの病変が存在するのか否かは、ここに示された画像のみでは判断がつかない。腎芽腫は乳幼児に見られる腎腫瘍であり、典型的には充実性腫瘍だが嚢胞性成分を伴うことがあるが、残存腎に機能があることから鑑別できる。馬蹄腎は形態から否定できる。腎細胞癌は乳幼児ではきわめて稀であり、腎芽腫同様に残存腎機能から否定できる。

38. 化学療法中の幼児の肺合併症に関する画像所見を問う問題である。

【診断所見】
 胸部単純CT軸位断の肺野条件で、右上葉に円形の異常陰影が認められる。ほぼ全周性にやや厚めの壁を有し、12時から3時の方向には結節様の病変が認められる。結節様部分と壁との間は三日月型の空気の吸収値で満たされており、肺血管構造は確認できない。また液面形成なども見られない。周囲の肺野にはわずかに網状あるいはすりガラス様の濃度上昇が認められ、不完全なtarget状に見える。
 壊死組織が白血球により吸収され、梗塞に陥った中心部との間に空気が入り込んで、三日月状の透亮像を呈する所見をair crescent signと呼び、侵襲性アスペルギルス症に特徴的所見とされている。このsignの出現は、白血球により感染が回復期にあることを示すと考えられている。

【解答】
c.アスペルギルス症

【その他】
 化学療法中つまり免疫抑制状態にある幼児で、かつ抗菌剤をしようしていたにも関わらず発熱が出現したという臨床情報から、日和見感染による肺感染症が疑われる。
肺結核は幼児では通常は初期変化群結核であり、リンパ節腫大が最も重要な所見とされる。臨床所見からも、空洞形成をきたしている結核は考えにくい。Septic emboliは肺野に広範に多数の結節が散布状に見られる。クリプトコッカス症は末梢肺野に境界明瞭なmassを生じ、その15%に空洞を形成すると言われている。画像からの厳密な鑑別は困難と思われるが、前述のair crescent signに気づけばアスペルギルス症を解答とすることができる。黄色ブドウ球菌はpneumatoceleを生じる肺炎の起炎菌として小児では非常に重要であるが、日和見感染ではなく市中肺炎である。他にpneumatoceleを生じる代表起炎菌として肺炎球菌、クレプシエラが挙げられる。

【診断所見】
写真左の単純CTでは、左腎はほぼ正常の形態と大きさで描出されているが、右腎には大小様々な多数の円形の境界明瞭な低吸収域が認められる。一方、写真右の99mTc-MAG3によるレノグラムのplanar像では、腎は片側しか描出されていない。背側からの収集画像と思われ左右の区別に悩むが、CTとあわせて考えれば描出されているのが左腎であり、右腎は全く描出されていないものと判断できる。よって右腎に多数の嚢胞性病変を伴い、ほぼ無機能の腎疾患が存在することがわかる。乳児でこのような画像を見た場合には、多嚢胞性異形成腎と水腎症を考慮する必要がある。
水腎症では嚢胞性病変に見える部分は拡大した腎杯であり、それらは腎門部で拡大した腎盂と交通している。また菲薄化した実質部分には機能が残存しており、レノグラムでは多少なりとも集積が得られることがほとんどである。他方、多嚢胞性異形成腎では、実質に存在する嚢胞が互いに交通せず、残存しているように見える実質部分にも通常は機能は存在しない。よって本例は多嚢胞性異形成腎の可能性が最も高いと考えられる。

以上、37〜38は 河野 達夫 会員(獨協医科大学)

39. 解答 d
乳腺MRI 脂肪抑制T2強調矢状断像、脂肪抑制T1強調矢状断像、脂肪抑制Gd造影T1強調矢状断像が提示されている。
T2強調像では比較的均一な高信号を呈する境界明瞭な類円型腫瘤であり、spiculaを伴う頻度の高い硬癌は除外される。
Gd造影後は均一な造影効果が認められ、嚢胞も除外できる。
過誤腫は脂肪を含む腫瘤として認められるが、組織像は脂肪、腺組織、軟骨などの含有量によりさまざまである。造影効果は低い場合が多く、図のような均一な造影効果を呈する症例はまれと思われ、除外とした。
問題となるのはc.粘液癌とd.線維腺腫である。T2強調像で高信号を呈し、内部に造影効果を認める病変として粘液癌は矛盾しないが、問題の症例は造影効果が均一に強く認められる点が非典型である。
典型的な線維腺腫はT2強調像の信号が一致しないが、遅延相では造影効果が均一で比較的強く見られる点では矛盾しない。線維腺腫のT2強調像の信号は内部の組成により異なり、線維成分が多いと低信号を呈するが、粘液変性を生じている場合は高信号を呈する。内部に造影効果を有する線維性隔壁構造が疑われる点からも、変性した線維腺腫がもっとも考えやすい。

40. 解答 a、e
乳腺深部にいわゆる腫瘤像非形成性病変を認める。斑状(まだら状、豹紋状)低エコー所見の内部に点状の高信号が散見される。提示された画像では局所的な病変にみえる。
乳房超音波診断ガイドラインによれば、局所的に分布する乳腺内の斑状、まだら状、または地図状エコーはカテゴリー3と評価され、鑑別に乳腺症、非浸潤性乳管癌などがふくまれる。内部に乳管内石灰化と考えられる高エコースポットを随伴する場合は、カテゴリーが1ランクあがり、鑑別には非浸潤性乳管癌、管内成分優位の浸潤性乳管癌、浸潤性乳管癌、小葉癌などがふくまれる。
線維腺腫は境界明瞭平滑な類円形腫瘤を呈する。縦横比は小さい。
乳頭腺管癌は境界不明瞭または明瞭・粗?で後方エコーが増強することが多い。乳管内進展をきたしやすく、腫瘤に連続して索状の低エコーを認める場合もある。
乳管内乳頭腫は70-90%が中枢性に発症し、中枢性の場合多くは孤立性である。超音波所見としては周囲に拡張乳管をともなう腫瘤影として認められる。

