第6回(1997年)二次試験問題解答および注釈
【治療】 1.〜10.

1.  (1) 2  
テント上腫瘍
   T1 最大径が5cm以下の腫瘍で一側に限局している
   T2 最大径が5cmを越える腫瘍で一側に限局している
   T3 腫瘍が脳室系へ浸潤あるいは伸展している
   T4 腫瘍が正中を越えて対側,あるいはテント下へ浸潤している
(2) b
(3) c
(4) b, 60,6
(5) 12
(6) ACNU,MTX(メトトレキセート)など
*最近はVCR(ビンクリスチン)が流行り。
(7) b
(8) 脳壊死 
理由:造影されることがあり,腫瘍の再発との区別が困難なことがある。

2.  (1) 2,0,0,II
(2) 192Irヘアピン,線源から5 mm,70Gy,5〜7
(3) 図示:1cm 毎に3本
(4) c,c
(5) 75〜85,40
*問題の記載に「転移」となるべく所が,「移転」になっている。

3.  (1) 1b,0,0
(2) a 
理由:ビルドアップを考慮すると線量分布上良好
(3) a,5,5,
照射野図示:
(4) 2,30,6,60
(5) 咽頭粘膜炎・咽頭炎・照射野皮膚炎のうち二つ

4.  (1) 4,2
(2) 照射野図示:
(3) 3〜4,4,1.5〜2.0,40〜70
(4) なるべく早急にSVC閉塞の改善をはかりたい
(5)  1.ステロイド投与
2. 利尿・減塩
3. 頭部挙上・安静臥床
4. 抗凝固療法
5. ステント挿入
(6) 気管支炎・肺炎・食道炎のうち一つ
(以上1〜4は慶應義塾大学・戸谷和仁会員)

5.  進行膵癌
進行膵癌患者を外照射と術中照射の併用で治療するという条件である。膵癌では根治性に乏しく疼痛緩和が主体となる場合が多い。
(1)切除不能例では1回線量は2Gy,20〜30回,総線量40〜60Gyの外照射と術中照射15〜33Gyが目安となっている。
(2)10MV以上のエネルギーのX線を用いる。照射法は,原体照射,回転照射,多門照射,cross-fire照射などを用いる。一般的には前方と左右からの3門照射を用いる場合が多いと思われる。
(3)外照射のみでは消化管の障害が大きく根治線量を投与することができない。術中照射は障害が懸念される正常組織を手術操作によって照射野から外して照射可能である。また,外照射を併用する利点としては,術中照射では含むことのできない領域を広くカバーできること,あるいは先に外照射を行い,腫瘍体積を減らすことによって術中照射の照射野を小さくできること,術中照射線量を減らすことによって晩発効果を減らしうること,低酸素細胞の再酸素化によって照射効果が期待できること,などが挙げられる。
(4)術中照射には通常,b.電子線を用いる。至適エネルギーの選択は深さ方向の厚みにより少なくとも4Bをカバーする必要がある。治療域の深さは電子線エネルギーの約1/3 cmである。よってc.14MeVであれば深さ4.6 cm まで治療することができると思われる。
(5)遠隔転移のない局所進行膵癌に対して,外照射と術中照射を併用した場合の50%生存期間は,およそ8.5〜11か月である。2年生存率については,0〜28%と幅があるようだ。予後の極めて悪い疾患である。
参考文献:高橋正治:電子線術中照射法. 日放腫会誌 9:255‐262 ,1997.

6.  前立腺癌
(1)画像診断として必要な主な検査法としては,局所の評価として経直腸超音波検査あるいは前立腺MRI検査,所属リンパ節転移の有無の評価にCTスキャン,骨転移の検索に骨シンチグラフィが有用と思われる。膀胱造影も必要と思われる。
(2)前立腺癌取扱い規約によれば,「前立腺被膜に,または被膜を超えて精嚢,膀胱頚部,あるいは膜様部尿道に侵襲しているが,転移のないもの」は病期Cとなる。
(3)一般的に線源として10MV以上の高エネルギーX線を用いる。膀胱直腸の線量を減らし,できる限り腫瘍に高線量を集中させるため前立腺局所に対して4門照射,前方240〜270度振子照射,側方120度振子照射,360度回転照射などの照射法が選択される。前後対向二門照射は合併症のリスクが高いため不適当である。照射野の大きさは早期例で6×6B〜進行例で8×8B程度である。
(4)低分化線癌では骨盤リンパ節転移の頻度が高いので,大照射野として全骨盤照射を行ってもよい。骨盤リンパ節領域に対しては第五腰椎上縁から坐骨結節下縁で側方は小骨盤腔より外側2Bまでを含めた全骨盤照射が行われる。
(5)前立腺癌の根治照射には通常65〜70Gyである。ただし,高齢者が多いため,急性反応が強いものでは60Gyまででも可とされる。
(6)大照射野を用いるとすれば下痢,軟便,頻便,食欲不振が一般的である。局所照射では無菌性膀胱炎による頻尿,直腸炎による頻便が挙げられる。
(7)臨床検査としては,腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)が最も有用である。PSAが正常化した症例では再発が少ないとされる。また,直腸診において前立腺が委縮に至ることが局所制御を反映する。
参考文献:唐沢久美子,他:前立腺癌の放射線治療. 癌の臨床 42:1351‐1363,1996.

