|
61.解答 e
(1)誤:照射筒(ツーブスともいう)を用いるのはX線照射ではなく,電子線照射の場合。
(2)誤:ウェッジフィルターは,線量分布を指定の角度に傾斜させるもの。
(3)正:厳密には直線加速器による多軌道回転照射と,ガンマナイフの多数の固定線源からの照射の線量分布は異なるが,同様の線量集中性が得られると考えて良い。
(4)正:定位放射線照射では体動の影響を可能な限り減じるために,侵襲性もしくは非侵襲性の固定具が用いられる。
(5)正:術中照射では照射筒を腫瘍部に密着させて,高エネルギー電子線を照射する。治療域の深さに応じて電子線のエネルギーを選択する。
62.解答 d
(1)誤:CTV(clinical target volume)とは,肉眼的腫瘍体積:GTV(Gross Tumor Volume)に加えて臨床的に腫瘍の浸潤が疑われる領域までを含んだものである。
(2)正:PTVはCTVに治療中の患者の体動やセットアップエラーなどを考慮して設定する。
(3)正:10MV以上のX線では皮膚線量の不足が危惧される。
(4)正:DVHは腫瘍制御の可能性や臓器障害の危険性の評価に用いられ,複数の治療計画を比較,検討する際に有用である。
(5)誤:厚生省阿部班の班会議では1mm以内とすることが提唱された。
63.解答 b
a.正:当然のこと。従って,小線源治療では線量評価点を明示することが必要である。
b.誤:半減期74.2日。192Ir線源はサイズを小さくすることが可能であり,ワイヤ状線源による組織内照射のみならず,高線量率リモートアフタローディング装置による腔内照射の線源として使用されている。
c.正:半減期2.7日。シード状線源として供給されている。
d.正:半減期1622年。226Ra線源は白金で封入されているが,破損の際,ラドンガスの環境汚染が問題となりうる。
e.正:半減期28.9年。プラーク状線源として供給されている。
64.解答 a (bも間違いではない)
速中性子線は物理的な線量分布ではX線と同様に深部で減弱するが,高LET粒子として高RBE効果が期待できる,細胞周期に依存しない効果として,成長速度の遅い腫瘍がよい適応とされる。唾液腺腫瘍の治療ではphase
III臨床試験において,速中性子線は光子線に比べて長期局所制御率に優れるという結果がでている。前立腺癌の臨床試験でも局所制御率における優位性が示されたが,施設によっては消化管障害が高頻度に生じることが問題となった。
65.解答 e
以下にわが国での骨原発悪性腫瘍の累積生存率(1972〜1992年)を示す。
(M0;遠隔転移なし,M1;遠隔転移あり)
| |
|
症例数 |
5生率(%) |
| 軟骨肉腫 |
M0 |
718 |
71.7 |
| |
M1 |
74 |
14.1 |
| 悪性線維性組織球症 |
M0 |
262 |
55.2 |
| |
M1 |
37 |
55.2 |
| 非ホジキンリンパ腫 |
M0 |
109 |
47.9 |
| |
M1 |
40 |
15 |
| 脊索腫 |
M0 |
173 |
66.7 |
| |
M1 |
6 |
66.7 |
| ユーイング肉腫 |
M0 |
260 |
34.5 |
| |
M1 |
70 |
8.3 |
日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会:全国骨腫瘍患者登録一覧表,国立がんセンター,1992
66.解答 b (あるいはcも正解になり得る)
(1)正:マイクロ波は深さ4〜5cm以内の小病変に適し,それより深部の病変にはマイクロ波より周波数の低いRF波が適応となる。
(2)正あるいは誤:温熱効果は42〜43℃以上で特に増強する。43℃と限定するのは多少難があるかもしれない。
(3)誤:S期の細胞は温熱感受性が高い。これは放射線と逆であり放射線の弱点を補う意味がある。