以上、39〜40は 鈴木美奈子 会員(昭和大学横浜市北部病院放射線科)

41
所見・解説
胃噴門部付近に内腔に突出する静脈瘤を認める。胃冠状静脈及びG-R shuntと考える拡張血管も認める。
肝機能異常を来たしていることから、肝硬変に伴う門脈圧亢進症による胃静脈瘤形成症例の可能性を考える。また貧血を主訴としていることから、静脈瘤からの断続的な出血を来たしている可能性がある。

a.×内科的治療で改善できない難治性腹水をカテーテルで静脈系内に誘導する治療。http://www.mihama-med.com/denver/denver01.html参照。
b.× EVLは食道静脈瘤治療以外にも胃静脈瘤にも適応され報告も散見するが、一般的な方法ではない。
c.× 脾臓を塞栓することにより、脾静脈の還流を減少させ門脈圧は低下するが、確実に胃静脈瘤を治療できるわけではない。
d.× 門脈圧を低下させることができ、胃静脈瘤も小さくなる可能性があり有用な治療法ではあるが、確実に胃静脈瘤を治療できるわけではない。また作製したシャントの場所および大きさによっては肝性脳症をおこすことがある。まず行うべき治療ではない。
e.○ G-R shuntもあり、左腎静脈経由でballoon occlusionできそうで、まず試みるべき治療である。

42. 解答 b
所見・解説
左腎門部付近に2cm以下と考える全体が石灰化を示す動脈瘤(真性動脈瘤)を認める。
2cm以下の腹部内臓動脈瘤は基本的には経過観察となる(例外はactiveな出血を来たしている症例、妊娠時の脾動脈瘤など)。また動脈瘤が全周性に石灰化していると破裂しにくいとの報告もあるがcontroversialである。

43. 解答 b
所見
脾静脈から下腸間膜静脈、さらには後腹膜内にあると推定される静脈瘤を介し下大静脈へと還流する血流を認める。

44. 解答 c
所見・解説
肝右葉被膜下にlow densityな境界明瞭結節を認める。おそらくは脂肪濃度を示しており、macroscopicな脂肪を有する肝腫瘤の鑑別となり、選択肢の中ではHCC、pseudolipoma、angiomyolipomaである。2ヶ月と短期間に形成された病変であることを考えるとangiomyolipomaは考えづらい。またHCCは腫瘍マーカーが陰性であることだけからは否定できないが、やはり2ヶ月で病変が出現したとなるとpseudolipomaを一番に考える。

45. 解答 e
所見・解説
拡張した右肝静脈と連続する1cm程度の瘤状構造を認め、更に肝内門脈と連続している。門脈瘤の所見であり、一元的に考えると、肺に多発性結節を伴っていることからRendu-Osler-Weber病に伴う肺動静脈奇形をみている可能性が高い。

a.×:末期には肝硬変に至るが、門脈瘤形成の報告はない。特有の肺病変もない。
b.×:寄生臓器の肝、肺多発結節を示すことがあるが、門脈-肝静脈短絡を示すことは通常ない。
c.×:肝内に腺腫やlipomyomaを形成することがあるが、門脈-肝静脈短絡を示すことは通常ない。肺病変としてはlymphangiomyomatosisがみられることがある。
d.×:肝静脈及び下大静脈の狭窄・閉塞を示し、肝静脈間の側副路発達があることが特徴。Color dopplerでは肝静脈がbicoloredになることが特徴。
e.○

以上、41〜45は 渡辺 佳明 会員(自治医科大学附属さいたま医療センター放射線科)

46)肝右葉に比較的境界明瞭で辺縁平滑な巨大腫瘍が見られる。被膜構造は少なくともはっきりせず、また脂肪濃度や石灰化は同定できない。内部濃度は不均一で、単純CTにて出血を疑う淡い高吸収域も混在している。動脈相では辺縁主体に線状・点状の軽度の造影効果が見られ、後期相にても局在はやや異なるものの辺縁の造影効果が認められる。やや中心側に腫瘍血管と思われる線状の造影効果も疑われる。肝表には腫瘍からの出血と思われる液体が貯留している。
肝形態や副所見からも基礎疾患にLCはないものと思われる。
臨床経過及び画像からはこの巨大腫瘍のruptureととるのが妥当と考えられる。
その他、外側区には血管腫と思われる腫瘍も同定できる。

肝細胞癌(△);硬変肝のない若年女性である点を考慮すると、firstにするには無理があるように思われる。FL-HCCとしても分葉状形態や中心瘢痕、石灰化等の特徴的所見は見られない。
肝血管腫(△);少なくとも典型的なperipheral enhancementは呈していない。またruptureの頻度も非常に稀。
転移性肝癌(×);基礎疾患及びそれに合致する画像所見ともに認めない。
肝細胞腺種(○);若年女性の非硬変肝の巨大腫瘤、ruptureの頻度、血管腫の合併等、いずれも矛盾しない所見である。
肝血管筋脂肪腫(△);脂肪の証明ができないことだけでは完全な否定はできないものの、やはり自然破裂は極めて稀。

47)肝右葉(おそらくS5レベルか)に単純CTにて淡い低吸収、造影早期では中心の一部を除いてほぼ均一な強い造影効果を有する大きな腫瘍を認める。また明瞭なearly venous returnも見られる。平衡相では周囲肝実質に比して低吸収だが、上述の中心瘢痕様の領域のみ比較的強い造影効果が疑われる。境界明瞭、辺縁分葉状であり、脂肪や石灰化は明らかではない。
血管造影では明瞭なspoke-wheel appearanceが認められるが、中心瘢痕自体は明らかではない。
年齢的にも典型的なFNHの所見と思われる。
a.(×) b.(×) c.(×) d.(×) e.(○)

