JCR:日本放射線科専門医会・医会

女性医師が語る(循環器)画像診断の魅力
北海道大学病院放射線診断科講師 真鍋(大山)徳子

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました皆様及び関係の皆様に、心よりお見舞い申し上げるとともに、被災された地域の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

真鍋先生私は平成9年に北海道大学医学部を卒業後、地方病院で内科外科研修を一年間行ったのちに、放射線科診断医として働き始めました。気がつけば中堅と呼ばれる年代となり、後輩が増え、若い先生向けに少しでも参考になればと筆を取りました。私は元々興味のあった循環器疾患の画像診断をサブスペシャリティーとして現在大学病院で診療・研究を行っています。よく後輩から「先生はどうやって循環器画像診断を勉強されてきたのですか?」と質問されますが、その回答に触れながら循環器画像診断の魅力を綴ってみたいと思います。

放射線科に入局した当時、私の医局では体幹部診断医は頚部から下全般が読める人という位置づけで、サブスペシャリティーは特に持たなくても良いと言われていました。時代の流れは変わり、何かしらの得意領域を持つことは診断医にとって大きな強みになるという実感を持っております。私にとってはそれが循環器領域であり、私が感じている魅力を少しでもお伝えできればと思います。もともと循環器疾患に興味がありましたが、当時は循環器の画像診断を学ぶすべもなく、独学で心臓MRIの検査に携わっていました。教科書も数少なく、疑問を聞ける先輩もいなかったため、留学して心臓MRIを勉強しようと一念発起しました。

アメリカの留学先は放射線科ではなく循環器内科で、そこで3年間MRIの研究に携わりました。循環器内科ですので、カンファレンスでは心臓のエコー所見も併せて病態を考える機会が多々あり、その情報を元に循環器内科の先生たちが考える診断プロセスに触れることができたのは貴重な経験でした。同じ病院の放射線科ではちょうど64列MDCTも導入され、心臓CTが始まった時期で(*注:当時留学先の放射線科はCORE64という東芝のマルチセンタートライアルに加わっていました)、そちらの読影にも顔を出していました。帰国して、学んできたことを活かすため、まず技師さんたちの教育・プロトコール作りを始めました。心臓の検査は心電図同期が必須ですし、きれいな画像を得るにはコツや工夫が必要です。循環器画像診断は形態だけではなく動態を見れる面白さがある反面、動いている臓器ですからアーチファクトとの戦いになります。基本的に検査にはできるだけ立ち会い、シーケンス決め・撮像断面指示をしていくうちに技師さんが育ってきて、今ではすべての検査に立ち会わなくても思った通りの画像が出てくるようになりました。64列以上のMDCTが普及してきたタイミングと帰国時期が重なり、循環器画像診断のニーズが爆発的に増えてきました。大学病院ではどうしても急性心筋梗塞のようなフレッシュな虚血性心疾患よりは慢性心疾患が多いため、週半日の循環器センターの外勤先では不安定狭心症や急性心筋梗塞のCT・MRIを読影するよい機会だと考え、大量の読影をこなしています。検査をオーダーしてくれた先生とディスカッションし、シンチ・カテ所見や臨床経過を確認するのは効率のよい勉強方法ではないかもしれませんが、地道な方法で学んでいくと必ず自分の血肉となります。一件あたりの枚数が多い循環器領域画像診断は非常に時間がかかり疲れるものですが、これまで数千例の症例を蓄積できたお陰で2010年RSNAにおいて心臓CTの教育展示でCum Laudeを受賞することができたと思っています。

Bostonの職場での写真

↑ Bostonの職場での写真。MRIの解析をする際には、一緒に両隣のデータマネジャーが画像や結果の管理をしてくれるので、非常に効率よく仕事ができる仕組みになっていました。

ただ読影するだけではなく教育・啓蒙活動も仕事のひとつだと考え、大学以外の病院の技師さんや医師を対象に、まずどういう疾患が循環器画像診断の適応になるか、どういう撮像をすればきれいな画像が撮れるか、どう読影するかという勉強会を手弁当で続けています。少しでも北海道の循環器画像診断の底上げをという思いが通じて多くの方に受講していただいています。「循環器画像診断をやっています」という看板をあげることは、同時にその領域の診断に責任を持つということでもあります。北海道は医療過疎地が多く、地方の関連病院からコンサルトされることも少なくありません。休日だろうが、飛び入りだろうが持ち込まれた画像はお断りせず読影をしています。「難しい。面倒だ。」と手を引くことは簡単ですが、貴重な症例の蓄積が自分の宝であると視点を変えれば、難しい面倒な症例ほど、経験値を上げる良い機会です。大変なこともあるのですが、続けていられるのは、やはりこの仕事が好きなのだと思います。

循環器疾患に限らないことかもしれませんが、画像診断の魅力は自分の仕事が患者さんの治療方針に直結し、今その場で診断が求められる即時性にあります。この領域は経験・知識に自信があるという領域を持つことは、覚悟のいるものですが何よりのやりがいです。

若い先生方が循環器領域に限らず、自分の好きな得意領域をみつけられることを願っています。

プロフィール(略)
平成9年北海道大学医学部卒業。平成17年から20年までアメリカボストン市Harvard Medical School, Beth Israel Deaconess Medical Center留学。平成21年から北海道大学病院助教、平成23年より同病院講師

掲載日:2011.04.04

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