(4)正あるいは誤:温熱増感効果自体は同時加温が最大であるとの報告は多々あるが,正常組織の温熱増感効果も高くなり,治療効果比としては低くなる。治療効果比は照射後2〜3時間以降の加温で最も大きいというデータがあり,現在では放射線治療後に温熱療法を行うのが一般的である。よって,どちらを意図しているかによって正とも誤とも答え得る。
(5)正:非侵襲的な計測法は研究段階で実用には至っていない。
67.解答 a
一般に乳癌では若年者の方が予後が悪い傾向があるが,乳房温存術に関しては年齢(65歳以上とそれ未満とで)は再発や生存率に差が無いというデータがある。b〜eの項目は残存乳房内に腫瘍が存在する可能性を示唆しており,危険因子である。
68.解答 b
(1)正:複数の臨床試験(1945年から1985年までのデータが主)によると,術後照射により乳癌自体の再発による死亡は減少したが,心臓への晩期障害(心筋梗塞など)による死亡が増加したという。しかし1982年から1990年でのデータ,あるいは最近の技術を用いた照射では,術後照射の有無で心臓への障害による生存率に差が無かったとの報告も出ている。よって,必ずしも単純に‘正’とは言えないところはあるが,現時点では前者のデータの方が規模が大きくエビデンス・レベルが高いため,‘正’と答えてまず問題はないと思う。
(2)誤:10MV X線ではbuild upのため皮膚表面から約2.5cmの深さのところがピークの線量となり,浅い部分の線量が低くなる。よって乳房内を均一な線量とするには,4MVか6MVのX線,あるいは60Coの方が適切である。
(3)誤:炎症性乳癌の初期治療は化学療法が標準的である。放射線治療も適応となるが,化学療法などとの組み合わせや症状緩和目的で行われる。
(4)誤:T3, T4症例で単独で放射線治療を行うことはあまり無くなっているが,過去の文献上では局所制御率は35〜65%とのことである。30%は近い数値であるが断定するには難があるように思われる。
(5)正:痛みの完全寛解は40〜60%,部分寛解は80〜100%程度と言われている。
69.解答 e
(1)誤:癌が腺内に限局している症例は放射線治療は根治手術の成績に匹敵する。
(2)誤:最も大きな問題は直腸障害(下血)である。その他問題となりうる晩期障害として膀胱出血,尿道狭窄などがある。
(3)正:Prostate Specific Antigen:前立腺特異抗原のことで疾患特異性が高く,効果判定に非常に有効である。
(4)正:Gleason scoreは病理所見をもとにした国際的に評価されている異型度分類である。
(5)正
70.解答 c
a.誤:放射線治療でケロイドが縮小するわけではない。ケロイド切除後の再発防止として照射を行う。
b.誤:総線量は10〜20Gy程度でよい。
c.正:30Gy 程度の照射で局所抑制率は80〜90%である。
d.誤:小児の場合,照射による成長障害を起こす可能性があるため,放射線治療が第一選択ではない。Kasabach-Merritt症候群のような緊急的治療を要する疾患を除き,まずステロイド投与を行う。
e.誤:表在の照射で良いため,ベータ線を放出する90Srにて密着照射を行う。
71.解答 c
(1)誤:総線量は45〜50Gy 程度が標準である。40Gy以下は明らかに少ない。
(2)正:良性腫瘍のため,局所に絞った照射野で良い。多門照射,回転照射,原体照射の他,より精度の高い定位放射線照射の適応にもなりうる。
(3)正:腺腫がfunctionalかnon-functionalかで線量は変更しない。照射後,臨床症状にあわせてホルモン療法を行う。
(4)誤:35〜65%程度であり,高率には改善されない。
(5)誤:予後は極めて不良である。化学放射線療法を行っても大部分は1年以内に死亡する。
72.解答 d
(1)誤:対症療法の場合,症例の多くは30Gy以下の線量で目的を達成できるため,病巣を治癒しうる線量までは必ずしも必要ない。また,予後が短いと判断された場合,晩期有害事象について考慮する必要はない。
(2)正
(3)正
(4)正:症状改善の有無が重要である。
(5)誤:根治治療を目的とした場合は必要である。