48)肝左葉外側区の大部分を占拠する巨大腫瘍を認める。単純CTでは大部分は淡い低吸収だが、出血を疑う高吸収域やwater densityに近い低吸収域も混在している。この比較的強い低吸収域は後期相まで造影効果を認めず、変性や壊死、中心瘢痕を見ているものと推測される。腫瘍全体の造影patternとしては早期相にてbright dot signが見られ、時間経過とともに明瞭なfill-inが確認できる。典型的な巨大血管腫の像と思われる。
血管腫は腫瘍が大きくなるにつれて新旧の血栓形成により血小板が過剰に消費され、血小板減少や出血傾向などのDIC症状を伴うことがあり、このような場合には治療対象となることが多い。
a.(○) b.(×) c.(×) d.(×) e.(×)

49)肝右葉後区域にやや不整形なSOLを認める。T2強調画像では周囲肝実質に比してやや低信号、SE法T1強調画像では明瞭な高信号を呈している。GRE法-T1強調画像(dual phase study)ではin phaseに比してopposed phaseにて明瞭な信号低下が見られる。これらは脂肪の存在を示唆する所見である。
高分化肝細胞癌や腺腫様過形成等の異形成性結節は腫瘍内脂肪変性や細胞密度上昇によりT1強調画像にて高信号を呈する比率が高いことが知られている。高分化肝細胞癌では金属沈着(銅)もこの一因となるとされている。
他の選択肢の腫瘍に関しては腫瘍内脂肪沈着との関連性に乏しいと思われる。尚、本症例はT2強調画像の信号強度からは異形成性結節の可能性が高いものと推測される。
a.(○) b.(×) c.(×) d.(○) e.(×)

50)胃背側に類楕円形腫瘤を認める。胃漿膜とは辛うじて脂肪織の介在が確認できる。下段のCTは副腎がintactであることを指しているようにも思われるが、sliceからも断定はできない。
造影前、造影早期及び後期相ともに内部濃度は脾臓と類似しており、特に造影早期での斑状patternは特徴的に思われる。副脾は後胃間膜内で発生する脾原基の癒合不全によって生じる脾組織塊であり、特に脾門部は副脾の好発部位として知られている。複数存在することも稀ではなく、膵尾部周囲にもしばしば見られる。その他として肝、腎、副腎、胃壁、結腸壁などからの発生報告がある。
リンパ節等の鑑別をはじめとして(造影)MRIや造影超音波もある程度は有用と思われる。ただ脾臓内の細網組織内にSPIOが取り込まれることは周知の事実であり、最も有用な検査と思われる。特にSPIO投与後のT2強調画像がT2*強調画像に比して脾臓内の信号低下が明らかであるとの報告がある。
a.(△) b.(△) c.(○) d.(△) e.(△)

以上、46〜50は 楠 直明会員(天理よろづ相談所病院 放射線科)

51. 解答: e
画像所見:肝両葉に最大径数mmの微小結節が多数見られる。造影CTで水濃度より若干高い低吸収、(脂肪抑制併用と思われる)MRI T2強調像で強い高信号、造影後T1強調像で比較的強い低信号を呈している。単純CT及び単純MRI T1強調像は提示されていないが、増強効果はないと判断してよいと思われる。以上、多発する微小嚢胞性病変の所見で、分布はランダムで特に肝内胆管に沿った分布ではない。

解説:biliary hamartomasの典型像と思われます。biliary hamartomas(胆管性過誤腫)はvon Meyenburg complexとも呼ばれ、病理学的には線維化を伴った内腔の拡張した小胆管の集簇からなる胆管の発生異常です。提示画像は増強効果の指摘できない多発する微小嚢胞性病変の所見で、a:metastases、 b:hemangiomas、 c:peliosis hepatisは考えにくい。また肝内胆管に沿った分布でないことからは、d:peribiliary cystsも考えにくい。尚、c:peliosis hepatis(肝紫斑病)は肝実質内に血液で満たされた嚢胞性病変が出現する稀な疾患で、慢性消耗性疾患やステロイド治療後等に発生することが多いとされており、画像所見は血管腫との鑑別は困難とされています。

52. 解答: a
画像所見:肝両葉に大小多数の嚢胞性病変が見られる。所見の高度な肝右葉では判断難しいが、所見の軽い左葉では嚢胞性病変は門脈に近接しているのが確認でき、この嚢胞性病変は拡張した肝内胆管である事が示唆される。脂肪抑制併用造影後T1強調像で主に右葉の嚢胞性病変内に点状の濃染構造(central dot sign)が確認できる。

解説:Caroli病の典型像と思われます。Caroli病(先天性肝内胆管拡張症)は、肝内胆管の嚢状の拡張を来たす稀な疾患(男女比3:1)で、多くは小児期から成人期に細菌の上向感染による胆管炎や肝膿瘍あるいは胆石による症状で発見されます。提示症例の臨床症状は本疾患に合致します(年齢はやや高い)。画像所見は肝内胆管の嚢状の拡張による多発性肝嚢胞性病変であり、嚢胞内部には門脈が良く増強される点状あるいは線状構造として同定され(central dot sign)、Caroli病に特徴的とされています。提示画像は典型像であり、他の選択枝を考慮する必要はないと思います。

53. 解答:e
画像所見:提示画像はMRI T2強調像のみである。膵頭部あるいは鉤部に内部に一部中等度信号を混在するものの基本的には著明高信号を呈するmassを認め、内部に一部充実成分を伴う嚢胞性病変と思われる。mass辺縁は軽度分葉状に見えるが、ぶどうの房状とは言いがたい。主膵管は全長性に軽度拡張が見られるが、上記massは提示画像で見る限りでは主膵管や総胆管との連続性は指摘できない(横断像下段にてmass背側に並んで見られる管腔構造が総胆管と主膵管の様である)。

