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27.解答 c
解剖の理解を問う問題。
(1)誤:肝臓は大部分で臓側腹膜(漿膜)で覆われている。肝臓の上面後部にのみ腹膜に覆われない部分(無漿膜野)があり,肝周囲の疎性結合組織(線維膜)を介して肝実質が露出している。
(2)正:Winslow孔(網嚢孔)は網嚢と腹膜腔との交通路であり,腹側を肝十二指腸間膜,背側は下大静脈(を覆う壁側腹膜),頭側は肝尾状葉,尾側は十二指腸球部あるいは幽門(の腹膜反転部)で境されている。
(3)正:網嚢は発生段階における胃のくびれによる腹膜腔の袋状構造で,左胃動脈および総肝動脈を覆う腹膜(膵胃ヒダ)のため外側部と内側部に分かれる。
外側部…頭側は胃横隔膜間膜,左は胃脾間膜と脾腎間膜,尾側は横行結腸間膜,腹側は大網と胃
内側部…右は下大静脈と尾状葉,左は食道胃噴門,頭側は肝冠状靱帯の一部,腹側は小網
(4)誤:呈示されているCT画像にMorison窩は写っていない。
(5)誤:左腎被膜下に明らかな液体貯留は認められない。
28.解答 c
診断所見:
A.MRCP:中央に巨大な嚢胞状の高信号域が認められる。この構造の上部で,拡張した胆嚢管や肝内胆管と思われる構造が認められる。嚢胞状構造の下方に膵管らしき構造の一部を認める。
B.ERCP:肝外胆管が嚢腫状に拡張している。腫瘤の尾側には膵管が描出され,拡張した肝外胆管が膵管に合流する膵胆管合流異常合併が考えられる。肝内胆管は描出されていない。
診断プロセス:MRCP, ERCPで総胆管の嚢腫状拡張が認められ,先天性胆道拡張症が考えられる。戸谷分類I型,あるいはMRCPでは肝内胆管拡張も疑われることからIV-A型と考えられるが,いずれのタイプも膵胆管合流異常を100%近く合併すると言われている。
先天性胆道拡張症は,アジア人に多く,特に女性は男性よりも頻度が3〜7倍高い。
拡張症は先天性の形成異常であるが,胆道閉鎖症のように生下時から特有の症状を伴う症例は少ない。小児型でも生後3ヶ月以降に発症(黄疸,腫瘤形成)し,合流異常の併存に加え,後天的な因子(炎症,加齢など)の加重によってはじめて発症する。定期検診,集団検診の普及により無症状例の発見が増加しているが,30〜50歳代でも無症状で経過している例が比較的多い。拡張症のうちで,合流異常による胆汁の排泄障害がきわめて軽微な症例では,胆管内胆汁うっ滞のみが認められるが,このような症例でも胆嚢癌,胆管癌の発生の危険性はきわめて高い。
膵管胆管合流異常の基本的な形態は,異常に長い共通管と乳頭括約筋作用が及ばない十二指腸壁外での膵管と胆道系の合流である。合流部に括約筋作用が及ばないため,膵液と胆汁の相互逆流が制御されず,圧勾配に従って逆流が起こる。逆流した膵液は拡張胆管内で停滞,胆嚢内では停滞と濃縮がみられ,胆道壁を障害する。また胆汁中の抱合無害化された発癌物質の脱抱合が起こり,再活性化するなど発癌機序と関係した研究が進んでいる。(医学書院:今日の診療CD-ROM
Vol.7より引用)
コメント:画像は典型的であり,選択項目もc.の記述を逆にするといずれも有名な事項なので,そのまま覚えてしまえば良いと思います。
29.解答 d
診断所見及び診断プロセス:
経皮経肝胆道造影像の所見:総胆管は胆嚢管合流部付近で高度狭窄〜閉塞し,下部総胆管や十二指腸への造影剤の流出は認めない。胆嚢ならびに胆嚢管は第2-3腰椎椎体右側に描出されており,胆嚢管合流部より尾側での内瘻チューブの閉塞が疑われる。狭窄部位より上流の胆管は拡張している。右肝内胆管に連続し腫瘤状の造影剤の溜まりが見られる。また,肝内胆管と連続する部分や肝末梢にも,複数個の結節状に造影される領域が多数認められる。黄疸以外の臨床所見や検査所見は不明であるが,胆管炎に合併した胆管炎性肝膿瘍が疑われる。