日本緩和医療学会から,EBMに則したがん疼痛治療ガイドラインが出版されており,対症療法について分かり易くまとめられている。
73.解答 d
(1)誤:肝毒性,腎毒性
(2)誤:消化器毒性(下痢),皮膚・粘膜毒性
(3)正:腎毒性,骨髄抑制
(4)正:心筋障害,骨髄抑制
(5)誤:肺毒性(間質性肺炎,肺線維症)
74.解答 e
(1)誤:消化管のなかでは小腸の感受性がもっとも高く,TD5/5は45Gy程度である。大腸の感受性は小腸よりやや低く,結腸のTD5/5は55Gyで,潰瘍,出血,狭窄がみられる。
(2)誤:40Gy以上の照射で,放射線治療後も唾液腺障害は回復が難しく,分泌の低下及び,分泌の完全停止がみられる。唾液の分泌障害により,口腔内乾燥,味覚障害がみられ,齲歯になりやすく,患者のQOLを低下させている。
(3)正:40Gy以上照射された場合,3年以内に約50%でTSHの上昇がみられると報告されている。甲状腺ホルモンが低下している場合は補充療法が行われる。
(4)正:成人の骨は,比較的放射線抵抗性で,骨壊死,骨折のTD5/5は60Gy程度である。反対に小児の骨は放射線感受性が極めて高く,10Gyの照射で成長障害を生ずることがある。
(5)正:脊髄に50Gyの放射線が1回2Gyの分割で5週間で照射された場合,約5%の頻度で放射線脊髄炎が出現し,最終的に対麻痺に至る。照射後半年から数年(平均2年)で発症する。本症に対する有効な治療法はない。
75.解答 b
上部気道および口腔咽頭の癌の90%近くに扁平上皮癌がみられる。
上咽頭では,約90%に上皮性腫瘍がみられ,その他悪性リンパ腫,肉腫などがある。諸家の報告では,上皮性腫瘍のうち約50〜70%に扁平上皮癌が,約30〜50%にundifferentiated
carcinomaがみられている。
ちなみに頭頸部癌取扱い規約(改訂第2版)では組織型分類にてundifferentiated carcinomaは,未分化癌と記されている。
76.解答 d
a.誤:10MVのX線では,build upのため表面付近の線量が著しく低下する。皮膚表面近くに病巣が存在する喉頭癌にはテレコバルト,または4MVのX線が用いられる。
b.誤:喉頭のリンパ流は,喉頭室の基底線で上下に分けられ,上部の声門上部ではリンパ網,さらには血管系も発達しているが,声門部,声門下部ではリンパ網が乏しく,この上下のリンパ網の連絡は後壁を除いては認められない。そのため,早期声門癌ではリンパ節への予防照射は行わず,照射野は声門に限局させ5×5cmから6×6cmが平均的である。
c.誤:一般的に,根治的治療である限り,まず早期有害事象により放射線治療が中断しないように注意をはらい,治療継続のため必要であれば投薬,生活習慣の改善(禁酒,禁煙)を施すことに努める。喉頭癌に限れば,粘膜反応の軽減のため1回1.6〜1.8Gyで照射をしたところ局所制御率が著しく低下したという報告がある。またやむを得ず治療の中断が必要とされた場合,2週間の中断は長すぎる。総治療期間の延長により局所制御率が低下したと諸家にて報告されている。
d.正:早期声門癌は通常分割法(1回2Gyで1日1回照射)で総線量 60〜70Gyが必要。一般的にT2N0では66〜70Gy照射されている。
e.誤:喉頭癌の発生部位は,声門が60〜70%を占め,声門上が30〜40%で,声門下は数%。
(参考図書及び文献:
放射線腫瘍学 編著 阿部光幸
癌放射線療法 編著 大川智彦
臨床・病理 頭頸部癌取扱い規約(改訂第2版)
Wang, C.C. Int J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 29:657-660;1994.)
77.解答 b
報告により多少の相違はあるが消化器初発が20〜35%,ワルダイエル輪初発が20〜40%と最も多い。その他甲状腺は2〜5%,眼窩は1〜8%,中枢神経が0.5〜4%程度となっている。
(1)正
(2)誤
(3)誤
(4)誤
(5)正
78.解答 d?