解説:提示画像で見る限りではmassの形状はぶどうの房状とは言いがたく、また主膵管との交通の有無も言及困難であるが、massの性状は拡張した管腔内に乳頭状の腫瘤を有しているようにみえ、また主膵管の拡張を伴っており、”可能性が高いもの”ということで提示画像の全ての所見を一元的に説明可能なe:分枝型IPMNを選びます。a:仮性嚢胞は膵実質・膵周囲・主膵管に急性・慢性膵炎の所見なく、b:漿液性嚢胞腺腫は主膵管の拡張が説明できず、c:粘液性嚢胞性腫瘍は通常膵体尾に発生する線維性被膜に覆われた単発性嚢胞性病変であり、d:主膵管型IPMTは主膵管外の病変の説明ができず、各々考えにくいと思われます。

54. 解答:b
画像所見:左副腎に小結節が見られる。単純CTで軟部濃度よりも低い吸収値を呈し、脂肪の含有が示唆される。造影CTでは軽度の増強効果が見られるものの、著しい増強ではない。以上、副腎腺腫が疑われる。

解説: いわゆるincidentaloma(偶然発見される副腎腫瘤)の症例です。incidentalomaで最も多いものは無機能腺腫であり、現実的にはc:静脈血サンプリングやe:131-I adosterol シンチグラフィが必要になることはあまりないと思われるが、適切でないものを一つ選べとの事なので、最も適切でないb:副腎動脈造影を選択します。

a: 肺癌の転移性病変の検出に有用であり、適切である
b: 副腎腫瘍の質的評価には有用でなく、不適切である。
c、e: 共に副腎腺腫のホルモン産生評価の検査である。問題文のような、肺癌の病期診断目的の際の追加検査としては一般的ではないと思われるが、臨床症状如何では追加検査として施行する可能性はある。
d.: 脂肪を含有する副腎腺腫と脂肪を含有しない転移性副腎腫瘍の鑑別に非常に有用である。

55. 解答:c

以上、51〜55は 松浦 秀司 会員(九州大学)

56. 解答:b、e
診断所見:
右上部尿管の拡張が見られる。拡張した尿管は下大静脈の背側を走行、下大静脈との交叉部で狭窄しており、下部の尿管は描出が不良である。下大静脈後尿管の所見である。
診断:下大静脈後尿管 retrocaval ureter

a.正:本症は胎生期初期に下大静脈が形成される過程で、内精索静脈となるべき下主静脈 subcardinal vein (尿管の前方にある)のみが残り、発達して下大静脈となる場合に生ずる。
b.誤:本症に心奇形が高頻度に合併すると言う報告は見られない。
c.正
d.正:右尿管と右総腸骨静脈の位置関係に異常は来たさない。
e.誤?:腎機能を障害する、疼痛など症状がある、感染を反復したり、結石があるなどの場合、手術適応となる。必ずしも全例で外科手術が必要ではない。
以上、誤りを2つ選ぶとすれば解答はb、eと思われる。

57.解答:c
診断所見:
子宮体部筋層内に腫瘤が見られる。腫瘤内部はT1強調像(in phase)、T2強調像にて
全体に高信号を呈し、T1強調像(out of phase)にて全体に信号が低下している。以上
の所見から脂肪組織を含む子宮腫瘤が疑われ、選択肢の中で最も可能性が高いのは
lipoleiomyomaである。
診断:脂肪平滑筋腫 lipoleiomyoma
画像所見:腹部大動脈左側に境界明瞭なmass(サイズは2cm程であろうか?)を認める。造影CT早期相でmass辺縁と腹側半分程が近傍の腹部大動脈と同程度に非常に強く増強されており、背側半分には増強効果の明らかでない領域が見られる。遅延相ではmassの大部分は近傍の腹部大動脈とほぼ同程度の濃度を呈しているが、外側部には一部極僅かに低吸収を呈する小領域が疑われる。早期相で増強効果の明らかでない領域は遅延相にておそらく増強されているようである。明らかな石灰化や嚢胞変性・脂肪濃度は指摘できない。

解説:極めてhypervascularな後腹膜腫瘤の所見です。c:paragangliomaとして特徴的な所見と思われ、”hyervascularな後腹膜腫瘤 = paraganglioma”と試験対策的に1対1対応の理解をしていれば特に悩まないとは思いますが、提示症例は大動脈とほぼ同程度の極めて強い濃染を呈し、嚢胞変性や石灰化等も見られない為、(試験時間内の限られた時間内では)提示された画像のみで血管性病変(d.e)を否定することは難しいかもしれません。MRI (paragangliomaはT2強調像で強い高信号、血管性病変ではflow void)やUS所見等の他画像の提示があった方が良かった様に思われます。a:liposarcomaは通常巨大腫瘤として発見され、非特異的CT所見を示すことが多く(脂肪肉腫は画像的に脂肪成分が同定できなくても否定はできない)考えにくい。b:schwanomaはhypovascularでありこちらも考えにくいと思われます。

以上、56〜57は 松田 健 会員(アルメイダ病院)

