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26.解答c
上段のCTでは右腎に楔状の低濃度域を認める。中段のCTでは上腸間膜動脈の内部に低濃度域を認める。また,上腸間膜静脈の径が上腸間脈動脈よりも細い。下段のCTでは,回腸の軽度の拡張と壁肥厚を認める。
上段のCTは腎梗塞による所見であろう。AFなど血栓が飛びやすい状態と思われる。中段のCTの上腸間膜動脈内部の低濃度域は血栓と思われる。また,上腸間膜静脈の径が上腸間膜動脈よりも細いのは腸管からの静脈還流が減少しているためと思われる。下段の回腸の壁肥厚は上腸間膜動脈血栓症による腸管虚血による浮腫と考えられる。
27.解答c
単純CTでは胆嚢を腹側に圧排する境界不明瞭な肝と同程度の高濃度域を認める。モリソン窩や左傍結腸溝にも病変は及んでいる。造影CTでは単純で認められた高濃度域の内部に上腸間膜動脈よりも太い不整形をした血管と同程度に染まる病変を認める。撮影レベルは膵頭部と思われるが,膵頭部は同定できない。
単純CTから病変は血腫と考えられる。造影CTで上腸間膜動脈よりも太い病変は動脈瘤で周囲の血腫は動脈瘤の破裂によるものと考えられる。主病変は膵頭部領域であり,胃大網動脈の動脈瘤よりもPancreatic
arcadeの動脈瘤の破裂の方が考えやすい。
解答は,cの膵十二指腸動脈塞栓術。突然発症した腹痛とめまい感の増強は動脈瘤の破裂と続発する貧血による症状と思われる。注意点として,Pancreatic
arcadeの動脈瘤の塞栓術は,再破裂を予防する目的で胃十二指腸動脈系と下膵十二指腸動脈系の二方向からの塞栓が必要とされる。
28.解答d
エコーは不均一な高エコーを示す。T1では肝実質よりも低信号,T2で水と同程度の均一な高信号域を示し,病変の境界は明瞭である。ダイナミックCTの造影前では肝実質と等濃度を示し,病変の指摘はできない。造影早期像では肝実質の造影にともなって相対的に低濃度域として病変が認められる。明らかに造影される部分は指摘できない。造影後期像ではより病変が明瞭となっているが,病変部位の造影効果は認められない。
エコーの高エコー像から肝嚢胞は否定できる。T1が低信号であることから限局性脂肪沈着は否定できる。腺腫様過形成はT1で高信号,T2で低信号であることから否定できる。肝細胞癌(中分化型)はT1低信号,T2高信号を示すが,T2で水と同程度の高信号を示すことはない。
解答は,dの海綿状血管腫。海綿状血管腫として,CTの造影早期像のbright dotや造影後期像のpooling像が認められない点が問題となる。しかし,bright
dotが認められないのは,染まりが弱く小さいためにpartial volume averangingにより不明瞭化された可能性がある。pooling像が認められないのは,門脈優位相で撮影されており,染まりが遅いためにpoolingが捉えられなかったと思われる。
29.解答e
エコーでは多発する小さな高エコー域と低エコー域の混在を認める。単純CTでは血管とほぼ同程度の小さな低濃度域を多数認める。肝嚢胞よりは濃度がやや高い。造影CTでは肝実質との境界が明瞭となり造影効果を認めない。T2では小さな水と等しい高信号域を肝全体に多数認める。
以上の所見より嚢胞性病変が考えられる。結節性局所脂肪肝と転移性肝癌は否定的。peribiliary cystsは低エコーが多く可能性は低い。肝膿瘍はT2で認められる高信号域の境界が明瞭すぎる。
解答は,eのbiliary hamartomatosis。これは1918年にvon Meyenburg が初めて報告した肝の良性腫瘍性病変で,microhamartoma,von