(1)誤:食道癌の術後照射は明らかな取り残しがある場合には残存部を中心に照射野を設定するが,治癒切除がなされた症例では手術操作の困難な頚部,上縦隔に対してT字型照射野で予防的術後照射が施行されることがある。また中部,下部食道原発で外膜浸潤が認められた症例については同部への照射も追加される。
(2)誤?:局所進行食道癌の通常照射法による外照射単独の5年生存率は10%以下である。しかし化学療法との同時併用療法や加速多分割照射法を用いた場合20〜30%との報告もある。
(3)正:浸潤型を呈したり,潰瘍や瘻孔を形成することは食道癌の予後を悪くする因子の一つである。
(4)正?:表在型癌と表在癌は同義ではないが,本邦の表在癌の治療成績は5年局所制御率が70%台,5年原病生存率で60〜90%との報告である。ちなみに表在癌は深達度がsm3までの癌であるが,表在癌として放射線治療を施行するのは深達度sm2までであり,深達度sm3の癌は進行癌に準じて治療すべきであるとされている。
(5)誤:欧米で施行された無作為比較臨床試験で5FUとCDDPを用いた同時併用放射線化学療法が放射線単独療法よりも有意に生存率が上昇したとの報告がある。現在では進行癌に対する標準的な治療とされている。
79.解答 c
(1)誤:肝細胞癌は必ずしも放射線抵抗性とは言えない。陽子線治療単独と陽子線治療とTAEを併用した症例について3年局所制御率が85.6%(筑波大学陽子線医学利用研究センター,JASTRO,1998)との報告もある。
(2)正:内瘻化できた胆管癌には腔内照射の適応がある。外照射に腔内照射を併用することにより局所に高線量を照射可能となり高い局所制御率が期待できる。
(3)正:膵癌に対する放射線治療の目的の一つとして疼痛緩和があげられる。除痛効果は70〜100%に認められ,特に術中照射の効果が優れている。
(4)誤:膵癌の術中照射の線量は一般的には20〜30Gyとされている。40Gyまでは耐容量という報告もあるが,過線量は膵壊死の原因となる。治療には高エネルギー電子線を用い,エネルギーは腫瘍の大きさにより選択する。
(5)誤:直腸癌に対して原発腫瘍の縮小による手術適応の拡大,リンパ節転移の抑制,局所再発の予防などを目的に術前照射が施行される。
80.解答 d
a.誤:治療成績は放射線治療,手術ともに55〜75%程度の報告が多く,同等である。ただし患者選択の問題を考慮すれば放射線治療は手術に比し同等かそれ以上と評価するべきであろう。欧米での子宮頸癌IIb期の治療の第一選択は放射線治療である。
b.誤:水腎症を認めた場合,FIGOの病期分類ではIIIb期である。
c.誤:I,II期を例にとると高線量率の場合はA点線量で1回5〜6Gy,週1〜2回で総線量29Gy/5 回,低線量率の場合は1回10〜15Gy,週1回で総線量50Gy/4〜5回が至適線量と考えられている。
d.正:腹部の手術や骨盤内の感染症など腸管の癒着の原因となる既往のある症例では,決まった腸管が常に照射される危険性があり腸管障害の増加する危険因子となる。
e.誤:直腸障害は治療後2年以内に出現することが多く,ほとんどの症例が5年以内に出現する。一方,膀胱障害は治療後5年以降に起こる症例もまれではない。
81.解答 d
(1)誤:123I-IMPは緩序に脳内分布が変わるため,投与後1時間以内に撮像を終えないと血流情報が得られないとされている。
(2)誤:99mTc-HMPAOは調整直後の約90〜95%の標識率から徐々に低下するため,調整後30分以内に投与する。
(3)正:99mTc-ECDは脳実質内で水溶性化合物にエステラーゼ分解され,脳内に保持される。ぜいたく灌流部ではエステラーゼ活性が欠如し,99mTc-ECDでは検出できないとされている。
(4)正:炭酸脱水素酵素阻害剤であるDiamoxは脳組織中の二酸化炭素蓄積作用のため脳血管拡張作用を持つ。