58.
(診断所見)
腹部単純エックス線では右上腹部に多発線状石灰化が疑われる.
腹部単純CTで上行結腸、横行結腸に軽度の壁肥厚と腸間周囲に脈管様の線状石灰化が認められる.静脈硬化性大腸炎の典型的所見.
(解答)e. 静脈硬化性大腸炎
腸結核は小腸、大腸の結核感染であり、リンパ組織が発達した小腸、回盲部から上行結腸に好発する.好発年齢は20-40歳である.CT所見としては盲腸、終末回腸の全周性壁肥厚、終末回腸を中心とした盲腸の壁肥厚として捉えられる事がある.また腸結核では内部低濃度を伴うリンパ節腫大が比較的特徴的である.
Crohn病は大腸の全層性炎症を来す疾患であり、好発年齢は15〜25歳である.急性期には不連続で非対称性の厚い壁肥厚(>10mm)がCTで認められる.慢性期には瘢痕化により内腔の狭窄が生じるが、瘻孔、膿瘍、洞形成の有無がCT診断のポイントになる.造影CTでは腸間膜の血管増生がcomb signとして認められる.
潰瘍性大腸炎は主として直腸から連続性に大腸粘膜が侵される疾患であり.好発年齢は15-25歳である.急性期にはびまん性対称性の壁肥厚(<10mm)が認められる.また、直腸周囲線維性脂肪増生に伴い、仙骨前腔拡大(1.5cm以上)が認められる事がある.大腸癌のハイリスクグループである.
腸間膜脂肪織炎は炎症と病的線維変化が腸間膜脂肪織に起こる疾患である.CTでは腸間膜を巻き込む、軟部組織濃度の混在した脂肪濃度腫瘤を認め、血管に隣接した脂肪織が低濃度を保つfat ring signを伴う.
静脈硬化性大腸炎は静脈の石灰化により起こる虚血性大腸炎の特殊型である.CTでは大腸壁の肥厚と静脈の特徴的な石灰化が認められる.
(その他)
Yao T、 Iwashita A、 et al. Phlebosclerotic colitis: value of radiography in diagnosis-report of three cases. Radiology 2000; 214: 188-192

59.
(診断所見)
立位充盈像正面では胃体下部から胃角部の大弯側に弯入が認められ、いわゆるB型変形を呈している.小弯側のニッシェははっきりしない.
仰臥位二重造影像正面でバリウムが厚くのった像では胃体中部大弯の弯入と胃体上部小弯の伸展不良を認める.胃体中部後壁には単軸方向の線状の領域にひだ集中を疑う.線状潰瘍もしくは線状潰瘍瘢痕の存在が疑われる.ただし、線状潰瘍瘢痕の肛門側後壁には粘膜不整を思わせる所見が認められる.
同体位でバリウムが薄く付着した像である.小弯側の変形と線状潰瘍瘢痕を疑わせる瘢痕を認める.胃体中から下部後壁には粘膜面の凹凸不整を思わせるバリウムの残存も認められる.
(解答)c.線状潰瘍
a. 軸捻転症は腸管膜性軸捻などの逆α型など、本来の位置関係に異常が生じるが、今回画像では噴門、胃体部、前庭部、幽門にいたるまで明らかな位置異常は認められない.
b. 早期胃癌の典型は0-IIc病変であり、限局した粘膜不整やひだ集中を伴う陥凹性病変の所見を呈する.今回画像では粘膜不整を思わせる所見がある.早期胃癌のみで弯入の変化は説明できないが、線状潰瘍を背景とした早期癌を否定できる所見ではない.
c. 線状潰瘍は小弯と直行して3cm以上の長さをもつ潰瘍と定義される.潰瘍が治癒と再発を繰り返すことで胃壁の引きつれ、硬化を来し、嚢状胃、B型胃とよばれる変形を呈する.今回画像では充盈像におけるB型変形、大弯の弯入と、小弯の進展不良を疑わせる所見など、線状潰瘍として矛盾しない.
d. 悪性リンパ腫は様々な所見を呈する.多発傾向や粘膜下腫瘤様変化などが特徴的所見とされるが、0-IIc様やびらん性の所見を呈することもある.今回画像ではびらん性変化を否定できないが、悪性リンパ腫は線維化を伴わないため大弯弯入などの所見は悪性リンパ腫単体では説明がつかない.
e. アニサキス症は鯨、海豚などの海産哺乳類を最終宿主とする寄生虫で、中間宿主のイカ、サバ、タラなどの生食で感染する.胃アニサキスではアニサキス虫体が粘膜面に刺入し、周囲に反応性の肥厚を伴う.胃X線では粘膜下腫瘤様の所見やひだの限局性の肥厚としてとらえられる事がある.今回の所見とは一致しない.

(その他)
胃X線写真を診断するには画像が小さいように思います.

60.
(診断所見)
画像はT1WI、T2WIの骨盤部矢状断像.仙骨の形態からすると正中からわずかに外れた部位が撮像されている.
腫瘤は直腸もしくは直腸近傍に存在している境界は比較的明瞭平滑で周囲への浸潤傾向ははっきりしない.膣は腹側に圧排を受けてみえる.T1WIで淡い高信号が混在した等信号、T2WIでは一部低信号を混在して見える淡い高信号を呈している.

