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29.解答 d または a
診断所見:肝門部付近超音波像では,肝のecho level は,比較的低く限局した腫瘤影は指摘し得ない。内部が高echo
の索状物でしきられているようにもみえるが,はっきりしない。内部の管腔構造物は門脈と中肝静脈か。もしくは,限局性の肝内胆管拡張か。S4〜5のものは,判断に苦しむ。
単純CTでは,左葉に比し,右葉が萎縮しているようなバランスの悪さがみられる。CT値は低くはない。SOL は明らかでない。S4〜5に索状のlow
density がみられるが,単純CTなので脈管なのか胆管なのか判断に苦しむ。S4とS5の境目のlow はこの肝の形態から,中肝静脈のようであるので,限局性の肝内胆管の拡張ともとりにくい。S4〜5の表面とS5の内部に線状のhigh
density があるようにもみえる。
診断プロセス:所見を右葉の萎縮と,線状の石灰化ととるならば,画像所見上は,亀甲パターンと切れ込み様の肝の変形を特徴的とする典型像は示さないものの,この5者の中から選択するのであれば,aの日本住血吸虫症ということになるであろう。bの脂肪肝はecho上でのbright
liverや,CTでのびまん性lowdensityを示すもので,この症例には,あてはまらない。Cの肝細胞癌も,明らかなSOLを指摘し得ないことから否定的であるし,eのサルコイドーシスはびまん性に広がる肉芽腫がφ1cm程度となれば散在する小結節影として描出されるが通常φ1mm前後と小さく,CTやechoで検出することは,困難のようであるので,考えにくい。造影CTが提示してあれば,判断は可能なのであろうが,限局性の肝内胆管拡張という可能性もこれらの画像からは,すてきれず,dの肝内胆管癌も残した。
echoと単純CTだけで,どこまで読影できるか。ということをためされている問題のようであるが,CTでは,通常造影をすることによって,脈管系と胆管拡張所見を区別判断しているので,単純CT
のみでは判断に苦しむ。ただ,肝内胆管拡張については,echoでていねいに見ると,門脈と拡張した肝管とが二重の管腔構造として,みえるであろうので,このecho所見にはそれが描出されていないととると,肝内胆管拡張はない。ということになって,答えは,aにしぼられるかもしれない。しかし,aにしても,もう少し典型的な像を出してもよいと思われ,私としては,出題者の意図を計りかねた。読影及び診断のプロセスは一応上記のようである。
30.解答 c
診断所見:ERCP後単純CTでは,膵鈎部に造影剤の貯留を思わす高吸収域が見られる。造影CTでは,膵鈎部に,大小の嚢胞が集簇している像が見られる。その部分はMRI
T1WIでは低信号を示し,T2WIでは,嚢胞内容は著明な高信号を示している。MRCPでは,主膵管は全体に軽度拡張を示し,膵鈎部に主膵管と連続しているようなぶどうの房状の高信号が描出されている。ERCP後の単純CTでの,造影剤の貯留の所見とあわせると,膵鈎部病変と,主膵管との交通が強く示唆され,この病変は,膵鈎部分枝膵管の嚢状拡張であると考えられる。
a.誤:solid and cystic tumor:若い女性に多い。腫瘍内出血,壊死が強いため,充実性から純粋嚢胞に近いものまで多様な形態を示す。厚い被膜・隔壁を有する。
b.誤:急性膵炎・慢性膵炎・急性憎悪・外傷後に発生する。原則として,単胞性で典型的な嚢胞像を呈する。
c.正:1. mucinous cystadenoma (adenocarcinoma)と2. intradactal papillary
adenoma (adeno carcinoma)が含まれる。1. は,通常厚い被膜を有し,比較的大きな多房性の嚢胞を形成する。主膵管との交通は,あることも,ないこともある。女性で膵体尾部にできることが多い。2.