(5)誤:動脈血中の123I-IMPは初循環で100%近くが脳内に取り込まれ,脳放射能と血流量の比例直線性が良好なため,動脈採血による脳血流の定量的評価に利用される。
82.解答 a
(1)誤:アルツハイマー病は後帯状回内側に血流低下が始まり,側頭葉,頭頂葉から前頭葉にひろがる。前方優位型の障害パターンはピック病,進行性核上麻痺,鬱病などでもみられる。
(2)誤:特徴的な血流障害はみられず,神経受容体イメージング製剤の臨床応用が期待される。
(3)正:脳腫瘍再発と放射線脳壊死との鑑別が可能とされている。
(4)正:標識キット形式の製品(標識に30分かかるが)があり,調剤後の標識率の劣化が無く,脳内分布も投与後約2分で決定されるため,投与時点が不確定なてんかん発作の検査に有用である。
(5)正:脳内の血流が存在せず,empty skullやhollow skullと呼ばれる所見があり,有用である。
83.解答 c
a.正:ヨードイオン(I-)やpertechnetateイオン(TcO4-),過塩素酸イオン(ClO4-)等,一価陰イオンが甲状腺に取り込まれ(捕捉能),濃縮する。このうちヨードが有機化されて甲状腺ホルモンが合成され(合成能),そのほかの一価陰イオンは有機化されず再び血中に放出される。
b.正:上述。
c.誤:ヨード有機化障害がある場合,甲状腺内でヨードイオンと大量投与された過塩素酸イオンとが競合し,有機化されていないヨードが甲状腺外に放出されることを利用した過塩素酸放出試験が慢性甲状腺炎や先天性酵素欠損などで実施される。
d.正:Graves病やPlummer病の診断に利用される。
e.正:乳腺や消化管腺組織にもヨードは取り込まれるがTSHに依存せず,有機化されない。
84. 解答 c
a.Tlイオンは甲状腺,副甲状腺ともに集積するが,pertechnetateイオンは副甲状腺に集積しない。
b.MIBIは心筋細胞においても副甲状腺細胞においても主としてミトコンドリアに集積する。
c.誤:Tlと同様にMIBIは甲状腺,副甲状腺ともに集積するが,Tlより甲状腺からの洗い出しが早く,単剤で過機能性副甲状腺結節の検出に用いられる。
d.正:SPECT撮像にも適している。
e.正:腫瘍重量が1g以上であればTl,MIBIとも100%近い検出率であるが,0.5gではTlで50%,MIBIで70%前後といわれている。
85.解答 c
a.正:肺換気製剤のうち99mTcテクネガスは嚢胞内に入らないため不可。81mKrガスは呼吸法によっては嚢胞内に入るが半減期が短く不適。133Xeガスは反復呼吸により嚢胞内に入り,洗い出しが遅れるため交通の有無と程度の評価に適する。
b.正:肺塞栓症の場合まず99mTc MAAによる血流シンチが行われていることが多いが,そうであっても81m Krガスは99mTcとエネルギーが異なるため2核種同時収集で換気評価が可能。133Xeガスでは血流シンチが行われていなければ換気評価が可能。
c.誤:肺胞上皮透過性評価は分子量が小さく親水性の99mTc DTPAエロソールが使われる。テクネガスはエロソールの性質も持っているが,肺内分布は経時的にほとんど変化せず肺胞上皮透過性の評価はできない。しかし,テクネガスの標識時にアルゴンガスに数%の酸素を加えておくことで得られるパーテクネガスは,肺胞からの洗い出しが早く肺胞上皮透過性の評価ができる。体内動態からテクネガスとパーテクネガスは別物と考えるべきで,この設問は×であろう。
d.正:粘液線毛機能評価には99mTc HSA, phytate, sulfer colloidのエロソールによる経時的変化(末梢から口側への移動)を評価する。
e.△:気管支の異物でも二次性に血流低下を来すことがあるため組み合わせとしては間違いではないが,一般的には換気シンチの方が適応と思われる。
86.解答 d