(解答)? e. aggressive angiomyxoma ?
a. 直腸癌として信号は矛盾しないように思われるが、症例程度のサイズになれば進行癌であり.周囲浸潤傾向などが出現し、辺縁も癌の線維化などを反映して不整を呈すると思われる.今回症例では辺縁平滑であり、否定的である.
b. 絨毛腺腫は絨毛成分を含む腺腫性ポリープであり.直腸、S状結腸が好発部位である.大きな絨毛腺腫では多数の葉状隆起と中心索上構造を伴うT1WI低信号腫瘤の腫瘤として認められ、T2WIではより葉状構造が明瞭化する.大腸内に限局するカーペット状とも表現される腫瘍であり.腫瘤形成が認められる今回の症例では否定的である.
c.悪性黒色腫は直腸内に腫瘤を形成することがある.一般に悪性黒色腫はメラノサイトが存在するためT1WIで高信号、T2WIで低信号を呈することが特徴とされる.また、メラニン非産生の悪性黒色腫もある.今回信号からは悪性黒色腫を否定できないが、悪性黒色腫は亜有茎、無茎性の腫瘤を呈することが多い、今回画像では直腸との付着部がわからず非典型的な印象をうける.
d. 肛門周囲膿瘍は直腸と肛門管の境界部付近の腺窩よりの細菌感染により形成される膿瘍で、進行すると痔瘻を形成するが、今回の病変は上部直腸付近の高位に主体があり、分布から否定的である.
aggressive angiomyxoma(AAM)は外陰や骨盤内などに発生する局所浸潤傾向を示す良性腫瘍性病変であり、女性に好発する.画像的特徴は、会陰や挙筋にそった伸展と、粘液腫基質を反映したT2WIでの高信号とされている.今回画像ではT2WIでの高信号が淡く、典型的ではないように思われる.正中よりやや側方の画像が提示されおり、病変が腹側に伸展する像はAAMを示そうとしているようにも思えるが、判然としない.

(その他)
提示画像が暗い印象をうけ、信号がわかりづらく感じます.実際の臨床では直腸指診所見(硬さ、表面性状)から診断を絞り込めると思いますので、悩む事はないかもしれませんが、提示画像からは、答えを導けませんでした.
Outwater EK、 Marchetto BE、 Wagner BJ、and Siegelman ES.Aggressive angiomyxoma: findings on CT and MR imaging. Am. J. Roentgenol.、Feb 1999; 172: 435 - 438.
Sarah T. Stewart and Shirley M. McCarthy. Case 77: Aggressive Angiomyxoma. Radiology 2004; 233: 697-700.

以上、58〜60は 富松 英人 会員(岐阜市民病院 放射線科)

61.
1.診断所見:両側前頭葉(左>右)、左側頭葉での著明な血流低下を認める。
2.解答:a
3.解説
a. 人格変化、情緒障害などが初発症状であり、記憶障害よりも、同じ行動を繰り返したり、周囲を気遣わなくなったりするのが特徴である。前頭葉、側頭葉の委縮、脳血流および代謝の低下が認められる。
b. 眼球運動障害、易転倒性、無動あるいは筋強剛が主要症候であり、進行性の構音障害、嚥下障害、認知障害も認められる。一側優位性の血流低下が重要な支持的所見とされている。
c. 左右差の目立つ肢節運動失行もしくは観念運動失行が目立ち、認知機能障害、パーキンソニズム、ジストニーも認められる。一側優位性の血流低下が重要な支持的所見とされている。
d. 日内変動の大きい進行性の認知機能障害、幻視、パーキンソン症候が認められる。後頭葉で血流低下が見られるのが特徴的とされている。
e. 記憶障害で発病することが多く、言語障害、時間見当識、妄想も認められる。海馬、後部帯状回、頭頂側頭連合野の血流が低下する。後頭葉は比較的血流が保たれると言われている。

62.
1.診断所見:右小脳半球に異常集積を認め、右頚静脈孔まで連続している。右小脳半球に何らかの腫瘍が疑われ、頚静脈まで浸潤していると思われる。
2.解答:d
3.解説
小脳出血、梗塞では、集積低下域が認められるはずである。
椎骨脳底動脈循環不全はめまいを主訴とすることが通常である。

63.
1.診断所見:頚胸移行部に異常集積が認められ、髄液漏出と思われる。また、起立性頭痛は低髄液圧症候群の典型的な症状である。
2.解答:e
3.解説
a.  脳槽シンチで診断可能な疾患であるが、耳漏に相当する異常集積は認められない。
b.  脳槽シンチにより、脊髄髄膜瘤、脳髄膜瘤が描出されることがある。
c.  脳槽シンチの直接的な診断的意義はない。
d.  多くは交通性水頭症であるため、RIが側脳室への逆流し、48時間後でも脳室内にRIが残留し、脳表へ拡散しないことが典型的な所見とされている。

64.
1.診断所見:甲状腺への集積が全く認められず、頚部痛、発熱、甲状腺機能亢進症状が認められることから、亜急性甲状腺炎の典型的な所見である。
2.解答:d
3.解説
a.  甲状腺機能亢進症状が認められ、甲状腺へのRI集積がびまん性に亢進する。
b.  甲状腺機能亢進症状が認められ、甲状腺の結節部のみにRIが異常集積する。
c.  一般に甲状腺機能低下症状が認められ、甲状腺への集積が低下する。
e.  I-123甲状腺シンチの診断意義はない。

65.
1.MIBIシンチグラムでは、異常は指摘できず、心筋血流は正常である。BMIPPシンチグラムでは、下壁に集積低下が認められ、脂肪酸代謝の異常が示唆される。
2.解答:a、c
3.MIBIの所見より、検査時の心筋血流は正常であるが、BMIPPの所見より、下壁に虚血発作があったと思われる(虚血メモリー)。症状と所見からは、冠攣縮性狭心症が疑われる。

以上、61〜65は 影山 広行 会員(北海道大学病院)