7.  子宮頚癌
(1)以下のうち一つが書けていれば正解と思います。なお,低線量率腔内照射と高線量率腔内照射ではともに局所制御および晩期障害には差がないとされている。
低線量率
長所 1. 優れた治療成績が確立されている。
2. 全ての細胞周期に照射できる。
短所 1. 照射時間が長い。
2. 線源位置がずれることがある。
3. 遮蔽病室に拘束される患者の負担が大きい。
4. 術者の被曝,看護時の被曝が避けられない。

高線量率
長所 1. 照射時間が短い(数分〜十数分),患者管理が容易である。
2. 術者を含め医療職員の被曝がない。
3. 体内での固定が正確である。
4. 線源配置についてダミーを用いた十分な検討ができる。
短所 1. 装置が高価である。
2. 装置の故障対策が必要である。
3. 遮蔽の充分な治療病室が必要である。
(2)A点:外子宮口を基準として,前額面上,子宮腔長軸に沿って上方2Bの高さを通る垂線上で,側方にそれぞれ2cmの点とし,腔内照射の病巣線量の基準点に用いる。A点線量は左右2つあるが,左右差があるときは少ない方の線量を用いる。原発巣の治癒と膀胱直腸の障害の指標となる。
 B点:骨盤腔内にて,前額面上の左右A点の中間の高さで正中線より側方5 cm の点をいう。骨盤壁浸潤の治癒と腸管障害の指標となる。なお,外部照射の病巣線量の計算には腔内照射のB点線量は加算しない。
参考文献:日本産科婦人科学会,日本病理学会,日本医学放射線学会編 子宮頚癌取り扱い規約(改訂第2版). 金原出版,1997. (以上5〜7は国立福山病院・中川富夫会員)

8. (1)Joint Committee of the Americal College of Surgeons, American College of Radiology, College of American Pathologists, Society of Surgical Oncologyによれば以下のとうり。ただし,相対的非適応は確定的なものではなく,美容面の満足度は患者の主観による,膠原病患者への放射線照射により,障害の増加はとくに認められていないなど,多くの意見が付されるところである。
1)妊娠6ヶ月まで
  別々のquadrantsに位置する多発病巣
  広汎微細石灰化
  乳房を含む領域への放射線治療の既往
絶対的非適応は,術後の切除断端陰性が得られず,局所再発の可能性が高いと考えられる場合および,放射線治療自体の適応がない場合である。
2)腫瘍/乳房比が大きい場合
  膠原病の既往
  乳房サイズが大きい場合
  乳輪直下の原発
相対的非適応は,美容面で満足できる結果が得られそうもない場合と,放射線治療が技術的に困難であったり,放射線治療の晩期障害が出現する可能性が高い 場合など。
(2)6 MVX線 
(3)乳房内の線量分布を均一にするためにウェッジフィルターは必要。10 MVX線では,皮下のbuild up領域の線量低下のため,ボーラスの使用が考えられるが,表面線量が増加して皮膚障害の原因となるため,不適当である。
(4)1回線量1.8〜2.0 Gy,週5回法で総線量は45〜50 Gy
(腫瘍床への電子線ブースト照射はφ6〜8 cmで6〜16 Gy程度)
(5)放射線治療による急性反応として乳房の皮膚炎,亜急性反応として放射線肺炎などが起こりうるが,せいぜい5%以下。重篤な晩期障害に至ることはほと んどない。また,温存療法自体の副作用として,腫瘍サイズ,手術の程度などにより,上肢,乳腺周囲の浮腫が起こりうる。浮腫については客観的評価がむずかしく,頻度は報告によりばらつきがある。ここでは,副作用といえるほどのものは少ないとしておく。 

9. (1) 1) MRIあるいはCT
2) 腫瘍の大きさ,進展範囲をより正確に把握するため。

(2)1回3 Gy×10回/2週間で総線量は30 Gy程度(もちろん2 Gy×20回/4週とする意見もあると考えられる)。
(3)胃部不快,食欲低下といった急性の胃腸症状。白血球,血小板数等の軽度の低下。肝臓が照射野に入るような場合は,倦怠感の増悪(すでに存在する肝機能障害の一時的な増悪)。
(4)放射線脊髄症
(5)0〜5%
 症例を選べば長期生存例もあり得るが,基本的に非切除例であり0%に近い。

10. (1)Nodular sclerosis (本邦ではMixed cellularityが最も多い)
(2) 麻酔を含めた手術自体の危険性,摘脾後の重症感染症の危険性,あるいは術後の腸閉塞,膿瘍形成などの危険性は,それぞれ低下しているものの依然として存在する。従って,治療方法の決定に寄与する可能性が低い場合には,患者への利益は少なく,staging laparotomyは行われない傾向にある。 また,CS I,期のホジキン病で予後不良因子のない場合には,腹部病変の検索ならびにその結果に応じた化学療法の併用が,生存率向上に寄与しなかったとする報告もある(EORTC, J Clin Oncol 11: 2258-2272, 1993)。
 現在,組織型,B症状の有無,年齢,性別,占拠部位数,腫瘍径,血沈値などにより,CS I,期のホジキン病における腹部病変の有無が,ある程度想定可能になってきており,staging laparotomyの不必要な群が見いだせるようになってきた。また,同様に化学療法が必要とされる群もこれらの因子より選別可能であり,その場合も不要である。
(3) IA (IXA)
 bulky disease (最大径が10Bを超える)
(4) Adriamycin
Vinblastin
(5) 30〜40
(以上8〜10は国立国際医療センター・宇野 隆会員)