PIOPED改訂強化診断基準に関する出題。この診断基準そのものは一次試験としてはやや難易度が高いと思われるが,本問に関していえば,肺塞栓症の診断には換気血流ミスマッチが重要であることを知っていれば正解は難しくないと思われる。この診断基準の詳細は成書を参考にされたい(最新臨床核医学
第3版 P300など)。
(1)誤:低可能性
(2)誤:低可能性
(3)正:高可能性
(4)正:高可能性
(5)誤:低可能性。stripe signとは血流欠損部と肺外表との間に帯状に正常集積を認めることで,急性肺塞栓を否定する上で有用とされる。
87.解答 a
(1)正:心電図同期SPECTをQGSやpFASTといったソフトで解析することで各種心機能指標を得ることができる。
(2)正:99mTc MIBIでは安静時血流の3倍程度で心筋摂取量はプラトーに達する。201Tl Clはもう少し高血流域まで心筋摂取量は増加しうる。
(3)正
(4)誤:extraction fractionは201Tl Cl 85%,99mTc MIBI 66%,99mTc tetrofosmin
55%と報告されている。従って最も高いのは201Tl Cl。
(5)誤:冠攣縮性狭心症では発作時に検査を行わないと血流異常は検出しにくい。血流製剤ではなく123I MIBGや123I
BMIPPが有用。
88.解答 d
(1)誤:投与後,201Tl Clで最低1分,99mTc製剤では2分程度負荷を継続する必要がある。前問の4で示したように初回循環時の心筋抽出率が高くないため,心筋に十分集積するまで負荷を継続する必要がある。
(2)誤:心筋虚血の診断は可能だが,viabilityの評価が難しくなる。
(3)正(△):現時点では心筋viabilityの評価に安静時血流像を用いていることがほとんどである。ただし安静時血流像や201Tl
Cl負荷後の再分布像ではviabilityは過小評価されており,viabilityなしとされた領域の30〜50%は血行再建により機能回復することが知られている。これを補うためTl再静注法やTlの24時間再分布像などが考案された。99mTc製剤はviability
評価に関してはTlよりやや劣る。核医学でのviabilityのgolden standardは18F FDGであるが,PETの設備がなければ一般病院では使用できない。また関連してドブタミン負荷心エコーもviabilityの評価には有用である,ことも知っておいた方がよい。
(4)正:虚血部位と非虚血部位との差が負荷によって安静時より明瞭になる。
(5)誤:負荷が不十分であれば診断能は低下するが,高度の狭窄であれば軽い負荷でも所見を呈する。また過剰な負荷は心筋梗塞を誘発する可能性もありすべきでない。負荷量は多すぎても少なすぎてもよくない。この選択肢は×が適当。
89.解答 a
a.誤:体質性黄疸の鑑別診断に役立つのは肝胆道シンチ製剤の99mTc-HIDAである。(Dubin-Johnson syndではRIの肝内摂取は正常で胆道排泄が不良,Roter
syndでは肝内摂取が不良,Gilbert syndでは摂取も排泄も正常パターンを呈する。ただし現在では99mTc-HIDAは使用されていない。)
99mTc-GSAでは体質性黄疸の鑑別には役に立たない。
b.正:消化管出血には99mTc-RBCあるいは99mTc-HSA(DTPA標識)を用いる。
c.正:99mTc-HSA(ヒト血清アルブミン)は消化管からの出血と蛋白漏出を同様に検出できる。
d.正:99mTcO4-は胃の粘液産生細胞により,Cl-イオンと同様に取り込まれて,胃内に分泌される。異所性胃粘膜を有するメッケル憩室や重複腸管などの描出に有用である。
e.正:99mTcO4-唾液腺においても,I-やCl-イオンと同様に摂取され,唾液中に排泄される。シェーグレン症候群では様々の程度で唾液腺の集積が低下し排泄の遅延する症例もみられる。