は,膵管内に乳頭状に増殖する腫瘍で多量の粘液を産生し,膵管が嚢胞状に拡張し乳頭部から粘液を排出する。主膵管型と分枝膵管型があり,膵鈎部分枝膵管にできたものは,本症例のように,ぶどうの房状の分枝膵管の拡張を示す。内容は粘液である。
d.誤:境界明瞭な hypervascular tumor である。大きくなると,中心壊死のために,壁の肥厚した嚢胞に類似することもある。
e.誤:膵が腫瘤状に大きくなり,限局性に腫大した場合は癌との鑑別がむしろ問題となる。慢性膵炎の所見としては,嚢胞を伴うこともあるが(retention
cyst, pseudocyst),eの場合は,内部は充実性のことが多い。
31.解答 d
診断所見:造影CT早期相では,膵頭部に内部の濃度の不均一な,造影効果に乏しい腫瘤が描出される。また,胆嚢は萎縮し,均一な壁肥厚と内膜の濃染が描出される。腫瘤背側には,PTCD内瘻化チューブのhigh
densityが描出されている。
血管造影:総肝動脈造影の,動脈相である。ASPD(前上膵十二指腸動脈)に急峻な屈曲と硬化がみられる。PSPD(後上膵十二指腸動脈)のencasementは,明らかでないが膵内枝途絶があり,hypovascularにみえ,GDA(胃十二指腸動脈)のencasementと,総胆管へ向かう動脈の不整も見られる。胆嚢動脈は比較的きれいである。PTCD内瘻化チューブがみられる。
診断プロセス:血管造影による病変の広がりからは,(1)か(3)が考えられるだろうが,CTの所見からまず胆嚢については慢性胆嚢炎を,一番に考える所見である。(壁の肥厚が均一で内膜にも,不整がみられない。)(4)を含む解答としては,dの(3)膵癌かeの(5)慢性膵炎となるが,hypovascular
な,膵頭部の腫瘍で,肝十二指腸靱帯,総胆管へそった浸潤の考えられる血管造影所見からは,(3)の膵癌を選択する。
鑑別診断:実際には,慢性膵炎の腫瘤形成型と膵癌の鑑別は,血管造影をもってしても,困難なことがある。膵内枝に関しては線維化の強い慢性膵炎の場合,途絶があったり,描出が不良であることもある。しかし,ASPD,PSPD,GDAその他の膵周囲動脈に変化を及ぼすことはまずない。
32.解答 c
診断所見:右副腎の位置に存在する巨大な腫瘤である。造影T1WI sagittal像では,腎実質と連続性のない腫瘤であることがわかる。CT,MRIともに,この腫瘤は,内部が不均一であり,不整な造影効果がみられる。被膜を有し周辺臓器との境界は比較的明瞭にみえるが,造影CT(比較的遅い相)と造影T1WI(下大静脈部)sagittal
imageでみると,下大静脈内に腫瘍塞栓が描出されている。
診断プロセス:上記画像所見より,副腎原発の悪性腫瘍が最も考えやすく,解答はcとなる。
a.正:造影T1WI sagittal 像(腫瘤部)で,腎原発は否定される。
b.誤:副腎原発の悪性リンパ腫は,内部が比較的均一との報告が多く,両側性が,48例中34例であったとの報告もある。[腹部画像診断アトラス
III 松尾ら]悪性リンパ腫の腫瘍塞栓というのも,聞いたことがない。
c.正:画像上最もあてはまる診断である。
d.誤:副腎腺腫は,内部均一,境界明瞭の良性腫瘍。
e.誤:脂肪と骨髄成分を含む良性腫瘍である。MRI T1WIで,脂肪成分はみられない。
(以上29〜32は川崎医科大学・小牧久和子会員)
33.解答 a
あまり画像の質が良くないように思いますが,解答は消去法で可能です。
診断所見:子宮の腫大はないが底部で内膜腔のわずかな拡大があり,T2強調画像で高信号の構造物で占められています。T1強調画像では低信号のようですが一部信号強度の高いところもあり,出血を含むかも知れません。また体部後壁筋層にはT2強調画像で無信号に近い低信号域があり,flow
void を見ているのかも知れません。