鑑別診断の必要性等:肝膿瘍は細菌性とアメーバ性に大別される。多発は細菌性に多く,アメーバ性は殆どが単発である。細菌性肝膿瘍の感染経路は経門脈性,経胆道性,経動脈性,直達性,外傷性,特発性等が挙げられるが,経胆道性のものが最多である。本例では,胆道閉塞に伴って,胆管炎,胆管炎性膿瘍を合併したと考えられる。ちなみに,肝膿瘍の場合,殆どのケースで経皮的ドレナージの適応となる。胆道閉塞機転の存在下での胆管性肝膿瘍では,抗生剤の胆道系への移行が殆ど認められないが,経皮的膿瘍ドレナージや経皮経肝胆道ドレナージで胆汁の誘導をはかると,抗生剤の急速な胆汁内移行が認められたという報告もある。(消化器疾患のIVR 1,肝・膵疾患のIVR,メジカルビュー社より引用)
30.解答 b
診断所見:
A.超音波像:胆嚢短径は3cm以上と拡張している。著明な壁肥厚はない。胆嚢内には多量のdebris(膿汁,血塊,胆泥,濃縮胆汁等)が認められる。明らかな胆石はない。胆嚢周囲低エコー帯ははっきりしない。胆嚢の深部に総胆管や門脈が描出されているが,明らかな総胆管拡張は認めない。以上から著明な壁肥厚は認められないものの,胆嚢拡張や胆嚢内debrisといった急性胆嚢炎に矛盾ない所見がある。
B, C.単純および造影CT:胆嚢内腔は拡張し,内部濃度は高い。壁の著明な肥厚はなく,胆嚢周囲の液体貯留もはっきりしない。造影CTでは体部あるいは頚部壁に結節状の軟部構造があり,底部壁と同等にエンハンスメントされている。
D.T1強調像:胆嚢内腔は均一で著明な高信号を示している。体部あるいは頚部に1cm強の軟部構造が認められる。
E.T2強調像:上述の軟部結節は中等度信号であり,内部に点状の高吸収域が散在している。頚部あるいは胆嚢管の液体が高信号に描出されている。胆嚢周囲には少量の液体が認められる。
F.MRCP:胆嚢管は総胆管の下1/3付近の高さから分岐している。上部総胆管右側には,T2強調像で認められた胆嚢頚部あるいは胆嚢管内の液体に相当する部位が描出されている。胆嚢周囲の液体貯留はこのMRCP上ははっきりしない。
診断プロセス:USでは急性胆嚢炎に矛盾ない所見と考えられる。一般的に急性胆嚢炎の超音波所見と言われている所見(胆嚢拡張,胆嚢壁の肥厚,sonolucent
layer,胆嚢内debrisの貯溜,胆石の嵌頓像,胆嚢周囲の低エコー帯)を全て示すものは15%前後と言われており,検査施行時期,病態や重症度によって所見は異なり,経時的に変化していくものと考えられている。(病態・経過に応じた超音波所見の読み方2,富俊明ら著,ベクトル・コア社)
CT, MRIでも壁肥厚は軽度である。T2強調像で胆嚢周囲に少量の液体が認められる。MRCPでは,胆嚢や周囲の液体はスライス部位から外れ捉えられていないのかも知れない。いずれの画像でも胆嚢周囲の炎症波及はさほど高度とは言えない。体部の1cm程度の軟部結節は,腫瘍を否定できない。
31.解答 c
66歳,男性のdynamic CT早期相において,膵頭部は腫大し,腫瘤を形成している。この腫瘤は,造影効果があり,大きさの割に,脈管侵襲がなく,腫瘤形成性膵炎を考える。膵頭部癌は否定的。膵島細胞腫は,hypervascularであり,異なる。悪性リンパ腫は,染まりが悪い点と,周囲リンパ節の腫大が特徴的である点において,否定的。
十二指腸平滑筋腫ではない。
32.解答 c?
