放射線科専門医認定二次試験(治療)解答 31〜55

31. 解答 b
a. 正:標準的治療と考える
b. 誤:乳房温存療法後の鎖骨上、および傍胸骨リンパ節領域の照射については、積極的に支持する根拠はない (放射線治療計画ガイドライン2004より)
c. 正:ホルモン受容体陽性腫瘍であり、タモキシフェン投与の利益があると考えられている。
d. 正:卵巣機能が働いている閉経前の患者に行う
e. 正:腋窩リンパ節転移+であり、adjuvant化学療法の適応となる。

32. 解答 a、 b
a. 誤:40歳以下の低年齢者が危険因子
b. 誤:中〜低分化が危険因子
c. 正
d. 正
e. 正

33. 解答 b、 d
a. 誤:タモキシフェン投与の有用性が認められている。
b. 正:リンパ節転移の頻度は低い
c. 誤:触知可能でない腫瘍が多く、マンモグラフィーでの発見が多い。
d. 正:有効性が認められている。
e. 誤:DCISの局所再発形式はDCIS再発、浸潤癌再発どちらもある。

34. 解答 d
前後対向で40Gy照射されているということで脊髄は照射野外としたい。となるとd、 eが残るが、照射される心臓、肺のvolumeを考えるとdでしょう。

35. 解答 a、 b

正:sm2の場合リンパ節転移の頻度が高く、EMRのみでは不十分と考えられている。
誤:心嚢水貯留は長期経過観察例で珍しくなく、症状の増悪なければ経過観察でよいと考える。
誤:食道癌は粘膜下病変やskip lesionの頻度が高く、1cmマージンでは不十分である。
誤:RTOG85-01では、化学放射線療法の50.4Gyが放射線単独治療と比較して有意に生存率の延長が認められた。

以上、31〜35は 礒橋 文明 会員(大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学)

36. 解答 b、 c
a. 誤:切除可能例は20-30%程度である
b. 正:表参照
c. 正:ただし治癒切除例でも高率に肝転移、腹膜播種、局所再発をきたす。
d. 誤:5-FUとの併用が標準である。Gemcitabine、CDDPなどの併用も検討されているが、いずれも5-FUを上回る効果を得られていない。(注:Liらは5-FU併用 とGemcitabine併用の無作為割り付け試験を行い、Gemcitabine併用群で有意に生存期間が長いとしている。しかし、登録症例数が34例と少なく、また5-FU併用での治療成績が過去の報告と比べて明らかに悪いため、この報告をもってGemcitabine併用を標準とすることはできない。 Li CP、 et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2003; 57: 98-104)
e.  誤:腫瘍の深さに応じて12-20Gyを選択することが多い。

表 5-FUの使用に関連した第III相比較試験(RT vs. RT+5-FU)
著者 症例数 治療内容 生存期間中央値(月) P値
Mortel 1 32 5-FU+RT 10.4 <0.05
32 RT 6.3
GITSG 2 83 5-FU+RT (40Gy) 8.5 <0.01
86 5-FU+RT (60Gy) 11.5
25 RT (60Gy) 5.3  
ECOG 3 44 5-FU 8.2 NS
47 5-FU+RT 8.3

Moertel CG、 et al、 Lancet. 1969; 2: 865-867. 
Moertel CG、 et al. Cancer 1981; 48: 1705-1710
Klaassen DJ、 et al. J Clin Oncol 1985; 3: 373-378

37. 解答 a 
a. 誤:仰臥位が一般的である。
b. 正
c. 正:前後対向二門照射もしくは四門で行うことが一般的である。
d. 正
e. 正:術前照射は肛門温存率を向上させる(文献1、 2参照)
Improved survival with preoperative radiotherapy in resectable rectal cancer. Swedish Rectal Cancer Trial. N Engl J Med. 1997; 336: 980-987
Randomised trial of surgery alone versus surgery followed by radiotherapy for mobile cancer of the rectum. Medical Research Council Rectal Cancer Working Party. Lancet. 1996; 348: 1610-1614.