90.解答 b
(1)正:99mTc-GSAは肝細胞膜表面のアシアロ糖蛋白受容体に結合し,肝障害の程度と取り込みの低下がよく相関する。
(2)正:肝予備能の評価に有用である。
(3)誤:肝と心臓の時間放射能曲線を用いる。
(4)誤:網内系貪食作用を調べるのは99mTcスズコロイドあるいはフチン酸を用いたコロイド肝シンチである。
(5)正:FNHや腺腫,高分化のHCCなど分化した腫瘍細胞に集積するとの報告があるが,通常は正常の生存肝細胞の分布を示す。
91.解答 c
(1)正:カプトプリルはアンギオテンシン変換酵素阻害薬である。
(2)誤:アンギオテンシンIIによる輸出細動脈の機能的狭窄が阻害される。
(3)誤:腎高血圧症の患者では,腎動脈の狭窄が傍糸球体装置からのレニンの分泌⇒アンギオテンシンIの分泌亢進⇒アンギオテンシンII⇒全身の末梢血管の収縮⇒末梢血管抵抗の亢進の機序で高血圧がもたらされる。一方で,腎動脈の狭窄によりもたらされる糸球体内の動脈圧の低下を代償するようにアンギオテンシンIIが輸出細動脈を機能的に狭窄させることで,糸球体濾過機能を維持する自己調節機序を有している。カプトリルにより,自動調節機能が阻害され糸球体濾過圧,濾過量の低下がもたらされる。
(4)正:上記のとおり。
(5)正:GFR物質である99mTc-DTPAでなくても,尿細管分泌薬剤の99mTc-MAG3でも腎動脈狭窄側の機能低下,排泄遅延が認められる。
92.解答 a
a.正:51Crや99mTc-スズ・ピロリン酸により標識された一定量の赤血球浮遊液を再度患者に静注し,投与後30分後の静脈内の放射能カウントを測定する。“投与するRIが未知容量の物質系内に保持され均一に分布した場合,系全体の放射能は投与した全放射能に等しい”とする希釈法に基づいている。
b.誤:51Crで標識された赤血球浮遊液を静注したのち,30分,24時間,以後毎日,数週間にかけて採血する。採血されたそれぞれの試料の放射能を計測し,投与30分後の放射能の50%に達した日数をみかけの赤血球寿命とする。
c.誤:59Feを静注したのちの経時的な静脈中の放射能を計測し,片対数グラフにプロットし,流血中から臓器へ取り込まれる速度を検討することで,造血能を評価する。静注された鉄の85%は骨髄の赤芽球に取り込まれるため,造血能が盛んなほど血漿鉄消失率(消失時間)は短縮する。
d.誤:空腹時に,59Fe-クエン酸第二鉄を経口投与し,その後数日間の糞便中のRIを測定し,〔100−糞便中排泄率(%)〕を鉄吸収率(%)とする。
e.誤:Schilling testでは,放射性ビタミンB12の経口投与後に,非放射性ビタミンB12を大量に筋注し24時間以内に尿中に排泄された放射性ビタミンB12を測定する方法によりビタミンB12の吸収を調べる。
コメント:今日の日常で,これらの検査に携わる放射線科医はほとんどいないと思われるが,簡単な生理学的動態を考えれば解答を予測できたのではないかと思われる。
93.解答 b
(1)正:99mTc-HMDP(MDP)はいずれもリン酸化合物である。
(2)正:バックグランドが低い鮮明な画像を得るためには,静注後2〜3時間後の撮像が適している。
(3)誤:骨シンチグラフィは良悪性の鑑別には適していない。
(4)誤:骨シンチグラフィの方が単純写真よりも感度が高い。
(5)正:腎癌,甲状腺癌などで見られることがある。
94.正解 a
(1)正:化学療法直後には,腎臓の集積亢進(hot kidney)や,骨転移病巣の集積亢進(flare phenomenon)が見られる。
(2)正:検出率は50%程度で,ガリウムシンチ,タリウムシンチの方が検出率が高いという報告が多い。
(3)正:double stripe signという。
(4)誤:骨外集積には,心筋梗塞,脳梗塞,化骨性筋炎,乳癌,慢性腎不全による肺の石灰化などがある。