60歳,女性の膵尾部腫瘍のdynamic CT像である。大きさの割に,脈管侵襲がなく,境界が明瞭で,薄い被膜様構造の存在が疑われる。弱い染まりであり,造影効果の乏しい部位が散見される。腺房細胞癌は矛盾しないが,膵島細胞腫は,hypervascularであり,異なる。従って,選択肢は,c,eが残る。粘液性嚢胞腺腫は,中年女性の,体尾部に多い点では矛盾しないが,大きな嚢胞形成があるという点で,異なる印象である。漿液性嚢胞腺腫は,小嚢胞の集簇で,充実性にも見える点で,否定はできない。リンパ管腫は,薄壁の嚢胞性で,時に隔壁様構造がみられる。典型例とはいえないが,選択肢の関係上,cを選ぶ。
33.解答 e
56歳,男性,アルコール多飲歴がある上腹部痛の患者で,急性膵炎ないし慢性膵炎の急性増悪を考える。dynamic CT上,膵尾部から脾への炎症の波及であり,脾被膜下仮性嚢胞を形成している。膵尾,脾門部で,(脾動脈の)仮性動脈瘤を認める。炎症と膵酵素による血管壁浸食により,仮性動脈瘤が形成される。コントロール不可能な出血をきたすことがあり,動脈塞栓術が,(第一選択の)治療法となる。
34.解答 d
44歳,女性。排泄性尿路造影像から,水腎は認めない。馬蹄腎ではない。右腎と同レベルに左腎は同定できないが,仙骨正中から左に,造影剤の貯留が疑われる。左腎無形成ではなく,骨盤腎と思われる。右腎杯の描出が良くなく,変形,狭窄があるようにも見える点が少し気になるが,強い石灰化像は指摘できない。
35.解答 e
左腎は腫大し,低吸収域の腫瘤を多発性に認める。腫瘤の周囲は不整に造影を受けている。腎盂壁は肥厚している。またGerota筋膜の肥厚を認める。
以上より,腎盂に結石の合併(半数以上に合併)を認めないが,腎の腫大と病変拡がりからびまん型の黄色肉芽腫性腎盂腎炎が最も考えられる。結石とくにサンゴ状結石が存在すれば典型的な症例である。多発する低吸収域は拡張した腎杯と脂質を含むxanthoma
cellの浸潤を示し,CT値は-10〜+30HUで,造影されない。
36.解答 aまたはb
大動脈,上腸間膜動脈,左腎静脈が造影され,門脈,下大静脈が造影されておらず,dynamic早期相の造影CTである。左腎に辺縁が強く造影される境界明瞭な比較的大きな腫瘤を認める。
(1),(2) ○:dynamic早期相から強く造影され,中心部に星芒状の中心瘢痕様の低吸収域を伴う境界明瞭な腫瘤であり,oncocytomaが疑われる。しかし,腎細胞癌のなかには同様の所見がみられることもあり,両者の鑑別を画像診断で確定することは困難である。
(3)○:上述したとおりdynamic早期相の造影CTであり,腎腫瘤性病変の血管増生の判定には有効である。
(4)×:dynamic早期相の造影CTでは腫瘤と腎実質の濃染が同等になる場合があり,病変の検出には有効ではない。
(5)△:教科書的には転移性腎腫瘍は,造影CTにて腎実質より造影効果は乏しいとされているが,Hypervascularな原発腫瘍の転移ではこのように腫瘤が強く濃染されうると思われる。
37.解答 b
左副腎に境界明瞭で内部均一な腫瘤を認める。T1強調像で肝と比べ,低信号で,T2強調像でほぼ等信号である。in phase画像では肝と比べ,やや低信号であるが,out
of phase画像ではさらに低信号となっている。ガドリニウム造影T1強調像では内部均一に軽度造影されている。
chemical shift imagingとは,gradient echo法では脂肪と水の共鳴周波数は異なっているのでTEを少しずつ変化させることにより,信号が増強しあったり(in
phase),打ち消しあったり(out of phase)することを利用したものである。本例ではout of phase画像にてin
