JCR:日本放射線科専門医会・医会

Q  

放射線科に興味を持ったのはいつですか?なぜ放射線科を選んだのですか?

国立がんセンター中央病院放射線診断部レジデント 芝 奈津子

芝先生 私は医師としては4年目、放射線科医としては2年目で今年の春より国立がんセンター中央病院のレジデントとして勉強中です。これまでの経験は少なくお話できることはあまりないのですが、とてもありがたいチャンスに恵まれてここに至っていますのでご紹介させていただきます。

 学生時代は放射線科というものがそもそも何をしている科であるのかもあまり理解していませんでした。私の中の医師のイメージは、やはり手術などの手技や薬を使って患者さんを治すというもので、自分の将来像も同様でした。5回生の時にスーパーローテート制度となることがわかり、見学先を探していたときに偶然にも放射線科の教授に勧めていただいたのが、国立がんセンター中央病院でした。

 当時はまだ外科系を目指していましたので、東京に遊びに行くついでに見学してみようという程度だったのですが、その時に出会ったのが肺診断専門の楠本昌彦先生でした。外来で“これは癌でしょう!これはおそらく炎症だからもう少し様子を見ましょう!”と、画像診断が患者さんの医療の分岐点になる重要な位置にあることを知り、とても強い印象を受けました。楠本先生は同門の先輩でもあり、その後もメールなどでアドバイスを下さっていたのですが、「放射線科にしなさい」とか、「肺を専門にしなさい」などとは一度も言われたことはありません。それどころか、見学中は他科の先生を紹介してくださって、手術や内科外来も見学することができました。楠本先生のお人柄ももちろんですが、放射線科だからこそ他科との関わりも多く、こうして見学させてもらえるのだなと他科とのコミュニケーションの多さも魅力に感じました。見学が終わってからは、具体的に何がしたいのかはわからないままでしたが、漠然と放射線科にしよう、そしていつかはがんセンターで働きたいと考えるようになりました。その後は放射線科一筋で、教授もそんな私の思いに応えてくださり、幸運なことに学生時代にRSNAをはじめ色々な学会に参加させて頂きました。

皆で

 卒後2年間は初期臨床研修医として忙しく過ごしていましたが、外科ローテート中に乳腺外科専門の先生の下につくことになりました。本当に単純な動機なのですが、手術中に閉創が上手とほめてもらったことがありました。できることの限られていた研修医の私にとってはとても嬉しい出来事で、細かい作業はもともと好きでしたので、それからは手術の終盤が待ち遠しく出番が来たかのように縫合をするようになりました。これがきっかけでどんどん乳腺に興味をもつようになりました。診断を学びたいという私にエコー室の技師さんたちも協力してくださり、ローテート期間が終わってからも時間があればエコー室に行って検査をしていました。今も乳腺画像診断は私の中の一番大きな課題ですし、乳腺からつながって、もう一つの女性特有臓器である女性骨盤も課題として勉強しています。
3年目の1年間は大学病院で診断・IVR・放射線治療の基本を教えて頂き、今年の春より念願の国立がんセンター中央病院に来ることができました。やはり癌専門の特殊な病院で、症例数もカンファレンス数も桁違いに多く、毎日が本当に充実していてあっという間に過ぎています。私にとっては楠本先生や乳腺外科の先生との出会いはとても貴重なきっかけですし、こうして念願の病院で勉強するチャンスをくださった教授にも感謝しています。時々見学に訪れる研修医や学生さんにお会いし以前の私のように刺激を受けている表情を目にするのですが、この出会いがなにかのきっかけとなれば(その先が放射線科であればなおいいな…)と思っています。

 さて、女性医師という立場からみた放射線科についてですが、学生時代には将来家庭を持ったとしても自宅で読影でき、仕事を続けることが可能だという話を聞いていました。でも、当時の私の将来像はフルタイムの病院勤務でしたので、全くおいしい話とは感じられませんでした。ところが、大学病院では先輩のママさん放射線科医もママさん研修医も楽しそうに仕事と家庭を両立されていて(自宅での仕事はされていませんが)、それからきちんと私自身の将来像をイメージできるようになった気がします。私のように生活のほとんどが仕事であっても、家庭と仕事の両立が必要となっても、その時の状況に応じて女性が活躍できる場が放射線科にはあると思います。出会いや偶然に導かれた部分が大きかったのですが、いい科を選んだなと思っています。

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