放射線科専門医認定二次試験(治療)解答 1〜30

1〜5は診断と共通問題です。2次試験の診断の回答をご覧下さい。

6. 解答 b, c
a. 誤:高エネルギーX線、γ線と比較すると、高エネルギー電子線の線量分布はそのエネルギーに依存して一定の深さまでしか到達せず、側方散乱も多く、深部の照射野端の幅は広くなる.
b. 正:10MeV以上になると、側方散乱の寄与が少なくなり、ビルドアップ効果も小さくなる.
c. 正:一般に密度の低い物質の方が飛程が長くなる.
d. 誤:電子線は入射エネルギーに依存した飛程を有する.
e. 誤:電子線の体内吸収は、電子密度と原子番号に大きく依存する。骨と軟部組織では、骨の物質密度が高く、電子密度及び実効原子番号も大きいため軟部組織よりも電子線の吸収は高い。

7. 解答 d, e
a. 誤:反跳電子と散乱光子が発生する.
b. 誤: 電子と散乱光が発生する.
c. 誤:入射光子のエネルギーの一部が軌道電子に与えられる.全エネルギーが与えられるのは光電効果。
d. 正
e. 正

8. 解答 c, e
a. 誤: 必ずしも必要ではない.
b. 誤: IMRTとは強度変調放射線治療のことであり、non-coplanar多門照射である必要はない.
c. 正: 平均入射エネルギーがE [MeV]の場合、電子線治療に有効な深さである電子線治療域は、 約E/3 [cm]である.9MeV電子線の場合、E/3=3cmが治療上有効な深さである。
d. 誤: 体幹部定位放射線治療で求められている位置精度は5mm以下である.ただし、この位置精度とは純粋に患者セットアップに関わる精度であり、腫瘍の呼吸性移動は含まない。
e. 正: 水に入射したX線の線量が最大となるピーク深は、4MVX線で1cm、6MVX線で1.5cm、10MVX線で2cm、15MVX線で3cm程度である。軟部組織はのピーク深はほぼ水のそれと同等である。

9. 解答 d
等価正方形の算出式より、 となる。

10. 解答 d
200cGyを荷重1:1の前後対向二門で照射するので、1門あたり100cGyとなる.
線量とモニター単位数との間には Dose = MU x OPF x TMR x WF x TF (MU: モニター単位数、Dose: 線量、OPF: 出力係数、
TMR: 組織最大線量比、WF: ウェッジファクター、TF:トレイファクター)の関係式が成り立つので、これに値を代入すると、100 = MU x 1.03 x 0.813 x 1 x 1 (ウェッジとトレイを使用していない場合、WFとTFは共に1)となり、MUについて解くと、MU ≒ 119となる

11. 解答 a
ウェッジを使用している場合のモニター単位数をMU2とすると、Dose = MU x OPF x TMR x WF x TF (MU: モニター単位数、Dose: 線量、OPF: 出力係数、TMR: 組織最大線量比、WF: ウェッジファクター、TF: トレイファクター) の関係式より、215 x OPF x TMR x 1.0 x TF = MU2 x OPF x TMR x 0.8 x TFとなり、OPF、TMR、TFはウェッジ使用前後で変化せず、これをMU2について解くと、215/0.8≒270となる.

12. 解答 c、d
a. 正
b. 正: 他にはBqやCiがある.
c. 誤: Ckg-1は照射線量の単位である.吸収線量の単位はJkg-1あるいはGyである.
d. 誤: 照射線量の単位はCkg-1である.
e. 正: 他にはSvやremがある.