Meyenburgcomplex などと呼ばれている。出現機序としては,発生過程での ductal plate の形成異常とする説や胆管上皮の過形成によるとする説がある。
(以上26〜29は広島市安佐市民病院・浦島正喜会員)
30.解答c
腹部単純撮影で左上腹部の殻状石灰化を認める。CTでは膵尾部に辺縁に石灰化を伴う腫瘤を認める。しかし,ビークサインはなく膵原発の腫瘍かはわからない。腫瘍内部のCT値は軟部組織レベルで一部嚢胞状の部分を認める。但し,これは腫瘍中央部の石灰化からのartifactかもしれない。造影効果はなく隔壁構造の描出もない。腫瘍内部に脂肪組織は認めない。粗大な石灰化を伴う単胞性嚢胞疾患を考える。偽腫瘍,出血壊死を伴う腫瘍,壊死を伴った後腹膜腫瘍を考える。仮性嚢胞は感染などがないかぎり壁肥厚はない。cかeか迷うが,造影効果が無いのでcを選択する。
31.解答b
肝右葉及びS2S3に低吸収域を認める。辺縁は不明瞭で内部に血管構築を残す。造影効果は認めない。胆管の拡張は認めない。
再生不良性貧血ということで汎血球減少またはステロイド投与に引き続く病体を考えたい。低吸収域の形状から,bを選択した。
32.解答b
肝内及び右腎に多発性の嚢胞を認める。左後腹膜腔に脂肪性の腫瘤を認め,左副腎に連続している。腹部臓器に腫瘍,多発性の嚢胞を有する神経皮膚症候群と考えてbを選択した。
33.解答d
上行結腸の壁肥厚を認め,隣接する腸間膜脂肪組織内に索状影の増加を認める。提示された範囲内にリンパ節の腫大はない。炎症性腸疾患で年齢的にもクローン病を考える。dを選択した。
(以上30〜33は京都大学医学部附属病院・木村弘之会員)
34.解答c
主な画像所見は,1. 十二指腸壁の肥厚とその濃染,2. 膵頭部に明らかな腫大はなく,膵頭部癌を思わせる染まらない腫瘤もない。3.
膵頭部と十二指腸の間を中心に広がる脂肪織の濃度上昇(炎症の波及)を認め,それは右前腎傍腔まで広がっている。
a.十二指腸腫瘍は,穿孔などを合併しない限り,周囲にこのような炎症を合併することは稀である。
b.膵頭部腫瘍も,十二指腸方向や前腎傍腔に波及する炎症を合併することは稀である。(但し,副膵管原発の微小膵癌に起因する groove
pancreatitis の報告は1例ある。)
c.groove pancreatitis は膵頭部,総胆管および十二指腸に囲まれた溝(groove)に局在して発生する(慢性)膵炎の特殊型である。本所見をうまく説明できる。
d.上行結腸憩室炎では,憩室とその周辺の腸管壁の肥厚,結腸周囲の脂肪織の濃度上昇などを認める。本例の結腸にはバリウムを認めるが,炎症部分に連続する憩室を指摘できない。
e.pancreas divisum (膵管非融合)は ERCP にて診断する。主乳頭からの造影では,腹側膵に分布する枝しか描出されない。(参考)groove
pancreatitis は大酒家に多く,腫瘤形成,十二指腸狭窄あるいは総胆管狭窄などを来す。本邦では1997年までに21例の報告があるのみで,その大部分が膵癌との鑑別ができずに切除されている。最近では徐々に認識されるようになり,大手術を回避し,保存的に経過を追い,改善したとする報告例もある。造影CTでは膵頭部が染まるため,通常の膵癌は除外できる。血管造影では一般に所見に乏しい。US
あるいは EUS でも膵癌を疑う様な腫瘤を指摘できない。血液検査でアミラーゼが上昇しない例もあるという。
35.解答a
画像所見は,1. 造影前には脾に明らかな異常を指摘できない。2. 造影早期には点状,斑状,および 3〜4Bの帯状の不染領域を認める。3.