66. 解答:c
<所見>
治療前のstress imageではApex、anterior-septal wallにかけて広範囲な領域で集積低下を認め、redistribution imageではanterior wallでincomplete / completeな、septal wallではほぼcompleteなredistributionを認める。一部はmotion artifact及び近接する腸管によるartifactの影響を受けているが、有意な所見と判断する。治療後のstress imageでは明らかな集積低下は指摘できない(Apexには集積低下が残存している可能性があるが、axial imageのみなので断定には至らない。またinferior wallの一部でも集積低下様に見えるが、吸収補正無しの画像と考えるとphoton attenuationによる影響として説明可能である。右のcolor scaleには%が表記されていないが、見た目にはinferior wallの集積はmax countの60-70 %の集積と思われる)。Redistribution imageでもほぼstress imageと同様の集積パターンを示している。よって有意なredistributionは指摘できず、治療後には積極的にstress-induced ischemiaを示唆する所見は認めない。
<臨床情報>
1ヶ月前からの労作時胸部圧迫感を主訴として、PCIが施行された経緯を考慮するとeffort angina pectorisの治療前後を見ているものと思われる。所見からは治療前に見られたstress-induced ischemiaが治療後には消失している事、またculprit arteryはLAD(左前下降枝)であろう事が読みとれる。
<選択肢考察>
a:治療後のimageでfixedなdefectは明らかではない事から可能性は低い(axial imageのみからはApexに関して断定できない事、また画像で見えなくとも血中ミオグロビン、ミオシンlight chain kinaseなどの上昇は否定できないが、第一に選択するものではない)
b:ischemic changeはanterior-septal wallにかけて存在しており、culprit arteryはRCAではなくLADが示唆される事から誤り。
c:治療後にはischemic chageはほぼ消失しており、正しい。
d:問題文中に「心筋血流シンチグラム(負荷/再分布)を示す。」とある事から、Tl-201によるmyocardial perfusion scanが示されているものと思われる。I-123 MIBGは心筋交感神経機能の評価に用いられる。
e:虚血心筋と心事故の発生率については相関があるとされている(心臓核医学検査ガイドライン I-1-3 「心筋血流シンチグラフィによる予後評価、リスク層別化」)

67. 解答:c
<所見>
CT上は左下葉に円形の腫瘤を認める。一部は胸膜に接している。周辺の気管、気管支は腫瘤に向かって収束しており、いわゆるcomet-tail signを呈している。
FDG-PET imageでは明らかな異常集積は指摘できない。
CT/PET fusion imageでも腫瘤に一致するFDGの異常集積は認められない。
<臨床情報>
60才代の男性で、比較的高齢ではあるが、目立った自覚症状の記載はない。他覚所見として以前からの胸膜肥厚及び最近の左下葉の腫瘤が指摘されているのみである。
<選択肢考察>
a、b、d、e:いずれもFDG-PETで集積を認めることが多い。Mass のsizeによってはfalse negativeとなることもあるが、CT上この腫瘤は数cmの大きさであって、これらの病変であればFDGのuptakeが予想される。更にCT所見は円形無気肺を強く示唆する。
c:CT上のcomet tail signは円形無気肺に特徴的である。FDGのuptakeが認められない所見もcompatibleであり、cが正しい選択肢と思われる。

68. 解答:e
<所見>
肺血流シンチグラフィ上、両側の腎臓が明瞭に描出されている。Scan範囲内の肺野に関しては明らかなdefectは指摘できず、またその分布も均一である。肺野へのuptakeも正常である。
<臨床情報>
基礎疾患として肝硬変がある。低酸素血症がこの検査を施行するに至った主訴と思われる。
<選択肢考察>
a-eのいずれの病態も低酸素血症を呈する可能性があるが、
a:腎臓の描出を説明できない。
b、c、d:scan範囲の肺野には異常を認めず、また腎臓の描出を説明できない。
e:基礎疾患を考慮すると肝肺症候群は矛盾しない病態である。肝硬変から門脈圧の亢進が惹起され、このために右心系→左心系シャントが生じれば、静注されたTc-99m MAAは腎臓に集積して本症例のような所見を呈する。他、腎が描出された場合に考慮すべきは標識不良によるfreeのTc-99mの存在であるが、選択肢に無いこと、肺野の描出が十分であることからこの場合は考慮しない(頭部を撮像すると臨床ではこの鑑別に有用である)。邪推かも知れないが、肺野が全て入っていない画像が用いられていることから肺野以外の疾患に注目した先生もいたかも知れない。

69. 解答:b(可能性が高いものという観点で)
<所見>
CT上、右肺野に胸膜側を底辺としたwedge状のconsolidationを認める。内部にはわずかなairが認められる。このsliceではswelled lymph node、また肺野内に他のSOLは指摘できない。
肺血流scan上はCTで指摘されるconsolidationに一致するsegmental / sub-segmentalなdefectを認める。それ以外の部位にはRIは比較的均一に分布しており、有意なdefectは指摘できない。
<臨床情報>
7年前からのAfである。発作性なのか慢性なのかは情報が無い。またmedicationの詳細についても伏せられている。抗不整脈薬でNSRとなっていたのか、あるいはワーファリンの投与が継続的に為されていたものと思われるが、いずれにせよ1ヶ月前からのchest painを自覚、更に2日前からは血痰が出現している。凝固系についての情報がないので、血痰が出血傾向によるものか否かは不明であるが、他に点状出血などの記載が無いことからは、出血傾向というよりも肺疾患に付随した所見である可能性が高いと思われる。Chest painについては持続時間や性状などについては情報が無いが、選択肢・画像が肺に関してのものであることから、心原性疾患の可能性は考慮しなくて良いようである。
<選択肢考察>
肺血流scanに関しては、いずれの疾患でも集積低下を示す可能性は否定できない。ただしSegmental / Sub segmentalなdefectは肺梗塞に比較的特徴的ではある。
a:CT所見が膿瘍としては典型的ではない。また臨床症状にも発熱、CRP高値など、炎症性変化を示唆する所見は挙げられていない。液面形成の有無は肺野条件のみという事もあり評価困難である。
b:CT、SPECTともに矛盾しない所見である。胸痛、血痰も説明できる上に、画像だけなら可能性が最も高いと思われる。Afでcontrol不良と仮定した場合には左房内に形成された血栓が大循環系に入る事が多いのではあるが、肺動脈に入るとするとASDなどのシャントを呈する病態があって、左室系→右心系シャントが存在している病態があると考えるべきなのかも知れない。しかし心雑音やチアノーゼに関する記述は無い。またワーファリゼーションされているとすると下肢などの静脈血栓はむしろ生じにくい病態と思われるが…。Afがあって臥床が続いていて、更に偶然この時期にワーファリンcontrolが不良で下肢の静脈血栓が肺梗塞を引き起こした、と考える事もできるかも知れない。この設問に関しては出題された先生の意図とは異なる解説になっているかも知れない。解答に関しては各自熟考して下さい。
c:consolidationの中に肺癌が潜んでいる可能性は全く否定できない。血痰も説明可能であるし、胸痛も一応矛盾しないと考える。ただ、画像のみの判断であれば、肺梗塞よりは可能性が下がる選択肢と思われる。
d:好発部位では必ずしもないこと、CT所見が典型的では無いことから、第一に挙げる選択肢ではないと思われる。肺野のvolumeについては1枚のsliceのみなので、評価は難しい。臨床所見からは積極的に疑う選択肢ではない。
e:CT所見上は典型的では無いし、臨床所見からも積極的に疑う選択肢ではない。