以上、6〜12は 成田雄一郎 先生(京都大学大学院医学研究科)

13.
皮膚悪性腫瘍の場合には、主として100-250kVのX線、3.75-16MeVの電子線がもいられる。理想的な線量分布は、腫瘍内の縦方向の均一性と腫瘍下方の正常組織の保護のっりょうりつが求められる。X線では両者の両立は困難であるので、電子線が用いられる。電子線、特に10MeV以下の電子線の場合には、ビルドアップによる表面線量の減少をさけるために、1-1.5cm厚さのボーラスを使用し、深部における等線量曲線が横方向に広がるので、腫瘍辺縁部で線量が低下する傾向があるので、表面におけるマージンを広めに設定する。明らかに不適切なのは、aとb。

14.
TGF-βは、細胞外マトリクスの産生を促進し、肺線維症、腎炎、肝硬変などの疾患において線維化促進因子として深く関与している。細胞分化、アポトーシス誘導にも関与する。また、血管新生時には、平滑筋細胞の増殖を促すと考えられている。低酸素や細胞癌化によるVEGFの発現後の血管新生時にも関与すると考えられる。16の注釈も参考にすると、bが誤り。

15.
DNA2重鎖切断によって、MRN複合体(Rad50、 Mre11、 Nbs1)、53BP1等の関与でDNA修復シグナル伝達が開始され、ATM活性化、γH2AX形成と続く。相同染色体または複製後に近傍に存在する姉妹染色体が使用可能な細胞周期(S期中期以降-G2期)では、相同組み換え修復でDNA修復される。この修復は精度が高いので、この時期には放射線抵抗性になるとも考えられる。Ku70、DNA-PKcsは、非相同末端結合修復機構に関与する。よって、aとcが正しい。

16.
正常細胞、腫瘍細胞において、低酸素に応答して、HIFが活性化され、VEGFが産生され、ほぼ血管内皮細胞に局在するVEGFレセプターに結合して、自己リン酸化を誘導し、その後のシグナルで内皮細胞は細胞外基底膜を分解し増殖・遊走して血管新生へ向かう。同時に、内皮細胞のアポトーシスを抑える。酸素下でHIF1はユビキチン化されて分解される。放射線防護剤のアミフォスチンは生体内でせきたラジカルを捕捉して無毒化している。酸素は、ラジカルの寿命を長くし、最強の放射線増感剤である。腫瘍内の酸素分圧は、様々である。aとbが正しい。

17.
アポトーシスでは、DNAは規則的に分解されて、DNA電気泳動でDNAラダーとなり、カスパーゼの活性化、チトクロームcのミトコンドリア外への流出が起き、Bcl2は、ミトコンドリア外膜に存在し、ミトコンドリアの機能を調節し、アポトーシスを抑制する。細胞内容物の流失は、ネクローシスの現象。bとeが正解。

18.
多標的1ヒット理論も分割照射に対応しており、LQモデルでは、慢性期障害(晩期障害)のα/βは、小さい。急性障害は再増殖することによって、その障害が治癒すると考えられる。晩期障害はあまり回復しない。正常組織の耐用線量は、この晩期障害が5%の確率で生じる線量と考えられる。α/β値は、α型障害=β型障害となる線量となる。aとbが誤り。

19.
肺は、Parallel organで、消化管などのSerial organでは、当然、最大線量が、耐容線量を超えてはならない。DVHは、V20(20Gy以上の線量が照射される体積の全照射体積に対する割合)を直接読みとれる(DVHは、ある線量以上照射された体積の全照射体積に対する割合をだすものとも言える)。1回線量が変わるとDVHも変化し得るので、直接の比較は危険と思える。DVHはあくまで照射線量と照射された体積との関係を示すのみで、Complication probabilityやTumor control probabilityは、わからない(Probabilityは、長期間にわたる臨床データの解析からようやく判明するものでしょう)。よって、aとeが誤り。

20.
GTV < CTV < ITV (Internal target volume) < PTV < Treated volume < Irradiated volume。よって、d。

以上、13〜20は増永慎一郎 会員(京都大学原子炉実験所粒子線腫瘍学研究センター)

21. 解答 a
a. 2 Gy/1 fx、4 Gy/2 fxが標準である.
b. 25〜30 Gy/10〜15 fxが標準である.
c. ABVD後、CR症例では30 Gy程度、non-CR症例では40 Gy程度が標準である.
d. 40〜50 Gy/20〜25 fx、30 Gy/10 fx、20 Gy/5 fxなどが選択されることが多い.
神経放散痛や神経症状を有さない骨転移に対する疼痛緩和目的では、8 Gy/1 fxという選択肢もあり得る.
e. I期では25 Gy程度が標準、II期で5〜10 Gyのブースト照射を行う.