造影後期には再び明らかな異常を指摘できない。
a.正常の脾の信号は造影剤投与直後にはまだら,あるいは不均一なパターンを呈し,約2分後に均一になる。これは赤脾髄と脾柱に相当する。
b.血管腫は T1 low ,T2 high である。
c.転移性腫瘍は原発巣の特徴を念頭に置き診断する。造影早期の 3〜4Bの帯状構造が real な腫瘍であれば,サイズ的に造影前あるいは後期相で検出できる場合が多い。
d.脾梗塞は,主に被膜下に見られる限局性病変であり,楔状,円形,もしくは線形である。造影後期相では病変部が染まらない。
e.脾腫の定義としては,1. 頭尾側に 10B以上,2. 椎体前縁と脾前縁の距離が 8 cm 以上,3. 脾の前縁がスキャンされた肋骨のうちの最前に位置するものよりも内側あるいは前方にある場合,などがある。本問にはスケールがないが,恐らく当てはまらない。
(参考)dynamic study における脾の変化は,2つの異なる血流ルートにより説明できる。一つは,終末毛細血管が脾索(血管外の細網組織)に開き,血液は一端そこに吐き出されてから静脈洞に回収されるルートである(open
system)。この赤脾髄経由の血流は,のろのろと緩やかで,しかも不均一である。もう一つは,終末毛細血管が直接静脈洞に連結して,ひとつの閉じた血液路をなしているルートである(closed
system)。これは極めて速い流れである。従って,静注直後には,脾内の様々な場所に様々の濃度の造影剤を認めることになる。これは生理的な変化であって,病的所見ではない。通常は静注後2分位しないと,均一な性状にはならない。
36.解答a
画像所見は,両腎ともに錐体部と思われる部分に一致して,多数の小さな石灰沈着を認める。
a.medullary sponge kidneyは,錐体部の集合管が拡張し,嚢胞状となったものである。尿が停滞するため,その中に結石ができやすい。錐体部に一致する小さな石灰沈着を多数認める。75%が両側性であるが,一つの錐体部のみにも起こりうる。IVUを行えば拡張した集合管内に造影剤の貯溜像が認められる。
b.renal tubular acidosisは,H+イオン排泄機能の欠如による沍^と,重炭酸塩の蓄積による型に分けられるが,尿路結石症の原因としては沍^が重要である。単純写真では腎実質内の小石灰化や腎実質外の尿路結石を認める。鹿角状結石(staghorn
calculus)も知られている。
c.pyelonephritisは,その経過から急性と慢性とに区別される。急性腎盂腎炎では,原因としての尿路結石を認める場合がある。慢性腎盂腎炎でも石灰化を認める場合があるが,それは腎髄質に生じやすい。また,黄色肉芽腫性腎盂腎炎では,尿路結石が原因となることが多い。
d.tuberculosisの石灰沈着としては,1. 一つあるいは多数の斑状の結石,2. 大きな無定形ないし不整形の結石,3.
腎全体の巨大な石灰化(漆喰腎)などが知られている。
e.membranous glomerulonephritis(膜性糸球体腎炎)に特異的な石灰沈着に関しては不明である。慢性糸球体腎炎の場合は,腎皮質に生じる石灰化が知られている。
37.解答c
画像所見としては,右腎 posterior lipに 1Bから数Bの多数の嚢胞が「ブドウの房」状に集合している。
a.polycystic kidney, adult typeは,種々の(数 mm から 10 cm くらいの)大きさの嚢胞が腎全体に無数に認められる。常染色体優性遺伝。通常両側性。
b.polycystic kidney, infantile typeは,数@大(通常 3 mm 以下)の嚢胞が無数に認められる。常染色体劣性遺伝。通常両側性。
c.multicystic dysplastic kidneyは,複数の数Bの嚢胞がブドウの房状に集合している。通常一側性。新生児腹部腫瘤のうち,最も頻度の高い疾患の一つである。成人では偶然発見されることが多い。典型的には輪状の石灰化を示す。
d.multilocular cystは,大きな嚢胞が隔壁により多数の小嚢胞に分割されたものである。隔壁は造影される。時に嚢胞壁は厚くなり,石灰化を認める場合もある。