phase画像と比べ腫瘤の信号低下が見られている。腫瘤内に水と脂肪が混在する状態が考えられる。副腎皮質腺腫が最も考えられる。
副腎皮質腺腫は種々の程度に細胞内に脂肪を含み,一方,悪性や転移性腫瘍,褐色細胞腫では脂肪はないかきわめて少ない。全例ではないが,chemical
shift imagingは両者の鑑別に有効な検査法である。骨髄脂肪腫は脂肪を含む副腎腫瘍であり,典型的にはT1強調像,T2強調像にて高信号を示す。
38.解答 d
子宮は腫大しており,T2WIにて点状の高信号が筋層内にびまん性に描出されており,内膜はsmoothに圧排されている。また,拡張した子宮動脈が蛇行してflow
voidとして認められる。以上より子宮筋腫,子宮腺筋症が考えられるが,junctional zoneが病巣部で不明瞭となっていることから子宮腺筋症が最も考えられる。
39.解答 b
大動脈造影にて左外腸骨動脈,右外腸骨動脈に狭窄また右内腸骨動脈は起始部より完全閉塞している。しかし,右内腸骨動脈は同側の側副路にて血流は保たれている。
今回の症状の責任病巣は右外腸骨動脈の75%狭窄であり,短い狭窄で末梢のrun-offが良好なためバルーンPTAが適応になる。腸骨動脈狭窄に対するPTAは技術的成功率95%前後であり,バルーン拡張のみで良好な開存成績が期待される。
以上より正解は(1),(5)となる。
40.解答 d
腎臓の限局性腫大を伴った嚢胞性変化を認めており,腎臓周囲への変化(腎筋膜の肥厚,腹壁への進展)を伴っていることから炎症性変化として黄色肉芽腫性腎盂腎炎,気腫性腎盂腎炎,腎膿瘍を考える。造影
CTにて壁の厚い中心部はwater densityのcystic massで,水腎症,結石,air densityは認めていない。以上より,基礎疾患,臨床症状より腎膿瘍を考える。
治療は抗生剤投与が第一であるが,発熱と痛みが1週間続いていること,CTにて腎実質が圧排され,周囲への炎症の波及もあるため外科的ドレナージが有効と考えられる。
41.解答 a
画像表示条件が明示されていないが,右側頭葉から前頭葉にかけて広範な高血流域があると考えるのが自然である。脳出血では出血部位の血流低下,Alzheimer病では後方優位の血流低下,脳死では脳内の血流が存在しない。従って血流が増加する状態としては(亜急性)脳梗塞あるいはヘルペス脳炎ということになる。年齢および臨床症状が全く不明であるが,片側性でこれだけの高血流を呈するヘルペス脳炎はやや考えにくい。高血流部位がほぼ右中大脳動脈領域に一致することからも,脳梗塞によるluxury
perfusionと考えるのが妥当であろう。
42.解答 c
イメージA.では左大脳皮質が高血流となっており,イメージB.では逆に右大脳皮質が高血流となっているように見える。しかしこれらはいずれも定性画像であり,右中大脳動脈領域が亜急性期には高血流となり,慢性期には低血流となったと考えるのが正しい。問題となっているイメージA.ではluxury
perfusionの病態であり,右中大脳動脈領域に高血流域を認める。右小脳半球の血流が低下しているのは,crossed cerebellar
diaschisis(remote effect)によると考えられる。また,luxury perfusionの部位では脳血流量が局所酸素代謝率に対し過剰となっており,代謝はむしろ低下している。循環予備能も当然低下している。
43.解答 a
この問題の67Ga-citrateシンチグラムで甲状腺特に右葉に高集積をみとめています。67Ga-citrateシンチグラムで高集積が見られる甲状腺疾患としては,まず甲状腺未分化癌があります。甲状腺の分化癌には集積しないといわれています(最新臨床核医学 改訂3版,p523)。また,悪性リンパ腫は67Ga-citrateシンチグラムのよい適応ですので,(1)(2)が正しいので解答はaとなります。亜急性,慢性の甲状腺炎でfocal