(5)誤:カルシウムの代謝が活性化して,骨への集積は亢進する。
95.正解 a
(1)正:悪性腫瘍の中でも,肺の小細胞癌,悪性リンパ腫と並んで,ガリウムの高集積を示す代表的疾患である。
(2)正:99mTcO4-で陽性像,排泄は遅延する。
(3)正:111In-オクトレオチドは,消化管ホルモン産生腫瘍以外にも下垂体腫瘍,褐色細胞腫,神経芽細胞腫,甲状腺髄様癌に高率に集積する。また,サルコイドーシス,バセドウ病などの良性疾患にも集積する。
(4)誤:131I-MIBGは,褐色細胞腫の診断に有効である。
(5)誤:99mTc-PMTは肝胆道シンチグラフィで使用される。また,肝細胞癌への集積も見られる。
96.正解 c
(1)誤:肝,脾は正常でも集積する。
(2)正:骨髄の描出が強い場合は,慢性貧血,化学療法後,白血病などを疑う。
(3)正
(4)誤:急性骨髄炎の検出に,標識白血球は有効である。
(5)誤:腫瘍特異性はない。活動性の高い炎症細胞にも集積する。また,正常でも脳に高い生理的集積を示す。投与された18F-FDGは,尿路系より排泄されるため,検査前に排尿させることが望ましい。
97.解答 c
a.誤:三検出器型SPECT装置でも平面像撮像は可能である。
b.誤:99mTcと201Tlの同時収集では,検出したデータから,2核種のエネルギーピークの差を利用して解析する。
c.正:201Tlの方が99mTcに比べてエネルギーが低いため,201Tlの検査を先に行う。
d.誤:99mTc標識製剤は製薬会社より供給されており,ジェネレーターがなくても検査可能である。
e.誤:67Gaの注射当日でもCT検査に影響はでない。
98.解答 d
(1)誤:3Hの測定には液体シンチレーションカウンタが用いられるため,誤り。
(2)正:ウェル型シンチレーションカウンタとは,NaI(Tl)結晶にウェル(井戸)型の孔を開けたシンチレーションカウンタである。
(3)正:実際には容器内の試料液面の高さが問題となる。検出器の結晶の高さより試料液面が高いと計数効率が落ちる。
(4)正:放射能量が多くなるに従い数え落としが多くなる。
(5)誤:放射能が弱いときは,測定時間を長くする。
99.解答 e
(1)正:99mTc-ECDは血液脳関門を通過して脳実質内に取り込まれる。
(2)正:肺毛細血管を通過できない程度の99mTc-MAAの微粒子を静注し,肺毛細血管網にcapillary blockageさせて撮像する。
(3)誤:133Xeガスは肺換気分布検査に用いられ拡散により肺胞に到達する。
慣性衝突,重力沈降,拡散によって気道,肺胞に沈着するのはエロソールの説明であるので,誤り。
(4)誤:123I-BMIPPは,心筋の脂肪酸代謝を評価するトレーサーであるので,誤り。
心交感神経終末のノルエピネフリン(NE)貯蔵顆粒に集積するのは,ノルエピネフリンの類似物質である123I-MIBGである。
(5)誤:肝内の網内系に貪食されるのは放射性コロイド(99mTC-スズコロイド,99mTc-フィチン酸)であり,誤りである。
100.解答 c
(1)正:131I投与量500MBq(0.5GBq)を超える治療には放射線治療病室に入室を要する。
(2)誤:甲状腺癌術後131I投与時でも甲状腺ホルモン剤は休薬を要する。
(3)誤:患者体表面から1mの点における1cm線量当量率が30μSv/h以下の場合,放射線治療病室から患者を退出させて良い。設問では300μSv/h以下となっており,誤りである。
(4)正:体内残存放射線量が500MBq以下であれば,放射線治療病室から患者を退出させて良い。
(5)正:(1),(3),(4),(5)の設問は,平成10年に厚生省より出された医薬安発第70号に記載されている。
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