e.medullary sponge kidneyは,髄質性嚢胞性病変に分類される。集合管が拡張し,その中に石灰沈着を来す。集合管の拡張は軽微なものから,高度に進行して腎の断面が「海綿状」になるものまであり,名の由来になっている。病変部位は錐体部である。
(以上34〜37は竹田綜合病院・岡田秀人会員)
38.解答e
診断所見:子宮体部腹側,膀胱の頭側に骨盤腔内を占拠する腫瘤性病変を認める。内部は,強い高信号を示すcomponentと脂肪よりもやや高信号を示すcomponentにわかれ,低信号帯により境されている。
診断プロセス:症例は,骨盤内腫瘤,特に卵巣嚢胞性腫瘍の鑑別診断を主眼とする出題である。T2強調像で,非常に高い信号を示す部分と脂肪よりやや高信号を示す領域の間にchemical
shift artifact がみられ,脂肪成分を含む腫瘍であることがわかる。
鑑別診断の必要性:脂肪成分を含む腫瘍であることが診断できれば,他疾患との鑑別が可能と思われる。
39.解答c
診断所見:膵実質全体が低吸収域として描出されている。総胆管の拡張はみられない。膵周囲および前傍腎腔などの脂肪織も正常である。脾静脈,門脈,上腸間膜動脈にも異常はみられない。胆のうの壁肥厚がみられる。肝および腎には異常を認めない。
診断プロセス:膵疾患に関する出題と思われる。膵全体が低吸収域として描出されるが,周囲に膵炎を示唆する所見はない。この低吸収域を膵管拡張ととると,実質成分が全く同定できないが,壊死性膵炎などの実質自体の濃度が低下する疾患は,周囲の所見から考えにくいため,膵管拡張ととるのが妥当のようである。この他,腫瘤を示唆する所見もなく,ductal
carcinomaやacinar cell carcinoma は否定的である。なお,胆のう壁の肥厚は全周性で不整な所見に乏しいが,胆のう炎をはじめとする疾患を考慮する必要がある。
鑑別診断の必要性:膵管拡張を来す疾患として,ファーター乳頭部腫瘍を考える必要があるが,総胆管の拡張がなく,否定的である。(膵胆管合流異常があったとしても,この写真1枚では診断できないと思われる。)
40.解答c
診断所見:子宮体部筋層後壁の腫大と内部の低信号域をみとめる。内部には高信号を示す点状病変が多発している。Junctional
zoneは,後壁側でのみ不明瞭である。
診断プロセス:子宮体部の病変は,大部分が低信号を呈し,子宮筋腫と腺筋症が考えられる。内部の高信号域は,筋腫の変性か腺筋症の出血のどちらにもとれるが,junctional
zoneの不明瞭化が診断のポイントと思われる。
(以上38〜40は神戸大学・杉本幸司会員)
41.解答b
(1) 正:健常脳で50〜80%血流を増加させる作用がある。
(2) 正:アセタゾラマイド負荷により血流の左右差は増しており定性的ではあるが血管反応性は良くないと言える。
(3) 誤:Tc製剤は直線性(脳血流の増加に対するRI集積増加の直線性)が悪い。123I-IMPは直線性が良いため軽度の脳血流変化の描出能に優れている。
(4) 誤:健常側との左右差は増加しているが,あくまでも健常部の最高カウントを基準とした相対的な値で病変部の血流が負荷前より低下しているという絶対的脳血流低下は証明できない。
(5) 正:Restより血流が低下しており,アセタゾラマイド負荷による血管反応性も悪く,misery perfusionの症例と考えられる。
42.解答e
(1) 誤:前方優位型の脳血流低下のパターンで痴呆や正常老化でも前方優位型が認められることがある。
(2) 誤:luxury perfusion(贅沢灌流)とは脳梗塞では,急性期から亜急性期にみられ,代謝量が低下しているのに血液量が上昇している病態であり,再開通,自動調節能の破綻した血管の拡張に伴って起きる。これにより梗塞領域の障害が強くなる。
(3) 誤?:misery perfusion(貧困灌流)とは代謝に見合うだけの血流が十分ない状態である。厳密には血流のみでは評価できず,梗塞の周囲はmisery
perfusionの状態であるとも考えられるが,組み合わせにより誤りとする。
(4) 正:左小脳の血流低下が認められ,対側小脳半球の血流が二次的に低下しているCCDの病態があるものと考えられる。