uptakeの記載があり(Gamuts in Nuclear Medicine third edition, p294-299),鑑別疾患として考えられます。
(4)急性化膿性甲状腺炎は先天性の下咽頭梨状陥凹のfistulaを経路として発症する感染症です。123I,131Iシンチグラムで甲状腺下葉上部が欠損を示します(最新臨床核医学 改訂3版,p355)。
44.解答 e
図aはback-groundが淡く描出され,S/N比の低い画像となっています。上縦隔に集積が見られますが,両側甲状腺およびその上極,下極に高集積は見られません。
図bはS/N比の高い画像で甲状腺には集積低下や圧排された像は見られません。
図cは上縦隔の集積のみで,甲状腺および副甲状腺腫を示唆する集積は見られません。
(1)誤:図bがS/Nの高い画像より,99mTcO4-シンチグラムと考えられます。
(2)誤:図aがS/Nの低い画像より,201TlClシンチグラムと考えられます。
(3)正:図cは図aから図bをsubtractionした像です。
(4)正
(5)正:99mTcO4--201TlCl subtractionが有効ですが,手技的には位置ずれが少ない99mTc-MIBIも有用であると報告されています。
45.解答 d
診断所見:99mTc HSAによるRI lymphographyである。
両側の下肢,骨盤,腹部,胸部のリンパ管,鼠径部のリンパ節が描出されている。
左胸部へのRI分布を認める。
診断プロセス:左胸水が乳び胸水であることがこのシンチグラムからわかる。
DVT,PTEを示唆するデータはなく,解答の中で有り得る組み合わせはdしかない。びまん性過誤腫性肺脈管筋症は妊娠可能な女性のみに発症し,気胸,乳び胸水,リンパ節腫大などを合併する。この疾患の最初の記載は脳結節性硬化症の報告内にあるとされている。
その他:画像のみから言えば乳び胸としかいえない。
46.解答 c
急性心筋梗塞で冠動脈形成術(PTCA)を施行された症例です。
201Tlシンチでは血流の情報が得られます。すなわち血流低下の領域では,Tlの集積が低下します。99mTc-PYPは心筋の壊死がおこったところに集積します。
この症例では,Tlの集積はほぼ正常で,PYPが前壁から心尖にかけて集積が見られます。したがって,心室中隔から心尖にかけての領域は心筋梗塞になっているが,この時点では血流は良さそうであるといえます。PTCAは成功しているようです。
a.誤:貫壁性の梗塞かどうかは心電図上にQ波ができるかどうかで,一般的には決まります。シンチで評価は困難ですが,普通はTlで血流が著しく低下しますから,ここでは×。
b.誤:PYPの集積が見られるということは,心筋の壊死がおきているわけです。梗塞になっていますから,これも×。
c.正:心筋の生存性(いわゆるViability)はTlの集積があるかどうかということで表されます。Tlが集積するということは,Na-Kポンプが機能しているまともな心筋細胞が残っているということで,このような心筋をviableな心筋と呼んでいます。特にこの症例のように,TlとPYPのDualシンチで,PYPの集積がある場所にTlの集積がある場合は,overlap(+)といい,梗塞部にViableな心筋が存在することを示します。よって○。
d.誤:前壁から心尖にかけての梗塞ですから,左前下行枝の病変です。右冠動脈は下壁から後壁にかけてですから,×。