70. 解答:b
<所見>
骨scan上、両側肩甲骨、両側肋骨、胸椎〜腰椎、両側骨盤(特に左腸骨)、仙骨で不整形の限局性の集積増加を認める。集積は長官骨の長軸方向に伸展しており、境界は比較的不明瞭で、多発性骨転移に特徴的な所見である。両側大腿骨頸部及び頸椎左側にも淡い集積を認め、前者は外傷に起因する変化、後者はdegenerative changeを見ている可能性も否定できないも、meta.が疑われる所見である。
<臨床情報>
主訴は腰痛であるが、年齢を考慮すると悪性腫瘍による骨転移と考えても矛盾しない。年齢、性別、画像所見を考慮すると前立腺癌で比較的よく見られるパターンが疑われる。
<選択肢考察>
a:骨折の場合には集積は長管骨の長軸方向に対して垂直方向の集積パターンをとることが多い。また分布も多発骨折としては本症例は非典型的である。
b:所見は上述したようにMultiple bone mets.に特徴的である。正しい。
c:両側腎は描出されており、super bone scan(beautiful bone scan)ではない。
d:多発する不整形の集積を説明できない。
e:super bone scanを呈する病態であるが、本症例はsuper bone scanではない。

以上、66〜70は 沖崎 貴琢 会員(旭川医科大学)

71.解答:d
診断所見:
前腕、手指、下腿などの骨皮質に一致するやや不均一なRI集積を認める。
a.×
b.骨盤骨、脊椎骨、肋骨などの赤色髄を有する部分に多い。RI集積増加を示すことが多いが、陰性像(cold area)となることもある。
c.111InCl3では骨髄への集積低下を示す。
d.肺腫瘍や慢性呼吸器疾患に合併する。指先の肥大や長管骨の骨膜肥厚をきたす疾患で、大腿骨などの長管骨で対称性に皮質のRI集積を認める(double stripe sign)。病変の改善にともない、減少する。
e.頭蓋をはじめ、全身骨のRI集積増加を示す。二次性では異所性石灰化に伴う集積増加をみることがある。

72.解答:e
診断所見:
四肢の関節周辺に帯状RI集積、顔面骨や肋骨端などの集積も著明である。
a.×
b.全身骨へのびまん性集積が正常像のように見えることがある(super bone scan、 beautiful bone scan)。腎の描出がほとんど認められなくなる(absent kidney sign)。
c.×
d.×
e.成長期の小児では、骨成長端でmineral turnoverが亢進し、骨端でのRI集積が強い。

73.解答:b
診断所見:
左腸腰筋前面に接するように辺縁明瞭な腫瘤がある。内部はほぼ均一で、筋肉よりもやや高信号を示す。同部位に一致するように強いRI集積を認める。
a.×
b.131I−MIBGは分子構造がノルアドレナリンに似ているため、アドレナリン作動性ニューロンに特異的に取り込まれる。褐色細胞腫の局在診断、特に副腎外褐色細胞腫や悪性褐色細胞腫の転移巣診断に有用である。 
c.×
d.×
e.×
解説:その他、副腎髄質過形成の診断や神経芽細胞腫、甲状腺髄様癌、カルチノイドなどの局在診断に役立つ。本症例でも見られるが、心筋、唾液腺、肝、脾、膀胱などに正常集積をする。

74.解答:d
診断所見:
大動脈と分枝する頸部から骨盤の主要動脈には、広範囲にわたり連続するFDG集積の亢進が認められる。その他、四肢でも動脈の走行に一致した集積を認める。
a.アテロームの炎症に際し、FDG集積を認めることがある。本症例では広範にわたる集積増加を示していることやCRP値などを考慮すると考えにくい。
b.×
c.×
d.画像所見に加え、症状、経過も矛盾しない。患者の9割は女性で、15歳〜35歳の若年女性に多いとされる疾患である。
e.×
解説:年齢が典型例とはいえないが、他の選択肢にある疾患の画像とは考えにくい。

75.解答:d
診断所見:
左鎖骨上窩、上縦隔、上腹部、旁大動脈領域などに多数の強いFDG集積を認める。この他には、縦隔で頭尾方向へ広がる索状の異常集積、陰嚢にわずかな集積がみられる。
a.
b.胸部食道に一致したFDG集積の可能性がもあるが、その他のリンパ節転移と思われる集積の局在からは、考えにくい。
c.×
d.鎖骨上窩から骨盤内におよぶ広範なリンパ節転移をきたす疾患の一つである。
e.×
解説:MIP画像一枚では、なかなか異常なFDG集積を示す解剖学的位置がわかりにくい。「30歳代の男性」ということも考慮した。

以上、71〜75は 小池 泉 会員(横浜市立大学附属病院)

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