(5) 正:右中大脳動脈領域の血流は著しく低下しており,同部は梗塞に陥っているものと考えられる。
43.解答d
a,bでは換気及び血流の一致欠損が特徴であり,一側性の完全血流欠損を示すことがある。また進行した肺癌cや巨大肺嚢胞eでも換気及び血流の一致欠損を来し,一側性の血流,換気の完全欠損を示しうる病態と考えられる。高安動脈炎(大動脈炎症候群)では肺動脈に病変が及べば血流は欠損するが換気は保たれるミスマッチ欠損になると考えられ,症例のような病態を示すには最も可能性の低い疾患と考えられる。
44.解答a
ピロリン酸は急性心筋梗塞イメージング製剤であり,不可逆的な壊死に陥った細胞障害部分にミトコンドリアのカルシウム沈着が起こり,ハイドロキシアパタイトとピロリン酸の結合が起こると考えられている。心筋血流が全く途絶した領域には集積せず,正常心筋の10〜40%の低下で最も良く集積する。症例では前壁中隔に強い集積が認められ,比較的大きな前壁中隔の急性心筋梗塞が最も可能性が高い疾患であると考えられる。その他,心アミロイドーシス,心サルコイドーシス,心筋症,心筋炎,不安定狭心症等で集積が陽性となる場合があるものの,本例のような強い集積は極めて稀であると考えられる。
(以上41〜44は岐阜大学・水野晋二会員)
45.解答e
運動負荷時201Tl心筋SPECTでは明らかな集積低下域はみられず,重度の心筋梗塞や冠血流予備能低下は示唆されない。中隔や後下壁の集積が相対的にやや低めであるが,ガンマ線の吸収により説明できる範囲と思われる。
123I-MIBG は交感神経末端に取り込まれ,心交感神経機能の評価を可能にする。早期像では明らかな集積低下域は指摘されないが,後期像では側壁に集積低下域がみられ,同部における交感神経障害が示唆される。強い虚血にさらされた場合,心筋は生存していてもしばしば交感神経機能は障害され,123I-MIBG集積低下を生じる。本患者では,側壁に強い虚血を生じ,交感神経機能障害をきたしたと考えられる。
(1) 誤:病変部は中隔ではなく,側壁である。
(2) 誤:MIBG早期像で正常でも,後期像における集積低下部位については交感神経障害が示唆される。ただし,後下壁については正常と考えられる患者においてもMIBG集積が低下することがあるので,注意が必要である。
(3) 誤:負荷像で異常がみられないことは,心事故の危険性が低いことを示唆する。
(4) 正:壁運動を保つのに十分な生存心筋は存在すると思われる。
(5) 正:運動負荷201Tl像では明らかな集積低下域を認めないが,責任冠動脈は左回旋枝と思われ,急性心筋梗塞後という情報とあわせ,左回旋枝領域の非貫壁性梗塞が考えられる。重度の梗塞を起こす以前に虚血が解消されたことが想定される。
46.解答b
99mTc-MIBI心筋SPECTの長軸垂直断像および長軸水平断像にて心尖部の集積が相対的に亢進しており,心尖部壁肥厚とこれに伴う安静時血流増加が示唆される。
123I-BMIPP心筋SPECTは心筋脂肪酸代謝を反映する。本患者では心尖部の集積がやや低い。99mTc-MIBI心筋SPECTで同部の壁肥厚が示されていることを合わせると,心筋単位体積当たりの123I-BMIPP集積低下がより明らかになり,肥厚した心尖部心筋における脂肪酸代謝障害が示唆される。これは肥大型心筋症でしばしばみられる所見である。
(1) 正
(2) 正:一般に心尖部には心筋壁が薄い部分があり,心尖部集積低下の判定には注意を要するが,集積低下の範囲が広めであることと99mTc-MIBI像とのミスマッチから異常所見として指摘できる。
(3) 誤:低下部位は心尖である。
(4) 誤:心尖部梗塞では,心尖部における99mTc-MIBI集積も低下する。
(5) 正
47.解答d
静注後早期から胃粘膜に強い集積がみられ,提示された画像は99mTcパーテクネテートによるMeckel憩室シンチグラムと考えられる。99mTcパーテクネテートは腎尿路から排泄されるため,骨盤正中下部に膀胱内の強い放射能が観察される。膀胱よりやや頭側で右寄りにhot
spotが見られ,同部の集積の強さは胃粘膜と同様の経時変化を示している。Meckel憩室の迷入胃粘膜への集積と考えられる。120分後像ではこのhot