診断プロセス:子宮頚部にT2高信号域はないので子宮頚癌はまず否定できます。上述のT2低信号域は小さな子宮筋腫である可能性を否定できませんが,妊娠中絶後の無月経の原因にはならないので否定して良いのでしょう。子宮筋肉腫は筋腫と鑑別の難しいものもありますが,多くはT2高信号の筋層内の大きな腫瘤であることからこれも否定できます。子宮内膜症は,この場合内性子宮内膜症(子宮腺筋症)ということでしょうが子宮の腫大や
junctional zone の拡大はみられず否定できます。よって残る絨毛性疾患が正解で,T2強調画像での低信号域は内腔を占める
高信号のmole が hypervascular であるために生じた所見と考えるべきなのでしょうが,T1強調画像で所見がはっきりしないなど答えにくい問題だと思います。
34.解答 d
診断所見と診断プロセス:両側性の卵巣腫瘤で,右は腹側が高信号の fluid level (つまり fat-fluid level
)を呈し境界面に中間信号の nodule が nodule in nodule appearance を伴って認められ,典型的な成熟嚢胞性奇形腫です。左は多房性嚢胞性腫瘤で3つの房のうち2つは高信号で,内膜症性嚢胞との鑑別が問題となりますが,被膜が薄いのと一番左側の房の内部に見られるやや信号強度の低い構造物とこれを取り囲む高信号の物質との境界面に
chemical shift が見られることから,T1高信号の成分が脂肪と推定できます。
35.解答 b
診断所見と診断プロセス:子宮の左側に接して多房性の嚢胞性腫瘤があり,内容物はT1強調画像で高信号です。そこでこの内容物は血液か,脂肪か,粘液かを問う問題ですが,脂肪抑制T1強調画像で信号抑制を受けないことから血液と粘液が残ります。T2強調画像では一部の
loculus が低信号を呈しますが,これは蛋白濃度の極めて高い粘液でも起こりうるので鑑別になりません。そこで腫瘤の性状に着目すると被膜・隔壁がかなり厚く,子宮との境界が不明瞭であることがわかります。よく見ると直腸と子宮の間の脂肪織も一部で消失しています。これは何回も出血を繰り返して周囲構造と癒着したことを示す所見で,内膜症性嚢胞と考えられます。卵巣腫瘍内出血は悪性腫瘍で時に見られますが,造影後T1強調画像で被膜以外には造影される充実性部分はなさそうなので考えにくいでしょう。筋腫の赤色変性は筋腫の出血性梗塞で妊娠中に好発しますが,本例では腫瘤は子宮と接するものの子宮筋層内にあるとはいえず,また隔壁を伴うことはあまりないと思いますので否定して良いでしょう。
36.解答 a
大動脈と下大静脈,腎動静脈の位置関係を問う基本的な問題です。
診断所見と診断プロセス:壁に石灰化のあるのが大動脈であることがわかれば診断は容易です。左上の図で大動脈の右側にある下大静脈はSMA
と大動脈の間を通る左腎静脈(正常な位置関係です)を介して下方では,大動脈の左に移動しています。右下の図で大動脈の右側に(もう1本の)下大静脈はないことが確認できますからtransposition
of the IVCと診断できます。
(以上33〜36は筑波大学・田中優美子会員)
37.解答 d
ASOの患者さんで左総腸骨動脈の完全閉塞,右総腸骨動脈の限局性狭窄(2ヵ所)および右浅大腿動脈中部の強い狭窄を認めます。ASOに対するIVRはballoon
PTA,血栓溶解療法, stent,アテレクトミー, レーザー血管形成術など多数の方法があります。問題の選択枝にある方法の適応はおおむね以下のように考えられています。
Balloon PTA:1. 壁に石灰化のない限局性(10cm以下)の狭窄。2. 本来の内径が2mm以上。3. 非器質化血栓が存在しない狭窄。4.
術後吻合部狭窄。5. 病変数は少ないほどよい。
血栓溶解療法:1. 急性血栓性動脈閉塞。2. 内腔が内膜肥厚に占拠されていない慢性閉塞。3. Balloon PTA,アテレクトミーの術前の血栓溶解など。
Stent:1. PTA後の再発。2. PTAによる内膜剥離,偽動脈瘤。3. 相対的適応として石灰化,長区完全閉塞,偏心性狭窄などPTAで再発しやすい場合。
アテレクトミー:1. Balloon PTA後の早期再発。2. Balloon PTA抵抗性の狭窄。3. PTA後の内膜剥離。4.