22. 解答 d
BED = nd(1 + d/(α/β))、n=分割回数、d=1回線量α/β比が2 Gyの場合、3 Gy×17回でのBEDは127.5 Gy.
これに相当する2 Gyでの照射回数は31.9回相当=63.8 Gyに相当する。

23. 解答 a
聴力低下はいずれの方法でも可能性があると考えられるが、SRSにおいてSRTよりも発生頻度が高いとされている.

DW Andrews、 O Suarez、 HW Goldman et al. Stereotactic radiosurgery and fractionated stereotactic radiotherapy for the treatment of acoustic schwannomas: comparative observations of 125 patients treated at one institution.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 2001;50:1265-78.

24. 解答 dまたはe(不適切問題)
硬膜腔の下端は個人差があり、現在の放射線治療においてはMRI等にて確認することが望ましい.
確認することができない場合、「Pediatric Radiation Oncology、 3rd Ed. (EC Halperin et al.)」にはS2下縁という記載があり、dは間違いではない.しかし、一般には硬膜腔はS2まであるとされており、マージンを考えて照射野はS3下縁までとすることも多い.
「放射線治療計画ガイドライン2004」には文章による記載はないが、掲載されている図の照射野はS3下縁まである.また、「癌・放射線治療2002」にはS2-4との記載がある.

25. 解答 a
松果体に好発する腫瘍は胚腫であり、10代、男性であることも胚腫に典型的である.
髄芽腫はテント下、特に小脳虫部に発生する.
腫瘍マーカーが陰性である胚腫は放射線治療単独にて高い治癒率が期待できる.
照射前に化学療法を実施したところ大半の患者に奏効したことが報告されているが、化学療法の明確な役割は未だ明らかにされていない.

以上、21〜25は小久保雅樹会員(先端医療センター診療開発部)

26. 解答 a
髄芽腫は可及的切除を行う。髄膜播種の頻度も高いため、放射線治療の追加も必須。
(放射線治療マニュアル改訂第2版: 中外医学社、 p166 参照)

27. 解答 e
(放射線治療マニュアル改訂第2版: 中外医学社、 p200-202参照)

28. 解答 a
両側上頸部リンパ節転移があるため、N2。よって、III 期以上の臨床病期となる(UICC TNM分類は上咽頭癌と中・下咽頭癌では分類の仕方が異なるので注意)。
遠隔転移を有さないIII / IV期に対しては、化学放射線療法の有用性がランダム化比較試験により示されている。
(放射線治療マニュアル改訂第2版: 中外医学社、 p180-181参照)

29. 解答 b、 c
UICC TNM分類では、腫瘍径が2cm以上のため、T因子はT2となり、臨床病期はII期。
(放射線治療マニュアル改訂第2版: 中外医学社、 p192-202参照)

30. 解答 a、 e
両側の声帯に腫瘍の浸潤を認めるが、声門上・下進展はないため、UICC TNM分類では、T1b。リンパ節転移、遠隔転移もないため、T1bN0M0で、臨床病期はI期。近年、II期以上では化学療法の有用性が示唆されているが(Akimoto T et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys 64: 995-1001、 2006 : Niibe Y et al. Anticancer Res 27: 3497-3500、 2007)、I期では放射線単独治療が原則。
(放射線治療マニュアル改訂第2版: 中外医学社、 p225-236 参照)

以上、26〜30は新部 譲会員(北里大学医学部)

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