spotは大きく頭側に移動し,膀胱内の放射能も減じている。30分像と120分像の間に検査台から降りて排尿もしていると考えられ,体動の際にMeckel憩室が移動したと推察される。なお,99mTcパーテクネテートは緩徐に胃粘膜より消化管内に分泌される。30分像,120分像で,心プールに重なってみられるhot
spotは,食道に逆流したtracerによると考えられる。
(1) 誤:99mTc-RBCによる出血シンチグラフィでもin vivo標識が行われた場合には胃粘膜が描出される(従って,in
vivo標識を消化管出血シンチグラフィに使用することは好ましくない)が,提示画像では胃粘膜の集積が顕著であり,99mTcパーテクネテートによる画像と考える方が自然である。
(2) 正:膀胱内のtracerがみられる。腎尿路系に排泄されたtracerは偽陽性の原因として重要である。
(3) 正:Meckel憩室は臍腸管遺残による回腸憩室である。
(4) 正:Meckel憩室は腸閉塞や憩室炎を起こしたり,本例のように胃粘膜迷入を有する場合には消化性潰瘍から下血を生じることがある。しかし,無症状で経過することが多く,発症する場合も小児期が多い。
(5) 誤:Meckel憩室によるhot spotは右下腹部にみられることが多いが,腹部の様々な部位に観察されることがある。本例では体動の際にMeckel憩室が大きく移動したものと思われる。
48.解答e
提示された画像から明らかなのは
・両腎に萎縮を認めない
・血流相でも機能相でも両腎の描出に明らかな左右差を認めない
・両腎実質の集積が経時的に増強しており,実質からの排泄遅延がある
・尿路拡張を認めず,膀胱へのtracerの流入は早期から観察される
といった所見である。これらの所見は急性尿細管壊死に合致し,急性尿細管壊死は狭義の急性腎不全に相当する。従って(3)(4)は正しい。
腎血流や腎集積(時間の因子を考慮した表現が望ましいが)について軽度の対称性低下を高い信頼性で視覚的に判定することは難しいが,少なくとも腎不全にしては比較的良好であり,(1)(2)の選択肢を誤りとする。
狭義の急性腎不全では原因が除去されれば自然回復を期待し得る。また,血流相,機能相での描出に顕著な低下がないことも,比較的良好な予後に矛盾しない。よって,(5)は正しいとする。
(以上45〜48は東京大学医科学研究所・井上優介会員)
49.解答b
診断所見:異常集積部位は骨盤骨(左右の坐骨,左腸骨),脊椎(下部頚椎,胸椎,腰椎),肋骨の近位側で認められる。左第1肋骨,右第7肋骨での集積所見は長軸方向への拡がりを示す。第1腰椎の椎体全体の異常集積は右横突起方向へも拡がる。左肘部の集積は注射部位での血管外への僅かなRIの漏えいによるものである可能性が高い。
診断プロセス:多発性の異常集積がみとめられるが,躯幹骨に分布すること,長軸方向に長い肋骨集積に着目することにより,多発骨転移巣と解釈することが可能である。いわゆるBatson静脈叢を介する転移パターンである。両側の坐骨での異常集積が目立つので,前立腺癌の骨転移の可能性が高いと思われる。骨軟化症では多発性の肋骨骨折,椎体圧迫骨折,骨盤骨骨折(とくに恥骨)をみることが多い。肋骨骨折での異常集積は長軸方向に直交する集積ないしは点状の集積を示すことが多く,しばしば複数の肋骨にわたり,縦に連続した配列をとる。椎体の圧迫骨折は椎体高の減少により,骨シンチでも,横に長い楕円形ないし線状の異常集積を示すことが多い。線維性骨異形成症では,多発性の場合,片側性で,顔面骨,肋骨,四肢骨の骨幹部を冒すことが多い。骨盤骨折では仙腸関節に沿った異常集積と同側の恥骨集積が特徴的である。副甲状腺機能亢進症では頭蓋冠,下顎骨での異常集積亢進,椎体の終盤での集積亢進,四肢骨の骨幹部の皮質に一致した集積亢進のパターンをとる。
鑑別診断の必要性等:多発性の骨転移の場合,選択肢にある良性疾患との鑑別診断が問題となるが,比較的容易である。両側膝蓋骨の集積亢進は対称性であり病的意義は低い。脛骨の集積亢進は対称性であり前面像で目立つので,軟部組織の吸収が少ないことによるみかけ上の集積亢進と考える。肺性肥大性骨関節症では前腕,手指,下腿,足での骨皮質に一致するやや不均一な集積亢進によりその描出が明瞭となるパターンをとる。