血管内stent内膜肥厚など。
以上をふまえ,本例では右総腸骨動脈,浅大腿動脈の限局性狭窄に対しては赤色血栓除去を目的に少量のウロキナーゼ動注後,balloon
PTAを施行するのが妥当と考えられます。Balloon PTAに抵抗性の場合,アテレクトミー,総腸骨動脈病変にはstentも考慮される。左総腸骨動脈の閉塞に対しては先ずウロキナーゼ動注を行い,ガイドワイヤーの通過が得られれば,balloon
PTA,アテレクトミー,stent留置の適応になります。
従って,選択枝aは誤り。bはウロキナーゼは使用するがballoon PTAの方が有効と考えられ,誤り。cはstent留置の可能性もあり,誤り。dはPTAは第一選択でアテレクトミーの可能性もあることから,正しい。e.完全閉塞はstentの適応に含まれ,誤りとしました。
38.解答 d
血管造影像は動脈相において内腸骨動脈領域からの不正な微細血管増生と静脈の早期描出を認めます。また,静脈相では両側内腸骨静脈,特に右内腸骨静脈から総腸骨静脈への大量の造影剤流入が見られ,A-Vshuntに伴うvenous
returnの増加と考えられます。以上より将来的には右心不全をきたす危険があると思われます。但し,動脈相での不正な微細血管の増生が感染巣の炎症によるものであれば,敗血症も考慮する必要がありますが,これは臨床症状,血液データから容易に鑑別できると思います。
39.解答 d
肝生検後の合併症に関する問題です。CT(非造影)では肝S5/6の被膜下に限局性のレンズ型の高吸収域,S5/6肝実質の中央背側寄りに三角形の軽度高吸収域を認め,血腫が疑われます。更に,膵頭部に周囲に低吸収帯を伴った,円形高吸収域が見られ,胆管結石,hemobiliaの可能性があります。
血管造影では動脈相でA6領域に胆管或いは門脈の描出がみられ,肝生検に伴う動脈胆管瘻,動脈門脈短絡形成と考えられます。経皮的肝生検の合併症としてのhemobilia血腫の発生頻度はそれぞれ0.2,0.5%の報告があります。
辻井 正,神代正道,上村朝輝:肝生検診断の実際.中外医学社,pp203-210,1995.
40.解答 d
血管造影動脈相では右葉全域から左葉内側区にかけての血管増生と門脈右枝から本幹,左枝へ進展する門脈腫瘍栓のthread and
streak signを認めます。実質相では上記血管増生部分に不均一な腫瘍濃染を認め,門脈腫瘍栓はより明瞭になっています。上腸間膜動脈門脈造影では門脈本幹の描出は見られず,cavernous
transformationの発達と肝内への門脈血の供給および左胃静脈の逆行性の描出を認めます。肝細胞癌で少なくともstage
「-A,臨床病期は問題文からはstage 氓ニしても選択枝のc局注療法,eマイクロウエーブ凝固療法等の限局性の小肝癌に有効な治療法及びb.の手術は除外して良いと思われます。本症例のようにdiffuseに進行した肝癌には一般にone
shot動注やreservoir動注のような動注療法が選択され, cavernous transformationを介して肝内に門脈血が供給されており,Vp3では禁忌とされるaの動脈塞栓術も適応の余地があると考えられます。
(以上37〜40は北海道大学・清水 匡会員)
41.解答 c
図a 脳血流SPECT像:極めて空間分解能の低い画像で,表示条件も明示されていないが,おそらく左中大脳動脈領域の血流欠損と読ませたいのであろう。
図b X線CT像:側脳室体部レベル,左中大脳動脈領域の低吸収と浮腫を認める。
図c X線CT像:側脳室体部レベル,左中大脳動脈領域の低吸収を軽度認めるが皮質と白質の区別は不明瞭 (cortical
effacement)。
a.誤:組織傷害が進んでいるため,血栓溶解療法の適応無し。
b.誤:Cortical effacementが見られたなら,血栓溶解療法後に出血の危険が高く,適応無し。他に出血の危険が示唆される早期CT所見として,insular
ribbonの消失,レンズ核の不明瞭化がある。
c.正:問題のような広範な病変の症例の場合,脳血流SPECTは塞栓症では発症直後から,血栓症ではおそらく発症前から異常の検出が可能である。しかし,lacunar
infarctionなどの小範囲の病変の場合は空間分解能の低さから,この限りでない。
d.誤:99mTc-DTPAは正常の脳血液関門を通過せず病変部で通過するため,この症例では左中大脳動脈領域に集積すると考えられる。発症後2週間から4週間目に異常集積を示しやすいとされる。
e.誤:全身被曝線量は「標準的な核医学イメージングプロトコル(1994年 第3次改訂)」(RADIOISOTOPES,
Vol. 43, No. 9, p.81-)によると,0.15mGy/37MBqとなっている。投与量を740MBq投与とすると,0.15×740/37=3mGyとなる。
42.解答 e
図a 側頭頭頂葉に明らかな左右差は見られない。
図b (定量画像)右側頭頭頂葉に著明な高集積を認める。てんかん発作時の高血流として矛盾しない。同側視床や対側小脳の血流も亢進しているように見える。
a.正:著明な高血流から,図bが発作時,図aが間歇期と考えられる。