e.誤:この時点で正常化しているかは,この検査だけでは不明です。しかし,心筋の壊死がある程度はおきていますから,梗塞発症時には機能は低下しているはずです。そして,機能回復にはある程度の期間(数週から数ヶ月)かかりますから,ここは×。
47.解答 d
運動負荷心筋シンチです。負荷シンチでは安静時には冠血流が保たれているものの,負荷で冠血流の増加がおきる際に,冠動脈狭窄のため,相対的に血流が低下している場所のアイソトープの集積が低下するのをとらえるわけです。このような可逆的な所見がみられる場所が,狭心症の責任病変である可能性が高いと言えます。
(1)誤:中隔の集積はほぼ正常です。
(2)正:安静像でもやや集積低下がありますから,不完全再分布です。
(3)正
(4)正:心筋は通常は脂肪酸代謝です。虚血に陥ると糖代謝に変わります。これを利用して虚血を調べようとするのが,FDG-PETやBMIPPシンチになるわけです。
(5)誤:下壁領域の再分布ですから,右冠動脈領域が責任病変と思われます。
48.解答 b
診断所見:静注後20分像においても血中に高度のRIを認める。
SPECT像にて肝に欠損像を認める。
LHL15値はかなり低下し,HH15値はかなり上昇している。
診断プロセス:高度肝障害と肝局在性病変を疑わせる所見である。
正常では静注後5分でRIは血中より消失する。
LHL15 の正常値は0.942±0.017,HH15の正常値は0.537±0.037である。
肝予備能は低下している。
その他:原版が悪いのかコピーのせいか画像がつぶれていてやや読みにくい。
49.解答 b
「低アルブミン血症」から,まず蛋白漏出シンチを考える。
「99mTc標識製剤」なので,画像とあわせて99mTc-HSAによるイメージである。
診断所見:最も目につくのが骨盤腔内に時間とともに増強する集積である。よく見ると小腸に相当する部位の淡い集積が1時間後の像では左上腹部に限局しているが,時間とともに骨盤腔内(回腸〜回盲部付近)に広がっている。胃や空腸からの蛋白漏出に伴って腸管内に漏出したRIが回腸で貯留した像と考える。
(1)正:99mTc-HSAでは血液プールイメージが得られ,肝の集積もこれによるものである。
(2)正:上記の如く胃や空腸からの漏出を疑う。
(3)誤:この程度の腎集積は生理的なものと考えられる。
(4)誤:99mTc-HSAである。99mTc-DTPAはレノグラム製剤である。
(5)正:111In-トランスフェリンもアルブミンと同時に漏出するため同様の評価ができる。
50.解答 b
イメージAが99mTc-MDPによる骨シンチグラフィー,Bが99mTc-MAG3による腎動態シンチグラフィーである。
診断所見:
(イメージA)右腎は腫大し実質に著明な高集積をみとめる。尿管への排泄像は明らかではない。
輪郭の変形や集積欠損など腎内の局所的異常は指摘できない。
左腎の描出はほとんどみられないが,膀胱内に集積がみられ,左腎からは正常にRIが排泄されたものと考えることができる。骨には異常集積はみとめられない。
(イメージB)右腎の集積は著明に低下しているが,完全欠損にはなっておらず,時間とともに実質に少しずつ集積している。腎盂へのRIの移行もわずかにみとめられるが尿管への排泄像は明らかでない。腎のサイズを左右比較すると右の方が大きく,イメージAともあわせ右腎の病的腫大と思われる。左腎については実質への集積・排泄いずれもほぼ正常と考えられる。両腎ともに明らかな局所的異常は指摘できない。
診断プロセス:選択肢c.以外は骨シンチグラフィーで腎のびまん性高集積をきたしうる疾患である。
a.renal artery stenosisでは腎の腫大はみられず,99mTc-MAG3イメージで腎実質のこれほど高度の集積低下をきたしていれば腎サイズは縮小するのが普通である。