50.解答a
診断所見:骨シンチグラフィの所見は典型的な super bone scanである。躯幹骨でのびまん性,対称性の集積亢進があきらかで,腎,尿路系の描出の低下(absent
kidney sign)も認められる。大腿骨骨幹中央付近まで集積亢進があるが,やや非対称で,不均一である。ガリウムシンチグラフィでは骨髄での集積亢進が目立つ。骨シンチと同様に,大腿骨近位3分の1を越える末梢への拡大(peripheral
expansion)がみられるが,やや非対称である.生理的集積である肝集積も相対的にやや減少がみられる。
診断(解答)プロセス:Borrman3型胃癌術後とのことで,骨シンチ所見は広範なびまん性の骨転移として矛盾しない。ガリウムシンチでの骨髄集積は生理的にみられるものであるが,このように肋骨まで明瞭に描出されるのはあきらかに異常である。しかし,骨転移に特異的というわけではなく,慢性の炎症性疾患,高度の貧血でも認めうる。大腿骨集積が不均一である点が悪性疾患をむしろ強く疑うポイントである。
(1) 正
(2) 正:本例のような対称性かつびまん性のものは胃癌であることが圧倒的に多い。肺癌,前立腺癌,乳癌でもみられることがある。
(3) 正
(4) 誤:肝集積は相対的にやや減少しているとおもわれるが,生理的集積であるので,あきらかな異常所見とはいえない。癌細胞の高度なびまん性の骨髄浸潤から汎血球減少症をきたし,輸血が対症的に施された場合には肝集積の低下をみとめる。
(5) 誤:Super bone scanは骨シンチグラフィでのサインである。
51.解答b
診断所見:肝臓の部分を除いて,腹部全体を占める強い異常集積がみられる。生理的な肝集積は著明に減少している。むしろ photopenic
areaとなった肝左葉の頭側に,異常集積が認められ,前面像での描出が強い。相対的な生理的集積(鼻腔,唾液腺)や軟部組織(皮膚,筋など)の集積低下が明らか。
診断(解答)プロセス
(1) 正:肝左葉の頭側の異常集積はその形状から心嚢腔に一致している可能性が高い。
(2) 正
(3) 誤
(4) 誤:stage 。以上である。
(5) 正
52.解答d
診断所見:造影CTでは右胸水貯留,前縦隔および左肺門腫瘤,右前胸部の胸膜肥厚,左傍胸骨リンパ節腫大,胸骨の溶骨性病変を認め,上段左側のスライスでは椎体の右側に腫瘤性病変(胸膜病変あるいは末梢肺病変)がみられる。タリウムSPECT像では,縦隔,肺門,右下肺野に異常集積がみられ,胸骨(主に胸骨柄)や心基部レベルで椎体に一致すると思われる異常集積を認める。
診断(解答)プロセス
(1) 誤:49歳の患者であり,前縦隔の腫瘤性病変は異常であるが,同部のタリウム集積は生理的集積ではなく,異常集積である。タリウムSPECT像では前縦隔病変の集積と胸骨柄での異常集積は空間分解能の限界のため一塊に描出されている。
(2) 誤:肺門集積はガリウムと異なり,タリウムでは異常集積である。
(3) 正:上段左側のCTで椎体の右に腫瘤があり,それに一致すると思われるタリウム集積がみられる。SPECT像,とくに後期像では椎体に淡い集積が見られることがあるが,右寄りの異常集積は椎体にも及んでいるようでもある。
(4) 正:悪性を完全に否定できるわけではないが,ほぼ否定できる。ただし,良性病変(腫瘍,炎症)でもタリウム集積を認めうる。たとえば,この問題でみられる右下肺野の異常集積は対応するCTが与えられていないが,腫瘍そのものへの集積のみならず,胸水貯留による
passive atelectasis や閉塞性肺炎の可能性も考えうる。
(5) 誤:小児(10歳以下)では胸腺への生理的集積を認めうる。しかし,若年成人の化学療法後にみられるthymic reboundでは,ガリウムは集積するが,タリウム集積は集積せず,とくに縦隔悪性リンパ腫例での再発との鑑別に有用との報告がある。
(以上49〜52は東邦大学・津布久雅彦会員)
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