b.正:血流亢進部位の側頭頭頂葉皮質部は中大脳動脈支配である。
c.正:remote effectの可能性が高い。ちなみにremote effectにより対側小脳の血流の増加がするという報告もある。
d.正:99mTc-HMPAOは,脳において一度血管外に出て代謝された後は,ほとんど洗い出されないので,再分布を示さず,静注時の放射能分布が保たれる。
e.誤:てんかん発作では代謝は亢進する。これがremote effectで同側視床や対側小脳の代謝を亢進させると考えられる。脳血管障害の場合はこの逆である。
「血流放射能」は聞き慣れない表現です。
43.解答 e
甲状腺への123Iの集積は不良。摂取率は著明に低下している。
(1)正:教科書によると正常の甲状腺機能と腎機能を有する場合,水溶性造影剤は3〜4週間は摂取率に影響し,腎機能が低下していればこの期間は延長し,甲状腺機能亢進症では短縮する。(近年,造影剤の排泄が良くなって,影響する期間が短くなっている可能性はあります。)
(2)誤:MRIの造影剤にはGd-DTPAが使用され,ヨード製剤は使われない。
(3)誤?:甲状腺機能亢進症患者に抗甲状腺剤を投与して,123I摂取率試験を行った場合,通常は24時間値で10%以上,3時間値でも数%の摂取率を認め,少なくとも甲状腺は描出される。図のようになったとしたら,おそらく医療過誤である。
(4)正:甲状腺ホルモンを服用した場合,TSHの抑制を介して甲状腺摂取率は低下する。
(5)正:亜急性甲状腺炎では摂取率は著明に低下し,超音波検査でもエコーレベルが低下する。
44.解答 e
15分後 甲状腺右葉下極に高集積を認める。
3時間後 上記部位に99mTc-MIBIのretentionを認める。
(1)誤:99mTcの検査の場合,甲状腺ブロックは必要ない。甲状腺の被曝線量は添付文書によると0.13mGy/37MBqである。
(2)誤:注射液とキットの両方の形態で提供されており,キットがあれば依頼当日でも検査可能である。ただし,加熱処理など調製に30分程度必要である。
(3)正:(副甲状腺種 −> 副甲状腺腺腫)
(4)正:現在,99mTc-MIBIは保健適応外。201Tlは保健適応である。
(5)正:
45.解答 なし
肝臓下縁,右副腎の部位に一致して131I-アドステロールの集積増加を認める。左副腎は描出されておらず,suppressされているものと考えられる。
(1)正:131Iを用いた放射性医薬品では甲状腺ブロックを必ず行う。(他,131I-MIBG)
(2)正:イメージングハンドブック(第一RI),「標準的な核医学イメージングプロトコル」では「撮像前に浣腸を施行する」としている。添付文書でも,副腎と糞便の重なりを示した症例の経験から下剤等で排便の促進を指示した報告を紹介している。
(3)誤:通常,静注7日後に撮像する。
(4)正
(5)正:機能性の腫瘍で取り込みを示す。癌の場合は正常組織よりも取り込みが低いとされる。
注:131I-アドステロールはエタノールを1.6v/v%含むので,2倍以上に希釈して30秒以上かけてゆっくり静注する。
46.解答 d
右中下肺野に血流欠損を認める。
(1)誤:通常は安静仰臥位で静注する。
(2)誤?:左肺では大動脈や心臓などにより低集積様所見を呈するが,病変と紛らわしい。
(3)正:肺動脈壁の病変により血行障害を生じる。
(4)正:肺梗塞では換気は障害されないので,血流とのミスマッチを生じる。
(5)誤:やはり換気は障害されないので,洗い出し遅延は認めない。
(以上41〜46は金沢大学・辻 志郎会員)
47.解答 a
201Tl心筋血流シンチグラフィは,心筋血流を評価するのに,有用な検査法である。そのうちで,安静時心筋血流シンチグラフィは,おもに心筋のviability,心筋梗塞の重症度や範囲を評価するために施行されている。しかし,一部に急性心筋梗塞を合併したような重篤な不安定狭心症などでは,201Tl投与直後の安静時心筋血流シンチグラフィで血流低下像を示していても,投与後3〜4時間の後期像では再分布(fill
in)を認めることがある。これまでの研究で,この安静時再分布像の方が心筋のviabilityを正確に反映していることがわかってきた。
(植原敏勇,西村恒彦:安静時心筋シンチグラフィ,西村恒彦編, 心臓核医学検査,メジカルビュー,東京,1992,pp. 66-77)
(1)正:投与10分後像と3時間後像とで中隔部のlow activity areaを比較すると,3時間後像の方が明らかに縮小している。
(2)正:心筋壊死部には,201Tlが分布しないので,再分布を示している中隔部のviabilityが保たれているものと考えられる。
(3)誤:安静時心筋血流検査はおもに心筋のviabilityを評価するために施行される検査である。
(4)誤:201Tlと99mTc-MIBIの心筋生存性の診断能については,評価の分かれるところであり,意見は定まっていない。99mTc-MIBI検査は,再分布現象が著明でないため,心筋のviabilityの評価において不利であるとする報告が散見される。(橋本順,久保敦司:99mTc-標識心筋血流イメージング,西村恒彦編,心臓核医学検査(改訂版),メジカルビュー,東京,1998,pp.