38. 解答 a、 c
a. 誤
b. 正
c. 誤:欧米では化学療法併用放射線治療が標準的である。本邦での標準的な治療は従来腹会陰式直腸切断術であったが、現在は欧米と同様となりつつある。
d. 正
e. 正:放射線線量を低下させる目的で化学療法を併用する

肛門管癌の標準的な治療は、5-FU、 MMCと45-50Gy程度の放射線治療であり、局所制御率は8割程度である。

39. 解答 b、 c
限局性肺小細胞癌(LD)の標準的な治療は放射線治療と化学療法の併用療法である。ただし照射野サイズが一側肺野の半分を超えるような症例では放射線肺臓炎の危険性が高いため化学療法を先行させたほうが良いと考える。胸部病変が制御された場合には予防的全脳照射を行ったほうが予後は良い(ハザード比:0.84、 95%CI、 0.73-0.97)とするメタアナライシスがある(Ausperin et al. N Engl J Med 1999; 314: 476-484)。

40. 解答 a、 d
a. 正:対側縦隔リンパ節の腫大(N3)があるためIIIBの可能性が高い。
b. 誤:組織型はCTのみではわからない。
c. 誤:対側縦隔リンパ節の腫大があり、手術適応とはならない。
d. 正
e. 誤:5年生存率は5-10%程度と考えられ、予後は不良である。

※以下に問題が不適切である理由を述べます。

問36
C: 限局した膵癌では原発巣切除が予後を改善する。→ 限局した膵癌には局所進行例の含まれる。局所進行限局性膵癌で門脈、腹腔動脈合併切除などで局所を切除すると予後が改善されるというエビデンスはない。従って、問題文にあいまいさがある。
E:非切除例で術中照射の電子線エネルギーは6-9MeVを用いる。→ 用いることが多いであれば自身をもってXをつけることができる。電子線のエネルギーは「非切除」か「切除」かという臨床的要因で決めるものではなく、あくまでも「腫瘍の厚み」という物理的要因で決めるものである。

問37
C: 全骨盤照射は前後対向二門照射法で行う。→ 四門ボックス照射法や3DCRT、 IMRTでおこなうこともありうる。前後対向二門照射法だけが照射法の選択肢ではないため不適切問題と考える。

問38
B: 限局性小細胞肺癌CR例に30Gy/10回の予防的全脳照射を施行した。→ 晩期障害を減らす目的で1回線量を2もしくは2.5Gyにしている施設が多いと思われる。もちろん30Gy/10Frで治療しても間違いではないが、専門医試験で30Gy/10回以外を否定するともとれる問題をだすのは疑問である。

問40
脳や骨、腹部などに転移がないことを示す必要がある。問題から得られる情報では転移の有無は判断できず、正確にはa-eすべて間違いともいえる。

以上が解説をつくったときの感想です。

以上、36〜40は青山英史会員(北海道大学放射線科)

41.解答 c、e
a. 誤:中皮腫は、壁側胸膜または横隔胸膜から発生し、短期間に臓側胸膜に播種する。
b. 誤:米国の報告では、IMRTによって致死的な肺臓炎が13例中6例に生じたとする報告がある
c. 正:アスベスト暴露後20年から40・50年という潜伏期間を経て発生
d. 誤:IMRTにより肝の線量は減少
e. 正:胸膜肺全摘後のadjuvant療法として局所制御向上

42.解答 a、c
  問題の患者の病期は、FIGO分類:I B1期であり、標準治療としては、広範子宮全摘と放射線治療単独と考える。5cm 以上に関しては、化学療法併用が必要。

43.解答 b、d
  子宮頸癌の術後照射の適応は、(1)リンパ節転移陽性例、(2)子宮傍組織浸潤例、(3)原発巣の浸潤著明例または脈管浸潤例、(4)膣摘出が不十分な例。
  5年生存率については、リンパ節転移陰性例と陽性例で、結果が異なる。
  下肢・外陰の浮腫は、ope単独とRT単独では少なく、術後照射群で多い。
  化学放射線療法では、生存率の向上、再発転移の減少の報告がある。

44.解答 b、a(?)
a.△子宮体癌の進行期分類は、手術例は手術進行期分類が用いられ、非手術例については術前の臨床進行期分類(FIGO1982)が用いられる。
b.正:術後膣断端再発予防に腔内照射が有効。ただし、生存期間延長については不明。
c.誤:子宮体癌治療ガイドライン2006には、全腹部照射を勧めるといった記載は見られない。
d.誤:I期で単純子宮全摘・両即付属器摘出後の5年生存率は90%を越える。一方、高齢や合併症による手術不能例に対する放射線治療後の5年生存率は60〜80%程度であり、若干劣る。
e.誤:子宮体部癌の第一選択は、手術。III期でも手術と術後放射線治療。

45.解答 d.e (cも正解?)
触知されず、画像で描出されず、生検のみで見つかるのは、T1c。
125Iシードに外照射が併用されるのは、T2b〜c、またはGleason8〜10、PSA>20ngの症例
125Iシード挿入後1年以内の死亡例については、前立腺摘出が必要
前立腺が大きい場合は、ホルモン療法で縮小してから挿入することも考慮される。
問題文で、リンパ節転移および遠隔転移を疑わせる所見がなかったとしているものに、治療前にもう一度骨シンチを追加する必要性は疑問だが、病期分類の中で、骨転移検索のための骨シンチは必要。

以上、41〜45は 冨士原 将之 会員(兵庫医科大学放射線医学教室)

46. 解答 a、 e
示されている治療は前立腺癌に対する密封小線源永久挿入治療と考えられる。病期がT2a以下、Gleason scoreが6以下、PSA が10 ng/ml未満の低リスク症例では、この療法は単独で根治的治療となり得る。

誤:N1はW期である。
誤:W期である。

47. 解答 b、 e(?)