b.(急性の)腎静脈血栓症は,一般に持続性の側腹部痛に続き急激に腎機能が低下することが多いといわれる。腎動態シンチグラフィーでは血流相で腎血流の低下,実質相で集積の低下とともに腎の腫大がみられ,下部尿路への排泄はほとんどみられない。動脈閉塞と異なり静脈血栓症では多少なりとも血流がみられることが特徴的とされている。本症例で特に矛盾する点はなく「最も考えられる疾患」と考えた。
c.renal tuberculosisでは腎の石灰化はきたしうるが骨シンチグラフィーで腎実質のびまん性高集積像は呈さない。
d.acute pyelonephritisでは腎の腫大はきたしうるが,腎血流は比較的保たれており,99mTc-MAG3イメージ実質相においてもこれほど高度な集積低下は通常みられない。
e.urinary tract obstructionでは閉塞部位より上方の尿路に拡張とRIの貯留像がみられるのが普通である。仮に長期にわたる尿路閉塞によって高度の腎機能低下をきたしていれば99mTc-MAG3イメージ実質相での集積は低下しうるが,腎実質はもっと萎縮しているはずである。よって本症例の所見とは合致しないと考える。
補足:
・慢性の経過の腎静脈血栓症では側副血行路の発達により腎機能が保たれることもあり,その場合は本例の画像と必ずしも合致しないが,選択肢b.がいずれを意味しているかは不明である。
・腎静脈血栓症の原因として,小児では著明な脱水によるものが多い。成人ではネフローゼ症候群によるものが重要である。
コメント:教科書的にも記載が少なく,かなりの難問と思われる。
51.解答 b
診断所見:右肺の縦隔側に201Tl・99mTc-MIBI両方とも早期相で強い集積をみとめ,後期相でも両方ともあまりwash
outされずむしろ貯留している。
ただし選択肢は画像所見というより一般論を問うている。
(1)正:悪性腫瘍に「特徴的」ではあるが「特異的」ではないかもしれない。
(2)誤:99mTc-MIBIは,多剤耐性に関与するP糖蛋白により細胞内から汲み出される。したがってP糖蛋白の発現が強い(化学療法耐性の)腫瘍ほど99mTc-MIBIの洗い出しが大きく,後期相での集積が低下すると言われている。
(3)誤:後期相は通常2〜3時間後に撮像する。
(4)誤:99m Tc-MIBIは心筋には生理的集積があるが,肺門縦隔部には集積しない。
(5)正:いずれも血管壁に付着することがあるので,腫瘍の所属リンパ節が存在する領域を通過する静脈路からの投与は可能な限り避けるなどの注意が必要である。
52.解答 e
イメージAが99mTc-MDPによる骨シンチグラフィー,イメージBが111In-oxine WBCによる炎症シンチグラフィーである。
診断所見:
イメージAでは右股関節および臼蓋部〜右大腿骨大転子部にかけて強い集積がみられる。イメージBでは右股関節に高集積がみられるが,臼蓋部〜大腿骨大転子部には高集積はみられない。以上より化膿性右股関節炎と考えられる。また右股関節の右下方の大腿骨小転子付近にもイメージBで淡い集積がみられるが,イメージAでその部位の骨に明らかな高集積はみられず,関節炎の周囲軟部組織への波及像と考えられる。
a.正
b.正:通常半減期の短い核種から施行するが,111In-oxine WBCを投与し20時間後に99mTc-MDPを投
与,さらに約3時間後に2核種同時収集することも可能ではある。
c.正:99mTc-MDPは変形性関節症などでも集積し,疾患特異性が低い。
d.正:肝・脾・骨髄に生理的集積がみられる。
e.誤:化膿性関節炎が最も考えられる。
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