70-85)
(5)誤:中隔の血流は,前2/3は左冠状動脈の前下行枝,後1/3は右冠状動脈により支配されている。
48.解答 d
心プールシンチグラフィは,血中に長時間とどまる物質を標識して静注し,心臓部のactivityを経時的に観察して,心疾患の診断を行う検査法である。最近では,画像を心電図同期下に収集し,得られたデータを処理し,種々のパラメータを抽出し,心機能の評価に応用されるようになっている。
(二谷立介,瀬戸光,中嶋憲一:RIによる右室・左室機能評価法, 久田欣一,古舘正従,佐々木康人,小西淳二編, 最新臨床核医学(第2版),
金原出版, 東京, 1991, pp. 296-318)
(石田良雄,堀正二,西村恒彦:心プールシンチグラフィ, 西村恒彦編, 心臓核医学検査, メジカルビュー,東京, 1992,
pp. 26-51)
(1)誤:駆出分画は,(拡張末期容積−収縮末期容積)÷拡張末期容積×100(%)で算出される。本症例では,60%である。
(2)誤:逆流率は,一回拍出量像の左右心室のカウント比から算出される。左室逆流分画 = (左室駆出カウント量−右室駆出カウント量)/
右室駆出カウント量
(小須田茂,久保敦司:平衡時Multi-gate法による左室逆流性弁膜疾患の逆流量の定量的評価. 核医学1983:257-264)
(3)正:周期関数である心容量曲線はsinとcosの関数の和として表すことが可能で,この計算をフーリエ級数展開という。この演算を各画素ごとに求めた容量曲線に対して行い,級数の各次数の部分に対応する位相角と振幅を求め,これをもとにして各種心機能画像が作成される。心室の局所的機能動態の特性を描出するためには基本周波数項のみの位相角と振幅では困難で,高次周波数項までを用いて近似された級数展開の位相角と振幅をもとに機能画像を作成する。
(Links JM et al.Patterns of ventricular emptying by Fourier analysis
of gated blood-pool studies. J Nucl Med 21;1980:978-982)
(4)正:いずれの方向の画像においても,収縮末期の左心房部のactivityが増強しているので,逆流率の増加が疑われる。
(5)誤:左心房部のactivityは,通常より増強しており,左心房の拡大が考えられる。
(47. 48.の解答作成には慶應大学放射線科の橋本順先生の協力を得ました。)
49.解答 d
最近の肝胆道シンチグラフィは,肝摂取率や尿中排泄率の点で優れている99mTc-PMTが用いられることが多くなっているが,99mTc-
IDA化合物を用いた肝胆道シンチグラフィは,体質性黄疸の鑑別診断に極めて有用である。
(油野民雄:胆道シンチグラフィ, 久田欣一,古舘正従,佐々木康人,小西淳二編, 最新臨床核医学(第2版), 金原出版, 東京,
1991, pp. 391-404)
a.正:10分後像では,心臓部分にactivityを認めず,肝のRI摂取は良好である。
b.正:99mTc- IDA化合物を用いた場合,99mTc-PMTよりも尿中排泄率が高いため,正常例においても,若干の尿路の描出が認められる。(投与後180分の時点で,尿中排泄率は,99mTc-PMTで2%,99mTc-diethyl
IDAで5%と報告されている。)
c.正:正常では,投与後5〜20分で管内胆管〜総胆管の描出が認められる。
d.誤:正常では,投与後60分では,肝実質内のactivityはほとんど消失する。
e.正:体質性黄疸には,Dubin-Johnson syndrome, Rotor syndrome, Gilbert
syndromeなどがあるが,99mTc-IDA化合物で検査を行った場合,それぞれの肝摂取,肝排泄は以下のようになる。
肝への摂取 肝から排泄