誤:90%以上が移行上皮癌である。
正:膀胱におけるTD5/5(5年間で5%に副作用を生ずる線量)は全体に照射された場合65 Gyであるが、照射体積を2/3に減じた場合は80 Gyとされており、耐容線量には体積効果があるものと考えられる。
正:シスプラチンが主として用いられる。
誤?:照射単独の5年生存率は30〜40%程度だが、化学療法を併用すると50〜60%に上昇する。照射単独についての問いであれば正となるが、化学療法を併用した治療成績を意図しての問いであれば誤となる。設問文はその点が曖昧であり疑問が残るが、消去法から誤とした。

48. 解答 d
限局期低悪性度リンパ腫に対しては、放射線単独治療が標準的治療である。TEA期の眼窩原発MALTリンパ腫に対するCTVは患側眼窩であり、頸部リンパ節を含む必要はない。

49. 解答 b、 d
誤:diffuse large B-cell lymphomaが主体である。

誤:methotrexateの髄腔内投与が行われる。

誤:40から50 Gy程度の線量が用いられる。

50. 解答 a、 b
誤:CD20に対するモノクローナル抗体である。
誤:橋本病に合併しやすい。

正:約70%を占めるとされる。
正:健側精巣および中枢神経に再発する傾向がある。

以上、46〜50は小岩井慶一郎会員 (伊那中央病院放射線科)

51. 解答 e
a. 正: 緩和医療における骨転移に対する除痛効果は放射線治療の重要な適応の一つである。8Gy単回照射の有効性はオランダのDutch Bone Metastases Studyや米国のRTOG 97-14に代表される大規模ランダム化比較試験により証明されている。
b. 正: 20Gy/5F、 30Gy/10Fは実臨床でしばしば用いられる。
c. 正
d. 正: あまり一般的ではないが、再照射や晩期合併症の予防の観点からは可能と思われる。
e. 誤: 根治線量に近く、疼痛緩和には過剰な線量と思われる。

52. 解答 d
a. 正: 脊髄圧迫症状(Metastatic Spinal Cord Compression: MSCC)がある場合には、脊髄浮腫の軽減のため即効性を期待してステロイドを併用する。
b. 正: 麻痺症状が増悪する場合、後方アプローチによる椎弓切除により脊柱管内の除圧、そして椎体の安定を図るため病変の上下の固定術の適応となる。原則として固定術後は照射の適応である。
c. 正
d. 誤: 麻痺症状は出現後48-72時間で不可逆性となってしまうため、緊急の積極的な治療が必要。患者が歩行可能なうちに治療開始しないとADLの改善が望めない。
e. 正: すでに麻痺症状が顕在化している場合は緊急照射の適応である。

53. 解答 a
a. 正: 薬物療法の非適応例、無効例や再発例に対して放射線治療の適応がある。作用機序として血管内皮障害による微小血栓形成などが考えられている。対象が小児の良性疾患であり、1回線量は可及的小さく、総治療期間を長めにして5-10Gy程度が至摘線量とされる。
b. 誤
c. 誤
d. 誤
e. 誤

54. 解答 a
a. 正: 難治性・再発性ケロイドは術後照射の適応である。5mm厚程度のボーラスを用いて低エネルギー電子線照射を行う。線量分割は15Gy/3-5Fとされるが、写真の胸骨部など比較的再発しやすい部位では 20Gy/4Fも推奨される。
b. 誤
c. 誤
d. 誤: 放射線照射単独治療はコンセンサスが得られていない。
e. 誤

55. 解答 b
a. 誤: Favorable Histology(予後良好群)のstage I〜IIを除く大多数で術後照射が必要。
b. 正: 小児の小脳半球に好発するlow-grade glioma。摘出可能の場合、原則として予後良好。残存腫瘍や再発の場合には照射の適応となる。
c. 誤: 早急な治療が必要。
d. 誤: 問53参照
e. 誤: 問52参照

以上、51〜55は 白石憲史郎 会員(東京大学放射線科)

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