Dubin-Johnson syndrome 正常 遅延
Rotor syndrome 低下 正常
Gilbert syndrome 正常 正常
50.解答 d
腎移植は,慢性腎不全の重要な治療法として確立してきている。しかし,ときに腎移植後に合併症を生じることがある。その場合,腎シンチグラフィは非侵襲的に移植腎の血流,形態,尿路の通過状態を観察することができ,パラメータを解析することにより,糸球体濾過率や有効腎血漿流量を推定できるすばらしい検査法といえる。移植腎の合併症としては,臨床上,急性尿細管壊死,拒絶反応,免疫抑制剤中毒の鑑別が重要である。急性尿細管壊死では,血流や実質へのuptakeが良好にもかかわらず,実質から排泄されない。拒絶反応では,最も一般的な急性拒絶では,血流やuptakeの低下,腎実質の20分のカウントをピーク時のカウントで除したパラメータの上昇が認められる。免疫抑制剤中毒では,シンチグラム上は急性拒絶との鑑別が難しい。
(宮崎知保子:移植腎, 伊藤和夫,油野民雄編, 臨床腎臓核医学, メディカルレビュー, 東京, 1997, pp. 150-172)
(1)誤:腎血流量は保たれている。
(2)誤:腎へのRI集積も良好である。
(3)正
(4)正
(5)誤:急性尿細管壊死は,乏血に最も弱い尿細管の可逆性の変性で,通常2〜6週間で利尿をみるようになり,腎機能は正常に回復する。
(福田康彦,土肥雪彦:腎移植の知識,医学書房,大阪,1994)
51.解答 c
67Ga- citrateシンチグラムは,炎症巣に集積することが知られており,肺の炎症,腹部の膿瘍,尿路系の炎症に対して有用性が報告されている。
(利波紀久:炎症シンチグラフィ, 久田欣一,古舘正従,佐々木康人,小西淳二編, 最新臨床核医学(第2版), 金原出版, 東京,
1991, pp. 565-568)
(1)正:67Gaの大腸への生理的集積があるため,腹部病変が考えられる場合には,禁忌でない限り,下剤投与や浣腸が望まれる。
(2)誤:早急な診断が望まれる膿瘍や肺炎などを除いて,通常は投与48時間後に撮像する。
(3)誤:67Gaは,生理的集積を示す部位があり,肝臓はその代表的臓器である。
(4)正:両側肺門部および縦隔の集積はラムダ型に見える。
(5)正:両側肺門部および縦隔の集積はサルコイドシスに特徴的である。
52.解答 e
99mTc- HM-PAO標識白血球シンチグラフィは,炎症性腸疾患の描出に優れた検査法であることが報告されている。
(宮崎知保子,他:炎症性腸疾患における99mTc-標識白血球シンチグラフィとCTの評価. 日医放 57(7) 395-401,
1997)
(1)誤:99mTc-HMPAOによる白血球の標識は,採血した血液を用いて,in vitroで行われている。
(2)誤:RI投与後1時間後の早期像と4時間後以後の後期像とでは,診断能が異なることが報告されている。1時間後像では,軽度の小腸炎症性変化を見落としやすく,4時間後像では,標識白血球の腸管内移動が加わり,偽陽性所見が増加する。
(3)正:99mTc-HM-PAO標識白血球シンチグラフィでは,正常でも,尿路が描出されることが報告されている。
(Peters AM, et al: Clinical experience with 99mTc hexamethylpropyleneamineoxime
for labelling leucocytes and imaging inflammation. Lancet Oct
25, 946-949, 1986)
(4)正:肝,脾,骨髄の集積も通常認められる。
(5)正:集積は不均一ではあるが,大腸の走行に沿ってactivityが観察される。
(以上47〜52は慶應義塾大学・藤井博史会員)
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